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②美月が病気で休んだ。口には出していないが、弘子の美月にしたことへのストレス、又は不登校と考える者もいた。翔は心配をして何度もメールするが、やはり返事は返してくれなかった。ブロックされたままなのだろう。
弘子は、学校帰りにお見舞いに行くと、
「弘子お姉ちゃん、いらっしゃい、お姉ちゃんは体調悪くてベッドに寝てるよ、でも、今日も一緒にいたいからお姉ちゃんに聞いてくるね」
弘子は責任を感じていた。私が美月に嫌がらせをしたからかもしれない、何か出来ることはないか、考えた。
「お母さんは、いるの」
「うん、いつものように寝ている」
「手紙を書くから、太陽君、持っていってくれるかな」
「うん、いいよ」
弘子は手紙に、美月に無理をさせたくにので、美月のしていることをやらせてほしいと、誠心誠意、書き上げた。
「お母さんが、無理をしないようにお願いしますって、今日も、弘子お姉ちゃんと一緒で星奈も喜ぶよ、弘子お姉ちゃん、上がってよ」
「失礼します」
弘子は、昨日、何か美月をいじるものを探しに美月の家に来たが、自分を歓迎してくれて必要としてくれる、太陽と星奈に会って充実感のある時間を過ごすことができた。今日は、遊ぶこと中心ではなく、家事をするのだ。家では、まったくしていない。でも、この家庭で家事をやりたいのだ。
最初に、美月のお母さんに挨拶をし、美月の寝ている所に向かった。
「美月、体、大丈夫? お母さんの許可を得たから、今日、美月の変わりは務まらないかも知れないけど、私、やる、何をどうしたらいいか、教えて、私、頭悪いから、メモする、待ってて」
「えっ、弘子に悪いから、いいよ、私が、もう、少ししたら始めるから」
「美月、やらせて、お願い!」
「お姉ちゃん、無理しないで、弘子お姉ちゃんにやってもらおう」
「うぅ~ん、分かった、無理しないでね、お母さんの世話は、私の体調の良い時にやるから、その他、大変だけど、・・・本当にお願いしていいのかな」
「太陽君と星奈ちゃんにも聞きながらやるから」
美月は弘子に家事の内容を伝えた。弘子は、その多さに驚いたが、本当の大変さを知るのは、その一つ一つの仕事をやる時だった。
「太陽君、星奈ちゃん、洗濯するから、洗い物を入れて」
「は~い」
弘子はお風呂から残り湯を汲み取るのにホースをつないだ。メモを見ながら、洗濯機のボタンを押す。しかし、押し間違いでお風呂の水は汲み上がらず、水道の水で洗うことになってしまった。
「あっ、ごめん、間違ったみたい」
「弘子お姉ちゃん、ドンマイ、うちのお姉ちゃんもあるよ」
太陽君のフォローと星奈ちゃんの笑顔に救われた。
お風呂の栓を抜いてお風呂掃除をする。靴下を脱いで素足で入って、配管清掃をした後に、スポンジで擦った。力を入れて風呂の外側、押すようにして風呂桶の上、くるくる回りながらお風呂の壁、そして、最後に、全体的に水をかけて終わった。
次は、夕飯作り、スマホの料理の作り方を見て、カレー作りを始めた。星奈ちゃんは見ているようにさせて、太陽君は手伝えることはした。弘子は汗を吹きながら、丁寧に料理作りをした。思っていたよりも大変な料理だったが、二人も近くにいて楽しかった。作り終わると、お母さんと美月の所に野菜と果物を付けて持って行き、感謝された。
弘子は、太陽と星奈の3人で食卓を囲んで食べた。自分で作った料理は特別に美味しかった。
「弘子お姉ちゃん、翔お兄ちゃんより、美味しいよ」
「翔もカレーを作ったの」
「うん。お姉ちゃんが庭で苦しくなって大変な時に作ってくれたよ、翔お兄ちゃんも初めてでスマホ見てたよ、あっ、その時、今、弘子お姉ちゃんが座っている所にすわったんだ」 弘子は、自分の座っている椅子をなでた。
「でもね、翔お兄ちゃん、来なくなっちゃった。お姉ちゃんとケンカしたみたい、弘子お姉ちゃんは、ケンカしないで、また、来てね」
弘子は作り笑いではなく、本当に心が癒やされてにっこりした。ただ、翔が来られなくなった理由が自分の責任だと思うと心が痛んだ。
「明日も美月が体の具合が悪かったら、朝食を二人はどうするの」
「パン、冷蔵庫の飲み物、でも、ゴミ出しとか家のことは出来ないから、臭くなっちゃうけど、そのままかな」
弘子は夕食の後片付けをし、洗濯物を干し始めた。すると、星奈ちゃんが、
「弘子お姉ちゃん、手伝うね」
「ありがとう、でも、干すところが高いから私がやるから大丈夫、テレビを見てて」
「じゃあ、弘子お姉ちゃんに渡す」
「ありがとう、じゃあ、一緒にやろうか」
弘子は一人でやると、腰の上下の連続で大変だったけど、星奈がとってくれて喜んだ。「ありがとう、小さなママみたいな星奈ちゃん」
「弘子お姉ちゃん、家族みたい、ふふふ・・・」
「家族みたいに思ってくれるの、星奈ちゃん、うれしい」
弘子は、星奈ちゃんを抱き上げて、二人で顔を見合わせて笑った。
「弘子お姉ちゃん、ほら、服、かわいいでしょ」
「うん、星奈ちゃんの服、全部かわいいよ」
弘子は、二人の明日の準備等、他の家事をしてお母さんに帰る挨拶をしてから美月の部屋に行った。
「美月、この家事、毎日だよね、すごい、すごいよ、それに、部活も頑張っているなんて」
「弘子、今日は本当にありがとう。でも、無理させてごめんね」
「明日も、二人に会いに来てもいい」
「いいけど、大丈夫なの」
「うん、じゃあ、お大事に」
弘子は、心がすがすがしい思いで家に帰った。
次の日、弘子は家を出て美月の家に向かった。美月の玄関に置いて合ったゴミを、だれにも言わずにゴミステーションに出した。そのため学校を遅刻してしまった。
教室に入ると先生が、
「弘子、遅刻か、また、寝坊、夜は早く寝て、朝はちゃんと起きろよ、おまえは、ゲームのやり過ぎだぞ」
「はい」
今日も、美月は来ていなかった。まだ、体調が悪いのだろう。
休み時間になると、クラスのみんなが無視をしているように感じた。美恵と咲恵に話しかけても、用事があるからと言って口を聞いてくれない。
席に座っている弘子に陰口が聞こえてきた。
「美月を、弘子がいじめたからこないんだよ」
弘子は、美月の学校へ来ない理由を体調が悪いからと知っていたが、その体調を悪くしたのは自分なのかも知れないと思い、ため息をついた。
弘子は、学校帰りにお見舞いに行くと、
「弘子お姉ちゃん、いらっしゃい、お姉ちゃんは体調悪くてベッドに寝てるよ、でも、今日も一緒にいたいからお姉ちゃんに聞いてくるね」
弘子は責任を感じていた。私が美月に嫌がらせをしたからかもしれない、何か出来ることはないか、考えた。
「お母さんは、いるの」
「うん、いつものように寝ている」
「手紙を書くから、太陽君、持っていってくれるかな」
「うん、いいよ」
弘子は手紙に、美月に無理をさせたくにので、美月のしていることをやらせてほしいと、誠心誠意、書き上げた。
「お母さんが、無理をしないようにお願いしますって、今日も、弘子お姉ちゃんと一緒で星奈も喜ぶよ、弘子お姉ちゃん、上がってよ」
「失礼します」
弘子は、昨日、何か美月をいじるものを探しに美月の家に来たが、自分を歓迎してくれて必要としてくれる、太陽と星奈に会って充実感のある時間を過ごすことができた。今日は、遊ぶこと中心ではなく、家事をするのだ。家では、まったくしていない。でも、この家庭で家事をやりたいのだ。
最初に、美月のお母さんに挨拶をし、美月の寝ている所に向かった。
「美月、体、大丈夫? お母さんの許可を得たから、今日、美月の変わりは務まらないかも知れないけど、私、やる、何をどうしたらいいか、教えて、私、頭悪いから、メモする、待ってて」
「えっ、弘子に悪いから、いいよ、私が、もう、少ししたら始めるから」
「美月、やらせて、お願い!」
「お姉ちゃん、無理しないで、弘子お姉ちゃんにやってもらおう」
「うぅ~ん、分かった、無理しないでね、お母さんの世話は、私の体調の良い時にやるから、その他、大変だけど、・・・本当にお願いしていいのかな」
「太陽君と星奈ちゃんにも聞きながらやるから」
美月は弘子に家事の内容を伝えた。弘子は、その多さに驚いたが、本当の大変さを知るのは、その一つ一つの仕事をやる時だった。
「太陽君、星奈ちゃん、洗濯するから、洗い物を入れて」
「は~い」
弘子はお風呂から残り湯を汲み取るのにホースをつないだ。メモを見ながら、洗濯機のボタンを押す。しかし、押し間違いでお風呂の水は汲み上がらず、水道の水で洗うことになってしまった。
「あっ、ごめん、間違ったみたい」
「弘子お姉ちゃん、ドンマイ、うちのお姉ちゃんもあるよ」
太陽君のフォローと星奈ちゃんの笑顔に救われた。
お風呂の栓を抜いてお風呂掃除をする。靴下を脱いで素足で入って、配管清掃をした後に、スポンジで擦った。力を入れて風呂の外側、押すようにして風呂桶の上、くるくる回りながらお風呂の壁、そして、最後に、全体的に水をかけて終わった。
次は、夕飯作り、スマホの料理の作り方を見て、カレー作りを始めた。星奈ちゃんは見ているようにさせて、太陽君は手伝えることはした。弘子は汗を吹きながら、丁寧に料理作りをした。思っていたよりも大変な料理だったが、二人も近くにいて楽しかった。作り終わると、お母さんと美月の所に野菜と果物を付けて持って行き、感謝された。
弘子は、太陽と星奈の3人で食卓を囲んで食べた。自分で作った料理は特別に美味しかった。
「弘子お姉ちゃん、翔お兄ちゃんより、美味しいよ」
「翔もカレーを作ったの」
「うん。お姉ちゃんが庭で苦しくなって大変な時に作ってくれたよ、翔お兄ちゃんも初めてでスマホ見てたよ、あっ、その時、今、弘子お姉ちゃんが座っている所にすわったんだ」 弘子は、自分の座っている椅子をなでた。
「でもね、翔お兄ちゃん、来なくなっちゃった。お姉ちゃんとケンカしたみたい、弘子お姉ちゃんは、ケンカしないで、また、来てね」
弘子は作り笑いではなく、本当に心が癒やされてにっこりした。ただ、翔が来られなくなった理由が自分の責任だと思うと心が痛んだ。
「明日も美月が体の具合が悪かったら、朝食を二人はどうするの」
「パン、冷蔵庫の飲み物、でも、ゴミ出しとか家のことは出来ないから、臭くなっちゃうけど、そのままかな」
弘子は夕食の後片付けをし、洗濯物を干し始めた。すると、星奈ちゃんが、
「弘子お姉ちゃん、手伝うね」
「ありがとう、でも、干すところが高いから私がやるから大丈夫、テレビを見てて」
「じゃあ、弘子お姉ちゃんに渡す」
「ありがとう、じゃあ、一緒にやろうか」
弘子は一人でやると、腰の上下の連続で大変だったけど、星奈がとってくれて喜んだ。「ありがとう、小さなママみたいな星奈ちゃん」
「弘子お姉ちゃん、家族みたい、ふふふ・・・」
「家族みたいに思ってくれるの、星奈ちゃん、うれしい」
弘子は、星奈ちゃんを抱き上げて、二人で顔を見合わせて笑った。
「弘子お姉ちゃん、ほら、服、かわいいでしょ」
「うん、星奈ちゃんの服、全部かわいいよ」
弘子は、二人の明日の準備等、他の家事をしてお母さんに帰る挨拶をしてから美月の部屋に行った。
「美月、この家事、毎日だよね、すごい、すごいよ、それに、部活も頑張っているなんて」
「弘子、今日は本当にありがとう。でも、無理させてごめんね」
「明日も、二人に会いに来てもいい」
「いいけど、大丈夫なの」
「うん、じゃあ、お大事に」
弘子は、心がすがすがしい思いで家に帰った。
次の日、弘子は家を出て美月の家に向かった。美月の玄関に置いて合ったゴミを、だれにも言わずにゴミステーションに出した。そのため学校を遅刻してしまった。
教室に入ると先生が、
「弘子、遅刻か、また、寝坊、夜は早く寝て、朝はちゃんと起きろよ、おまえは、ゲームのやり過ぎだぞ」
「はい」
今日も、美月は来ていなかった。まだ、体調が悪いのだろう。
休み時間になると、クラスのみんなが無視をしているように感じた。美恵と咲恵に話しかけても、用事があるからと言って口を聞いてくれない。
席に座っている弘子に陰口が聞こえてきた。
「美月を、弘子がいじめたからこないんだよ」
弘子は、美月の学校へ来ない理由を体調が悪いからと知っていたが、その体調を悪くしたのは自分なのかも知れないと思い、ため息をついた。
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