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②美月は学校の準備が終わり,明日の朝食の準備に取りかかった。
 お母さんが元気な時は、まったく手を出すことはなく、お母さんの病気で、試行錯誤の家事が始まった。
 味噌汁に入れる大根は柔らかくなるのに時間がかかるので 今日のうちに火にかけて柔らかくして、大根の味噌汁にするのだ。それから,ワカメは塩分をとるために洗って水に浸して置く。豆腐は明日でいい。これで,味噌汁の具の準備は終わった。
 おかずと自分のお弁当は、明日なのだ。

 お母さんが2階で呼んでいた。
「美月,お風呂の湯をぬいちゃったと思うけど,今日は,お風呂に入れそうだから,沸かしてもらえる・・」
 心優しい美月は お母さんに逆らうことなく お風呂の準備をした それは お母さんにお風呂にゆっくり入ってもらって少しでも心を和んでほしいからだ。
「お母さん,ぬるめと熱めとどっちがいい?」
「41度でお願い・・・・・・・・・・」
「わかった,沸いたら声かけるから寝ていてね」
 美月は,お母さんが久しぶりに入るから、丁寧に風呂掃除を始めた。気持ち良く入ってもらいたいという美月の優しい気持ちだ。風呂桶の水の入水口のフィルターをとって,菅の洗浄ボタンを押す,その間にフィルターとお風呂の栓を水洗い,お風呂の桶に入ってスポンジで四方の壁と底を洗う,さらに,洗い場も含めて,お風呂の側面もシャワーをかける。終わったら,フィルターをはめて,風呂の栓をして,お風呂を沸かすボタンを押す。

(お風呂に水張りをします)

 美月は脱衣場の清掃,マットのほこりとり,床の掃除をしていると,

(お風呂が沸きました)

「お母さん,お風呂わいたよ~~」 
 美月は、転ばないようにお母さんの腕を摑んでお風呂場に連れて着て,お風呂に入る介護をする。そして,お母さんが入っている時に脱衣場にいて、時々声かけをするのだ。うつ病のお母さんを一人でお風呂に入れるのが心配だった。
 お母さんがお風呂から出る直前に,冷蔵庫のリンゴジュースの準備,そしてお母さんの着替えを手伝って ,お母さんがお風呂から出たら,汚れ物は洗濯機の中にいれる。
「美月,悪いんだけど,今日,これ洗っといて」
 お母さんはおいしそうにりんごジュースを飲む 。
「うん,わかった」
 美月は2回目の洗濯を嫌がらずにする,そして,同じように部屋干しをするのだ。もう,日付が変わっていた。それでも,美月は一生懸命に家族のためにやるのだ。
「私がやらなければ・・」
 すべてのことが終わってスマホを見ると,翔からラインが届いていた。
(体は大丈夫? 今日は,突然色々なことがあって,その・・また,行ってもいいかな)
 気付くのが遅く、こんな遅い時間に返事を出すかどうか迷ったけど,寝てても明日見てくれるだろうと,返信をした。
(今日は,ありがとう,たくさんやってもらったのに,お礼もきちんと言えなくて・・・ごめん,あまり来ない方がいいと思うよ,うちはお母さんが病気で,翔がきたら,また,翔に迷惑をかけちゃうから・・・,だから,もう,いい、ありがとう)
 本当は会いたい気持ちがあったけど、翔に迷惑をかけるので来ないようにメールをした。
 部屋で宿題のプリント等をやり始めて,時計を見たら午前2時になっていた。
 スマホから音が・・,返信? こんな遅い時間に?
(ありがとう,返信が来るのを待っていて・・・もう,来ないのかと諦めていたから,返信が来てうれしい,僕は平気だけど,来ては困るということだったら行けない・・,でも、また,行きたい!」
 美月は,
(迷惑かけたくない,もう,来ないで!) 
 せっかく,打ち込んだけど翔に送信できなかった。今日は本当に楽しかったからだ。
(無理をしてまでくることはしないで) 
 美月は打ち直して送信した。そして,すぐに返事が返ってきた・
(やった~,超うれしい~~)
 美月は返信を見て,クールな顔だがニコっと笑い,宿題プリントなどの学習をして,午前3時に寝ることができた。そして,明日の朝も早くからしなければならない。私がやらなければ・・。

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