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2章    海の街からの波瀾万丈

28話 セオドア!! 負けんなよ!!

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𓀬前回のあらすじ𓀬

子供達「ありがとう!」

サーシャ「お爺様!」

バエズ「何やってんですか!」

じじい「勝負しようぜ!」

セオドア「うわだるい」






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「は? 俺? いや、病み上がりのご老人に剣を向けるのは……」

 面倒くさい。ダエズは只者ではないし、子供達の稽古に付き合ったのだ。気分的に疲れた。

 しかし、セオドアの切なる思いは通じなかった。

「問答無用! そおれ!!」

 カマーシカ剣術の基本は守りである。だから、カマーシカ流の者は自分から攻めない。
 しかし、何を思ったのかこのじいさんはセオドアに向かってバエズの手から掠めとった模擬刀を振りかざしてきたのだ。

「おい!」

「お爺様⁉」

 まさかカマーシカ流の師範がそんな掟破りをするとは思っていなかった周りは唖然とした。
 しかし、セオドアは冷静に反撃した。そして、ズサッと後さずる。
 瞬きをする暇もない程、短い時間だった。

「わざと剣を使わせた・・・・・・な?」

 セオドアが悔しがるように言った。

「気付くとはすごいのう」

 楽しそうにダエズが言う。

「まさか!」

 バエズとサーシャが何かに気がつく。

「カマーシカ流上級奥義、騙し討ちデシート⁉」
 
「なんだよ、その技」

 ナニソレかっけぇ! という表情をしてグスカンが聞く。

「カマーシカ流には、自分から責める技が殆どありません。あっても、未熟ですぐに防がれてしまう為、悪手とされています。
 だから、これは攻撃するつもりの無い人間に剣を使わせる為に剣を振るう技です。自分の望み通りに使わせて最高のカウンターを返す為の技です。
 簡単なように聞こえますが、下手にするとカンのいい人にはバレるし、間違えて攻撃するとこちらの調子が崩れます」

「それをいとも容易く使いこなすのは流石、師範代だ」

 二人の説明を聞き、納得するグスカン。

「へぇ~、お、セオドアのヤツどうすんだ?」

 セオドアは、寒気を感じていた。

(このじいさん、本気だ)

 普通に立っているだけなのに、なにか途轍もない覇気を感じる。
 殺らなければ殺られる。そう錯覚してしまう程だ。

「……棄権してもいいか?」

「許さんぞ」

 ダっと踏みこみをつけて、ダエズがセオドアに突っ込んだ。単純な突きである。

(なんでカマーシカ流なのに攻めも極めてるんだよ!)

 カマーシカ流剣士は、攻めの技を使いたがらない。それは、あまり研究がなされていないため未熟だからだ。
 しかし、ダエズはそれを極めている。極めれば、単純な突きも脅威となる。
 こうなっては悠長にやってられない。
 最小限の動きで避ける。しかし、それすらも読まれてしまっていたようだ。
 模擬刀が脇腹を掠る。

「くあっ……」

「儂をナメるでない」

 こうなっては、逃してもらえないだろう。この老人はセオドアより格上だ。せいぜい死なないように頑張るしかない。

(あぁ、面倒くさい!)

 このじじい、やたら攻めが強い。守りのカマーシカ流はどこいった。掟破りだぞ。
 そして、反撃するとカウンターを返してくるのだ。
 相手の動き、表情、諸々から次の手を読んで避けるしかない。

 そう思ったところで、突如として魔力を感じた。反射的に右に避ける。そして、それを読んだらしいダエズの反撃も、身を屈めて避ける。
 風の塊が横を過ぎ去っていった。下位の風魔法だが、モロに当たったら体制が崩されてダエズの餌食だっただろう。

「ルールはどうなっている⁉ 魔法は駄目だろう!」

「致命傷以外おっけー。ここでは儂がルール」

 おっけー、なんて言って気取ってんじゃねぇ! ふざけんなよ! というのが、セオドアの今の心情だろう。

 








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「セオドア、本気出したな。
 レオンよく見ておけ、あいつの本気は中々見れねぇぜ」

「はい!」

 言われなくとも、レオンハルトはセオドアに魅入っていた。
 師匠かっこいい!! と思っているに違いない。




 右、左、後ろ……目まぐるしく二人の立ち位置が変わる。
 ダエズの方は余力があるようだが、セオドアはギリギリだ。

「おおっ、セオドアがウシガルト流以外の流派も使ってるぜ!」

 セオドアは、基本的にこの流派の剣術しか使わない。が、複数の剣術を知っている。そして、どれもかなり使える。
 しかし、それを使うのは大概、本気を出したときだけだ。切羽詰まっている状況ともいえる。


 剣術では理論派で技巧派の二人の闘いには、一種の華があった。あの中に混じりてぇ、とグスカンの体は疼いた。

(いいなー! 俺も手合わせしてー!)

 まだあの老人に余力があったら頼んでみようとグスカンは考えた。
 強い奴と戦うと、それだけで何か学ぶ事ができる。もっと、強くなりたい。





 先程から心臓が煩い。己の頬が熱くなるのを感じながら、リリアンヌは手で胸をおさえた。
 セオドアを見ていると、いつもこうなってしまう。生まれてはじめての言語化できない感情に、リリアンヌは戸惑っていた。が、不思議とそれは不快ではなく寧ろ、喜びすら感じる瞬間があった。
 セオドアが視界に入っただけでなんだか嬉しくて、目が合うだけではずかしくなる。
 頭を撫でて貰うと、もっと触っていたくつって、どうすればいいのか判らなくなってしまう。
 でも、セオドアが他の女の人と話しているとモヤモヤする。
 この感情が、判らないのだ。

 ただ、一つだけ判ることがある。それは、この感情には絶対にセオドアが関わっているということ! 他の人間が同じ事をしてもこうはならない。
 今もほら、セオドアがダエズと打ち合っているのを見て、胸が高鳴っている。かっこいい、と思う。
 普段は出さない彼の本気を見る事ができて、何故か興奮する。
 この感情についてもっと知りたい。彼にもっと、近づきたい。







「ほーう、体術まで取得しとるんか。どこで覚えたのかのぉ。こりゃ、別の大陸のじゃと思うのじゃが」

 ダエズに模擬刀を打ち上げらた。くるくると模擬刀が宙に飛ぶ。
 咄嗟に、空いた右手で顎に掌底を放つ。が、それも軽くいなされてしまった。
 落下してきた模擬刀を掴む。

「何処だろうなぁ。気のせいじゃないか?」

 油断なく構えた。ダエズは当たり前のように攻撃も仕掛けてくる。

「五つの剣術と二つの体術……どれも関連性の無い地方のものばかり。おぬし、何者じゃ?」

「D級冒険者だ」
 
 まさかこの老人がここまで剣術に詳しいとは思わなかった。
 剣士は、自分の流派の剣術しか知らない場合が多い。他の剣術も知っていた方より強くなれる、一流の条件だが、どうしてもそうなってしまう。
 この田舎に、そんな一流がいるとは思わなかった。

 ダエズに近付き、模擬刀を逆袈裟に振るった。やはり、カウンターを返される。
 が、それでいい。
 
分身アバター……」

 ダエズの背後にセオドアの分身が襲いかかる。
 ダエズは避けるが、少し掠ってしまった。
目を見開く。

「おお、器用だのう」

 そのすきに攻撃を仕掛ける。避けられてしまったが、カウンターを返されなかった。余裕を奪う事ができたのではないかと思う。

 分身に質量は無い。頭の先から足の先まで、全て幻術だ。
 昔なら、土で体を作るなり、魔力のごり押しなりで質量をつける事ができたが、今は無理だ。
 しかし、それでいい。これはただの目くらましではない。この幻術に触れれば、少しずつ魔力が奪われるのだ。
 ダエズは、身体強化で体力や能力を補っている。魔力が無くなればおしまいだろう。
 幻術を操りながら攻撃を仕掛けることで、勝機が見えてきた。

 元々望んだ勝負では無かったが、敗けると悔しい! というメンドクサイ負けず嫌いを発揮しながらそう考える。あと、これくらい本気で挑まないと死にそうだ。切実に。







ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー







 ぜぇぜぇと息を漏らす。セオドアは限界だった。体力も魔力も使い果たした。敵は強かった。幻術を出したあとも、一筋縄ではいかず、魔力ギリギリまで粘ったのだ。
 だけど! ダエズの首に模擬刀を当てる事ができた。現在その姿勢で止まっている。
 問題は、ダエズも同じ姿勢ということだろう。彼も、セオドアと同じように息を乱している。魔力が尽きたようだ。
 奇しくも両者は相手の首に模擬刀を当てるという同じ姿勢で止まっていたのだ。
 
 つまり、結果は……

「っ!! 引き分け!!」

 いつの間にか審判を務めていたバエズが声を上げた。

「「「わぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」」」

 歓声が上がる。同時に、二人が崩れ落ちた。

「師匠! 大丈夫ですかっ⁉」

「セオドア! よくやったな!」

 グスカンとレオンハルトの二人が駆け寄ってくる。ダエズも、孫二人に支えられていた。

「あ~、疲れた。悪いが休ませてくれないか」

「勿論です。こちらこそ申し訳ありません。師範! 何をしているのですかっ!」

 サーシャがダエズをキッと睨む。

「サーシャが怒ったら怖いのう……」

「お世話になったセオドア殿に対して、無理矢理に勝負を挑むなど、言語道断です」

 バエズも厳しい。

「儂に味方はおらんのか……」

「スゲー!」

「ふたりともつよーい!!」

 子どもたちが興奮した声をあげながら、二人に近付く。リリアンヌがセオドアの側による。

「セオドア様っ! あの、その、とってもかっこよかったです!!」

 赤面しながら手を握ってくる。

「ありがとう」

 セオドアはそんな事気にする余裕がないほどフラフラではあるが。

「モテドアめっ」

 グスカンがぽいっとセオドアを投げた。嫉妬である。

「ああっ師匠っー!」

 レオンハルトが慌ててセオドアを支え直した。

「この後、宴会じゃあ!」

 唐突にダエズが宣言する。


 この日は盛り上がって帰った。










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「セオドア・ゲージ、何者かのう」

 ダエズはポツンと呟いた。長年強さを求めて生きてきた彼には、他人の潜在能力や、強さが判った。誰と戦ったら面白いかも。

 グスカン・べベス、才能の塊だ。どうやら魔法職らしいが、その才能は計り知れない。このまま鍛錬を積めば、S級以上の冒険者になれるだろう。彼と戦ってもよかった。

 レオンハルト・リペクトラー、グスカン以上の才能を感じた。まだまだ才能開花には至っていないが、底知れない何かを感じる。ただの人間では無いだろう。
 勇者、という単語が頭に浮かんだが、流石にそれは無いだろうと打ち消す。
 世界を変える程の力を持つ存在である勇者、彼が十歳の少年の頃に一瞬だけ見たことがある。
 
 化物だった。強くなった今でも、勝利するビジョンが浮かばない。

 あんなのが、そうポンポン生まれて溜まるもんか。

 そして、セオドア・ゲージ。最初は、興味すら抱けなかった。他の二人のようなキラキラとした才能も感じない、凡人にしか見えなかった。
 グスカンに挑もうとして、土壇場でセオドアに変えたのはただ、なんとなくだった。
 長年彼を支えていた勘が、強く囁いたのだ。結果として、それは大当たりだった。

 何故才能を感じなかったのかは、判らないが、セオドアからは完成した技を感じた。
 まるで、戦歴の戦士のような安定感との完成度。
 そして違和感もあった。あれだけの剣術、体術を知っていて魔法も尋常じゃない程の制御力を持っている。
 なのに弱すぎる・・・・
 魔力は使い切ると、その総量が少し増える。あれだけの魔法制御力を身につけるならば、嫌でも総量が増える。しかし、セオドアの魔力は特に何もしていない平民のようだ。
 最初の魔力総量が少ないという可能性もあるが、考えにくい。
 体の動きだって、各流派の上級の技を身につけているのに、完全に使いこなせていない。
 まるで、一流の能力をコピーしたようだ。

「楽しみだのう」

 また会う機会もあるだろう。その時が楽しみだ。今やダエズにとってセオドアは興味の対象だ。
 それは、セオドアにとっては不幸な事だろう。
 なんせ彼は、面倒くさいじじいなのだから。





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