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皇宮での邂逅
俺の学友についた虫
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「あいつ、遅いな。」
風呂に浸かりながら俺が呟くと、双子の片割れがこっちを向いた。
「ええ・・・しかも一人で残ってまで。まあ、彼は真面目ですから。」
風呂の縁に頭を乗せて脱力しているもう片割れが顔をしかめる。
「真面目?こんなに気持ちいい風呂の時間を削るなんて、ただの脳筋バカだよ。入学に必要なレベルはとっくに超えてるのに。どれだけ剣が好きなんだか。」
「そうだな・・・」
俺も縁に頭を乗せて脱力しながら考える。
真面目?剣が好き?それだけだろうか?
この訓練場に来てから、ジキスムントは少し変だ。
自主練の時間が長くなり、一人で残ってまで訓練しているかと思えば、我々との訓練時間には、妙に気が抜けていたりする。
かと思えば、さっきは終わりがけに、急に鋭い一撃をかましてきた。
こいつは今日も気が抜けてるな、と思いながら打ち合っていたから、全く避けられなかった。
あいつ、また腕を上げたんだな、、、。
俺は自分の利き手をなんとなく眺める。
剣は嫌いじゃない。筋がいいと褒められたし、小さい頃はジキスムントと張り合ってたと思う。でも、剣だけに特化出来ない自分は、彼奴みたいな剣だこは出来ない。
いつからか、ジキスムントは俺たちに本気の剣を向けなくなった。
俺たちのレベルに合わせて、それ以上は見せない。
今日も、いきなり急変した事にちょっと文句を言ったら、理由も言わず、言い訳もせず、ただ申し訳なさそうに謝ってきた。
話す気が全くない彼奴に、無性に腹が立って突っかかっていったら、指導をしていた隊長に上手く流されてしまったけれど。
分かってるんだ。あの一振りは、何かに気を取られて、素の実力をほんの少し出してしまっただけなんだって。
俺は、謝られたかったんじゃない。いつの間にかこんなに開いた実力差に苛立ち、目の前にいる彼奴が、俺との打ち合いより気を取られたものが分からなかった事に、教える気もない事に、何だか無性に腹が立ったんだ。
、、、そうだ。
訓練場に戻れば、今、彼奴が気にしている事が分かるかもしれない。
俺は思いつくなり湯から立ち上がった。
双子が驚いて間抜けな顔を晒してる。
「おい、出るぞ!ジキスムントが何してるか、確認しに行く。」
タオルだ着替えだと寄ってくる侍従を払いのけ、最低限の衣服を身につけると、俺は訓練場に急いだ。
何だ?あれは、、、。
門までたどり着いた俺は目を見張った。
ジキスムントが見知らぬ少年と試合をしている。
俺とやってた生温い打ち合いなんかじゃない。
お互いに真剣勝負。ここにまで殺気がビンビン届く。
打ち込んで、躱して。反動で切り上げ、切り下げ、飛び退って間合いを外して。
少年は俺よりも小柄で華奢だ。ジキスムントの方が二回りでかいだろう。でも、あの身のこなしの素早さ、打ち込みの絶妙さ、一気に懐に入る度胸。
手に汗握る打ち合いは、体力で劣る少年の負けだったが、観ていてワクワクした。
いつ、どんな風に知り合ったのかは分からないけれど。
ジキスムントがあの少年を待っていたのだとしたら。
あの、気もそぞろな打ち合いも、その後の一撃も説明がつく。
そして確信した。
ジキスムントは、幼馴染の俺たちより、彼奴を懐に入れたんだ。
その証拠に、遠目にも柔らかい雰囲気で、笑顔すら浮かべている。
はっ、握手を求めた後、固まった相手に慌てて逃げられている。ざまあみろだ。
ジキスムントは、クソ真面目で、誠実で、、、俺の周りにいる、数少ない、本当に数少ない、本音を言える、、、言えた、、、いい奴なんだ。あんな胡散臭い少年に取られるなんて。
今度見かけてみろ、俺がコテンパンにのしてやる!
俺は自分の行いを省みず、あの見知らぬ少年への憤りを募らせた。
風呂に浸かりながら俺が呟くと、双子の片割れがこっちを向いた。
「ええ・・・しかも一人で残ってまで。まあ、彼は真面目ですから。」
風呂の縁に頭を乗せて脱力しているもう片割れが顔をしかめる。
「真面目?こんなに気持ちいい風呂の時間を削るなんて、ただの脳筋バカだよ。入学に必要なレベルはとっくに超えてるのに。どれだけ剣が好きなんだか。」
「そうだな・・・」
俺も縁に頭を乗せて脱力しながら考える。
真面目?剣が好き?それだけだろうか?
この訓練場に来てから、ジキスムントは少し変だ。
自主練の時間が長くなり、一人で残ってまで訓練しているかと思えば、我々との訓練時間には、妙に気が抜けていたりする。
かと思えば、さっきは終わりがけに、急に鋭い一撃をかましてきた。
こいつは今日も気が抜けてるな、と思いながら打ち合っていたから、全く避けられなかった。
あいつ、また腕を上げたんだな、、、。
俺は自分の利き手をなんとなく眺める。
剣は嫌いじゃない。筋がいいと褒められたし、小さい頃はジキスムントと張り合ってたと思う。でも、剣だけに特化出来ない自分は、彼奴みたいな剣だこは出来ない。
いつからか、ジキスムントは俺たちに本気の剣を向けなくなった。
俺たちのレベルに合わせて、それ以上は見せない。
今日も、いきなり急変した事にちょっと文句を言ったら、理由も言わず、言い訳もせず、ただ申し訳なさそうに謝ってきた。
話す気が全くない彼奴に、無性に腹が立って突っかかっていったら、指導をしていた隊長に上手く流されてしまったけれど。
分かってるんだ。あの一振りは、何かに気を取られて、素の実力をほんの少し出してしまっただけなんだって。
俺は、謝られたかったんじゃない。いつの間にかこんなに開いた実力差に苛立ち、目の前にいる彼奴が、俺との打ち合いより気を取られたものが分からなかった事に、教える気もない事に、何だか無性に腹が立ったんだ。
、、、そうだ。
訓練場に戻れば、今、彼奴が気にしている事が分かるかもしれない。
俺は思いつくなり湯から立ち上がった。
双子が驚いて間抜けな顔を晒してる。
「おい、出るぞ!ジキスムントが何してるか、確認しに行く。」
タオルだ着替えだと寄ってくる侍従を払いのけ、最低限の衣服を身につけると、俺は訓練場に急いだ。
何だ?あれは、、、。
門までたどり着いた俺は目を見張った。
ジキスムントが見知らぬ少年と試合をしている。
俺とやってた生温い打ち合いなんかじゃない。
お互いに真剣勝負。ここにまで殺気がビンビン届く。
打ち込んで、躱して。反動で切り上げ、切り下げ、飛び退って間合いを外して。
少年は俺よりも小柄で華奢だ。ジキスムントの方が二回りでかいだろう。でも、あの身のこなしの素早さ、打ち込みの絶妙さ、一気に懐に入る度胸。
手に汗握る打ち合いは、体力で劣る少年の負けだったが、観ていてワクワクした。
いつ、どんな風に知り合ったのかは分からないけれど。
ジキスムントがあの少年を待っていたのだとしたら。
あの、気もそぞろな打ち合いも、その後の一撃も説明がつく。
そして確信した。
ジキスムントは、幼馴染の俺たちより、彼奴を懐に入れたんだ。
その証拠に、遠目にも柔らかい雰囲気で、笑顔すら浮かべている。
はっ、握手を求めた後、固まった相手に慌てて逃げられている。ざまあみろだ。
ジキスムントは、クソ真面目で、誠実で、、、俺の周りにいる、数少ない、本当に数少ない、本音を言える、、、言えた、、、いい奴なんだ。あんな胡散臭い少年に取られるなんて。
今度見かけてみろ、俺がコテンパンにのしてやる!
俺は自分の行いを省みず、あの見知らぬ少年への憤りを募らせた。
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