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皇宮での邂逅
やってしまったという事を気付かされたけれど(フェリクス視点)
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「殿下、そろそろ」
父上との謁見の間ひっそりと後ろについていた執事のマルティンが、俺にそっと耳打ちしてきた。
もう、そんな時間か。
「では、私はこの後が有りますのでそろそろ帰ります。」
そう言って頭を下げると、父上は鷹揚に頷いた。
とんでも無い事を請け負ってしまったが、まあ、ディアナ嬢と会うのはまだ何日か余裕がある。
今日のお茶会で情報収集をしながら、令嬢の好きそうな科白でも仕入れるか、、、。
ちょっと上の空になった俺に、宰相が、あの、実に胡散臭い優しい笑みを浮かべて話しかけてきた。
「そうそう、コンラート一門からも激励の意味を込めて一つ取って置きの情報を。」
「?」
なんだ?怪しいな。
俺が胡散臭げな目を向けると、宰相はいい笑顔で続けた。
「バーベンベルクから、魔導師団長の世話をしに、10日ほど前から侍従見習いが来てるんですよ。」
ん?
魔導師団、侍従見習い、この言葉に反応する記憶がある。
ああ、あの、数日前にやっつけてやった生意気な奴だ。
そいつが、なんだ?
俺の表情を見ていたらしい宰相は、疑問を浮かべた俺に、言葉を重ねてきた。
「私のところにも使いに来るんで、話を聞いてみたんですよ。そうしたら、なんと、あの子は普段バーベンベルクではディアナ嬢の側仕えだそうですよ。なんでも、辺境伯の乳母の孫で、ディアナ嬢とは、それこそ赤子の時からの幼馴染みだとか。」
なんだって?!
俺は、サーっと全身の血が引いていくのを感じた。
その俺を見据えて、宰相はとても楽しそうに続ける。
「今回は、魔導師団長の世話がてら皇宮内を見て歩いて、初めて帝都に来るディアナ嬢が不安にならないよう情報収集をしているそうです。」
まさか、そんな立場の奴だったなんて。
「騎士の訓練なんかもしていて興味があるから、騎士団にも行ってみたと言ってましたよ。もし会うことがあったら、良い印象を与えておくと、会う前から、ディアナ嬢の好印象を得られると思いますよ?」
どうです、有益な情報でしょう?
ほほえむ宰相の目が笑ってない。
もしや、こいつ、初めから分かっていて俺達を、俺を見定めていたと言うのか?
今ごろこんな情報を出してくるなんて、、、なんて、イヤらしい奴なんだ!
怒りに震える俺に、父上は良かったな、フェリクス、と呑気なことを言ってくる。
くそ、動揺でうまい切り返しが出て来ない、、、。
固まった俺をどう見たのか。
普段は俺の後ろで、たまに耳元で囁く以外発言をしないマルティンが、俺の横に一歩出て、父上と宰相に対峙した。
「陛下も宰相閣下も、まだまだお若い殿下にご自身が負ったことのない重責を負わせたのですから、、、。厳しいご指導もよろしいですが、心よりのお手助けを頂きたく存じます。」
静かな声。だが、父上と宰相は、、、特に父上か、、、明らかに姿勢を正した。
二人とも、気まずそうだ、、、すごいな、マルティン。
「さあ、では時間も押しておりますので、参りましょうか、殿下。」
「あ、あぁ。では、父上、宰相も、失礼します。」
俺は何とかボロを出さず、取り敢えず皇太子宮へ、退散した。
父上との謁見の間ひっそりと後ろについていた執事のマルティンが、俺にそっと耳打ちしてきた。
もう、そんな時間か。
「では、私はこの後が有りますのでそろそろ帰ります。」
そう言って頭を下げると、父上は鷹揚に頷いた。
とんでも無い事を請け負ってしまったが、まあ、ディアナ嬢と会うのはまだ何日か余裕がある。
今日のお茶会で情報収集をしながら、令嬢の好きそうな科白でも仕入れるか、、、。
ちょっと上の空になった俺に、宰相が、あの、実に胡散臭い優しい笑みを浮かべて話しかけてきた。
「そうそう、コンラート一門からも激励の意味を込めて一つ取って置きの情報を。」
「?」
なんだ?怪しいな。
俺が胡散臭げな目を向けると、宰相はいい笑顔で続けた。
「バーベンベルクから、魔導師団長の世話をしに、10日ほど前から侍従見習いが来てるんですよ。」
ん?
魔導師団、侍従見習い、この言葉に反応する記憶がある。
ああ、あの、数日前にやっつけてやった生意気な奴だ。
そいつが、なんだ?
俺の表情を見ていたらしい宰相は、疑問を浮かべた俺に、言葉を重ねてきた。
「私のところにも使いに来るんで、話を聞いてみたんですよ。そうしたら、なんと、あの子は普段バーベンベルクではディアナ嬢の側仕えだそうですよ。なんでも、辺境伯の乳母の孫で、ディアナ嬢とは、それこそ赤子の時からの幼馴染みだとか。」
なんだって?!
俺は、サーっと全身の血が引いていくのを感じた。
その俺を見据えて、宰相はとても楽しそうに続ける。
「今回は、魔導師団長の世話がてら皇宮内を見て歩いて、初めて帝都に来るディアナ嬢が不安にならないよう情報収集をしているそうです。」
まさか、そんな立場の奴だったなんて。
「騎士の訓練なんかもしていて興味があるから、騎士団にも行ってみたと言ってましたよ。もし会うことがあったら、良い印象を与えておくと、会う前から、ディアナ嬢の好印象を得られると思いますよ?」
どうです、有益な情報でしょう?
ほほえむ宰相の目が笑ってない。
もしや、こいつ、初めから分かっていて俺達を、俺を見定めていたと言うのか?
今ごろこんな情報を出してくるなんて、、、なんて、イヤらしい奴なんだ!
怒りに震える俺に、父上は良かったな、フェリクス、と呑気なことを言ってくる。
くそ、動揺でうまい切り返しが出て来ない、、、。
固まった俺をどう見たのか。
普段は俺の後ろで、たまに耳元で囁く以外発言をしないマルティンが、俺の横に一歩出て、父上と宰相に対峙した。
「陛下も宰相閣下も、まだまだお若い殿下にご自身が負ったことのない重責を負わせたのですから、、、。厳しいご指導もよろしいですが、心よりのお手助けを頂きたく存じます。」
静かな声。だが、父上と宰相は、、、特に父上か、、、明らかに姿勢を正した。
二人とも、気まずそうだ、、、すごいな、マルティン。
「さあ、では時間も押しておりますので、参りましょうか、殿下。」
「あ、あぁ。では、父上、宰相も、失礼します。」
俺は何とかボロを出さず、取り敢えず皇太子宮へ、退散した。
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