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第1章

第2話「魔獣」

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レイザは重い足取りで自身の部屋へと向かう


「レイザ!」


そう呼び止めたのは金色の髪を揺らし綺麗な瞳に涙を浮かべる少女、レイザの婚約者、ルイファーである


「ルイファー...」


「無事だったんだ、よかった...」


「無事さ、俺らは...無抵抗な相手に傷を負うようなことはない...」


レイザは悲しげな表情を隠しきれずにいる


「....後であなたの部屋に行くね」


今は1人にしてほしい...というレイザの気持ちを理解しルイファーはその場を立ち去る


そしてレイザが階段を上がっている時


「おい!レイザ戻ったのか!」


手入れのされていない髭が目立つゴーグルをした中年の男、ガルド。帝国の腕利きの鍛冶屋だ


「ルイファーが心配しとったぞ!あいつを泣かせたら儂が許さんぞ」


ガルドは笑いながら言うがレイザの顔を見ると自身も笑みを消す


「どうしたんじゃ..浮かない顔をして」


「実は...」


レイザは自分が1番隊を辞めさせられたこと、魔獣討伐に行くことになったことを話した


「魔獣討伐⁉︎1番隊クビだと⁉︎お前以外に誰が1番隊をまとめれるんだ!最近の陛下はどうもおかしい!儂の武器も平和のために使うものじゃ!殺戮のためじゃない!」


ガルドは激怒するがすぐ落ち着きを取り戻し


「とりあえず今日は休め、魔獣なんぞさっさと倒してこい、儂は家に帰る、最近帰ってないので娘が怒っとるのだ、いつでもうちによっていいからな」


そういうとガルドは自身の家へと帰っていった
レイザはガルドを見送ると自分も部屋へと戻って行く


その夜


カタッ


「レイザ...どうしたの?」

「ルイファー...何でもないよ」


「何でもないわけないじゃない!聞いたわよ、魔獣討伐に行くんだってね!」


ルイファーは必死にレイザに迫る


「それに、戻ってきてから変だよ」


「何でもないんだ...!」


そう言いながらレイザは目をそらす


「ならこっちを向いて!」


「...俺は、罪のない人たちを..魔法陣なんかのために...!」


レイザは歯ぎしりをし、力強く拳を握る


「闇の力を手にした時から俺は心も闇に...」


レイザは呟くだがルイファーはそれを即座に否定する


「あなたはそんな人じゃない」


「いや、俺は陛下に逆らえない臆病な「1番隊隊長のレイザはそんな弱音をはく人間じゃない!」


ルイファーは力のこもった声で叫ぶ


「私の好きなレイザは...」


ルイファーはそう言い残し赤面させながら出ていった


「...ありがとうルイファー、だが闇の力を持つ僕では...」


そう呟くとレイザはベットに入り眠りにつくのだった


翌日


レイザは城門へと歩いて行く、すると反対側からも歩いてくる人物がいる。2人は目を合わせると


「頼りにしてるぜ、相棒」


レイザがそういうと


「おう、任せとけ」


ロイはそう返す


そして2人は魔獣討伐へと向かうのであった




北の洞窟



「クッソ、結構奥まで来たぞ?」


ロイが愚痴をこぼす


「うるさい黙って進め」


「でもよー」


ロイがそこまで言いかけた時2人はある気配に気づく


「...魔獣ではなさそうだな」


「よーし、俺がやってやるよ」


ロイはそういうと自身の槍を取り出す


すると物陰から巨大な蜘蛛のような魔物が姿をあらわす


「おっ鋼鉄蜘蛛アイアンタラテクトだ、今度焼いて食おうぜ」


鋼鉄蜘蛛は柔らかくカニのような味をさせる、この世界の冒険者達の大好物だ


「飯!!!」


ロイはそう言いながらジャンプをする、そして重力を利用し鋼鉄蜘蛛に槍を突き刺す


「いっちょあがり!」


ロイはそういうと鋼鉄蜘蛛の解体を始める
解体が終わり少し進むと


「おい、ロイ」


「なんだ?」


「魔結界がある、ここで休もう」


魔結界...それは魔物を近づけないようにと作られた結界のことである


「お、マジか!じゃあ早速蜘蛛、食おうぜ!」


その後は蜘蛛を食べ酒を飲み、ただただ話し眠りにつくのだった


そして夜が明ける


レイザ達は洞窟の中を進んで行く
すると前方から何やら強大な生物の気配がする


「マジかよ...魔獣って」


半霊虎ゴーストタイガーだったのかよ」


半霊虎とは魔獣ではなく使い魔の一種で主人への忠誠が強くまた自身を幽体にするなどかなり強力な使い魔である


「つーことはどっかに術者がいるってことだよな」


「まあ、とりあえずコイツ倒しとこうぜ」


そう言いながらロイは槍を取り出し魔力を込める


氷弾槍アイスガトリング!!」


その瞬間ロイの槍から無数の氷の刃が飛んで行く


その刃は半霊虎に突き刺さる、だが攻撃が届いたのも最初の数発だけでその後の刃はすり抜けてダメージを与えることができなかった


「流石は半霊ってとこだな」


「まだまだ行くぜ!!!」


ロイはそう叫びながら半霊虎に向かって槍を突き刺そうとする
が、その攻撃もすり抜けカウンターを食らわされる


「がはっ!」


「馬鹿かお前は」


「うるせいやい」


だがこの様子を見る限り余裕はあるようだ


「霊体か...だったら闇の攻撃ならどうだ?」


闇竜の炎ダークサラマンダ!!」


レイザの闇に半霊虎は飲み込まれて行きあたりが霧で包まれる


「やったか?」


霧が晴れると消耗はしているが倒れない半霊虎の姿があった


「まだ倒れねえのかよ」


レイザは愚痴をこぼすようにいう
すると半霊虎はなにか魔力を集め出す


「..!ロイ、岩陰に隠れろ!」

レイザが叫ぶ、その刹那半霊虎から眩い光が衝撃波とともに発せられあたりを包む


光が消えた頃にロイとレイザが岩陰から出てくるとそこには先ほどとは遠く離れた姿をして半霊虎がたっていた

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みんなの感想(2件)

(˙꒳˙ 三 ˙꒳˙ 三 ˙꒳˙)
ネタバレ含む
解除
楠乃小玉
2018.03.27 楠乃小玉

これからどうなるんだろうか。展開が気になる。

ミカヅキ
2018.03.27 ミカヅキ

そう言ってもらえると嬉しいです!

解除

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