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帝都のひと夏
鐘が鳴り終わるまでに着けば遅刻じゃない、と保護者は言いました
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鐘の音を聞いて思わず兄さまと顔を見合わせる。
「ディー「兄さま・・・」」
多分その時、私と兄さまは同じ人を思い浮かべたんだと思う。
「やっと呼んだか。」
だから、父さまがその場に現れた時、私たちは全く驚かなかった。
ただ、一瞬兄さまの顔に浮かんだ表情が、、、ああ、ここは私が何とかしたい、、、しなくちゃ。
「父さま!ディーが兄さまにわがまま言って・・・」
説明しようとすると。
父さまがスッと私の口元に人差し指を当てた。
「分かってる。それよりディー。その恰好では行けない。」
そのまま私を上から下まで視線でなぞる。すると、靴に付いた葉っぱからちょっと緩んでた腰のリボン、、ほつれて風になびいてた髪まで、元に戻った。それと同時に、額から流れてた汗や擦れたかかとの痛みも消えてなくなる。
「これでいいな、フィン、お前は・・・」
「自分でやります。」
フイッと顔を背けた兄さま。でも、こっちに向き直った時はもう散策する前の姿だった。流石です。
「フン。まあいい。では行くぞ。」
私の手をそっと握り、兄さまの腕を無造作につかむと。
次の瞬間、私たちはあまり大きくはない室内にいた。
「ディー!フィン!やっと来たか!」
「お前たちは・・・」
「ふんっ」
どうやらここは、控室みたい。目の前には、呆れた顔をした母さまと騎士の正装のオスカー兄上、綺麗な顔をしかめているルーファス兄さまがいる。
「ごめんなさい・・・」
謝って済むことでは無いけれど、心配も迷惑もかけてしまった。
頭を上げられない。
「やあ、可愛くてお転婆なお嬢さんは着いたかね?」
そう言いながらソファから立ち上がる姿があった。
「伯父さま!ごめんなさい!」
そうだ。私ったら、帝国の宰相閣下をお待たせしてしまったのね。
ますます頭が上げられない。縮こまっていると。
「大丈夫だ。鐘が鳴り終わるまでに着いた。充分間に合ってる。」
父さまが平然と言い出した。
いや、それは、流石に無理があるのでは?私が言うのもなんだけど、マナーの先生には、公の会には、決められた時間より少し前に着くよう教わっている。
頭を下げたままチラッと伯父さまの様子を伺うと。
一瞬あっけに取られた伯父さまは、次の瞬間笑いだしてしまった。
「アルフらしいな。次には時間内に行けばいいんだ、と来る。お前のその論理で、私はいつも苦労させられたもんだ。懐かしいな。」
まあ、コンラート一門に何世代かぶりに現れたお姫様だ。ちょっと勿体つけるくらいで良いだろう・・・ルーファス君はもう挨拶を始めているしね。
伯父様がにこやかに言うと。
「ええ、武官を出している貴族の目ぼしいところは、もう式典会場で挨拶済みですから。がっついた印象を与えないためにも、ゆっくり出るのも良いと思いますよ。」
伯父さまの向こうから、オリヴィエ兄さまの落ち着いた声がした。
みんな優しい、、、。
ホッとするやら安心するやら。取り敢えず顔は上げてもいいかしら。
改めて見回すと、この部屋には伯父さまたちコンラート公爵家とバーベンベルクの家族しかいない。
「あれ、他の皆さまは?」
首をかしげると、むすっとしたままルー兄さまが教えてくれた。
「ここはコンラート一門の控室だ。さっきまではカレンブルク侯爵家もいたけど、お先にって会場に行ってしまったよ。」
「お祖父さまお祖母さまは?」
「本来バーベンベルクで一部屋貰っているから、そっちに行かれた。お祖母様は、我々もこっちにいるべきじゃないって少々お冠だったよ。」
あらぁ。そんなことになっていたとは。
本当は社交界に詳しいお祖母さまに、少しでも感じのいい顔の上げ方とか笑顔での誤魔化し方とか、聞いておきたかったんだけど。
まあ、でも取り敢えず合流できてよかった。一安心だわ。
つい気を緩めていると。
「俺たちは今日はただでさえ注目を集めるんだから、こんな目立つことをしてはいけないよ。」
ルー兄さまが耳打ちしてきた。
うん、ごめんなさい。分かってます。バーベンベルクでも、大人が許しても、ルー兄さまはこんな風に私を叱ってくれた。緩んだ気持ちを立て直し、、、ふと気づく。
「ルー兄さま、私、気付かれない魔術を使ってるはずなんだけど、居るかいないか分からなくない?」
「え?ディーはいつも通りだぞ。むしろ紅毛って貴族には少ないからすごく目立つと思うんだけどな?」
その瞳の色もあるし。言われて、術式を間違えたかとがっかりしていると。
「ああ、それは父さまが消したよ。きちんとかかっていたけれど、流石に披露目の茶会には不要だろう?」
父さまが話しかけてきた。
「フィンに教わったのか?」
「ええ・・・そう言えば、フィン兄さまは?」
着いてからは自分の事に精いっぱいで、兄さまがいつの間にか視界から消えているのに気付かなかった。
「あそこでオスカーと念話で話してる。」
父さまが顔を向けた先には、いつの間にかソファで寛ぐ年長組の兄二人がいた。
あんなに慌てたのは何だったの、、、。
思わず脱力した時。
「あの。陛下が控室でそわそわしていらっしゃいます。そろそろ宜しいでしょうか?」
ノックの音と共に皇宮のお仕着せを来た侍従が現れた。顔色が悪い。
「おお、それはそれは。お待たせしてはいけないね。じゃあ、行こうかね。ルーファス君、ディーちゃん、準備は良いかな?」
伯父さまににっこり手を差し伸べられて。
私はグッと気合を入れてから、思い切って伯父さまの手を取った。
「ディー「兄さま・・・」」
多分その時、私と兄さまは同じ人を思い浮かべたんだと思う。
「やっと呼んだか。」
だから、父さまがその場に現れた時、私たちは全く驚かなかった。
ただ、一瞬兄さまの顔に浮かんだ表情が、、、ああ、ここは私が何とかしたい、、、しなくちゃ。
「父さま!ディーが兄さまにわがまま言って・・・」
説明しようとすると。
父さまがスッと私の口元に人差し指を当てた。
「分かってる。それよりディー。その恰好では行けない。」
そのまま私を上から下まで視線でなぞる。すると、靴に付いた葉っぱからちょっと緩んでた腰のリボン、、ほつれて風になびいてた髪まで、元に戻った。それと同時に、額から流れてた汗や擦れたかかとの痛みも消えてなくなる。
「これでいいな、フィン、お前は・・・」
「自分でやります。」
フイッと顔を背けた兄さま。でも、こっちに向き直った時はもう散策する前の姿だった。流石です。
「フン。まあいい。では行くぞ。」
私の手をそっと握り、兄さまの腕を無造作につかむと。
次の瞬間、私たちはあまり大きくはない室内にいた。
「ディー!フィン!やっと来たか!」
「お前たちは・・・」
「ふんっ」
どうやらここは、控室みたい。目の前には、呆れた顔をした母さまと騎士の正装のオスカー兄上、綺麗な顔をしかめているルーファス兄さまがいる。
「ごめんなさい・・・」
謝って済むことでは無いけれど、心配も迷惑もかけてしまった。
頭を上げられない。
「やあ、可愛くてお転婆なお嬢さんは着いたかね?」
そう言いながらソファから立ち上がる姿があった。
「伯父さま!ごめんなさい!」
そうだ。私ったら、帝国の宰相閣下をお待たせしてしまったのね。
ますます頭が上げられない。縮こまっていると。
「大丈夫だ。鐘が鳴り終わるまでに着いた。充分間に合ってる。」
父さまが平然と言い出した。
いや、それは、流石に無理があるのでは?私が言うのもなんだけど、マナーの先生には、公の会には、決められた時間より少し前に着くよう教わっている。
頭を下げたままチラッと伯父さまの様子を伺うと。
一瞬あっけに取られた伯父さまは、次の瞬間笑いだしてしまった。
「アルフらしいな。次には時間内に行けばいいんだ、と来る。お前のその論理で、私はいつも苦労させられたもんだ。懐かしいな。」
まあ、コンラート一門に何世代かぶりに現れたお姫様だ。ちょっと勿体つけるくらいで良いだろう・・・ルーファス君はもう挨拶を始めているしね。
伯父様がにこやかに言うと。
「ええ、武官を出している貴族の目ぼしいところは、もう式典会場で挨拶済みですから。がっついた印象を与えないためにも、ゆっくり出るのも良いと思いますよ。」
伯父さまの向こうから、オリヴィエ兄さまの落ち着いた声がした。
みんな優しい、、、。
ホッとするやら安心するやら。取り敢えず顔は上げてもいいかしら。
改めて見回すと、この部屋には伯父さまたちコンラート公爵家とバーベンベルクの家族しかいない。
「あれ、他の皆さまは?」
首をかしげると、むすっとしたままルー兄さまが教えてくれた。
「ここはコンラート一門の控室だ。さっきまではカレンブルク侯爵家もいたけど、お先にって会場に行ってしまったよ。」
「お祖父さまお祖母さまは?」
「本来バーベンベルクで一部屋貰っているから、そっちに行かれた。お祖母様は、我々もこっちにいるべきじゃないって少々お冠だったよ。」
あらぁ。そんなことになっていたとは。
本当は社交界に詳しいお祖母さまに、少しでも感じのいい顔の上げ方とか笑顔での誤魔化し方とか、聞いておきたかったんだけど。
まあ、でも取り敢えず合流できてよかった。一安心だわ。
つい気を緩めていると。
「俺たちは今日はただでさえ注目を集めるんだから、こんな目立つことをしてはいけないよ。」
ルー兄さまが耳打ちしてきた。
うん、ごめんなさい。分かってます。バーベンベルクでも、大人が許しても、ルー兄さまはこんな風に私を叱ってくれた。緩んだ気持ちを立て直し、、、ふと気づく。
「ルー兄さま、私、気付かれない魔術を使ってるはずなんだけど、居るかいないか分からなくない?」
「え?ディーはいつも通りだぞ。むしろ紅毛って貴族には少ないからすごく目立つと思うんだけどな?」
その瞳の色もあるし。言われて、術式を間違えたかとがっかりしていると。
「ああ、それは父さまが消したよ。きちんとかかっていたけれど、流石に披露目の茶会には不要だろう?」
父さまが話しかけてきた。
「フィンに教わったのか?」
「ええ・・・そう言えば、フィン兄さまは?」
着いてからは自分の事に精いっぱいで、兄さまがいつの間にか視界から消えているのに気付かなかった。
「あそこでオスカーと念話で話してる。」
父さまが顔を向けた先には、いつの間にかソファで寛ぐ年長組の兄二人がいた。
あんなに慌てたのは何だったの、、、。
思わず脱力した時。
「あの。陛下が控室でそわそわしていらっしゃいます。そろそろ宜しいでしょうか?」
ノックの音と共に皇宮のお仕着せを来た侍従が現れた。顔色が悪い。
「おお、それはそれは。お待たせしてはいけないね。じゃあ、行こうかね。ルーファス君、ディーちゃん、準備は良いかな?」
伯父さまににっこり手を差し伸べられて。
私はグッと気合を入れてから、思い切って伯父さまの手を取った。
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