4 / 13
4.ただの受けではなさそうです!2
しおりを挟む
2人はかとなく全身ずぶ濡れ状態で、両者の髪先から滴り落ちる水滴が光に煌めいて艶かしい。
さらに言えば湖の上には裸の上半身しか出ていないため、真昼間の屋外で何か見てはいけないものを見ている気分になってモゾモゾしてくる。
「ぶっっっっ!!!!」
あまりの衝撃に、リーゼはバチーンと高らかな音を響かせながら自身の鼻を押さえて後ろに倒れ込んだ。
「えっ!? おい、どうした!?」
「リーゼちゃん!?」
ギョッとした様子の2人が、目を見張ってバシャバシャと水音を響かせながら駆け寄ってくる。
「大丈夫?」
「…………お前、笑ってねーか…………?」
覗き込んでくる2人の気配と声音は、両者の表情を想像するに容易い。
ーーこれ、知ってます!! 何だったかしら、そう、あれです!! いっそわざとですよねって突っ込みたくなる【誘い受け】ってやつですねっ!!?
鼻どころか、にやけを堪えられない口元と目元すべてを何としてでも隠さないといけなくなる。
リーゼは草の上で顔面を両手で覆いながら横向きにゴロンとまるまって小刻みに震えた。貴族令嬢などとヘソで茶を沸かせる光景である。
「す、すみません、大丈夫なのでどうぞ続きを……っ!」
「……続きってなんだ」
意味がわからないけれど確実に何かよくないことが起こっていることを察知してイヤそうに顔を歪めるアッシュに、笑顔を浮かべながらも少し困惑気味なレオ。そして別次元ではぁはぁと荒い息を押し殺すことに必死なリーゼ。
「ん? おい、レオ?」
何か気になるアッシュの声が聞こえた気がして、鼻血とか出てないかしらと本気で心配しつつも、リーゼは近寄ってくる誰かの気配を察知してそうっと手のひらをどかす。
指の隙間から漏れ見えるキラキラとした金色は陽の光かしらなんて、先ほどの光景を悠長に反芻しながら両手をどかそうとすると、なぜか両手首を誰かに掴まれた。
「ん…………?」
思わず目が点になりつつも、横向きのままにリーゼが目前へと視線を移せば、そこには水に濡れて色気が増しているレオの、目が潰れそうな破壊力のご尊顔が。
「んんっっ!?」
思わずピシリと固まるリーゼに、リーゼのそばに寄り添うように転がったレオが笑顔で口を開く。
「何か1人で楽しそうなんだよねぇ、リーゼちゃん。僕にもその楽しいこと、教えて欲しいな?」
水によって潤み度増幅中の吸い込まれそうな翠の瞳で見つめられて、リーゼの脳内はショートする。
「そ、そ、そ、そ、そんな滅相もないですっっっ!!!!」
ぎゃあと飛びすさりたいのに両手首はしっかりと男性の力で掴まれていて、びくともしないことに更なるパニックが襲う。
「こら、レオ!! 嫁入り前だぞ!!」
呑気な感じで苦言を呈するアッシュに、ほら嫁が怒ってますよ!! なんて言いたいのに言えなくて、リーゼはどくどくと先ほどまでとは別の意味で鳴る胸を持て余す。
「……まぁ仕方ないか。じゃぁほら、暑いし、リーゼちゃんも足首くらい一緒に浸かろうよ。大丈夫、姑みたいにうるさいアッシュが黙ってればバレないよ」
「お前ケンカ売ってるだろ……っ!!」
上等だ!! とギリギリとしながらぷんぷんと怒るアッシュを意に介さず、レオはリーゼの身体をいとも簡単に引き起こす。
「さ、行こ」
上半身裸でずぶ濡れでも、十二分に王子様みたいにキラキラとしたレオにそのまま手を引かれて、リーゼは未だどきどきと高鳴る胸を持て余して1人考える。
アッシュお兄さまを陥落させるレオ様、恐るべし……っっ!!! とーー。
さらに言えば湖の上には裸の上半身しか出ていないため、真昼間の屋外で何か見てはいけないものを見ている気分になってモゾモゾしてくる。
「ぶっっっっ!!!!」
あまりの衝撃に、リーゼはバチーンと高らかな音を響かせながら自身の鼻を押さえて後ろに倒れ込んだ。
「えっ!? おい、どうした!?」
「リーゼちゃん!?」
ギョッとした様子の2人が、目を見張ってバシャバシャと水音を響かせながら駆け寄ってくる。
「大丈夫?」
「…………お前、笑ってねーか…………?」
覗き込んでくる2人の気配と声音は、両者の表情を想像するに容易い。
ーーこれ、知ってます!! 何だったかしら、そう、あれです!! いっそわざとですよねって突っ込みたくなる【誘い受け】ってやつですねっ!!?
鼻どころか、にやけを堪えられない口元と目元すべてを何としてでも隠さないといけなくなる。
リーゼは草の上で顔面を両手で覆いながら横向きにゴロンとまるまって小刻みに震えた。貴族令嬢などとヘソで茶を沸かせる光景である。
「す、すみません、大丈夫なのでどうぞ続きを……っ!」
「……続きってなんだ」
意味がわからないけれど確実に何かよくないことが起こっていることを察知してイヤそうに顔を歪めるアッシュに、笑顔を浮かべながらも少し困惑気味なレオ。そして別次元ではぁはぁと荒い息を押し殺すことに必死なリーゼ。
「ん? おい、レオ?」
何か気になるアッシュの声が聞こえた気がして、鼻血とか出てないかしらと本気で心配しつつも、リーゼは近寄ってくる誰かの気配を察知してそうっと手のひらをどかす。
指の隙間から漏れ見えるキラキラとした金色は陽の光かしらなんて、先ほどの光景を悠長に反芻しながら両手をどかそうとすると、なぜか両手首を誰かに掴まれた。
「ん…………?」
思わず目が点になりつつも、横向きのままにリーゼが目前へと視線を移せば、そこには水に濡れて色気が増しているレオの、目が潰れそうな破壊力のご尊顔が。
「んんっっ!?」
思わずピシリと固まるリーゼに、リーゼのそばに寄り添うように転がったレオが笑顔で口を開く。
「何か1人で楽しそうなんだよねぇ、リーゼちゃん。僕にもその楽しいこと、教えて欲しいな?」
水によって潤み度増幅中の吸い込まれそうな翠の瞳で見つめられて、リーゼの脳内はショートする。
「そ、そ、そ、そ、そんな滅相もないですっっっ!!!!」
ぎゃあと飛びすさりたいのに両手首はしっかりと男性の力で掴まれていて、びくともしないことに更なるパニックが襲う。
「こら、レオ!! 嫁入り前だぞ!!」
呑気な感じで苦言を呈するアッシュに、ほら嫁が怒ってますよ!! なんて言いたいのに言えなくて、リーゼはどくどくと先ほどまでとは別の意味で鳴る胸を持て余す。
「……まぁ仕方ないか。じゃぁほら、暑いし、リーゼちゃんも足首くらい一緒に浸かろうよ。大丈夫、姑みたいにうるさいアッシュが黙ってればバレないよ」
「お前ケンカ売ってるだろ……っ!!」
上等だ!! とギリギリとしながらぷんぷんと怒るアッシュを意に介さず、レオはリーゼの身体をいとも簡単に引き起こす。
「さ、行こ」
上半身裸でずぶ濡れでも、十二分に王子様みたいにキラキラとしたレオにそのまま手を引かれて、リーゼは未だどきどきと高鳴る胸を持て余して1人考える。
アッシュお兄さまを陥落させるレオ様、恐るべし……っっ!!! とーー。
148
お気に入りに追加
245
あなたにおすすめの小説
最悪なお見合いと、執念の再会
当麻月菜
恋愛
伯爵令嬢のリシャーナ・エデュスは学生時代に、隣国の第七王子ガルドシア・フェ・エデュアーレから告白された。
しかし彼は留学期間限定の火遊び相手を求めていただけ。つまり、真剣に悩んだあの頃の自分は黒歴史。抹消したい過去だった。
それから一年後。リシャーナはお見合いをすることになった。
相手はエルディック・アラド。侯爵家の嫡男であり、かつてリシャーナに告白をしたクズ王子のお目付け役で、黒歴史を知るただ一人の人。
最低最悪なお見合い。でも、もう片方は執念の再会ーーの始まり始まり。
とまどいの花嫁は、夫から逃げられない
椎名さえら
恋愛
エラは、親が決めた婚約者からずっと冷淡に扱われ
初夜、夫は愛人の家へと行った。
戦争が起こり、夫は戦地へと赴いた。
「無事に戻ってきたら、お前とは離婚する」
と言い置いて。
やっと戦争が終わった後、エラのもとへ戻ってきた夫に
彼女は強い違和感を感じる。
夫はすっかり改心し、エラとは離婚しないと言い張り
突然彼女を溺愛し始めたからだ
______________________
✴︎舞台のイメージはイギリス近代(ゆるゆる設定)
✴︎誤字脱字は優しくスルーしていただけると幸いです
✴︎なろうさんにも投稿しています
私の勝手なBGMは、懐かしすぎるけど鬼束ちひろ『月光』←名曲すぎ
妻と夫と元妻と
キムラましゅろう
恋愛
復縁を迫る元妻との戦いって……それって妻(わたし)の役割では?
わたし、アシュリ=スタングレイの夫は王宮魔術師だ。
数多くの魔術師の御多分に漏れず、夫のシグルドも魔術バカの変人である。
しかも二十一歳という若さで既にバツイチの身。
そんな事故物件のような夫にいつの間にか絆され絡めとられて結婚していたわたし。
まぁわたしの方にもそれなりに事情がある。
なので夫がバツイチでもとくに気にする事もなく、わたしの事が好き過ぎる夫とそれなりに穏やかで幸せな生活を営んでいた。
そんな中で、国王肝入りで魔術研究チームが組まれる事になったのだとか。そしてその編成されたチームメイトの中に、夫の別れた元妻がいて………
相も変わらずご都合主義、ノーリアリティなお話です。
不治の誤字脱字病患者の作品です。
作中に誤字脱字が有ったら「こうかな?」と脳内変換を余儀なくさせられる恐れが多々ある事をご了承下さいませ。
性描写はありませんがそれを連想させるワードが出てくる恐れがありますので、破廉恥がお嫌いな方はご自衛下さい。
小説家になろうさんでも投稿します。
【完結】溺愛婚約者の裏の顔 ~そろそろ婚約破棄してくれませんか~
瀬里
恋愛
(なろうの異世界恋愛ジャンルで日刊7位頂きました)
ニナには、幼い頃からの婚約者がいる。
3歳年下のティーノ様だ。
本人に「お前が行き遅れになった頃に終わりだ」と宣言されるような、典型的な「婚約破棄前提の格差婚約」だ。
行き遅れになる前に何とか婚約破棄できないかと頑張ってはみるが、うまくいかず、最近ではもうそれもいいか、と半ばあきらめている。
なぜなら、現在16歳のティーノ様は、匂いたつような色香と初々しさとを併せ持つ、美青年へと成長してしまったのだ。おまけに人前では、誰もがうらやむような溺愛ぶりだ。それが偽物だったとしても、こんな風に夢を見させてもらえる体験なんて、そうそうできやしない。
もちろん人前でだけで、裏ではひどいものだけど。
そんな中、第三王女殿下が、ティーノ様をお気に召したらしいという噂が飛び込んできて、あきらめかけていた婚約破棄がかなうかもしれないと、ニナは行動を起こすことにするのだが――。
全7話の短編です 完結確約です。
追放された悪役令嬢はシングルマザー
ララ
恋愛
神様の手違いで死んでしまった主人公。第二の人生を幸せに生きてほしいと言われ転生するも何と転生先は悪役令嬢。
断罪回避に奮闘するも失敗。
国外追放先で国王の子を孕んでいることに気がつく。
この子は私の子よ!守ってみせるわ。
1人、子を育てる決心をする。
そんな彼女を暖かく見守る人たち。彼女を愛するもの。
さまざまな思惑が蠢く中彼女の掴み取る未来はいかに‥‥
ーーーー
完結確約 9話完結です。
短編のくくりですが10000字ちょっとで少し短いです。
懐妊を告げずに家を出ます。最愛のあなた、どうかお幸せに。
梅雨の人
恋愛
最愛の夫、ブラッド。
あなたと共に、人生が終わるその時まで互いに慈しみ、愛情に溢れる時を過ごしていけると信じていた。
その時までは。
どうか、幸せになってね。
愛しい人。
さようなら。
【完結】引きこもりが異世界でお飾りの妻になったら「愛する事はない」と言った夫が溺愛してきて鬱陶しい。
千紫万紅
恋愛
男爵令嬢アイリスは15歳の若さで冷徹公爵と噂される男のお飾りの妻になり公爵家の領地に軟禁同然の生活を強いられる事になった。
だがその3年後、冷徹公爵ラファエルに突然王都に呼び出されたアイリスは「女性として愛するつもりは無いと」言っていた冷徹公爵に、「君とはこれから愛し合う夫婦になりたいと」宣言されて。
いやでも、貴方……美人な平民の恋人いませんでしたっけ……?
と、お飾りの妻生活を謳歌していた 引きこもり はとても嫌そうな顔をした。
【完結】大好き、と告白するのはこれを最後にします!
高瀬船
恋愛
侯爵家の嫡男、レオン・アルファストと伯爵家のミュラー・ハドソンは建国から続く由緒ある家柄である。
7歳年上のレオンが大好きで、ミュラーは幼い頃から彼にべったり。ことある事に大好き!と伝え、少女へと成長してからも顔を合わせる度に結婚して!ともはや挨拶のように熱烈に求婚していた。
だけど、いつもいつもレオンはありがとう、と言うだけで承諾も拒絶もしない。
成人を控えたある日、ミュラーはこれを最後の告白にしよう、と決心しいつものようにはぐらかされたら大人しく彼を諦めよう、と決めていた。
そして、彼を諦め真剣に結婚相手を探そうと夜会に行った事をレオンに知られたミュラーは初めて彼の重いほどの愛情を知る
【お互い、モブとの絡み発生します、苦手な方はご遠慮下さい】
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる