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第5章 ~ペイン海賊団編~
―52― 襲撃(4)~囚われの船~
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襲撃の日。
ランディーはその日が永久に来ないことを、魂の底より叫ぶように願い続けていた。
だが、ジムの先ほどの言葉によって、自分たちが追いかけ続けていた船をついに襲撃する日が、明日に定められたことを知ってしまった。
戦力外である自分は、襲撃の場に駆り出されることはないし、駆り出されたとしても全く話にならない。
だが、数多の血と悲鳴が飛び交い、数多の罪なき魂が奪われる光景を想像したランディーの全身の毛穴はブワッと妙な開き方をし始めていた。
そのうえ、その数多の罪なき魂の中には、ランディーの知り合いである2人の青年も含まれている。
いや、ランディーだけではない。
ジムやルイージとも、そしてペイン海賊団の本船にて、いつもと同じく酒をガブガブ飲み干しているだろう親方も、いつもと同じく絵を描いているだろうエルドレッドも、その2人の青年のことを知っている。
※※※
ルーク・ノア・ロビンソン。
ディラン・ニール・ハドソン。
現在、18才の彼らは、数年前まで自分たちと寝食をともにしていた同僚であった。
彼らは、自分たちにとって通りすがりの他人などではない。
通りすがりの他人であったから殺してもいいとわけでは絶対にないが、ジムとルイージは”獲物”が自分たちと過去に縁を紡いだ者たち――寝食をともにし人生の時間を共有していた者であっても、その者たちを生首にする、つまりは殺すことにも何の躊躇いも見せていない。
むしろ、ジムもルイージも殺(や)る気満々である。
正直に言うと、ランディーは今、自分の目の前にいるジムやルイージなどよりも、ルークとディランの方がずっと話しやすかったし、彼らに並々ならぬ好感を持ち、慕っていた。
やや猫ッ毛なくすんだ金髪と、情熱的な榛色の瞳のルーク。
サラサラとした栗色の髪と、優し気な栗色の瞳のディラン。
”本当にすっごくいい奴ら”としか言えない彼ら2人の間にある、”唯一無二の親友”、いや”血のつながりこそないが兄弟”といった目に見えない絆をランディーも感じていた。
だが、ルークもディランも、自分たち2人だけの世界を作り上げ他者を寄せ付けないというわけでもなく、ランディーや”エルドレッドも”含めた同僚の少年たちの”大半とは”友好的な関係を築いていた。
そう、少年たちの”大半とは”……
当時、ルークやディランと対極に位置していた少年たちの筆頭とも言える存在であったのが、ジムとルイージであった。
いくつかの派閥に自然と振り分けられ、その派閥が醸し出す雰囲気が朱だとすれば、その朱に交わるように各々の派閥に溶け込んでいく、もしくは溶け込んでいこうとしていた少年たち。
当然、ルークやディランの属していた派閥ではなく、ジムやルイージの属していた派閥の方に吸い寄せられていくがごとく溶け込んでいった少年たちもいた。
ジムとルイージは、その派閥の中においても、明らかに他の少年たちとは格が違った。
いいや、この場合に”格”という言葉を使って表現するのはおかしいとランディーも理解している。
”格”ではなく、悪党としてのレベルと言った方がより適切であるのかもしれない。
現に今、ジェームス(ジム)・ハーヴェイ・アトキンスと、ルイージ・ビル・オルコットは、親方セシル・ペイン・マイルズを軸とした、この殺戮集団「ペイン海賊団」の中心的存在となっている。
「ペイン海賊団」の”結成当初”は、ジムやルイージたちと同じ派閥に属していた少年6名も構成員として在籍していた。だが、そのうちの5名は、自分たちが剣を手に襲い掛かった獲物(大人の男性)に反撃され(反撃というよりも、完全なる正当防衛であるが)、今はもうこの世にはいない。
そして残る1名は、酒の席でジムやルイージたちと諍いとなり、リンチを受けた。半殺しの状態のまま、彼は海へと投げ込まれ”殺された”のだ。
ジムとルイージはその悪党としてのレベルをさらに恐ろしいものとして強化し、なお、さらに厄介なものとする戦闘能力と残酷さを持ち合わせている。
普通の人間なら絶対に越えない一線まで事もなげに越えてしまう――というよりも、もうすでに完全に飛び越えており、各々の手を何の躊躇いもなく獲物たちの血で染め続けてきた。
”昔からの同僚”が襲撃時に反撃されて死んだ時も、ジムとルイージは”死んじまったもんは、しゃあねえだろ”といった感じであった。
当のランディーは、死んだ者たちとそう仲が良いわけでもなく、むしろ馬鹿にされていたことを常々感じていたし、そもそも何の非もないのに襲撃され殺されてしまった人たちこそ本当に可哀想だと思っていたが、彼らの死になぜか目に涙が滲んできていた……
そして、リンチによって”昔からの同僚の1人”を殺したことも、ジムやルイージにとってはまさに”単に虫を一匹片づけただけじゃねえか”と同義であるらしかった。
リンチ殺人の一部始終を目撃し、何日も眠れなくなり食事すら満足にとれなくなったランディーに、ジムは「俺たちを怒らせたあいつが悪いんじゃねえか。”終わったこと”をいつまでも引きずんじゃねえよ」と言い放ったのだ……
さらに、数刻前、ジムとルイージは人質の男性の肉を生きたまま削ごうともしていた。
”肉を削ぐ”と言い出したジムの方が、切れ味抜群な刃物のように鋭く研ぎ澄まされた眼光や、先ほどのまさに変態としか言えない”借りの返し方の提案”といい、残虐性や悪知恵(悪趣味さ)はルイージよりも上のように思われた。
だが、ルイージも決してジムを諌めたりはしないし、一緒になってその手を血に染めることに何の躊躇もしていない。面白がってジムに乗っかるだけでなく、さらに事態を酷く(ルイージ自身にとっても面白く)するような言動を見せている。
結局のところ、ルイージもジムとそう変わらぬ性質であり、どちらも人を人とも思わぬ殺戮集団に属する凶悪な悪党であることには変わりはないのだ。
※※※
ランディーは思う。
いや、自分自身に再確認するといった表現の方が、彼の場合は正しいであろう。
――俺はジムとルイージには、勝てない。勝てるはずがない。それはずっと昔から分かっていたことだ……でも、もしかしたら……
腹を抱え、いまだに笑いの渦の中にいたルイージが、ランディーの表情の変化に気づいたらしい。
「おい、ジム。ランディー”坊や”が何か、言いてえことあるみてえだぞ」
ランディーの性器を”坊や”と揶揄したルイージは、ついにランディー自身をも”坊や”呼ばわりした。
しつこい笑いが顔に残っているまま、片方の唇の端を歪めたルイージは、ジムへと顎をしゃくった。
対するジムは、どうやらルイージより先にランディーの表情の変化に気づいていたらしかった。
ランディーとジムの瞳が合う。
ジムは、フンと馬鹿にしたように――いや、事実、彼はランディーを馬鹿にしてフンと鼻を鳴らした。
「ランディー……てめえが考えていること当ててやろうか。ほんと、てめえは考えがすぐに顔に出るタチだよな。てめえ……明日、ロビンソンとハドソンが物語の英雄みてえに、てめえを救い出してくれるんじゃえかと思ってんだろ」
「!」
まさに、図星であった。
ランディーの心の考えは、正確過ぎるほどにジムに読まれてしまっていた。
※※※
まだ自分たちが陸地で働いていた頃、ともに働く少年たちの間で揉め事が発生した時――発生したというよりも、主にジムとルイージが揉め事(虐めや恐喝)を引き起こしていた時、真っ先に止めに入って、ジムたちの標的となった不運な者をかばうのが、ルークとディランであった。
躾や教育を受けた者たちが集まったとしても派閥や揉め事が起こるというのに、保護者もなく、碌に躾と教育を受けていない者たちが集まり、それも食事の時間だけでなく、風呂や眠る時間まで同じ空間で過ごすとなれば、揉め事が起こらないはずなどない。
その中に、他の少年たちとは明らかにレベルが違う”悪党”がいるなら、なおさらだ。
ジムやルイージの方がルークやディランより3才年上であり、”当時においては”身体能力にも開きはあった。
揉め事を止めに入ったルークとディランも、ジムやルイージに殴られ蹴られといった暴力を受けたこともあった。
片目に青あざを作ったルークや、鼻血を出したディランの姿は、今でもランディーの脳裏に恐怖とともに蘇ってくる。
それに、いつだったか……ルークやディランとともに、ジムとルイージを”止めに入ったエルドレッド”も、ルイージに真冬の川へと突き落された。流されるエルドレッドを助けに川に飛び込んだルークとディラン。そして、ランディーは川岸で彼らの命綱を握りしめ、震える手と脚でふんばり続けていた。
その後、彼ら3人はなんとか、川から上がることができたが、その後数日間、揃って高熱にうなされることなってしまった。
ちなみに、親方セシル・ペイン・マイルズは、少年たちの間で起こった揉め事、というよりも数々の傷害&恐喝と”エルドレッド(とルークとディラン)殺人未遂事件”を知っても、ジムとルイージを問い詰め叱責するわけでもなく、また解雇するわけでもなく「お前ら、ちょっとやり過ぎだぞ」との一言をくれただけであった。
ランディーにとってルークとディランは、ジムやルイージ、そして親方とは異なり、正義の象徴でもあった。
生まれは自分と同じく底辺であっても、碌な教育を受けていなくても、彼らの中には一本の正義という魂の筋道が真っ直ぐに通っているに違いなかった。
そんな彼らなら、もしかしたら……と。
※※※
何も言い返すことができなくなってしまったランディーに、ジムは続ける。
「だがよ、ランディー……根本的なことを忘れてンだろ。てめえのその女みてえな髪型や、チ×コが小せえことを抜きにしても、てめえは英雄に救い出されるか弱い姫でもなんでもねえ。むしろ、てめえは物語の中で英雄に剣で叩き切られる役目の”悪党の一員”であるってことをよ」
ランディーはその日が永久に来ないことを、魂の底より叫ぶように願い続けていた。
だが、ジムの先ほどの言葉によって、自分たちが追いかけ続けていた船をついに襲撃する日が、明日に定められたことを知ってしまった。
戦力外である自分は、襲撃の場に駆り出されることはないし、駆り出されたとしても全く話にならない。
だが、数多の血と悲鳴が飛び交い、数多の罪なき魂が奪われる光景を想像したランディーの全身の毛穴はブワッと妙な開き方をし始めていた。
そのうえ、その数多の罪なき魂の中には、ランディーの知り合いである2人の青年も含まれている。
いや、ランディーだけではない。
ジムやルイージとも、そしてペイン海賊団の本船にて、いつもと同じく酒をガブガブ飲み干しているだろう親方も、いつもと同じく絵を描いているだろうエルドレッドも、その2人の青年のことを知っている。
※※※
ルーク・ノア・ロビンソン。
ディラン・ニール・ハドソン。
現在、18才の彼らは、数年前まで自分たちと寝食をともにしていた同僚であった。
彼らは、自分たちにとって通りすがりの他人などではない。
通りすがりの他人であったから殺してもいいとわけでは絶対にないが、ジムとルイージは”獲物”が自分たちと過去に縁を紡いだ者たち――寝食をともにし人生の時間を共有していた者であっても、その者たちを生首にする、つまりは殺すことにも何の躊躇いも見せていない。
むしろ、ジムもルイージも殺(や)る気満々である。
正直に言うと、ランディーは今、自分の目の前にいるジムやルイージなどよりも、ルークとディランの方がずっと話しやすかったし、彼らに並々ならぬ好感を持ち、慕っていた。
やや猫ッ毛なくすんだ金髪と、情熱的な榛色の瞳のルーク。
サラサラとした栗色の髪と、優し気な栗色の瞳のディラン。
”本当にすっごくいい奴ら”としか言えない彼ら2人の間にある、”唯一無二の親友”、いや”血のつながりこそないが兄弟”といった目に見えない絆をランディーも感じていた。
だが、ルークもディランも、自分たち2人だけの世界を作り上げ他者を寄せ付けないというわけでもなく、ランディーや”エルドレッドも”含めた同僚の少年たちの”大半とは”友好的な関係を築いていた。
そう、少年たちの”大半とは”……
当時、ルークやディランと対極に位置していた少年たちの筆頭とも言える存在であったのが、ジムとルイージであった。
いくつかの派閥に自然と振り分けられ、その派閥が醸し出す雰囲気が朱だとすれば、その朱に交わるように各々の派閥に溶け込んでいく、もしくは溶け込んでいこうとしていた少年たち。
当然、ルークやディランの属していた派閥ではなく、ジムやルイージの属していた派閥の方に吸い寄せられていくがごとく溶け込んでいった少年たちもいた。
ジムとルイージは、その派閥の中においても、明らかに他の少年たちとは格が違った。
いいや、この場合に”格”という言葉を使って表現するのはおかしいとランディーも理解している。
”格”ではなく、悪党としてのレベルと言った方がより適切であるのかもしれない。
現に今、ジェームス(ジム)・ハーヴェイ・アトキンスと、ルイージ・ビル・オルコットは、親方セシル・ペイン・マイルズを軸とした、この殺戮集団「ペイン海賊団」の中心的存在となっている。
「ペイン海賊団」の”結成当初”は、ジムやルイージたちと同じ派閥に属していた少年6名も構成員として在籍していた。だが、そのうちの5名は、自分たちが剣を手に襲い掛かった獲物(大人の男性)に反撃され(反撃というよりも、完全なる正当防衛であるが)、今はもうこの世にはいない。
そして残る1名は、酒の席でジムやルイージたちと諍いとなり、リンチを受けた。半殺しの状態のまま、彼は海へと投げ込まれ”殺された”のだ。
ジムとルイージはその悪党としてのレベルをさらに恐ろしいものとして強化し、なお、さらに厄介なものとする戦闘能力と残酷さを持ち合わせている。
普通の人間なら絶対に越えない一線まで事もなげに越えてしまう――というよりも、もうすでに完全に飛び越えており、各々の手を何の躊躇いもなく獲物たちの血で染め続けてきた。
”昔からの同僚”が襲撃時に反撃されて死んだ時も、ジムとルイージは”死んじまったもんは、しゃあねえだろ”といった感じであった。
当のランディーは、死んだ者たちとそう仲が良いわけでもなく、むしろ馬鹿にされていたことを常々感じていたし、そもそも何の非もないのに襲撃され殺されてしまった人たちこそ本当に可哀想だと思っていたが、彼らの死になぜか目に涙が滲んできていた……
そして、リンチによって”昔からの同僚の1人”を殺したことも、ジムやルイージにとってはまさに”単に虫を一匹片づけただけじゃねえか”と同義であるらしかった。
リンチ殺人の一部始終を目撃し、何日も眠れなくなり食事すら満足にとれなくなったランディーに、ジムは「俺たちを怒らせたあいつが悪いんじゃねえか。”終わったこと”をいつまでも引きずんじゃねえよ」と言い放ったのだ……
さらに、数刻前、ジムとルイージは人質の男性の肉を生きたまま削ごうともしていた。
”肉を削ぐ”と言い出したジムの方が、切れ味抜群な刃物のように鋭く研ぎ澄まされた眼光や、先ほどのまさに変態としか言えない”借りの返し方の提案”といい、残虐性や悪知恵(悪趣味さ)はルイージよりも上のように思われた。
だが、ルイージも決してジムを諌めたりはしないし、一緒になってその手を血に染めることに何の躊躇もしていない。面白がってジムに乗っかるだけでなく、さらに事態を酷く(ルイージ自身にとっても面白く)するような言動を見せている。
結局のところ、ルイージもジムとそう変わらぬ性質であり、どちらも人を人とも思わぬ殺戮集団に属する凶悪な悪党であることには変わりはないのだ。
※※※
ランディーは思う。
いや、自分自身に再確認するといった表現の方が、彼の場合は正しいであろう。
――俺はジムとルイージには、勝てない。勝てるはずがない。それはずっと昔から分かっていたことだ……でも、もしかしたら……
腹を抱え、いまだに笑いの渦の中にいたルイージが、ランディーの表情の変化に気づいたらしい。
「おい、ジム。ランディー”坊や”が何か、言いてえことあるみてえだぞ」
ランディーの性器を”坊や”と揶揄したルイージは、ついにランディー自身をも”坊や”呼ばわりした。
しつこい笑いが顔に残っているまま、片方の唇の端を歪めたルイージは、ジムへと顎をしゃくった。
対するジムは、どうやらルイージより先にランディーの表情の変化に気づいていたらしかった。
ランディーとジムの瞳が合う。
ジムは、フンと馬鹿にしたように――いや、事実、彼はランディーを馬鹿にしてフンと鼻を鳴らした。
「ランディー……てめえが考えていること当ててやろうか。ほんと、てめえは考えがすぐに顔に出るタチだよな。てめえ……明日、ロビンソンとハドソンが物語の英雄みてえに、てめえを救い出してくれるんじゃえかと思ってんだろ」
「!」
まさに、図星であった。
ランディーの心の考えは、正確過ぎるほどにジムに読まれてしまっていた。
※※※
まだ自分たちが陸地で働いていた頃、ともに働く少年たちの間で揉め事が発生した時――発生したというよりも、主にジムとルイージが揉め事(虐めや恐喝)を引き起こしていた時、真っ先に止めに入って、ジムたちの標的となった不運な者をかばうのが、ルークとディランであった。
躾や教育を受けた者たちが集まったとしても派閥や揉め事が起こるというのに、保護者もなく、碌に躾と教育を受けていない者たちが集まり、それも食事の時間だけでなく、風呂や眠る時間まで同じ空間で過ごすとなれば、揉め事が起こらないはずなどない。
その中に、他の少年たちとは明らかにレベルが違う”悪党”がいるなら、なおさらだ。
ジムやルイージの方がルークやディランより3才年上であり、”当時においては”身体能力にも開きはあった。
揉め事を止めに入ったルークとディランも、ジムやルイージに殴られ蹴られといった暴力を受けたこともあった。
片目に青あざを作ったルークや、鼻血を出したディランの姿は、今でもランディーの脳裏に恐怖とともに蘇ってくる。
それに、いつだったか……ルークやディランとともに、ジムとルイージを”止めに入ったエルドレッド”も、ルイージに真冬の川へと突き落された。流されるエルドレッドを助けに川に飛び込んだルークとディラン。そして、ランディーは川岸で彼らの命綱を握りしめ、震える手と脚でふんばり続けていた。
その後、彼ら3人はなんとか、川から上がることができたが、その後数日間、揃って高熱にうなされることなってしまった。
ちなみに、親方セシル・ペイン・マイルズは、少年たちの間で起こった揉め事、というよりも数々の傷害&恐喝と”エルドレッド(とルークとディラン)殺人未遂事件”を知っても、ジムとルイージを問い詰め叱責するわけでもなく、また解雇するわけでもなく「お前ら、ちょっとやり過ぎだぞ」との一言をくれただけであった。
ランディーにとってルークとディランは、ジムやルイージ、そして親方とは異なり、正義の象徴でもあった。
生まれは自分と同じく底辺であっても、碌な教育を受けていなくても、彼らの中には一本の正義という魂の筋道が真っ直ぐに通っているに違いなかった。
そんな彼らなら、もしかしたら……と。
※※※
何も言い返すことができなくなってしまったランディーに、ジムは続ける。
「だがよ、ランディー……根本的なことを忘れてンだろ。てめえのその女みてえな髪型や、チ×コが小せえことを抜きにしても、てめえは英雄に救い出されるか弱い姫でもなんでもねえ。むしろ、てめえは物語の中で英雄に剣で叩き切られる役目の”悪党の一員”であるってことをよ」
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