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事件が起きた
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ナンパされた。
まさかのデブで見るからに暗そうな私が。
私はCDを買うためにアニメイトにいた。
初めてのCDでウキウキしてた私はそのとき戸惑っていた。
(CDってどうやって買うんだろう…。これケース外さなくていいのかな。)
うーんうーんと唸りながらCDコーナーにいた私は周りを見渡した。
私の周りには数人。聞けるっちゃ聞けるのだが、極度の人見知りである私にそんな発想はなかった。
手に持ったCDに再度目を落とし、さてどうしようかと悩み始めたその時、
「あのう…。」
右隣に青ジャージを着た男性が来て声を掛けてきた。
びっくりしてバッと男性の方へ向く。
アニメイト店内でそんな訳ないのに、あ、道が分からないのかな、とその時の私は思った。
「…はい?」テンパらずに冷静に聞き返せた私を誰か褒めてくれ。
男性は私の目をじっと見ながら、
「アニメイトにはよく…来るんですか?」
と、聞いた。
聞かれたのは道ではなかった。脳内に『ナンパ』という言葉が浮かんだ。
「え、あ、ま、まあまあ、です、かね…!?」途端、大混乱する私。
待って待ってこれナンパだ。人生で2度目のナンパだ!
待ってなんで私?この人デブ専なの!?目大丈夫!?お茶でもどうですかって聞かれるのかな!?えっ!?えっ!?!?
「あ、そうなんですか。
高校生…ですか?」
2度目の質問が来た。
「え、えーと…中、学生…です…?」
目を泳がせながら律儀に答える私もおかしいと思う。
男性は驚いた表情を浮かべた。
「え、中学生なんですか!?うそ、全然見えないですね…!高校生かと思った。」
「は、はあ…。」
まあ、体でかいですからね。よく言われますよ。…けっ。
「あ、指、大丈夫ですか。」
「え。」
動揺の表れか、無意識に左手で鼻を擦ってたその指先に男性は目を向けた。
人差し指にはまだ血の付いてる小さな傷があった。
その傷を男性は一瞬でみつけた。
「あ、大丈夫、です。」
…この人
目、早すぎだろ。
私は少し怖くなった。
硬直していると男性は小さく、困ったように眉を下げて笑った。
「僕のこと、不審に思ってますよね…?」
「あ、はい、まあ正直…。」
あ、素直に言ってしまった。
男性は目を泳がせて体の向きを変えた。
「そう、ですよね…。」
そう言って男性は去った…。
…なんだったんだこれ。
とりあえずCD買いました。
まさかのデブで見るからに暗そうな私が。
私はCDを買うためにアニメイトにいた。
初めてのCDでウキウキしてた私はそのとき戸惑っていた。
(CDってどうやって買うんだろう…。これケース外さなくていいのかな。)
うーんうーんと唸りながらCDコーナーにいた私は周りを見渡した。
私の周りには数人。聞けるっちゃ聞けるのだが、極度の人見知りである私にそんな発想はなかった。
手に持ったCDに再度目を落とし、さてどうしようかと悩み始めたその時、
「あのう…。」
右隣に青ジャージを着た男性が来て声を掛けてきた。
びっくりしてバッと男性の方へ向く。
アニメイト店内でそんな訳ないのに、あ、道が分からないのかな、とその時の私は思った。
「…はい?」テンパらずに冷静に聞き返せた私を誰か褒めてくれ。
男性は私の目をじっと見ながら、
「アニメイトにはよく…来るんですか?」
と、聞いた。
聞かれたのは道ではなかった。脳内に『ナンパ』という言葉が浮かんだ。
「え、あ、ま、まあまあ、です、かね…!?」途端、大混乱する私。
待って待ってこれナンパだ。人生で2度目のナンパだ!
待ってなんで私?この人デブ専なの!?目大丈夫!?お茶でもどうですかって聞かれるのかな!?えっ!?えっ!?!?
「あ、そうなんですか。
高校生…ですか?」
2度目の質問が来た。
「え、えーと…中、学生…です…?」
目を泳がせながら律儀に答える私もおかしいと思う。
男性は驚いた表情を浮かべた。
「え、中学生なんですか!?うそ、全然見えないですね…!高校生かと思った。」
「は、はあ…。」
まあ、体でかいですからね。よく言われますよ。…けっ。
「あ、指、大丈夫ですか。」
「え。」
動揺の表れか、無意識に左手で鼻を擦ってたその指先に男性は目を向けた。
人差し指にはまだ血の付いてる小さな傷があった。
その傷を男性は一瞬でみつけた。
「あ、大丈夫、です。」
…この人
目、早すぎだろ。
私は少し怖くなった。
硬直していると男性は小さく、困ったように眉を下げて笑った。
「僕のこと、不審に思ってますよね…?」
「あ、はい、まあ正直…。」
あ、素直に言ってしまった。
男性は目を泳がせて体の向きを変えた。
「そう、ですよね…。」
そう言って男性は去った…。
…なんだったんだこれ。
とりあえずCD買いました。
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