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~第四章~

領都カザン!【二】

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 朝早く僕は目が覚めた。野営には慣れてはいるけど……やっぱり暖かい家と布団が恋しい。
 それでも、これから始まる新生活にワクワクしている自分もいた。

 同じ天幕テントで寝ているブッフォンとカヴァルを起こさないように静かに天幕テントを出る。
 外はまだ薄暗いが空を見上げると雲一つない。今日もいい天気になりそうだ。

 背伸びをしていると隣の天幕テントからレインが出てきた。
 「あ、おはようリョウマ」
 「早いねレイン。おはよう」
 「リョウマこそ」
 「だね。なんかちょっと興奮しちゃって、あんまり寝れなかったんだよね」
 「え?興奮?」
 「え?いやいや!変な意味に取らないで。これから始まる新生活にだから!」
 「へー」
 まぁ、確かに布一枚の天幕テントの向こうに女の子たちが寝ている状況とか………確かにアレだけど。
 「まぁ、新生活には私もちょっと興奮するかも」
 「ふー。でしょ?今日は何するんだろうね?」
 「その辺はマーチンさんに任せておけば大丈夫でしょ」
 「それもそうだね」
 「さてと!私はそろそろ朝練がてら魔獣モンスター倒してくるわ」
 「さすが【戦姫バトルプリンセス】!」
 「止めてぇー!」
 そう言うとレインは僕の口に両手を当ててきた。その勢いは僕を押し倒し僕の上にレインが乗りかかると言う構造になっていたのだった。
 「朝から二人とも元気だな………」
 「え?」
 レインは僕の上から声がする方に振り向く。
 そこには欠伸をしているマーチンさんがいた。
 「勘違いしないでよね、マッサージよ!うん、マッサージをしてあげてただけなんだからね」
 僕の上で暴れるレインがどうしょうもない弁解をした。
 「ほー、仰向けでマッサージとな、斬新だなレイン」
 「きゃーぁ!」
 悲鳴と共にレインは僕から飛び降りた。
 「ぐはっ!」
 結構な衝撃が………。
 「おぅおぅ、リョウマくん大丈夫か?」
 「な、なんとか」
 「ラッキースケベだな」
 マーチンさんはグッ!っと親指を立てた。
 「どこにラッキースケベ的な要素が……」
 
 「あ!そうそうレインくん。この辺りに魔獣モンスターはいないぞ?」
 「って事は朝練出来ないね?レイン」
 「ムハー!朝からついてない様な気がするんですけどぉー!」
 「朝から荒ぶっておるな………」
 ゲーム時代からそうだけど…三人揃うと楽しい。久々にそんな感情を思い出した。

 「それはそうと、今日から忙しくなるぞ。皆にも頼みたい事はたくさんあるからな……」
 「だね、暫くは冒険者は休業かなぁ~」
 「リョウマくん、レインくんに頼む事は冒険者的な事だぞ?」
 「え?マーチンさんどういう事?」
 「君らにはバルトロ領の探索をしてもらう予定だ!カザンだけでなく、バルトロ領全領域のだ」
 「うはー!それは大変そう……」
 マーチンさんから提示された話を聞いたレインはまたグダる。
 「と言う訳で準備ができ次第両名は出発したまえ」
 「………わかったわ」
 「じゃあ、準備してくる。レインまた後で!」
 そう言ってレインとマーチンさんを後にしようとした所でマーチンさんが、僕を引き止める。
 「リョウマくん、ちょっと待て。探索がてらにもう一つ頼まれてくれ」
 「ん?なんですか?」
 マーチンさんは僕の耳元でこう囁いたのだった……。

 「バルトロ領のどこかにある鉱山を探してくれ。それとレインくんと仲良くな」
 「鉱山?」
 「あぁ、隠し鉱山だ……頼んだ」
 「わかりました」

 
 僕とレインはまだ他のメンバーが寝ている間に旅の準備を済ませ、早朝カザンを出立したのだった。
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