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②朝方に目を覚ました美月は、時計を見て飛び起きた。
星奈ちゃんの読み聞かせをしていて自分が一緒に寝てしまったのだ。
時計を見ると,いつもの起きる時間なので,昨日のやり残したことは出来ず,朝食の準備をして二人に食事をさせ,二人の保育園の準備をした。特に星奈ちゃんの連絡帳に頭の傷のこと忘れずに書いた。
時間がないので連絡帳を手に持って書いたので字が美月自身でも乱れていると感じられるような字になってしまった。とにかく,朝は忙しいのだ!
二人を玄関に待たせて,自分の学校へ持っていく鞄とスポーツバックをもった。新しいインナーだけタンスから出して入れて,スポーツバックに入っていた汗だらけのレオタードと運動着は仕方ないので洗わずにそのまま持っていく。
二人を保育園バスが迎えに来る集合場所に連れて行き,見送る時に言い聞かせた。
「二人とも,保育園の先生や院内保育の先生の言うことをきちんと聞いていい子に過ごしてね」
美月は、二人を見送ったら小走りで行かないと高校に遅刻してしまう。遅刻は内申書に影響し,推薦で大学へ行きたい美月はとても気にしていることだった。しかし,その時に車が近づいて来て,窓を開け,美月に家を訪ねてきた。
「この近くの高木さんの家を知りませんか,連絡が来て往診に行くんですが分からなくて・・・・・,この辺なんだけどな・・・・・」
近くの家に緊急で医療の訪問に来たお医者さんと看護師だった。時間を考えるとさっと済ませたいところだが,高木さんの家は路地の奥で説明が難しかったので,これも大事な人助けだと考え,案内することにした。
「路地の奥で説明が難しいです,でも,急病なんですよね,私が走って行きますから,着いてきて下さい」
「いや,君は高校生のようだから学校を遅刻したら悪いよ,違う人に聞くから高校へ行ってもいいよ,ありがとう」
窓を閉めようとしたので美月は閉まりかけの窓に両手を乗せて言った。
「学校の遅刻よりも,急病人の方が大切です。じゃあ,走って行きますから着いてきてくださいね」
「お~い,じゃあ,車に乗りなさい~~~」
美月は振り返って,言った。
「急病人が待っているなら,私が車に乗る時間も短縮して行きましょう,近くですから~」
美月は走った! 医者を乗せた車は路地の中に入り,後を着いて行った。高木さんの家に着くと御礼を言われて、帰ろうと思った美月だったが,高木さんの家を覗いて見た。
お医者が看護師に準備するものを指示していた。どうやら高木さんは一人で住んでいて家族がいないようだ。
「先生,私に何かできることはありませんか」
「済まない,じゃあ,湯を沸かして持ってきてくれ,それと・・・」
「はい! わかりました」
一人しかいない看護師は専門の看護で忙しく雑用的なことは全て美月が準備し,先生の指示で手助けをした。
「君,高校遅らせて申し訳ないが,救急車を呼んでくれないか!」
「はい,すぐに連絡します!」
救急車に乗るまでの間に,どうして美月は手際良く介助ができたのか聞いてきたので,お母さんの介助,兄弟の世話などをしていることを話した。
「君は偉いね,頑張り屋だ! 今は大変だけど,自分の体に気をつけながら,・・・」
救急車が着いたので,話をやめて,高木さんを乗せて病院へ行くのを見送った。そして,現実感がぶるぶると沸いてきた,そうだ,学校へ急ごう!
学校へ着くと職員室へ行って遅刻届けを出した。朝の高木さんのことを書くといろいろ聞かれるので,家事が忙しくて遅れたことにして,注意されながら反省用紙に記入した。
教室は,ちょうど休み時間,挨拶を交わしながら声をかけ,席に着いて引き出しの中に手をやると,メモ書きがあった。
(翔が迷惑しているから近寄るな! 本当にあんたは超うざい!)
美月は、紙をくしゃくしゃに丸めて鞄に入れた。この前のレオタードの時と同じでだれにも言わずにこのままにしておこうと決めた。
事件は起きた。休み時間に弘子が遅刻したことをちゃかして来て,勝手にスポーツバックを笑いながら,ふざけていると周りから見えるような言葉遣いで話し、中を開けた。何か嫌がらせをするものを見付けているのだろう。美月が奪いとろうとした。
「は~い,パス!」
弘子は,美恵に,美恵は,やや離れた咲恵にパスをした。そして,弘子が咲恵の所に来て,開けたバックから汗の臭いに感づいた。
「臭い! 美月って洗わないの,これも,くさ~い・・・,あれ,これ,今日の部活で使うレオタードじゃん,くさ~~~~~~~~~い,あっはははは・・・・・・・・」
弘子は翔も含めて男の子のいる中で,美月のスポーツバックの運動着は洗ってないことを大声でふざけているようにはしゃいだ。さすがの美月も悲しくなった。
「ねぇ、やめて!」
「はい!美月さん,いつもこんなふうに洗わないこと,言っちゃった,ごめんね,あっはははは・・・・」
翔が美月の側にかけよってきた。
「気にしない方がいいよ,僕も拾うから・・・」
翔は,美恵が投げたスポーツバックから落ちた運動着を他の女の子と一緒に拾いはじめた。
「翔君,お願い、触らないで!」
チャイムが鳴り,次の時間が始まった。
(翔君ありがとう,ごめんね、きつく言って・・・・)
星奈ちゃんの読み聞かせをしていて自分が一緒に寝てしまったのだ。
時計を見ると,いつもの起きる時間なので,昨日のやり残したことは出来ず,朝食の準備をして二人に食事をさせ,二人の保育園の準備をした。特に星奈ちゃんの連絡帳に頭の傷のこと忘れずに書いた。
時間がないので連絡帳を手に持って書いたので字が美月自身でも乱れていると感じられるような字になってしまった。とにかく,朝は忙しいのだ!
二人を玄関に待たせて,自分の学校へ持っていく鞄とスポーツバックをもった。新しいインナーだけタンスから出して入れて,スポーツバックに入っていた汗だらけのレオタードと運動着は仕方ないので洗わずにそのまま持っていく。
二人を保育園バスが迎えに来る集合場所に連れて行き,見送る時に言い聞かせた。
「二人とも,保育園の先生や院内保育の先生の言うことをきちんと聞いていい子に過ごしてね」
美月は、二人を見送ったら小走りで行かないと高校に遅刻してしまう。遅刻は内申書に影響し,推薦で大学へ行きたい美月はとても気にしていることだった。しかし,その時に車が近づいて来て,窓を開け,美月に家を訪ねてきた。
「この近くの高木さんの家を知りませんか,連絡が来て往診に行くんですが分からなくて・・・・・,この辺なんだけどな・・・・・」
近くの家に緊急で医療の訪問に来たお医者さんと看護師だった。時間を考えるとさっと済ませたいところだが,高木さんの家は路地の奥で説明が難しかったので,これも大事な人助けだと考え,案内することにした。
「路地の奥で説明が難しいです,でも,急病なんですよね,私が走って行きますから,着いてきて下さい」
「いや,君は高校生のようだから学校を遅刻したら悪いよ,違う人に聞くから高校へ行ってもいいよ,ありがとう」
窓を閉めようとしたので美月は閉まりかけの窓に両手を乗せて言った。
「学校の遅刻よりも,急病人の方が大切です。じゃあ,走って行きますから着いてきてくださいね」
「お~い,じゃあ,車に乗りなさい~~~」
美月は振り返って,言った。
「急病人が待っているなら,私が車に乗る時間も短縮して行きましょう,近くですから~」
美月は走った! 医者を乗せた車は路地の中に入り,後を着いて行った。高木さんの家に着くと御礼を言われて、帰ろうと思った美月だったが,高木さんの家を覗いて見た。
お医者が看護師に準備するものを指示していた。どうやら高木さんは一人で住んでいて家族がいないようだ。
「先生,私に何かできることはありませんか」
「済まない,じゃあ,湯を沸かして持ってきてくれ,それと・・・」
「はい! わかりました」
一人しかいない看護師は専門の看護で忙しく雑用的なことは全て美月が準備し,先生の指示で手助けをした。
「君,高校遅らせて申し訳ないが,救急車を呼んでくれないか!」
「はい,すぐに連絡します!」
救急車に乗るまでの間に,どうして美月は手際良く介助ができたのか聞いてきたので,お母さんの介助,兄弟の世話などをしていることを話した。
「君は偉いね,頑張り屋だ! 今は大変だけど,自分の体に気をつけながら,・・・」
救急車が着いたので,話をやめて,高木さんを乗せて病院へ行くのを見送った。そして,現実感がぶるぶると沸いてきた,そうだ,学校へ急ごう!
学校へ着くと職員室へ行って遅刻届けを出した。朝の高木さんのことを書くといろいろ聞かれるので,家事が忙しくて遅れたことにして,注意されながら反省用紙に記入した。
教室は,ちょうど休み時間,挨拶を交わしながら声をかけ,席に着いて引き出しの中に手をやると,メモ書きがあった。
(翔が迷惑しているから近寄るな! 本当にあんたは超うざい!)
美月は、紙をくしゃくしゃに丸めて鞄に入れた。この前のレオタードの時と同じでだれにも言わずにこのままにしておこうと決めた。
事件は起きた。休み時間に弘子が遅刻したことをちゃかして来て,勝手にスポーツバックを笑いながら,ふざけていると周りから見えるような言葉遣いで話し、中を開けた。何か嫌がらせをするものを見付けているのだろう。美月が奪いとろうとした。
「は~い,パス!」
弘子は,美恵に,美恵は,やや離れた咲恵にパスをした。そして,弘子が咲恵の所に来て,開けたバックから汗の臭いに感づいた。
「臭い! 美月って洗わないの,これも,くさ~い・・・,あれ,これ,今日の部活で使うレオタードじゃん,くさ~~~~~~~~~い,あっはははは・・・・・・・・」
弘子は翔も含めて男の子のいる中で,美月のスポーツバックの運動着は洗ってないことを大声でふざけているようにはしゃいだ。さすがの美月も悲しくなった。
「ねぇ、やめて!」
「はい!美月さん,いつもこんなふうに洗わないこと,言っちゃった,ごめんね,あっはははは・・・・」
翔が美月の側にかけよってきた。
「気にしない方がいいよ,僕も拾うから・・・」
翔は,美恵が投げたスポーツバックから落ちた運動着を他の女の子と一緒に拾いはじめた。
「翔君,お願い、触らないで!」
チャイムが鳴り,次の時間が始まった。
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