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 学校に着くと翔はアイコンタクトで美月に合図をしてくれた。
 
 目立った行動をとると色々と問題が起きそうだからだ。それを分かっている翔はクラスの中では普通に振る舞って近くにはこなかった。

 美月は、授業中に何度も眠りそうになったが、足のももをつねり、授業中は学習をした。放課後は大好きな体操部の練習だ、美月は家で出来ないことは、特に励んだ。通し練習は学校だからこその効果なので,一つ一つ丁寧に技を確認しながらやっていく。それでも,心ではこうやろうと思っても,体ができないことがあり,悔しい気持ちにもなった。焦っているのだ。

 体操部が終わり,先生から体操の技のチェックをしたいから残るように言われたが家庭の事情ということで,部活終了後,太陽君と星奈ちゃんのいる院内学級に向かった。

 病院の入り口から入り,エレベータで5階,奥に院内保育があった。
「今日からお世話になっています。・・・・・・・・・・・・,最初に母の所に行って,また来ますので宜しくお願いします」

 美月は,まず,二人の元気に過ごしたことを確認してから,お母さんの所へ行った。家のこと,二人のこと,体操のことなどを話した。お母さんは,足が腫れているが,反対の足を上げたり降ろしたりとリハビリで大変だったことや,足の骨の折れた所を冷やしていて体全体が寒いこと,鬱で夜も眠られず頭痛が激しいことなどを伝えてきた。その後,担当の看護師さんに母の様子を聞き,何度も頭を下げてお願いした。

「お母さんは,足の骨折だけでなく,鬱状態,頭痛もちと他も悪いので,その病状に対するケアーも宜しくお願いします」

「大丈夫よ,何かあればナースコールで呼んでもらうようにしているから・・・・・・。ただ,夜中に,美月~,美月~って,寝ぼけて呼ぶこともあって,あなたこそ,今までも大変だったと思うけど,これからもいろいろあるけど,自分のことも心配してね,お母さんは見るから,大丈夫よ」

 美月は,再び院内保育へ二人を迎えに行った。保育士さんから必要な物が書いてある書類をもらって,二人と手をつないで病院を出た。

「太陽,星奈,保育園や院内保育でおりこうにしてた?今日は,どんなことがあったの・・・」

まず,お兄ちゃんの太陽君が話し始めた。
「保育園では,粘土で海獣を作って・・・・,院内保育では,レールに電車を乗せて走らせて・・・・・・・・,楽しかったよ」

 そして,星奈ちゃんも話した。
「あのね,星奈はね,保育園で,お絵かき,それから,それからね・・・・院内保育では,積木,先生と・・・,楽しかったよ,お姉ちゃんは翔お兄ちゃんと楽しかった?」

「えっ、学校はね、勉強と放課後の部活で忙しくて,あまり話してないよ」

「今日も,翔おにいちゃん,来るかな? 来るといいな~」

「来ないわよ,こうやって3人で家に帰れるからいいでしょ~」

「えっ,来ればいいのにな・・・」

 美月は家にいるはずないじゃん,と思いながら家の門に入ると,玄関前に翔るがいた。

「お帰り~~,また,きちゃった!」

 美月は,二人の喜ぶ顔を見ながら、微妙な気持ちだった。

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