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8.落ち着きのない話を聞かない男
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「閻魔!?閻魔ってあの地獄の大神官閻魔王のことか!?」
「わたしのお仕事は大神官でも裁判官でもないけれど、概ねその認識で正解よ」
この女性が閻魔大王!?俺の閻魔大王のイメージだと巨漢の大男なんだが・・・
ミナも俺同様驚いていたが、すぐに我を取り戻し質問した。
「元地獄の管理者って言いましたよね?つまり今は地獄の管理者ではないってことですか?もしかしてここは地獄の入り口だったりしますか?」
ミナは受け入れるのが早いな。たしかにこのイヴと名乗る女性は、元地獄の管理者と言っていたけど、この神殿が不自然に残っている理由が地獄の入り口なら、まぁ埋め立てはしないだろう。建物をこの上に建てる理由は説明がつかないけど
「質問が多いわね。まず地獄の管理者については是ね。地獄の管理者は今は別にいるわね。そしてここが地獄の入り口かどうかについてだけど、この場所は地獄の入り口ではないわね」
何か含む言い方ではあるが、まぁこの神殿が地獄の入り口だとしたら、上に建物を建設するなんてことしないし、ましてやこの地に人を立ち入らせないだろう。
「地獄の入り口はわたしなんだから!」
ーーーは?
何を言いだすんだこの人は・・・
俺もミナも思考が追いつけずにただ彼女を見ていた。
「あー。ごめんごめん。言い方が悪かったわね。地獄という死後の世界を作ったのはわたしで、穢れた魂はわたしを通して現世から地獄に行くようになってるわ」
「・・・いやいやいや。つまりはここは地獄の入り口に変わりないのでは!?」
「うーん。わたしはここを空けるときは多いし、別にわたしはここで暮らしてるわけじゃないわよ?」
「なるほど。まとめると、イヴさんはここを拠点にはしてないけどたまにくる。そしてイヴさんは地獄の入り口をなんらかの方法で開けるってことで正しいですか?」
す、すごい・・・。ミナの説明で俺はやっと目の前の女性、イヴさんの言ってることを理解した。俺が驚いてる間もしっかり考察してたんだろうけどね。
「あら。ほとんど正解じゃないの。地獄について詳細がわからない状態での考察としては百点満点ね」
「あなたが地獄の入り口をどうこうできることはわかりました。しかし何故俺たちにそんなことを教えてくれたんですか?」
彼女が言ってることが全部本当だったとして、そこまで教えてくれる理由がわからなかった。俺たちはさっき会ったばかりなんだ。しかも最悪の形での出会い方で。
「そうねぇ。自己紹介にしては長く語り過ぎちゃったわね。理由はそう・・・あなたが似ていたから」
少し寂しそうな目でこちらを見ているイヴさん。
「似ていた?誰にですか?」
「わたしの大事な人によ。名前はアダム。今はどこで何をしているのかわからないのだけれどね」
「アダム・・・イヴ・・・。旧約聖書の最初の人類、アダムとイヴ!?」
ミナが驚いて叫んだ。俺もその名前は知っている。たしか禁断の実を食べて追放されたとかいう。
「貴女は博識なのね。そのアダムとイヴよ。聖書に書かれている物語は随分前に改編されてしまったけれどね。わたしは禁断の実を食べて追放されたわけじゃないしね」
「聖書には知恵の実を食べて、命の実も食べられたら神自身の身が危ないから追放されたとありますね」
「そんな事実は全くないわね。わたしたちは善悪の知識は最初から持っていたわ。それにあれは神様ではないわね」
怒りにも感じる気持ちを感じ取った。イヴさんは続ける。
「あのクズはわたしたちを気まぐれで作り出し、そして人類全ての素質を封印して、そのまま下界に落とそうとした。わたしたちは抗い、わたしはクズと刺し違え、クズは砕けてわたしは致命傷を追ったわ。アダムはわたしが死んだと思い暴走した。そのまま下界に降りたわ」
「ーーー!?じゃあ今、目の前にいるイヴさんは?」
「また話は終わりじゃないわ。わたしは薄れゆく意識の中でわたしが殺した、光っていたクズのかけらに触れたの。するとわたしは失っていた力が一部戻ってきたわ。そしてわたしはその力で一命を取り留めアダムを探しに下界に降りたわけね」
「俺たちには色々わからない単語が出てきたわけですけど。まず第一に、アダムさんとイヴさんは人類なんですか?」
俺はイヴさんと会って間もない乱れまくりの心に落ち着きを戻して質問した。もし人類だとしたら、人類には創造者を倒す力があることになる。またそんなアダムさんが暴走して力を振り回しているのなら、それは今の人類にとって脅威でしかない。
「人類よ。あなた達にもわたしのような力が眠っているわ。聞いての通り人類の力はクズのかけらがないと使えないけれどね。」
よし。俺は心の中でガッツポーズした。俺はもっと強くなれる。次に祐樹と相対した場合もミナを守りきれる確信がない。アダムさんの脅威もある。ならば相対するまでに力をつけて備えればいい。地上に戻ったらまず神のかけらってのを見つけよう。そう決意した。
「わたしのお仕事は大神官でも裁判官でもないけれど、概ねその認識で正解よ」
この女性が閻魔大王!?俺の閻魔大王のイメージだと巨漢の大男なんだが・・・
ミナも俺同様驚いていたが、すぐに我を取り戻し質問した。
「元地獄の管理者って言いましたよね?つまり今は地獄の管理者ではないってことですか?もしかしてここは地獄の入り口だったりしますか?」
ミナは受け入れるのが早いな。たしかにこのイヴと名乗る女性は、元地獄の管理者と言っていたけど、この神殿が不自然に残っている理由が地獄の入り口なら、まぁ埋め立てはしないだろう。建物をこの上に建てる理由は説明がつかないけど
「質問が多いわね。まず地獄の管理者については是ね。地獄の管理者は今は別にいるわね。そしてここが地獄の入り口かどうかについてだけど、この場所は地獄の入り口ではないわね」
何か含む言い方ではあるが、まぁこの神殿が地獄の入り口だとしたら、上に建物を建設するなんてことしないし、ましてやこの地に人を立ち入らせないだろう。
「地獄の入り口はわたしなんだから!」
ーーーは?
何を言いだすんだこの人は・・・
俺もミナも思考が追いつけずにただ彼女を見ていた。
「あー。ごめんごめん。言い方が悪かったわね。地獄という死後の世界を作ったのはわたしで、穢れた魂はわたしを通して現世から地獄に行くようになってるわ」
「・・・いやいやいや。つまりはここは地獄の入り口に変わりないのでは!?」
「うーん。わたしはここを空けるときは多いし、別にわたしはここで暮らしてるわけじゃないわよ?」
「なるほど。まとめると、イヴさんはここを拠点にはしてないけどたまにくる。そしてイヴさんは地獄の入り口をなんらかの方法で開けるってことで正しいですか?」
す、すごい・・・。ミナの説明で俺はやっと目の前の女性、イヴさんの言ってることを理解した。俺が驚いてる間もしっかり考察してたんだろうけどね。
「あら。ほとんど正解じゃないの。地獄について詳細がわからない状態での考察としては百点満点ね」
「あなたが地獄の入り口をどうこうできることはわかりました。しかし何故俺たちにそんなことを教えてくれたんですか?」
彼女が言ってることが全部本当だったとして、そこまで教えてくれる理由がわからなかった。俺たちはさっき会ったばかりなんだ。しかも最悪の形での出会い方で。
「そうねぇ。自己紹介にしては長く語り過ぎちゃったわね。理由はそう・・・あなたが似ていたから」
少し寂しそうな目でこちらを見ているイヴさん。
「似ていた?誰にですか?」
「わたしの大事な人によ。名前はアダム。今はどこで何をしているのかわからないのだけれどね」
「アダム・・・イヴ・・・。旧約聖書の最初の人類、アダムとイヴ!?」
ミナが驚いて叫んだ。俺もその名前は知っている。たしか禁断の実を食べて追放されたとかいう。
「貴女は博識なのね。そのアダムとイヴよ。聖書に書かれている物語は随分前に改編されてしまったけれどね。わたしは禁断の実を食べて追放されたわけじゃないしね」
「聖書には知恵の実を食べて、命の実も食べられたら神自身の身が危ないから追放されたとありますね」
「そんな事実は全くないわね。わたしたちは善悪の知識は最初から持っていたわ。それにあれは神様ではないわね」
怒りにも感じる気持ちを感じ取った。イヴさんは続ける。
「あのクズはわたしたちを気まぐれで作り出し、そして人類全ての素質を封印して、そのまま下界に落とそうとした。わたしたちは抗い、わたしはクズと刺し違え、クズは砕けてわたしは致命傷を追ったわ。アダムはわたしが死んだと思い暴走した。そのまま下界に降りたわ」
「ーーー!?じゃあ今、目の前にいるイヴさんは?」
「また話は終わりじゃないわ。わたしは薄れゆく意識の中でわたしが殺した、光っていたクズのかけらに触れたの。するとわたしは失っていた力が一部戻ってきたわ。そしてわたしはその力で一命を取り留めアダムを探しに下界に降りたわけね」
「俺たちには色々わからない単語が出てきたわけですけど。まず第一に、アダムさんとイヴさんは人類なんですか?」
俺はイヴさんと会って間もない乱れまくりの心に落ち着きを戻して質問した。もし人類だとしたら、人類には創造者を倒す力があることになる。またそんなアダムさんが暴走して力を振り回しているのなら、それは今の人類にとって脅威でしかない。
「人類よ。あなた達にもわたしのような力が眠っているわ。聞いての通り人類の力はクズのかけらがないと使えないけれどね。」
よし。俺は心の中でガッツポーズした。俺はもっと強くなれる。次に祐樹と相対した場合もミナを守りきれる確信がない。アダムさんの脅威もある。ならば相対するまでに力をつけて備えればいい。地上に戻ったらまず神のかけらってのを見つけよう。そう決意した。
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