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皇宮での邂逅
噴水の庭にて
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ここから、94話 殿下なりの賭けでした、最後からのディー視点に戻ります。
噴水のある庭に来て欲しい。
魔導師団長、と、出来れば侍従見習いも。
一気に話し終えると、殿下は後ろも振りむかず、テラスに向かって歩き出した。老執事さんも影のようについて行く。
その後ろ姿をチラッと見てから、父さまは私を見た。
「帰ろうと思ったけど・・・あの執事には昔・・・きょうも色々迷惑をかけたし、ジークムントの子が何を話すのか、父さまは聞く必要があると思う。」
父さまは、何だかんだ言って、自分に好意を持つ人に甘いからね。老執事さんも昔大事にしてくれたんだろうね?
殿下が好意を持ってるとは思えないけど、そっちは最近の夢への干渉もあるしね、、、。
うんうん、頷いていると、父さまが続けた。
「でも、ディーは関係ない。言われた通り残る必要も無いんだから、魔導師団に戻ってなさい?」
「・・・え?」
「謝罪、受けたいの?」
「受けたいわけじゃないけど・・・あ、受けたくない訳でも、ないけど。」
私はムムっと考えてしまった。
悩んでいると、父さまがそっと手を握って来た。
見上げると、私を見てから、殿下の去ったテラスの方をチラッと見て、、、最後に小さく溜め息をついた。
「ディー、もう少し考えても良いから、取り敢えず移動しても大丈夫?」
ドレスとか飾りとか、見たいものは見られた?
言われて、改めてぐるっと会場の庭を見回した。
ドレスの流行、装飾品の飾り方、お化粧の仕方、立ち居振る舞い、会話の内容、、、うん、大体のところは、分かったかな。
私は父さまの手を小さく握り返すと頷いた。
「大丈夫。父さま、連れて来てくれてありがとう。本番では、堂々としてられそうよ。」
噴水の庭は同じ敷地内で、よく手入れもされているのに、相変わらず全く人気が無かった。
夏の初めの明るい午後の日差しも背の高い木々にほどよく遮られ、時折涼しい風が吹き抜ける。
噴水の水音もサラサラと気持ちよくて、私は父さまの手を離してクルクルと回った。
ふふっ。バーベンベルクの中庭みたい。
「こんなに気持ちのいい場所なのに、何で誰も来ないのかしら?」
独り言に、でも父さまは律儀に答えてくれた。
「結界が張ってあるから。」
「え?」
「ここは、昔・・・そう、ここに城が立つ前から、いろいろな人に大事な場所でね、普段から部外者が入らないよう結界が張ってあるんだ。」
父さま自身もゆっくりと見回している。思い出があるのかな?
近づくと、、、父さまは改まった口調で言った。
「ディー、父さまは帰って欲しいな。」
執務室で待っていて、と、噴水の紋様を示される。
「でも、、、」
私は口籠った。
殿下は、何で私たちが居るって分かったんだろう?
だって、たまたま父さまにお茶会覗いてみる?て聞かれて、来ることにしたんだよ?
しかも、父さまの結界が張られてるから、向こうからは、私たちの気配も分からなかったと思う。
それを、何故か居るって知って、何でか近くまで辿り着いて、誰もいないように見えるのに、声を掛けてきた。
自分の主催するお茶会で、知人の目も有るのに、誰もいないところで話しかけるなんて、とんでもなく恥ずかしいし、勇気がいることだと思うんだよね。
やろうと思っても、簡単に出来ることじゃないと思うの。
だからね。
殿下はきっと、そうしなきゃならない深い深い理由が有るんだと思うの。
そしたらさ、
やっぱり、謝って欲しい訳ではないんだけど、会うべきだと、思うんだよね、、、。
それに、どうして私たちが居るのが分かったのか、知りたいし。
「父さま、私、此処にいる。」
「ディー、でもね・・・」
キッパリ言った私を説得しようとして少し屈もうとした父さまは、私の後ろを見て、チッと舌打ちをした。
「あいつ、早すぎるだろ。」
「え?」
振り返ると、小道とは別の木立が揺れて、、、。
キラキラの頭に葉っぱをくっつけて、殿下がひょっこり顔を出した。
噴水のある庭に来て欲しい。
魔導師団長、と、出来れば侍従見習いも。
一気に話し終えると、殿下は後ろも振りむかず、テラスに向かって歩き出した。老執事さんも影のようについて行く。
その後ろ姿をチラッと見てから、父さまは私を見た。
「帰ろうと思ったけど・・・あの執事には昔・・・きょうも色々迷惑をかけたし、ジークムントの子が何を話すのか、父さまは聞く必要があると思う。」
父さまは、何だかんだ言って、自分に好意を持つ人に甘いからね。老執事さんも昔大事にしてくれたんだろうね?
殿下が好意を持ってるとは思えないけど、そっちは最近の夢への干渉もあるしね、、、。
うんうん、頷いていると、父さまが続けた。
「でも、ディーは関係ない。言われた通り残る必要も無いんだから、魔導師団に戻ってなさい?」
「・・・え?」
「謝罪、受けたいの?」
「受けたいわけじゃないけど・・・あ、受けたくない訳でも、ないけど。」
私はムムっと考えてしまった。
悩んでいると、父さまがそっと手を握って来た。
見上げると、私を見てから、殿下の去ったテラスの方をチラッと見て、、、最後に小さく溜め息をついた。
「ディー、もう少し考えても良いから、取り敢えず移動しても大丈夫?」
ドレスとか飾りとか、見たいものは見られた?
言われて、改めてぐるっと会場の庭を見回した。
ドレスの流行、装飾品の飾り方、お化粧の仕方、立ち居振る舞い、会話の内容、、、うん、大体のところは、分かったかな。
私は父さまの手を小さく握り返すと頷いた。
「大丈夫。父さま、連れて来てくれてありがとう。本番では、堂々としてられそうよ。」
噴水の庭は同じ敷地内で、よく手入れもされているのに、相変わらず全く人気が無かった。
夏の初めの明るい午後の日差しも背の高い木々にほどよく遮られ、時折涼しい風が吹き抜ける。
噴水の水音もサラサラと気持ちよくて、私は父さまの手を離してクルクルと回った。
ふふっ。バーベンベルクの中庭みたい。
「こんなに気持ちのいい場所なのに、何で誰も来ないのかしら?」
独り言に、でも父さまは律儀に答えてくれた。
「結界が張ってあるから。」
「え?」
「ここは、昔・・・そう、ここに城が立つ前から、いろいろな人に大事な場所でね、普段から部外者が入らないよう結界が張ってあるんだ。」
父さま自身もゆっくりと見回している。思い出があるのかな?
近づくと、、、父さまは改まった口調で言った。
「ディー、父さまは帰って欲しいな。」
執務室で待っていて、と、噴水の紋様を示される。
「でも、、、」
私は口籠った。
殿下は、何で私たちが居るって分かったんだろう?
だって、たまたま父さまにお茶会覗いてみる?て聞かれて、来ることにしたんだよ?
しかも、父さまの結界が張られてるから、向こうからは、私たちの気配も分からなかったと思う。
それを、何故か居るって知って、何でか近くまで辿り着いて、誰もいないように見えるのに、声を掛けてきた。
自分の主催するお茶会で、知人の目も有るのに、誰もいないところで話しかけるなんて、とんでもなく恥ずかしいし、勇気がいることだと思うんだよね。
やろうと思っても、簡単に出来ることじゃないと思うの。
だからね。
殿下はきっと、そうしなきゃならない深い深い理由が有るんだと思うの。
そしたらさ、
やっぱり、謝って欲しい訳ではないんだけど、会うべきだと、思うんだよね、、、。
それに、どうして私たちが居るのが分かったのか、知りたいし。
「父さま、私、此処にいる。」
「ディー、でもね・・・」
キッパリ言った私を説得しようとして少し屈もうとした父さまは、私の後ろを見て、チッと舌打ちをした。
「あいつ、早すぎるだろ。」
「え?」
振り返ると、小道とは別の木立が揺れて、、、。
キラキラの頭に葉っぱをくっつけて、殿下がひょっこり顔を出した。
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