56 / 62
~第四章~
領都カザン!【二】
しおりを挟む
朝早く僕は目が覚めた。野営には慣れてはいるけど……やっぱり暖かい家と布団が恋しい。
それでも、これから始まる新生活にワクワクしている自分もいた。
同じ天幕で寝ているブッフォンとカヴァルを起こさないように静かに天幕を出る。
外はまだ薄暗いが空を見上げると雲一つない。今日もいい天気になりそうだ。
背伸びをしていると隣の天幕からレインが出てきた。
「あ、おはようリョウマ」
「早いねレイン。おはよう」
「リョウマこそ」
「だね。なんかちょっと興奮しちゃって、あんまり寝れなかったんだよね」
「え?興奮?」
「え?いやいや!変な意味に取らないで。これから始まる新生活にだから!」
「へー」
まぁ、確かに布一枚の天幕の向こうに女の子たちが寝ている状況とか………確かにアレだけど。
「まぁ、新生活には私もちょっと興奮するかも」
「ふー。でしょ?今日は何するんだろうね?」
「その辺はマーチンさんに任せておけば大丈夫でしょ」
「それもそうだね」
「さてと!私はそろそろ朝練がてら魔獣倒してくるわ」
「さすが【戦姫】!」
「止めてぇー!」
そう言うとレインは僕の口に両手を当ててきた。その勢いは僕を押し倒し僕の上にレインが乗りかかると言う構造になっていたのだった。
「朝から二人とも元気だな………」
「え?」
レインは僕の上から声がする方に振り向く。
そこには欠伸をしているマーチンさんがいた。
「勘違いしないでよね、マッサージよ!うん、マッサージをしてあげてただけなんだからね」
僕の上で暴れるレインがどうしょうもない弁解をした。
「ほー、仰向けでマッサージとな、斬新だなレイン」
「きゃーぁ!」
悲鳴と共にレインは僕から飛び降りた。
「ぐはっ!」
結構な衝撃が………。
「おぅおぅ、リョウマくん大丈夫か?」
「な、なんとか」
「ラッキースケベだな」
マーチンさんはグッ!っと親指を立てた。
「どこにラッキースケベ的な要素が……」
「あ!そうそうレインくん。この辺りに魔獣はいないぞ?」
「って事は朝練出来ないね?レイン」
「ムハー!朝からついてない様な気がするんですけどぉー!」
「朝から荒ぶっておるな………」
ゲーム時代からそうだけど…三人揃うと楽しい。久々にそんな感情を思い出した。
「それはそうと、今日から忙しくなるぞ。皆にも頼みたい事はたくさんあるからな……」
「だね、暫くは冒険者は休業かなぁ~」
「リョウマくん、レインくんに頼む事は冒険者的な事だぞ?」
「え?マーチンさんどういう事?」
「君らにはバルトロ領の探索をしてもらう予定だ!カザンだけでなく、バルトロ領全領域のだ」
「うはー!それは大変そう……」
マーチンさんから提示された話を聞いたレインはまたグダる。
「と言う訳で準備ができ次第両名は出発したまえ」
「………わかったわ」
「じゃあ、準備してくる。レインまた後で!」
そう言ってレインとマーチンさんを後にしようとした所でマーチンさんが、僕を引き止める。
「リョウマくん、ちょっと待て。探索がてらにもう一つ頼まれてくれ」
「ん?なんですか?」
マーチンさんは僕の耳元でこう囁いたのだった……。
「バルトロ領のどこかにある鉱山を探してくれ。それとレインくんと仲良くな」
「鉱山?」
「あぁ、隠し鉱山だ……頼んだ」
「わかりました」
僕とレインはまだ他のメンバーが寝ている間に旅の準備を済ませ、早朝カザンを出立したのだった。
それでも、これから始まる新生活にワクワクしている自分もいた。
同じ天幕で寝ているブッフォンとカヴァルを起こさないように静かに天幕を出る。
外はまだ薄暗いが空を見上げると雲一つない。今日もいい天気になりそうだ。
背伸びをしていると隣の天幕からレインが出てきた。
「あ、おはようリョウマ」
「早いねレイン。おはよう」
「リョウマこそ」
「だね。なんかちょっと興奮しちゃって、あんまり寝れなかったんだよね」
「え?興奮?」
「え?いやいや!変な意味に取らないで。これから始まる新生活にだから!」
「へー」
まぁ、確かに布一枚の天幕の向こうに女の子たちが寝ている状況とか………確かにアレだけど。
「まぁ、新生活には私もちょっと興奮するかも」
「ふー。でしょ?今日は何するんだろうね?」
「その辺はマーチンさんに任せておけば大丈夫でしょ」
「それもそうだね」
「さてと!私はそろそろ朝練がてら魔獣倒してくるわ」
「さすが【戦姫】!」
「止めてぇー!」
そう言うとレインは僕の口に両手を当ててきた。その勢いは僕を押し倒し僕の上にレインが乗りかかると言う構造になっていたのだった。
「朝から二人とも元気だな………」
「え?」
レインは僕の上から声がする方に振り向く。
そこには欠伸をしているマーチンさんがいた。
「勘違いしないでよね、マッサージよ!うん、マッサージをしてあげてただけなんだからね」
僕の上で暴れるレインがどうしょうもない弁解をした。
「ほー、仰向けでマッサージとな、斬新だなレイン」
「きゃーぁ!」
悲鳴と共にレインは僕から飛び降りた。
「ぐはっ!」
結構な衝撃が………。
「おぅおぅ、リョウマくん大丈夫か?」
「な、なんとか」
「ラッキースケベだな」
マーチンさんはグッ!っと親指を立てた。
「どこにラッキースケベ的な要素が……」
「あ!そうそうレインくん。この辺りに魔獣はいないぞ?」
「って事は朝練出来ないね?レイン」
「ムハー!朝からついてない様な気がするんですけどぉー!」
「朝から荒ぶっておるな………」
ゲーム時代からそうだけど…三人揃うと楽しい。久々にそんな感情を思い出した。
「それはそうと、今日から忙しくなるぞ。皆にも頼みたい事はたくさんあるからな……」
「だね、暫くは冒険者は休業かなぁ~」
「リョウマくん、レインくんに頼む事は冒険者的な事だぞ?」
「え?マーチンさんどういう事?」
「君らにはバルトロ領の探索をしてもらう予定だ!カザンだけでなく、バルトロ領全領域のだ」
「うはー!それは大変そう……」
マーチンさんから提示された話を聞いたレインはまたグダる。
「と言う訳で準備ができ次第両名は出発したまえ」
「………わかったわ」
「じゃあ、準備してくる。レインまた後で!」
そう言ってレインとマーチンさんを後にしようとした所でマーチンさんが、僕を引き止める。
「リョウマくん、ちょっと待て。探索がてらにもう一つ頼まれてくれ」
「ん?なんですか?」
マーチンさんは僕の耳元でこう囁いたのだった……。
「バルトロ領のどこかにある鉱山を探してくれ。それとレインくんと仲良くな」
「鉱山?」
「あぁ、隠し鉱山だ……頼んだ」
「わかりました」
僕とレインはまだ他のメンバーが寝ている間に旅の準備を済ませ、早朝カザンを出立したのだった。
0
お気に入りに追加
17
あなたにおすすめの小説
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる
フルーツパフェ
大衆娯楽
転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。
一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。
そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!
寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。
――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです
そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。
大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。
相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。
異世界楽々通販サバイバル
shinko
ファンタジー
最近ハマりだしたソロキャンプ。
近くの山にあるキャンプ場で泊っていたはずの伊田和司 51歳はテントから出た瞬間にとてつもない違和感を感じた。
そう、見上げた空には大きく輝く2つの月。
そして山に居たはずの自分の前に広がっているのはなぜか海。
しばらくボーゼンとしていた和司だったが、軽くストレッチした後にこうつぶやいた。
「ついに俺の番が来たか、ステータスオープン!」
神に同情された転生者物語
チャチャ
ファンタジー
ブラック企業に勤めていた安田悠翔(やすだ はると)は、電車を待っていると後から背中を押されて電車に轢かれて死んでしまう。
すると、神様と名乗った青年にこれまでの人生を同情された異世界に転生してのんびりと過ごしてと言われる。
悠翔は、チート能力をもらって異世界を旅する。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる