２０２１年版 ルノルマン・カードに導かれし物語たちよ！

Episode１０ 大どんでん返し！ ……ってほどでもない喪女ミステリー２品

【お急ぎの方へ☆サクッとネタバレ】Episode１０－A ０か１か

【３行でネタバレ】
　語り手は喪女ではなくリア充美女。
　見下していた喪女の同級生のアパートに家宅侵入。
　育児ノイローゼによる、現実逃避ならび妄想であったというオチ。


【あらすじ】
　しょっぱなから自分自身の長くて重苦しい３７年の喪女人生に”思いを馳せているような”語り手。
※　ちなみに中学高校の休み時間の描写であるも、リア充美少女だった語り手がかつての喪少女を眺めている構図である。喪女自身の目線による回想ではないという地味な伏線あり。

　身も心も生粋の喪女であるはずの彼女は、今、不思議とかつてないほどの幸せを感じていた。
　もう自分のことだけを考えていていいんだ、と。
　同時に、何かから”解放されたような”清々しさをも……。

　それもそのはず、彼女は真性喪女ではない。
　そのうえ、今くつろいでいるアパートの部屋の正当な住人ですらなく、家宅侵入していたというオチ。
　彼女の旦那さんが、正当な住人女性（この人こそ真性喪女）とともに、彼女を回収にやってきた。

　彼女は自分のことを”最初から何も持っていないし、何も手に入れることがないだろうと見下していた喪女の同級生”だと思い込んでいたも、本当は既婚者で子どももいた。
　そのうえ、昔から美人で可愛いだけでなく何でも出来、学校中のアイドルみたいな存在だった超リア充美女だったというオチ。

　そんな彼女がなぜこんなことをしでかしたのかというと、結婚後１０年近く経ってやっと子どもに恵まれたも、２４時間休みなしの育児が想像以上に大変であり、完璧主義であった彼女は「０か１か」の物差しでしか、母親としての自分を測ることができなかった。
　思い描いていた通りの完璧な母親になれない自分を受け入れられなかったがための現実逃避ならび妄想であったのだ。