ヤングケアラー美月恋愛編（一般作）

１９ ヤングケアラーからケアラーに ①

１９　ヤングケアラーからケアラーに

①ヤングケアラーの定義を厚生労働省では、「１８歳未満」と定義している。

　美月は、高校３年生、体操競技でも大切な時を迎える時に、ヤングケアラーとしての支援は受けられなくなってしまうのだ。今までと同じように支援を求めるならば、美月が家を出て住所変更をしなければいけない。もう少しで卒業だが学校を辞めて働く選択肢も要求されているのだ。「１８歳を迎えた年度の３月３１日」だったら良かった。ただ、お母さんの病気に対する障害の手当は生活費に当てることはできる。衣食を我慢して生活しようと、美月は決めた。

　庭の空いている所のすべてを耕して、野菜の種をまき、キッチンの台でも育てられるものを置いた。次に、パソコンで食べられる野草を調べ、車や人の歩かない所の野草を取ることも始めた。購入するものは、安い所を探したり、遅く行って安くなってから購入するように工夫をし、生活費をきりつめた。

「お姉ちゃん、お味噌汁、おいしいね」

「そうだね、今日は大根の芽がたくさん出たから、抜いて入れたんだよ」

　思わぬ良さがあった。大根の葉を入れるよりも、大根の芽の方が美味しかった。しかし、野草は苦みが完全にとれずに食べれないこともあった。パソコンで調べただけではダメだった。

「明日、太陽と星奈、ザリガニを釣りに行こう」

「えっ、急にどうしたの」

「あのね、農薬を使わない田の近くのザリガニは食べられるんだって」

　星奈ちゃんが、口をいっぱい膨らませて反対した。

「ダメ！　ザリガニを食べるなんてかわいそう！」

「そっかあ、お姉ちゃんが間違っていたね、星奈の言うとおり、かわいそうだから、それはやめよう」

　太陽君は残念がっていた。

「お姉ちゃん、魚を釣りに行こうよ」

「ごめんね、釣ったことないし、釣り竿もないの、無理だよ」

　生活費の節約は、家族の会話が増えることになって良かったが、生活費は減る一方だった。とにかく、美月が１８歳の誕生日を迎える前までに、さらに考えなければならないことだった。