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サイドストーリー
ep. ルドガーside1
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「ルドガー様は、黒魔術……魔法? を、誰かに学ばれたんですか?」
時刻は薄暗くなりかけた夕刻。川の近くに野宿予定の場所を早めに見つけて、多少落ち着いたのを見計らって魔術具を作成する。
簡易的な揺れる灯りの元、作業するのももう慣れたものだった。そんな私の手元を覗き込みながら、ハンナ令嬢が丸い瞳で話しかけて来る。
「あー……私はほとんど本からだな……」
「ど、独学なんですか……っ!?」
雷でも落ちたような驚きように多少驚きながら、話を続ける。
「あぁ……1人で本を相手に試行錯誤して……参考にしたのが古いものだったからか、今の主流とは違う配列だったり、省いたり付け足したり……わかる者からすると少し独特らしい」
「そうなんですか……」
へぇと尚も興味深げなハンナ令嬢に、私はハンカチを引いて一応の座る場所を提供する。
「最終的に、同等以上の効果があれば文句はないだろうと、抜けない癖もあったりすると思うが……」
「さすがルドガー様ですね……」
尊敬の眼差しで目を煌かせるハンナ令嬢に、私は苦笑した。
「これらは、お家に送るものなんですか?」
膝の上や側に敷いた布の上に積み重なった魔法陣や、護符と言った類のものを眺める視線を追いかけて、問いに答える。
「そうだな。出先ではあまり凝ったものは作れないが、平時の商いならこの程度を量産すれば事足りる。……前々からやっていたことだから勝手は変わらないし、そういう契約で話をつけてきた」
「前々から作られてたんですか?」
目を丸くするハンナ令嬢が、成長しても昔のままの反応で頬が緩む。
「自由に使えるお金が欲しかったからな」
1人には大きな屋敷に残された後も、全く関与をして来ないヴァーレン侯爵。
跡継ぎ問題による奥方同士の水面下のいがみ合いの捌け口。子どもたちの陰湿な嫌がらせ。そんなものはまだマシだった。
食事に混ぜられる毒や、敷地内で突如襲われる恐怖。知らぬ間に這い寄る呪い。善人のフリをした、悪意。
誰も何も信じられなかった。なのに、不自然な不幸でその姿を見なくなってから、それが本当の優しさだったと気づかされることもあった。
家族も、住む家も、食事も、衣服も、多少のことなら用意して貰え、貴族の地位もある。
記憶もなく、飲む水もなく、道端のゴミのように死んでいたかも知れない運命より、どれだけ恵まれているかわからない。
わからないのに、わかっていたのに、どうしようも無いほど苦しくて、辛かった。なのに、死ぬのはそれでも怖かった。
誰にも必要とされず、悪意にまみれて、思い出すことのできない温かさだけを闇の中で追い求めていた。
熱のない屋敷で小さくなって、増えるアザに怯えて、逃げ出すこともできない。
そんなある夜、気まぐれか何なのか、掠れて聞き取れない一言と共に侯爵が本と食糧を持って現れたことがあった。
黒魔法や黒魔術の使い古された入門書に、字を学ぶ本だった。
使い捨てのような拙いモノだったとしても、身を守る術を死に物狂いで何とか賄えるようになった。
そのうち、材料を仕入れてその手のモノを扱う店に自分で売り込み、小遣いを稼ぐことを覚えた。
「ある程度形になってきたかと思っていたら、侯爵から材料費も含めて今よりも高く買い取ると言い出されたんだ。4割くらいを侯爵に流すことにしていたが、それを今回6割くらいに増やしたからな」
「4割だったんですか?」
ハンナ令嬢がキョトンと首を傾げる。
「最初に流していた店には、怪しい子どもが持ってくるものを、安くとは言え買い取って貰った恩がある。魂胆はどうあれ、あれは私の中では大きなきっかけだったし、侯爵を信用できなかったと言うのもあるが、流せる場所を確保するのに多いに越したことはない。交渉もやり易くなるしな」
「交渉……」
「……侯爵が興味を示したことで、需要と供給と質のバランスを見ながら市場価格の適正を見つつ、最初の店や侯爵に値段交渉をし易くなった。店も侯爵も、気を抜くと直ぐに安く買い叩こうとするから」
大人相手に、必死だった頃を思い出して、少し笑った。笑えるようになっていることに、話しながら自分で少し驚いていた。
「ルドガー様……本当にすごいですね……。安穏としていた自分が恥ずかしいです。もし宜しければ、また色々教えて貰えませんか……っ」
神妙な顔つきで身を乗り出してくるハンナ令嬢が面白くて、少し笑う。
「……努力をしなかった。とは言わないが、こういうことは本人だけでなく環境要因も大きい。私やハンナ令嬢がどうこうと言う訳ではなく、私だって状況が違えば全く違ったはずだ」
「ーーそう言うものですか?」
「そう言うものだ。……例えば、ルーウェン家のアラン卿が男性ではなく女性として生まれていたのであれば、長男として家督を継ぐ立場となるはずのライトは、今とはまた違う性格や成長を経たはずだ。少しの違いで、本人は元より環境も変化するし、逆もまた然りだ」
「確かにそうですね……」
「とは言え、今のライトを見ていれば私は他のライトを想像もできないし、今のライトでなければ知り合うことも、こうして旅をすることもなかっただろう。そう言う意味では、何がいいとか、これが正解とか、仮定や過去を追いかけた所で仕方がない。必要なのは、現状を少しでもよくしようとする意識と思考だと、私は思う。昨日より今日。今日より明日。例え思ったようにいかなかったとしても、代え難い貴重な経験は残る。ハンナ令嬢は、きちんとそれが出来ていると、私は思う」
伯爵家で唯一の娘。幼少期に襲われた経験から、ルーウェン家がハンナ令嬢に対して過保護や過干渉気味になるのも致し方ないことだと理解はできた。そして子どもは、それを意識的にしろ無意識的にしろ、敏感に察知する生物だ。
「……だと、良いんですけど……。ルドガー様に言って頂けると、心強いです」
えへと笑うハンナ令嬢の笑顔に、ふっと心が穏やかになる。
近しい者の学や金銭があるかないか、与え得る環境、掴み取れる環境、強く影響し合う近しい友人やライバル。師と仰げるような存在に出会えるか。そして、奇跡とも言えるような人や事柄の運を、その手に手繰り寄せることができるか。
全てが複雑に絡み合って織り成すそれに、公平性は勿論無い。
侯爵が何を考えているのかは知れないし、幼い私が求めていたモノをくれる存在とは決して言えなかった。
けれど、1人で生きていける「学」を与えてくれたのは、間違いなく侯爵だ。
「ーーハンナ令嬢も……少し魔具を作ってみるか?」
「えっ! いいんですかっ!?」
喉から手が出るほど嬉しそうな顔をするハンナ令嬢に、私は束の間笑う。
私は今、晴れやかだ。
時刻は薄暗くなりかけた夕刻。川の近くに野宿予定の場所を早めに見つけて、多少落ち着いたのを見計らって魔術具を作成する。
簡易的な揺れる灯りの元、作業するのももう慣れたものだった。そんな私の手元を覗き込みながら、ハンナ令嬢が丸い瞳で話しかけて来る。
「あー……私はほとんど本からだな……」
「ど、独学なんですか……っ!?」
雷でも落ちたような驚きように多少驚きながら、話を続ける。
「あぁ……1人で本を相手に試行錯誤して……参考にしたのが古いものだったからか、今の主流とは違う配列だったり、省いたり付け足したり……わかる者からすると少し独特らしい」
「そうなんですか……」
へぇと尚も興味深げなハンナ令嬢に、私はハンカチを引いて一応の座る場所を提供する。
「最終的に、同等以上の効果があれば文句はないだろうと、抜けない癖もあったりすると思うが……」
「さすがルドガー様ですね……」
尊敬の眼差しで目を煌かせるハンナ令嬢に、私は苦笑した。
「これらは、お家に送るものなんですか?」
膝の上や側に敷いた布の上に積み重なった魔法陣や、護符と言った類のものを眺める視線を追いかけて、問いに答える。
「そうだな。出先ではあまり凝ったものは作れないが、平時の商いならこの程度を量産すれば事足りる。……前々からやっていたことだから勝手は変わらないし、そういう契約で話をつけてきた」
「前々から作られてたんですか?」
目を丸くするハンナ令嬢が、成長しても昔のままの反応で頬が緩む。
「自由に使えるお金が欲しかったからな」
1人には大きな屋敷に残された後も、全く関与をして来ないヴァーレン侯爵。
跡継ぎ問題による奥方同士の水面下のいがみ合いの捌け口。子どもたちの陰湿な嫌がらせ。そんなものはまだマシだった。
食事に混ぜられる毒や、敷地内で突如襲われる恐怖。知らぬ間に這い寄る呪い。善人のフリをした、悪意。
誰も何も信じられなかった。なのに、不自然な不幸でその姿を見なくなってから、それが本当の優しさだったと気づかされることもあった。
家族も、住む家も、食事も、衣服も、多少のことなら用意して貰え、貴族の地位もある。
記憶もなく、飲む水もなく、道端のゴミのように死んでいたかも知れない運命より、どれだけ恵まれているかわからない。
わからないのに、わかっていたのに、どうしようも無いほど苦しくて、辛かった。なのに、死ぬのはそれでも怖かった。
誰にも必要とされず、悪意にまみれて、思い出すことのできない温かさだけを闇の中で追い求めていた。
熱のない屋敷で小さくなって、増えるアザに怯えて、逃げ出すこともできない。
そんなある夜、気まぐれか何なのか、掠れて聞き取れない一言と共に侯爵が本と食糧を持って現れたことがあった。
黒魔法や黒魔術の使い古された入門書に、字を学ぶ本だった。
使い捨てのような拙いモノだったとしても、身を守る術を死に物狂いで何とか賄えるようになった。
そのうち、材料を仕入れてその手のモノを扱う店に自分で売り込み、小遣いを稼ぐことを覚えた。
「ある程度形になってきたかと思っていたら、侯爵から材料費も含めて今よりも高く買い取ると言い出されたんだ。4割くらいを侯爵に流すことにしていたが、それを今回6割くらいに増やしたからな」
「4割だったんですか?」
ハンナ令嬢がキョトンと首を傾げる。
「最初に流していた店には、怪しい子どもが持ってくるものを、安くとは言え買い取って貰った恩がある。魂胆はどうあれ、あれは私の中では大きなきっかけだったし、侯爵を信用できなかったと言うのもあるが、流せる場所を確保するのに多いに越したことはない。交渉もやり易くなるしな」
「交渉……」
「……侯爵が興味を示したことで、需要と供給と質のバランスを見ながら市場価格の適正を見つつ、最初の店や侯爵に値段交渉をし易くなった。店も侯爵も、気を抜くと直ぐに安く買い叩こうとするから」
大人相手に、必死だった頃を思い出して、少し笑った。笑えるようになっていることに、話しながら自分で少し驚いていた。
「ルドガー様……本当にすごいですね……。安穏としていた自分が恥ずかしいです。もし宜しければ、また色々教えて貰えませんか……っ」
神妙な顔つきで身を乗り出してくるハンナ令嬢が面白くて、少し笑う。
「……努力をしなかった。とは言わないが、こういうことは本人だけでなく環境要因も大きい。私やハンナ令嬢がどうこうと言う訳ではなく、私だって状況が違えば全く違ったはずだ」
「ーーそう言うものですか?」
「そう言うものだ。……例えば、ルーウェン家のアラン卿が男性ではなく女性として生まれていたのであれば、長男として家督を継ぐ立場となるはずのライトは、今とはまた違う性格や成長を経たはずだ。少しの違いで、本人は元より環境も変化するし、逆もまた然りだ」
「確かにそうですね……」
「とは言え、今のライトを見ていれば私は他のライトを想像もできないし、今のライトでなければ知り合うことも、こうして旅をすることもなかっただろう。そう言う意味では、何がいいとか、これが正解とか、仮定や過去を追いかけた所で仕方がない。必要なのは、現状を少しでもよくしようとする意識と思考だと、私は思う。昨日より今日。今日より明日。例え思ったようにいかなかったとしても、代え難い貴重な経験は残る。ハンナ令嬢は、きちんとそれが出来ていると、私は思う」
伯爵家で唯一の娘。幼少期に襲われた経験から、ルーウェン家がハンナ令嬢に対して過保護や過干渉気味になるのも致し方ないことだと理解はできた。そして子どもは、それを意識的にしろ無意識的にしろ、敏感に察知する生物だ。
「……だと、良いんですけど……。ルドガー様に言って頂けると、心強いです」
えへと笑うハンナ令嬢の笑顔に、ふっと心が穏やかになる。
近しい者の学や金銭があるかないか、与え得る環境、掴み取れる環境、強く影響し合う近しい友人やライバル。師と仰げるような存在に出会えるか。そして、奇跡とも言えるような人や事柄の運を、その手に手繰り寄せることができるか。
全てが複雑に絡み合って織り成すそれに、公平性は勿論無い。
侯爵が何を考えているのかは知れないし、幼い私が求めていたモノをくれる存在とは決して言えなかった。
けれど、1人で生きていける「学」を与えてくれたのは、間違いなく侯爵だ。
「ーーハンナ令嬢も……少し魔具を作ってみるか?」
「えっ! いいんですかっ!?」
喉から手が出るほど嬉しそうな顔をするハンナ令嬢に、私は束の間笑う。
私は今、晴れやかだ。
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