ヤングケアラー美月恋愛編（一般作）

④

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「お姉ちゃん，レオタードは学校にあったの？」

「大丈夫，二人はそんな心配しないでも，帰ったら夕飯，何を食べようか？」

　美月は，二人に気付かれないように反対に顔を向けて，涙をこぼした。私が悪かったのかな・・・。心で強くありたいと思っていても感情は正直だ。美月の涙は止まらない・・・・・・・・・・・・・・・・。

　家に着いたら、するべきことが多すぎてレオタードのことを忘れられた。ただ，家で自主練習の時に，思い出して体操座りで顔をふせ，泣きじゃくった。
（私のレオタードが何か悪いことしたって言うの，私にとって大切なものなのに・・・・）

　スマホにメールだ！　送信者は，翔！
                    　
（またビンタされても洗わせてもらうよ，君のレオタードが，今，ここにある，理由は聞かないで，明日の朝，机の中に入れておくから安心して）

　美月は返信した。
（翔君が盗ったの？　取りにいく！　とにかく理由は聞かないから）

（僕は盗らない！　もう，遅い時間だから・・・・・・，明日，持って行きたい！）

（うん，わかった，翔君を信じる、ありがとう・・・・・・）

　翔は弘子達が何かするんじゃないかと思っていて，練習後に見かけた美恵と咲恵の後を追った。そして，知り合いの後輩からピンクのレオタードを受け取り，弘子も含めた３人で汚していた所を発見したのだ。だれにも言わないことを条件に返してもらった。レオタードは汚れていたがインナーはそのまま３人が持っていたので特に大丈夫だ。

　翔は家に持ち帰って，インナーは翔の家の洗濯物の中に入れて，明日までに乾かす予定，だが，家の人が見たら不思議がるだろう。レオタードは，前に洗い方を調べて知っていたので，あの時と同じように美月の顔を思い出しながら心を込めてとても丁寧に洗った。それが、翔の美月への真心だった。