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4 美月の夜 ①
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4 美月の夜
①2階で寝ていたお母さんが臭いで起きて来た。
「あら,カレーの臭いがすると思ったら,やっぱりカレー,どれどれ,あら,美月,上手だね,いつのまに,こんなに上手に出来るようになったの」
お母さんの疑問に太陽君が,
「あのね,これはね・・・・」
美月は急いで太陽君の口を押え,お母さんに見えないように,
「しぃ~~~,な・い・しょ,ね~」
今度は星奈ちゃんだ,
「お姉ちゃんをたすけ・・・・」
今度は,星奈ちゃんの口をふさいで,
「お母さんを心配させないようにしようね」
ほっと,安心した美月に,また,太陽君が,
「そうなんだよ,お姉ちゃんのベルトと,ボタンと,チャック降ろして・・・」
お母さんは、男の人とのことは気になりながらも三人が楽しそうなので聞かないであげた。
美月は顔を真っ赤にして,
「太陽,お母さん心配するから,ね,ないしょ~・・・」
二人とも,にこにこしながら美月の言うことを聞いてくれた。
何も知らないお母さんは,3人の楽しそうなやりとりを心配しながらも笑顔で見つめていた。
食事の後に,お母さんは美月を2階に呼んだ。
「今日,学校から連絡があってね,2日間休んだんだって,どうして?」
お母さんは叱らずに冷静に美月に聞いた。お母さんは,理由もなく美月は休まないと信じている。
美月はお母さんを心配かけたくなかったけど,そんなお母さんに正直に話した。すると,お母さんは,口に手を押えて鳴き始めた。
「美月,ごめん,ごめんね,でも,約束して,学校は絶対に体の具合が悪くない限り,絶対に休まないって,お願い,そうじゃないと,お母さん・・・」
美月は,お金のことは心配だったけど,お母さんの体がさらに悪くなることを心配して,学校は休まないことを約束した。そして,部活もやめないことをお母さんに話した。美月の部活をお母さんは生きがいに感じているのだ。
お母さんがお金は何とかするから最後の高校生活を送ってほしいという泣きながらのお母さんの言葉に従うしかなかった。
お母さんを安心させて1階に戻り,まず,お母さんに食事と薬を持っていった。次に兄弟の夕食を配膳し,自分も急いで食べた。次に,お母さんの食べたものを片付けて,手袋をしてみんなの食器などの洗い物をする。
「太陽,お風呂のスイッチ入れて」
太陽君はちょっとだけ美月を見て、テレビに夢中だ。
「え~,今,テレビ,好いところなの!」
今度は振り向きもせずに答える。
「もう~わかったわよ。私がやるから」
お風呂の栓がしてあるのを確認して,風呂の窓,足ふき,その他を見てからお風呂のお湯張りのスイッチを入れた。洗い物が途中になっていたので続きをやる。
(お風呂がわきました~~~)
「太陽,お風呂がわいたから先に入って~」
テレビに夢中の太陽君は動かない。
「今,テレビが本当にいいところなの、もう!後でいい!」
美月の言葉は耳に入らない。
「じゃあ,お姉ちゃんと星奈と3人ではいろうよ、ほら~太陽,星奈~・・」
美月は,楽しそうだと感じてもらえるように3人でお風呂に入ることにした。お母さんが元気な時は一人で入っていた太陽君だけど,どこか甘えん坊になってしまっていると美月は感じている。だから,なるべく,優しく接するように心がけているのだ。
お風呂の中では,自分の体を太陽君は洗えるけど,頭が一人では洗えない,美月が洗ってあげる。星奈ちゃんは,体も長い髪の毛も美月が洗ってあげていた。特に,髪の毛が星奈ちゃんは長いので手でもんで洗ったり,入浴後のドライヤーで乾かすのもやけどさせないように気をつけて大変なのだ。二人が出てから,美月は一人でお風呂に入りなおすが,ゆっくりはしていられない。二人が心配だ。でも,お風呂のこの時間が一番,ほっとする時間でもあった。
お風呂から出たら,洗濯機の中に汚れ物が入っている。お風呂の水を使うので洗濯機からお風呂までホースを伸ばし,洗濯機に,洗剤,柔軟剤など所定の所に入れてスイッチを押す。
洗濯が終わるまでに,太陽君と星奈ちゃんの連絡帳を見て返事を書く,さらに,保育園へ持っていくものなどをそろえるのだ。やはり,お母さんが病気になって二人とも幼稚園では落ち着かないようだ。各担任の先生からお知らせが書かれていた。そんなとき,美月から,
「はぁ~~」
つい,ため息が出てしまう。お母さんがわりは大変,お母さんって大変だったんだなと,気付かされる。
二人を寝かせつけるために絵本を読んであげたり,物語を話してあげる。やっと,二人が寝たら,洗濯機から洗濯物を出して,今日は部屋干しにした。お母さんとの約束,そう,明日は学校へ行く日だから。
美月は自分の学校へいく準備をする。部活をしないで帰りたいけど,園へのお迎えをお母さんが頼んでくれて,お母さんの生活も部活でいない間は大丈夫だからと言っている。お母さんも体操部だったので,娘の私が体操部で頑張っているのが生きがいだ。
家族の介護と学校,弟,妹の世話,家事,そして一番大事なお金の心配,美月は悩みが多いけど,大事な家族を一番に考え,美月は,「私が守る」と考えるのだった。
①2階で寝ていたお母さんが臭いで起きて来た。
「あら,カレーの臭いがすると思ったら,やっぱりカレー,どれどれ,あら,美月,上手だね,いつのまに,こんなに上手に出来るようになったの」
お母さんの疑問に太陽君が,
「あのね,これはね・・・・」
美月は急いで太陽君の口を押え,お母さんに見えないように,
「しぃ~~~,な・い・しょ,ね~」
今度は星奈ちゃんだ,
「お姉ちゃんをたすけ・・・・」
今度は,星奈ちゃんの口をふさいで,
「お母さんを心配させないようにしようね」
ほっと,安心した美月に,また,太陽君が,
「そうなんだよ,お姉ちゃんのベルトと,ボタンと,チャック降ろして・・・」
お母さんは、男の人とのことは気になりながらも三人が楽しそうなので聞かないであげた。
美月は顔を真っ赤にして,
「太陽,お母さん心配するから,ね,ないしょ~・・・」
二人とも,にこにこしながら美月の言うことを聞いてくれた。
何も知らないお母さんは,3人の楽しそうなやりとりを心配しながらも笑顔で見つめていた。
食事の後に,お母さんは美月を2階に呼んだ。
「今日,学校から連絡があってね,2日間休んだんだって,どうして?」
お母さんは叱らずに冷静に美月に聞いた。お母さんは,理由もなく美月は休まないと信じている。
美月はお母さんを心配かけたくなかったけど,そんなお母さんに正直に話した。すると,お母さんは,口に手を押えて鳴き始めた。
「美月,ごめん,ごめんね,でも,約束して,学校は絶対に体の具合が悪くない限り,絶対に休まないって,お願い,そうじゃないと,お母さん・・・」
美月は,お金のことは心配だったけど,お母さんの体がさらに悪くなることを心配して,学校は休まないことを約束した。そして,部活もやめないことをお母さんに話した。美月の部活をお母さんは生きがいに感じているのだ。
お母さんがお金は何とかするから最後の高校生活を送ってほしいという泣きながらのお母さんの言葉に従うしかなかった。
お母さんを安心させて1階に戻り,まず,お母さんに食事と薬を持っていった。次に兄弟の夕食を配膳し,自分も急いで食べた。次に,お母さんの食べたものを片付けて,手袋をしてみんなの食器などの洗い物をする。
「太陽,お風呂のスイッチ入れて」
太陽君はちょっとだけ美月を見て、テレビに夢中だ。
「え~,今,テレビ,好いところなの!」
今度は振り向きもせずに答える。
「もう~わかったわよ。私がやるから」
お風呂の栓がしてあるのを確認して,風呂の窓,足ふき,その他を見てからお風呂のお湯張りのスイッチを入れた。洗い物が途中になっていたので続きをやる。
(お風呂がわきました~~~)
「太陽,お風呂がわいたから先に入って~」
テレビに夢中の太陽君は動かない。
「今,テレビが本当にいいところなの、もう!後でいい!」
美月の言葉は耳に入らない。
「じゃあ,お姉ちゃんと星奈と3人ではいろうよ、ほら~太陽,星奈~・・」
美月は,楽しそうだと感じてもらえるように3人でお風呂に入ることにした。お母さんが元気な時は一人で入っていた太陽君だけど,どこか甘えん坊になってしまっていると美月は感じている。だから,なるべく,優しく接するように心がけているのだ。
お風呂の中では,自分の体を太陽君は洗えるけど,頭が一人では洗えない,美月が洗ってあげる。星奈ちゃんは,体も長い髪の毛も美月が洗ってあげていた。特に,髪の毛が星奈ちゃんは長いので手でもんで洗ったり,入浴後のドライヤーで乾かすのもやけどさせないように気をつけて大変なのだ。二人が出てから,美月は一人でお風呂に入りなおすが,ゆっくりはしていられない。二人が心配だ。でも,お風呂のこの時間が一番,ほっとする時間でもあった。
お風呂から出たら,洗濯機の中に汚れ物が入っている。お風呂の水を使うので洗濯機からお風呂までホースを伸ばし,洗濯機に,洗剤,柔軟剤など所定の所に入れてスイッチを押す。
洗濯が終わるまでに,太陽君と星奈ちゃんの連絡帳を見て返事を書く,さらに,保育園へ持っていくものなどをそろえるのだ。やはり,お母さんが病気になって二人とも幼稚園では落ち着かないようだ。各担任の先生からお知らせが書かれていた。そんなとき,美月から,
「はぁ~~」
つい,ため息が出てしまう。お母さんがわりは大変,お母さんって大変だったんだなと,気付かされる。
二人を寝かせつけるために絵本を読んであげたり,物語を話してあげる。やっと,二人が寝たら,洗濯機から洗濯物を出して,今日は部屋干しにした。お母さんとの約束,そう,明日は学校へ行く日だから。
美月は自分の学校へいく準備をする。部活をしないで帰りたいけど,園へのお迎えをお母さんが頼んでくれて,お母さんの生活も部活でいない間は大丈夫だからと言っている。お母さんも体操部だったので,娘の私が体操部で頑張っているのが生きがいだ。
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