上 下
28 / 32
オレは同居人と先へ進みたい

◎12

しおりを挟む
 賢太郎は、健が持ってきた使いかけのローションを手に取った。健は四つん這いで渋々尻を突き出していたが、心細そうな唸り声を上げている。

「見えないからさ、不安だよ」
「難しいかもしれないけど、オレのことを信用してくれ。……今から触る、力抜いて」

 ローション塗れの指で健の秘所に触れ、撫でさする。ずっと望んでいた場所に触れられて、賢太郎は大きな達成感を覚えていた。一方の健は身体が震えている。ローションが付いていない方の手で頭を撫でると、健は大きく息を吐いた。

「まだ入れないから、安心しな。もう少し触らせてくれ」
「うん……」
「どんな感じだ?」
「なんか、ぞわぞわというか、もぞもぞする」

 慣れさせて恐怖を軽減するため、くるくると周辺をなで続ける。健の震えは止まったが、暫くすると時折身体を跳ねさせて声を上げるようになった。その声が浴室での淫らな姿を思い出させたので、思いがけず期待が高まる。

「健、今の気持ちいい?」
「そう、かも」
「そりゃあ何より。指、入れてみて良いか?」
「うう……分かった。お願いします」

 中指を突き立てて、探るようにゆっくり埋め込んでいく。内部はぬるぬるとして暖かく、指に粘膜が絡みついてくる。指を動かす度に、健の息遣いが変わっていった。嬌声と揺れる腰は、健が賢太郎の指で感じていることを示している。それを目の当たりにして、心が満たされていった。

「一人でやってるときも、こんなに感じてたのか?」
「ちが、あっ……気持ちよかったら、あんな怖がらないし……! こんなことなら、もっと早く、賢太郎に頼れば良かった」
「そうか? 今気持ちいいのは、健がこれまで一人で頑張ってきたからだと思う。本当にオレの指が初めてだったら、こうはいかないだろ」
「んんっ……そう、なのかな。ありがと」

 指を抜き差ししたり軽く曲げて確かめたところ、奥の方は幾らか余裕があるようだ。浅いところが一番解さなければならない箇所なのだろう。円を描くように、ゆっくりと広げていく。一際大きな溜息が聞こえた。

「大丈夫か?」
「う、うん。痛くはないけど、広げなきゃって思うと少し苦しい」
「難しいな。広げたいけど、健が気持ちよくなってるところも見たい」
「無茶言わないでよ」

 広がり具合を確認しながら、もう一本指を足す。するりと入っていったが、健が小さく悲鳴を上げたので、賢太郎は指を引っこ抜いて動きを止めた。

「ごめん、痛かったか?」
「あ、いや……。二本入ったんだよね? もう一回、お願い。ごめん」

 一本ずつ指を入れていくと、吸い付くように中が蠢いた。健がふふっと笑う。

「意外と痛くなくて吃驚した。自分でやってるとき、二本は入らなかったから。賢太郎のこと、受け入れられるかな?」
「……残念だけど、もう一本入るようになってもらわないと無理だ」
「そ、そっか。ごめん、悪気はないからな」

 健の期待を裏切るようで申し訳ないが、賢太郎のものはどう考えても指二本の太さではない。もう一本増やすべく、先程と同じように拡張していくが、健は呼吸を整えるのに必死で、快感を拾える状態には無いようだった。

「辛かったら言ってくれ。指減らすから」
「大丈夫。そこまで痛いわけじゃないから、続けて」

 健の言葉を信じて、三本目の指を入れた。二本のときより窮屈さを感じる。健の呼吸は荒くなっていく一方で、呻き声まで出している。苦しそうな恋人を見て、賢太郎も胸が痛くなっていった。この状態では、賢太郎を受け入れるまで保たない。
 もう、十分頑張ったのではないだろうか。指が一本しか入らないところから、ここまでよく耐えてくれた。ここまでやったんだから、次にやるときには絶対に上手くいく。
 賢太郎は指を引き抜いた。健が身体を震わせて振り向く。顔に疲れが出ていた。

「健、もう良いよ。これ以上はしんどいだろ。次は絶対出来る、今日はここまでにしておこう」
「嫌だ。もう一回、指入れて。……賢太郎の、入れて。大丈夫だから」

 健が瞳を潤ませて睨んでくる。到底大丈夫には見えない。仮にこのまま突き進めたとしても、途中で何か起きた場合、賢太郎の方が止まってやれないかもしれない。二人とも見つめ合って動かなかったが、健が我慢できずに、後ろ手で腕を掴んでくる。

「賢太郎、お願い。頑張るから」
「……分かった。もう止めない」

 ローションを更に足して、指を三本埋め込んだ。ぐちゅ、と水音がする。健は情け無い悲鳴を上げたが、何とか持ちこたえた。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

とろけてなくなる

瀬楽英津子
BL
ヤクザの車を傷を付けた櫻井雅(さくらいみやび)十八歳は、多額の借金を背負わされ、ゲイ風俗で働かされることになってしまった。 連れて行かれたのは教育係の逢坂英二(おうさかえいじ)の自宅マンション。 雅はそこで、逢坂英二(おうさかえいじ)に性技を教わることになるが、逢坂英二(おうさかえいじ)は、ガサツで乱暴な男だった。  無骨なヤクザ×ドライな少年。  歳の差。

年上が敷かれるタイプの短編集

あかさたな!
BL
年下が責める系のお話が多めです。 予告なくr18な内容に入ってしまうので、取扱注意です! 全話独立したお話です! 【開放的なところでされるがままな先輩】【弟の寝込みを襲うが返り討ちにあう兄】【浮気を疑われ恋人にタジタジにされる先輩】【幼い主人に狩られるピュアな執事】【サービスが良すぎるエステティシャン】【部室で思い出づくり】【No.1の女王様を屈服させる】【吸血鬼を拾ったら】【人間とヴァンパイアの逆転主従関係】【幼馴染の力関係って決まっている】【拗ねている弟を甘やかす兄】【ドSな執着系執事】【やはり天才には勝てない秀才】 ------------------ 新しい短編集を出しました。 詳しくはプロフィールをご覧いただけると幸いです。

次男は愛される

那野ユーリ
BL
ゴージャス美形の長男×自称平凡な次男 佐奈が小学三年の時に父親の再婚で出来た二人の兄弟。美しすぎる兄弟に挟まれながらも、佐奈は家族に愛され育つ。そんな佐奈が禁断の恋に悩む。 素敵すぎる表紙は〝fum☆様〟から頂きました♡ 無断転載は厳禁です。 【タイトル横の※印は性描写が入ります。18歳未満の方の閲覧はご遠慮下さい。】

異世界転移して岩塩を渇望していたらイケメン冒険者がタダでくれたので幸せです

緑虫
BL
#食欲の秋グルメ小説・イラスト企画 用に書き始めたら何故か岩塩メインになった短編(多分)です 母親の葬儀の後、空っぽになったイクトは目が覚めると異世界転移をしていた。異世界転移先で監督者のおじさんローランとスローライフを送っていたが、塩の入手が困難で実はかなり塩味に飢えていた。 そんな時、ローランの息子で冒険者のユージーンがふらりと立ち寄り……? エロなしです!

潜入した僕、専属メイドとしてラブラブセックスしまくる話

ずー子
BL
敵陣にスパイ潜入した美少年がそのままボスに気に入られて女装でラブラブセックスしまくる話です。冒頭とエピローグだけ載せました。 悪のイケオジ×スパイ美少年。魔王×勇者がお好きな方は多分好きだと思います。女装シーン書くのとっても楽しかったです。可愛い男の娘、最強。 本編気になる方はPixivのページをチェックしてみてくださいませ! https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=21381209

隠れSubは大好きなDomに跪きたい

みー
BL
⚠️Dom/Subユニバース 一部オリジナル表現があります。 ハイランクDom×ハイランクSub

幸せの温度

本郷アキ
BL
※ラブ度高めです。直接的な表現もありますので、苦手な方はご注意ください。 まだ産まれたばかりの葉月を置いて、両親は天国の門を叩いた。 俺がしっかりしなきゃ──そう思っていた兄、睦月《むつき》17歳の前に表れたのは、両親の親友だという浅黄陽《あさぎよう》33歳。 陽は本当の家族のように接してくれるけれど、血の繋がりのない偽物の家族は終わりにしなければならない、だってずっと家族じゃいられないでしょ? そんなのただの言い訳。 俺にあんまり触らないで。 俺の気持ちに気付かないで。 ……陽の手で触れられるとおかしくなってしまうから。 俺のこと好きでもないのに、どうしてあんなことをしたの? 少しずつ育っていった恋心は、告白前に失恋決定。 家事に育児に翻弄されながら、少しずつ家族の形が出来上がっていく。 そんな中、睦月をストーキングする男が現れて──!?

潜入捜査でマフィアのドンの愛人になったのに、正体バレて溺愛監禁された話

あかさたな!
BL
潜入捜査官のユウジは マフィアのボスの愛人まで潜入していた。 だがある日、それがボスにバレて、 執着監禁されちゃって、 幸せになっちゃう話 少し歪んだ愛だが、ルカという歳下に メロメロに溺愛されちゃう。 そんなハッピー寄りなティーストです! ▶︎潜入捜査とかスパイとか設定がかなりゆるふわですが、 雰囲気だけ楽しんでいただけると幸いです! _____ ▶︎タイトルそのうち変えます 2022/05/16変更! 拘束(仮題名)→ 潜入捜査でマフィアのドンの愛人になったのに、正体バレて溺愛監禁された話 ▶︎毎日18時更新頑張ります!一万字前後のお話に収める予定です 2022/05/24の更新は1日お休みします。すみません。   ▶︎▶︎r18表現が含まれます※ ◀︎◀︎ _____

処理中です...