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21 美月が弘子に屈服 ①

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21 美月が弘子に屈服                     

①お母さんは、翔と美月の掛け布団を取った。翔は普段着、美月はレオタード姿でくっついていた。激怒したお母さんは、二人の話も聞かずに、美月に着替えさせて追い出した。そして、翔は外出禁止となった。二人が妹との関わりから、このような状態になったことを説明しても、妹は知らんぷりだった。

「美月さん、翔とは距離をとって、放課後はもちろんのこと、教室でも、話しかけることは絶対にしないで、これ以上、約束が守られなかったら、美月さんの家への支援中止、翔は転校させるから!! 出て行って!」

 妹は関わらないようにして、弘子に報告した。弘子に誉められることがうれしいのだ。

 美月は逃げるようにして翔の家から出ていき、家に帰った。家では、太陽君と星奈ちゃんが優しく出迎えてくれた。私は、ヤングケアラーとして、そう、やらなければならないことがいっぱいあるんだ。落ち込んでいる間もなく、家事に追われていく。

「太陽、星奈、園の連絡帳を見せて」

「はい、お姉ちゃん」

「お手紙は、呼んでおくわね、二人にお話しておくことは・・・、うがい、手洗いをしましょう、車に気をつけて、右、左、右をちゃんと見ましょう、来週、太陽はペットボトル2個持っていくから、お姉ちゃんが用意しておくね、後は、保護者向けなので、お母さんに読んで聞かせるからね、夕食までお部屋に待ってて」

 美月は、お母さんの所へ行って、保育園のお手紙を読んで、お母さんのしてほしいことを聞いた。お医者さんから鬱病以外の薬を貰うのに、病院に着いてきてほしいとのこと、行く日を決めた。

 美月の作る今日の夕食は、手作りハンバーグだ。部屋にいた二人もお手伝いに出てきて、ミキサーで練った具を、パンパンと空気を入れて作っていく。自然と3人の笑いが起こる。ハンバーグを焼いて、お母さんに持って行ってから、3人で食べた。美月は、この家族との時間が貧しくても一番幸せを感じるのだった。
 大変なことが起きていても、家ではいつも通り、もしかしたら学校へ行かなければ・・・・・・。でも、大好きな友達とも会えないし、部活の体操も出来ない。やはり、つらくても学校へは行かなければならないのだ。

 食事が終わると洗濯だ、みんながお風呂に入る前に、お風呂の水も利用して洗濯をする。家族に洗濯機へ入れ忘れがないか聞いた後、スイッチを押した。そして、自分のレオタードを手で洗う。レオタードを見た時、思い出さないようにしていても、今日のこと、明日からの学校のことが気になった。

 翔君を助けたい、そのために、自分の出来ることは悔しくても、誤解されていてもしようと心に決めた。スマホで翔をブロックしてあるが、気になった。弘子が翔君にも酷いことをしていないことを祈ることしかできない。

 美月は、太陽君と星奈ちゃんに絵本の読み聞かせをして、二人が寝てから、体操の自主練と宿題、学習準備等を、いつものようにして遅くに寝た。

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