185 / 341
第5章 ~ペイン海賊団編~
―79― 襲撃(23)~ペイン海賊団~
しおりを挟む
甲板へと乗り込んできた新たなる襲撃者たち。
後続の船は、すでにペイン海賊団の手に落ちていたということか……!?
荒々しい海の獣たちは何日もの間、血生臭い息を密かに吐き続けながら、獲物である自分たちを前からも後ろからも挟み撃ちにする今日というこの日の”この時”を今か今かと待ち構えていたということか!
挟み撃ち。サンドウィッチ。
あの奇怪なオウムの”サンドウィッチ”という言葉は、この前後からの襲撃を指していたのだと。
薄汚れ履き古した靴でズカズカドスンと甲板へと乗り込んできた海賊たちの背後より、さらに新たな2人の海賊が”新たなる黒い怪鳥”――エルドレッドやロジャーが乗っている怪鳥とは二回りほど小さい怪鳥――とともにブワリと上昇してきた。
「少し待たせちまったな。お前ら、まだ、始めちゃいねえだろ」
そのうちの1人の海賊――背の高い方の海賊が発した、”各々の命を懸けた襲撃前”とは思えない、あまりにも軽快であり楽しそうなトーンのその声。
――この声は……!
ルークとディランの背中がゾクリとした。
自分たちは、この声の主を知っている。かつて何度も聞いたことがある、この声。
ルークとディランの記憶の中のものと一致したのは、その声だけではなかった。
その瞬時に蘇ってきたその声の主は、彼らの記憶の中にあった16才の少年の姿をそのまま数年”縦に”成長させたのは明らかな姿で、ストンとその足取りも軽快に甲板へと下りてきたのだから。
赤茶けた髪ののっぽ。無数のそばかすが散った頬に、栗色の瞳の男。
その男とともに怪鳥の背にいたもう1人の海賊――男にしてはそれほどの長身ではないものの、紫がかった黒髪と榛色の”猛禽類のような”瞳、引き締まった体つきの若い男も、ルークたちの記憶の中にあったかつての姿をそのまま赤茶けた髪の男と同じ年数分ほど成長させたのは明らかな姿で、甲板へと身軽に、そして無言で着地した。
「!!!!!」
ルイージ・ビル・オルコットとジェームス・ハーヴェイ・アトキンス!
この新たなる2人の海賊の視線も、獲物たちの中にいた”旧知の関係である2人の青年”に、自分たちの記憶から発せられし引力とも言えるものに引き付けられていた。
絡み合う視線たち。
決して切れてはいなかった互いの縁。
ルーク&ディラン vs ジム&ルイージという構図であったが、彼ら全員とも思春期の成長において、そう違う方向性へ成長するタイプではなく、それぞれの外見的特徴を如実に残したまま――つまりはわりとそのまま成長するタイプであったため、すぐに互いが分かった。
いや、顔がそれほど変貌してはいないということも理由の1つではあったが、仲は決して良くはなく、友情や敬愛などは全く発生はしなかった関係であるも、長年にわたり寝食をともにしていた、一種の「家族」ともいえる間柄であったのだ。顔そのものを見て分かったというよりも、その頭身バランスや背格好、佇まいにおいて記憶の引力が生じ、視線が絡み合ったという方が正しいであろう。
「……お! ルーク・ノア・ロビンソンとディラン・ニール・ハドソンじゃねえか! お前ら、甲板(ここ)にいたんだな」
うれしそうであり、わざとらしいルイージの声。
こうして、大勢の前でわざわざ彼ら2人の本名をフルネームを晒すという意地の悪さ。
隣のジムは、ルイージとは対照的に無言のまま、ケッと息を吐き捨てていた。
兵士たちの視線は、ルークとディランへとザアッと打ち寄せる波のごとく集まった。
――ま、まさか、この2人(ルークとディラン)……エルドレッドという名の弓矢使いだけでなく、また新たに姿を現したこいつらとも知り合いなのか?!
すでに深く刻まれてしまっている兵士たちとの溝は、さらに相次ぎ判明する事実によって、その溝の断面がさらに削られていくようであった。
そのうえ、その兵士たちの視線の集合地点を上から見ていた”エルドレッド以外”の海賊たちにも、ルークとディランがどの2人であるのかということは明確に分かったようであった。
「あの2人のガキが例の野郎どもか。金髪の方はいかにも生意気で喧嘩っ早そうだけどよ、栗色の方はなんか碌に喧嘩もしたことねえような面(つら)してるじゃねえか」というロジャーの批評も上から降りかかってきのだから。
「!?!」
ルークとディランだけでなく、海賊たちと睨み合う者たちは自分たちが”目にしている”新たな事実に気づいた。
遅れて登場したあの2人の海賊のちの1人――赤茶けた髪の長身痩躯の男の剣からは乾ききっていない血が――また新しい真っ赤な血がポタポタと滴り落ち、乾いた甲板へと染み込んでいっていることに……
――まさか、あの男、すでに誰かを斬った……いや、殺したのか?!
だが、甲板で”剣を構えている”者は誰一人として、血はまだ一滴も流していない。だとすると、一体……?!
甲板の前線で構えていたルークたちには、あの血の主が誰かは分からなかった。
けれども、甲板の”後方にて”剣を構えていた兵士の幾人かは、その”血の主の心当たり”があった。
――あの血は、もしや、バルコニーにいた航海士の……
先ほどの人為的に作られた闇の中で、何か肉を裂くような鈍い音と呻き声が”下のバルコニー”からあがったのを確かに聞いたのだから。
血塗られた剣を手にしたまま、どこか浮足立っているルイージと比べると、その隣のジムは全身より蜃気楼のごとく殺気を立ち上らせているのがありありと感じ取れた。
ジムは、その”殺意”の焦点をルークとディランからスイッと外し、自分たちと対峙している獲物たちを素早く見渡した。
いや、獲物たちをというより、獲物たちの手に握られている武器を確認したというのが正しかったであろう。
「……ハズレか。アドリアナ王国サマ直々のお船であっても、俺らのためのプレゼントは乗せてないってワケか」
ジムから発された”プレゼント”という言葉の意味が、この場で”即座に”分かったのはルイージただ1人だけであったろう。
プレゼント。
負け知らずのペイン海賊団こそ、使うのがふさわしい最新式の武器。
その細い筒状の武器は、側面に設置してある引き金を引くだけで、筒の先から小さな玉を音とともに発射し、離れたところにいる獲物の息の根を一瞬で止めることができるらしいジュー(銃)という名の東方の国より伝わってきたらしき飛び道具を指していた。
――泣く子も黙るどころか、大の男でも小便漏らして震えあがるほど恐ろしい俺たちペイン海賊団のお出ましだってのに、対抗できる最新式の武器を隠しておく馬鹿はいないだろう。よって、この船には俺らがいずれ手に入れる運命にある”プレゼント”は用意されてないのは確実だ。また、別の船を襲撃するか、あの貴族のおっさんの捜索の船の到着を待つかのどっちが早いかってトコだな……
ジムがへッと鼻を鳴らす。
――しかし、こいつら、全員、揃いも揃って剣ばっかり握りしめていやがる。ロビンソンとハドソンの野郎も一丁前によ。まあ、俺とこいつ(ルイージ)も剣の使い手ではあるけどよ、うち(ペイン海賊団)の方が弓矢や鉈や鉤爪など、殺戮道具のバラエティには富んでやがるぜ。ま、今、”鉤爪使いのヤロー”は、てめえらアホどもが守れもしねえのに守ろうとしてやがる女たちの元へと向かっているがな。
「……俺たちのお目当てのモンを乗せてようが、乗せてまいが、俺たちは単にてめえらとお顔合わせするためにこの船に乗り込んだってオチじゃねえことは、どれだけアホでも分かんだろ」
そう言ったジムが、剣を構え、ザッと歩みでた。
ジムの瞳が光る。
血にまみれ他者を虐げ続け、その片手でいや両手ですらも数えられないほどの罪なき者の人間を奪い続けてきた男の瞳が――
「おーい、そろそろ開戦って感じだけどよ。そのロン毛のおっさんは俺が殺(や)るからよぉ」
怪鳥の背より、ロジャーが、荒れてささくれだった無骨な人差し指で仲間たちに向かって”俺の獲物だからな”とマーキングするがごとく、パトリックを指さした。
パトリックに並々ならぬ執着と闘争心を抱いているらしい鉈使い・ロジャー。
だが、隣のエルドレッドが「やめとけ、たぶん無理だ」と呟いた。
その呟きを聞き洩らさなかったロジャーは激昂し「うるせえ!」と真っ赤な顔でエルドレッドのふくらはぎをガッと蹴飛ばした。
エルドレッドとロジャーたちが乗っている黒い怪鳥も、その血の臭いを変わらず漂わせている両の翼をブワッと広げ、ジムとルイージ、そのほかの海賊たちの後ろに回り込みんだ……
鳥の背より甲板へと降り立ったエルドレッドも弓矢を構え、ロジャーもその重たげな鉈をわざとらしく陽の光にかざし始めた。
二手に分かれていたペイン海賊団は、ついに自分たちと一直線に睨みあう形となった。
ルークもディランも、トレヴァーもヴィンセントもフレディもパトリックも、そう、この船を守る男たちは、襲撃者たちに対しての闘志を揺るがせはしなかった。
絶対に負けられやしない。いや、決して負けてはならぬ。
開戦。
どちらともなく、鬨の聲はあがった。
男たちの雄叫びのごときその鬨の聲に間髪入れず、甲板で入り混じり荒ぶる戦いの足音が――そして、弾かれ受け止め、宙を斬りまた”肉を斬り裂き”または”肉を貫き”始めた剣の音が、穏やかな静波を震わせ始めたのだ――
後続の船は、すでにペイン海賊団の手に落ちていたということか……!?
荒々しい海の獣たちは何日もの間、血生臭い息を密かに吐き続けながら、獲物である自分たちを前からも後ろからも挟み撃ちにする今日というこの日の”この時”を今か今かと待ち構えていたということか!
挟み撃ち。サンドウィッチ。
あの奇怪なオウムの”サンドウィッチ”という言葉は、この前後からの襲撃を指していたのだと。
薄汚れ履き古した靴でズカズカドスンと甲板へと乗り込んできた海賊たちの背後より、さらに新たな2人の海賊が”新たなる黒い怪鳥”――エルドレッドやロジャーが乗っている怪鳥とは二回りほど小さい怪鳥――とともにブワリと上昇してきた。
「少し待たせちまったな。お前ら、まだ、始めちゃいねえだろ」
そのうちの1人の海賊――背の高い方の海賊が発した、”各々の命を懸けた襲撃前”とは思えない、あまりにも軽快であり楽しそうなトーンのその声。
――この声は……!
ルークとディランの背中がゾクリとした。
自分たちは、この声の主を知っている。かつて何度も聞いたことがある、この声。
ルークとディランの記憶の中のものと一致したのは、その声だけではなかった。
その瞬時に蘇ってきたその声の主は、彼らの記憶の中にあった16才の少年の姿をそのまま数年”縦に”成長させたのは明らかな姿で、ストンとその足取りも軽快に甲板へと下りてきたのだから。
赤茶けた髪ののっぽ。無数のそばかすが散った頬に、栗色の瞳の男。
その男とともに怪鳥の背にいたもう1人の海賊――男にしてはそれほどの長身ではないものの、紫がかった黒髪と榛色の”猛禽類のような”瞳、引き締まった体つきの若い男も、ルークたちの記憶の中にあったかつての姿をそのまま赤茶けた髪の男と同じ年数分ほど成長させたのは明らかな姿で、甲板へと身軽に、そして無言で着地した。
「!!!!!」
ルイージ・ビル・オルコットとジェームス・ハーヴェイ・アトキンス!
この新たなる2人の海賊の視線も、獲物たちの中にいた”旧知の関係である2人の青年”に、自分たちの記憶から発せられし引力とも言えるものに引き付けられていた。
絡み合う視線たち。
決して切れてはいなかった互いの縁。
ルーク&ディラン vs ジム&ルイージという構図であったが、彼ら全員とも思春期の成長において、そう違う方向性へ成長するタイプではなく、それぞれの外見的特徴を如実に残したまま――つまりはわりとそのまま成長するタイプであったため、すぐに互いが分かった。
いや、顔がそれほど変貌してはいないということも理由の1つではあったが、仲は決して良くはなく、友情や敬愛などは全く発生はしなかった関係であるも、長年にわたり寝食をともにしていた、一種の「家族」ともいえる間柄であったのだ。顔そのものを見て分かったというよりも、その頭身バランスや背格好、佇まいにおいて記憶の引力が生じ、視線が絡み合ったという方が正しいであろう。
「……お! ルーク・ノア・ロビンソンとディラン・ニール・ハドソンじゃねえか! お前ら、甲板(ここ)にいたんだな」
うれしそうであり、わざとらしいルイージの声。
こうして、大勢の前でわざわざ彼ら2人の本名をフルネームを晒すという意地の悪さ。
隣のジムは、ルイージとは対照的に無言のまま、ケッと息を吐き捨てていた。
兵士たちの視線は、ルークとディランへとザアッと打ち寄せる波のごとく集まった。
――ま、まさか、この2人(ルークとディラン)……エルドレッドという名の弓矢使いだけでなく、また新たに姿を現したこいつらとも知り合いなのか?!
すでに深く刻まれてしまっている兵士たちとの溝は、さらに相次ぎ判明する事実によって、その溝の断面がさらに削られていくようであった。
そのうえ、その兵士たちの視線の集合地点を上から見ていた”エルドレッド以外”の海賊たちにも、ルークとディランがどの2人であるのかということは明確に分かったようであった。
「あの2人のガキが例の野郎どもか。金髪の方はいかにも生意気で喧嘩っ早そうだけどよ、栗色の方はなんか碌に喧嘩もしたことねえような面(つら)してるじゃねえか」というロジャーの批評も上から降りかかってきのだから。
「!?!」
ルークとディランだけでなく、海賊たちと睨み合う者たちは自分たちが”目にしている”新たな事実に気づいた。
遅れて登場したあの2人の海賊のちの1人――赤茶けた髪の長身痩躯の男の剣からは乾ききっていない血が――また新しい真っ赤な血がポタポタと滴り落ち、乾いた甲板へと染み込んでいっていることに……
――まさか、あの男、すでに誰かを斬った……いや、殺したのか?!
だが、甲板で”剣を構えている”者は誰一人として、血はまだ一滴も流していない。だとすると、一体……?!
甲板の前線で構えていたルークたちには、あの血の主が誰かは分からなかった。
けれども、甲板の”後方にて”剣を構えていた兵士の幾人かは、その”血の主の心当たり”があった。
――あの血は、もしや、バルコニーにいた航海士の……
先ほどの人為的に作られた闇の中で、何か肉を裂くような鈍い音と呻き声が”下のバルコニー”からあがったのを確かに聞いたのだから。
血塗られた剣を手にしたまま、どこか浮足立っているルイージと比べると、その隣のジムは全身より蜃気楼のごとく殺気を立ち上らせているのがありありと感じ取れた。
ジムは、その”殺意”の焦点をルークとディランからスイッと外し、自分たちと対峙している獲物たちを素早く見渡した。
いや、獲物たちをというより、獲物たちの手に握られている武器を確認したというのが正しかったであろう。
「……ハズレか。アドリアナ王国サマ直々のお船であっても、俺らのためのプレゼントは乗せてないってワケか」
ジムから発された”プレゼント”という言葉の意味が、この場で”即座に”分かったのはルイージただ1人だけであったろう。
プレゼント。
負け知らずのペイン海賊団こそ、使うのがふさわしい最新式の武器。
その細い筒状の武器は、側面に設置してある引き金を引くだけで、筒の先から小さな玉を音とともに発射し、離れたところにいる獲物の息の根を一瞬で止めることができるらしいジュー(銃)という名の東方の国より伝わってきたらしき飛び道具を指していた。
――泣く子も黙るどころか、大の男でも小便漏らして震えあがるほど恐ろしい俺たちペイン海賊団のお出ましだってのに、対抗できる最新式の武器を隠しておく馬鹿はいないだろう。よって、この船には俺らがいずれ手に入れる運命にある”プレゼント”は用意されてないのは確実だ。また、別の船を襲撃するか、あの貴族のおっさんの捜索の船の到着を待つかのどっちが早いかってトコだな……
ジムがへッと鼻を鳴らす。
――しかし、こいつら、全員、揃いも揃って剣ばっかり握りしめていやがる。ロビンソンとハドソンの野郎も一丁前によ。まあ、俺とこいつ(ルイージ)も剣の使い手ではあるけどよ、うち(ペイン海賊団)の方が弓矢や鉈や鉤爪など、殺戮道具のバラエティには富んでやがるぜ。ま、今、”鉤爪使いのヤロー”は、てめえらアホどもが守れもしねえのに守ろうとしてやがる女たちの元へと向かっているがな。
「……俺たちのお目当てのモンを乗せてようが、乗せてまいが、俺たちは単にてめえらとお顔合わせするためにこの船に乗り込んだってオチじゃねえことは、どれだけアホでも分かんだろ」
そう言ったジムが、剣を構え、ザッと歩みでた。
ジムの瞳が光る。
血にまみれ他者を虐げ続け、その片手でいや両手ですらも数えられないほどの罪なき者の人間を奪い続けてきた男の瞳が――
「おーい、そろそろ開戦って感じだけどよ。そのロン毛のおっさんは俺が殺(や)るからよぉ」
怪鳥の背より、ロジャーが、荒れてささくれだった無骨な人差し指で仲間たちに向かって”俺の獲物だからな”とマーキングするがごとく、パトリックを指さした。
パトリックに並々ならぬ執着と闘争心を抱いているらしい鉈使い・ロジャー。
だが、隣のエルドレッドが「やめとけ、たぶん無理だ」と呟いた。
その呟きを聞き洩らさなかったロジャーは激昂し「うるせえ!」と真っ赤な顔でエルドレッドのふくらはぎをガッと蹴飛ばした。
エルドレッドとロジャーたちが乗っている黒い怪鳥も、その血の臭いを変わらず漂わせている両の翼をブワッと広げ、ジムとルイージ、そのほかの海賊たちの後ろに回り込みんだ……
鳥の背より甲板へと降り立ったエルドレッドも弓矢を構え、ロジャーもその重たげな鉈をわざとらしく陽の光にかざし始めた。
二手に分かれていたペイン海賊団は、ついに自分たちと一直線に睨みあう形となった。
ルークもディランも、トレヴァーもヴィンセントもフレディもパトリックも、そう、この船を守る男たちは、襲撃者たちに対しての闘志を揺るがせはしなかった。
絶対に負けられやしない。いや、決して負けてはならぬ。
開戦。
どちらともなく、鬨の聲はあがった。
男たちの雄叫びのごときその鬨の聲に間髪入れず、甲板で入り混じり荒ぶる戦いの足音が――そして、弾かれ受け止め、宙を斬りまた”肉を斬り裂き”または”肉を貫き”始めた剣の音が、穏やかな静波を震わせ始めたのだ――
0
お気に入りに追加
38
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい
白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。
私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。
「あの人、私が
僕の家族は母様と母様の子供の弟妹達と使い魔達だけだよ?
闇夜の現し人(ヤミヨノウツシビト)
ファンタジー
ー 母さんは、「絶世の美女」と呼ばれるほど美しく、国の中で最も権力の強い貴族と呼ばれる公爵様の寵姫だった。
しかし、それをよく思わない正妻やその親戚たちに毒を盛られてしまった。
幸い発熱だけですんだがお腹に子が出来てしまった以上ここにいては危険だと判断し、仲の良かった侍女数名に「ここを離れる」と言い残し公爵家を後にした。
お母さん大好きっ子な主人公は、毒を盛られるという失態をおかした父親や毒を盛った親戚たちを嫌悪するがお母さんが日々、「家族で暮らしたい」と話していたため、ある出来事をきっかけに一緒に暮らし始めた。
しかし、自分が家族だと認めた者がいれば初めて見た者は跪くと言われる程の華の顔(カンバセ)を綻ばせ笑うが、家族がいなければ心底どうでもいいというような表情をしていて、人形の方がまだ表情があると言われていた。
『無能で無価値の稚拙な愚父共が僕の家族を名乗る資格なんて無いんだよ?』
さぁ、ここに超絶チートを持つ自分が認めた家族以外の生き物全てを嫌う主人公の物語が始まる。
〈念の為〉
稚拙→ちせつ
愚父→ぐふ
⚠︎注意⚠︎
不定期更新です。作者の妄想をつぎ込んだ作品です。
一宿一飯の恩義で竜伯爵様に抱かれたら、なぜか監禁されちゃいました!
当麻月菜
恋愛
宮坂 朱音(みやさか あかね)は、電車に跳ねられる寸前に異世界転移した。そして異世界人を保護する役目を担う竜伯爵の元でお世話になることになった。
しかしある日の晩、竜伯爵当主であり、朱音の保護者であり、ひそかに恋心を抱いているデュアロスが瀕死の状態で屋敷に戻ってきた。
彼は強い媚薬を盛られて苦しんでいたのだ。
このまま一晩ナニをしなければ、死んでしまうと知って、朱音は一宿一飯の恩義と、淡い恋心からデュアロスにその身を捧げた。
しかしそこから、なぜだかわからないけれど監禁生活が始まってしまい……。
好きだからこそ身を捧げた異世界女性と、強い覚悟を持って異世界女性を抱いた男が異世界婚をするまでの、しょーもないアレコレですれ違う二人の恋のおはなし。
※いつもコメントありがとうございます!現在、返信が遅れて申し訳ありません(o*。_。)oペコッ 甘口も辛口もどれもありがたく読ませていただいてます(*´ω`*)
※他のサイトにも重複投稿しています。
王が気づいたのはあれから十年後
基本二度寝
恋愛
王太子は妃の肩を抱き、反対の手には息子の手を握る。
妃はまだ小さい娘を抱えて、夫に寄り添っていた。
仲睦まじいその王族家族の姿は、国民にも評判がよかった。
側室を取ることもなく、子に恵まれた王家。
王太子は妃を優しく見つめ、妃も王太子を愛しく見つめ返す。
王太子は今日、父から王の座を譲り受けた。
新たな国王の誕生だった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる