75 / 86
サイドストーリー
ep. ライトside
しおりを挟む
「く、暗ぇ……っ」
それがルドの第一印象。
事の始まりは、アラン兄の一言から。
「ルドガー・ヴァーレン卿ってどんな子?」
「はい?」
小等部も終わりがけの頃、徐に何の脈絡もなくアラン兄に尋ねられた。
「ライトと同じ学年に最近転入生いなかった?」
「……いた……っけ……?」
「……ライト、よく同級を連れて来て遊んでるでしょ? その子も誘えそうだったら誘っておいでよ」
はて、覚えがない。頭を悩ませる俺を尻目に、アラン兄は尚も続ける。
「何でだよ」
「別に何もないよ。可能なら顔見知りくらいにはなっといたらってこと」
「だから何でだよ」
「ライトは裏表がないからだよ」
「はあ? 全然わかんねぇ」
「とにかく、僕からはそれだけ」
「はぁ!?」
言われた後に探してみたら、確かにそいつは同級にいて、この世の終わりかよってくらい引くほど暗いやつだった。
とは言え、アラン兄の言うことは大体間違わないから、ひとまず声を掛けてみた。ら、これ以上ないくらい不審者を見るみたいな顔をされて、ちょっとムカついた。
絶対来ねぇだろと思ったそいつは、何でか誘ったらついて来た。けど、ついて来る割に全く絡んで来ないし喋らねぇし、ひたすら本読んでてやっぱり意味わかんねぇやつで、つまんねぇやつってことに変わりは無い。
アラン兄の言うミッションはクリアしただろうと、誘うだけ誘ったらもう忘れてるような存在だった。
ーーのに、何故かバカ妹がいつの間にかそいつに懐いていた。正直ビビった。
令嬢なんてヘソで茶が沸くくらい似合わない野生児みたいなバカ妹は、野生児らしく嗅覚がすごい。
ちょっと裏があったり、調子がいいだけとか、性格がひねてんなとか、俺がぼんやりでも思うヤツには懐かない。そんな野生のカンみたいなのがあるヤツが、懐いた。
「へぇ」
遠くからそんな2人を眺めて、俺はニヤリと笑う。
「おい、お前ルドガーだからルドな。いつも何読んでんだよ?」
相変わらず警戒心丸出しの顔で俺を見上げるルドに、俄然興味が沸いた。
それがルドの第一印象。
事の始まりは、アラン兄の一言から。
「ルドガー・ヴァーレン卿ってどんな子?」
「はい?」
小等部も終わりがけの頃、徐に何の脈絡もなくアラン兄に尋ねられた。
「ライトと同じ学年に最近転入生いなかった?」
「……いた……っけ……?」
「……ライト、よく同級を連れて来て遊んでるでしょ? その子も誘えそうだったら誘っておいでよ」
はて、覚えがない。頭を悩ませる俺を尻目に、アラン兄は尚も続ける。
「何でだよ」
「別に何もないよ。可能なら顔見知りくらいにはなっといたらってこと」
「だから何でだよ」
「ライトは裏表がないからだよ」
「はあ? 全然わかんねぇ」
「とにかく、僕からはそれだけ」
「はぁ!?」
言われた後に探してみたら、確かにそいつは同級にいて、この世の終わりかよってくらい引くほど暗いやつだった。
とは言え、アラン兄の言うことは大体間違わないから、ひとまず声を掛けてみた。ら、これ以上ないくらい不審者を見るみたいな顔をされて、ちょっとムカついた。
絶対来ねぇだろと思ったそいつは、何でか誘ったらついて来た。けど、ついて来る割に全く絡んで来ないし喋らねぇし、ひたすら本読んでてやっぱり意味わかんねぇやつで、つまんねぇやつってことに変わりは無い。
アラン兄の言うミッションはクリアしただろうと、誘うだけ誘ったらもう忘れてるような存在だった。
ーーのに、何故かバカ妹がいつの間にかそいつに懐いていた。正直ビビった。
令嬢なんてヘソで茶が沸くくらい似合わない野生児みたいなバカ妹は、野生児らしく嗅覚がすごい。
ちょっと裏があったり、調子がいいだけとか、性格がひねてんなとか、俺がぼんやりでも思うヤツには懐かない。そんな野生のカンみたいなのがあるヤツが、懐いた。
「へぇ」
遠くからそんな2人を眺めて、俺はニヤリと笑う。
「おい、お前ルドガーだからルドな。いつも何読んでんだよ?」
相変わらず警戒心丸出しの顔で俺を見上げるルドに、俄然興味が沸いた。
0
お気に入りに追加
101
あなたにおすすめの小説
私、竜人の国で寵妃にされました!?
星宮歌
恋愛
『わたくし、異世界で婚約破棄されました!?』の番外編として作っていた、シェイラちゃんのお話を移しています。
この作品だけでも読めるように工夫はしていきますので、よかったら読んでみてください。
あらすじ
お姉様が婚約破棄されたことで端を発した私の婚約話。それも、お姉様を裏切った第一王子との婚約の打診に、私は何としてでも逃げることを決意する。そして、それは色々とあって叶ったものの……なぜか、私はお姉様の提案でドラグニル竜国という竜人の国へ行くことに。
そして、これまたなぜか、私の立場はドラグニル竜国国王陛下の寵妃という立場に。
私、この先やっていけるのでしょうか?
今回は溺愛ではなく、すれ違いがメインになりそうなお話です。
ときめき♥沼落ち確定★婚約破棄!
待鳥園子
恋愛
とある異世界転生したのは良いんだけど、前世の記憶が蘇ったのは、よりにもよって、王道王子様に婚約破棄された、その瞬間だった!
貴族令嬢時代の記憶もないし、とりあえず断罪された場から立ち去ろうとして、見事に転んだ私を助けてくれたのは、素敵な辺境伯。
彼からすぐに告白をされて、共に辺境へ旅立つことにしたけど、私に婚約破棄したはずのあの王子様が何故か追い掛けて来て?!
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。
果たされなかった約束
家紋武範
恋愛
子爵家の次男と伯爵の妾の娘の恋。貴族の血筋と言えども不遇な二人は将来を誓い合う。
しかし、ヒロインの妹は伯爵の正妻の子であり、伯爵のご令嗣さま。その妹は優しき主人公に密かに心奪われており、結婚したいと思っていた。
このままでは結婚させられてしまうと主人公はヒロインに他領に逃げようと言うのだが、ヒロインは妹を裏切れないから妹と結婚して欲しいと身を引く。
怒った主人公は、この姉妹に復讐を誓うのであった。
※サディスティックな内容が含まれます。苦手なかたはご注意ください。
私が妻です!
ミカン♬
恋愛
幼い頃のトラウマで男性が怖いエルシーは夫のヴァルと結婚して2年、まだ本当の夫婦には成っていない。
王都で一人暮らす夫から連絡が途絶えて2か月、エルシーは弟のような護衛レノを連れて夫の家に向かうと、愛人と赤子と暮らしていた。失意のエルシーを狙う従兄妹のオリバーに王都でも襲われる。その時に助けてくれた侯爵夫人にお世話になってエルシーは生まれ変わろうと決心する。
侯爵家に離婚届けにサインを求めて夫がやってきた。
そこに王宮騎士団の副団長エイダンが追いかけてきて、夫の様子がおかしくなるのだった。
世界観など全てフワっと設定です。サクっと終わります。
5/23 完結に状況の説明を書き足しました。申し訳ありません。
★★★なろう様では最後に閑話をいれています。
脱字報告、応援して下さった皆様本当に有難うございました。
他のサイトにも投稿しています。
タイムリープ〜悪女の烙印を押された私はもう二度と失敗しない
結城芙由奈@12/27電子書籍配信
恋愛
<もうあなた方の事は信じません>―私が二度目の人生を生きている事は誰にも内緒―
私の名前はアイリス・イリヤ。王太子の婚約者だった。2年越しにようやく迎えた婚約式の発表の日、何故か<私>は大観衆の中にいた。そして婚約者である王太子の側に立っていたのは彼に付きまとっていたクラスメイト。この国の国王陛下は告げた。
「アイリス・イリヤとの婚約を解消し、ここにいるタバサ・オルフェンを王太子の婚約者とする!」
その場で身に覚えの無い罪で悪女として捕らえられた私は島流しに遭い、寂しい晩年を迎えた・・・はずが、守護神の力で何故か婚約式発表の2年前に逆戻り。タイムリープの力ともう一つの力を手に入れた二度目の人生。目の前には私を騙した人達がいる。もう騙されない。同じ失敗は繰り返さないと私は心に誓った。
※カクヨム・小説家になろうにも掲載しています
疲れきった退職前女教師がある日突然、異世界のどうしようもない貴族令嬢に転生。こっちの世界でも子供たちの幸せは第一優先です!
ミミリン
恋愛
小学校教師として長年勤めた独身の皐月(さつき)。
退職間近で突然異世界に転生してしまった。転生先では醜いどうしようもない貴族令嬢リリア・アルバになっていた!
私を陥れようとする兄から逃れ、
不器用な大人たちに助けられ、少しずつ現世とのギャップを埋め合わせる。
逃れた先で出会った訳ありの美青年は何かとからかってくるけど、気がついたら成長して私を支えてくれる大切な男性になっていた。こ、これは恋?
異世界で繰り広げられるそれぞれの奮闘ストーリー。
この世界で新たに自分の人生を切り開けるか!?
うたた寝している間に運命が変わりました。
gacchi
恋愛
優柔不断な第三王子フレディ様の婚約者として、幼いころから色々と苦労してきたけど、最近はもう呆れてしまって放置気味。そんな中、お義姉様がフレディ様の子を身ごもった?私との婚約は解消?私は学園を卒業したら修道院へ入れられることに。…だったはずなのに、カフェテリアでうたた寝していたら、私の運命は変わってしまったようです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる