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第11話 名前【ソウシャ村】
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「ここが、集落のあった場所ですね」
俺と右腕に包帯を巻いたチェイミ、老人のシェシェクさんと共にバナッシュがいたであろうゴブリンの村にやってきていた。
そこには黒く丸焦げになってしまった家があった。
崖があってそこから水平線を眺める事が出来た。
太陽が昇ってきたらさぞかし眩しいだろうと思った。
集落と言っても、ただ畑がものスゴイだけで、建物がある訳ではなかった。
馬鈴薯畑、人参畑、玉蜀黍畑、小麦畑、その他にも沢山の畑。
ゴブリン3兄弟が一生懸命育てた畑。
それを上手く有効活用していこう。
1人の少女が丸焦げの家の手前に体育座りしていた。
全身が煤で覆われており、誰か分からなかったけど、バナッシュだった。
彼女はとても悲しそうにこちらを見ていた。
「バナッシュだろ」
「ようやく来たのね、待ちくたびれたわ」
「最初の頃であったバナッシュだよな? 闇の神バルスじゃないよな?」
「あの時はおかしくなってたの、本当にごめんなさい」
「良いんだよ」
俺はなんとなくバナッシュの小さな頭を撫でていた。
暖かい温もりが右手から伝わってきていた。
「じゃあ、ここに魔族20名を解放しようと思う、バナッシュ良いかい? ここを村にしていこうと思うんだけどさ」
「もちろんよ」
「ではやろう」
アイテムボックス、空間に亀裂が走ると。
まるで異世界から召喚されるように20名の魔族が現れた。
彼等はきょとんとこちらを見ると。
辺りを怪訝な表情で眺めていた。
1人また1人と歓声をあげて、こちらを見ていた訳だ。
エルフ6名、ドワーフ6名、コボルト4名、オーク4名。
男女比は均等に分けられている訳だが。
彼等の体内にはきっと魔石なるものがある訳で。
勇者グリングシャはきっとその魔石が目的だったのだろうけど。
真実は彼に聞くしかないのだろう。
「さてと、皆さん、色々と大変だと思うのですが、この村の名前を付けたいと思います」
「いいな、それは」
「ほほう」
チェイミとシェシェクさんが頷いてくれる。
それに対してバナッシュはうーんと頷いて。
「どんな名前?」
「ソウシャ村なんてのはどうだい? 創者という意味なんだけどさ」
「いいね、名前的にいいと思うの」
「じゃあ、決まりだね」
元々この集落のような場所に住んでいたのはバナッシュだから、バナッシュの許可が無い限り勝手に名前を付ける訳にはいかない。
なのでバナッシュの許可が下りたので。
この村の名前はソウシャ村という事になった。
「まずは役割分担じゃのう」
「あのー1つ質問良いですか?」
俺が深々と頭を下げて、シェシェクさんに尋ねる。
「なんでここまで付き合ってくれるんですか? シェシェクさん」
「いやのう、若い者が成長していくのを見ていると楽しみで仕方ない事じゃからのう」
「そうでしたか、では今後もよろしくお願いしますね、シェシェクさん」
「もちろんじゃのう」
シェシェクさんは眉毛の無い状態でにこにこと微笑んでいた。
「役割分担をしようと思います」
「では、私達は木材を伐採する事に集中します。エルフ族は森を癒す事をしますが、時には森から命をもらい受ける時もあります」
「では、エルフ族の方達に木材収集をお願いします」
「じゃら、ドワーフ族のわし等は鍛冶道具を製作する為に、石材やらなんたらの鉱石を集めようと思うんじゃが良かろうか」
「よろしくお願いします」
「そうだ。私の名前はエルフ族のエルディでございます」
「わしは、ドワーフ族のカッドじゃ」
「エルフ族のリーダーがエルディさんで、ドワーフ族のリーダーがカッドさんという事で」
「はい」
「うむ」
エルディさんはとても頑丈そうなエルフ族の男性だった。
衣服は奴隷だったのでぼろぼろだったが、これから服も街等で購入していく必要がありそうだ。
「オレラは畑仕事がトクイだぞ」
「あなたは、オーク族でしたね」
「名前はギッチョアだ」
「では、ギッチョアさんがオーク族のリーダーです」
「はっ了解した」
ギッチョアさんは豚のような顔立ちをしているオーク族で、背丈は俺と同じくらいだった。
中学生くらいの背丈より少し低いという感じだ。
「ボクラは狩りが得意だ」
「コボルト族ですね」
「あっしはコボルト族のドッグンだ」
「では、ドッグンさんがリーダーでよろしくお願いします」
コボルト族のドッグンさんは犬のような顔をしており。
ダックスフントが二足歩行になったらこんな人間になるのだろうという姿をしている。
どうやら女性のようで、女性なのであっしという所が意外だった。
エルフ族=エルディ
ドワーフ族=カッド
オーク族=ギッチョア
コボルト族=ドッグン
という図式の4名がリーダーとなった訳で、この中で女性はドッグンさんだけとなっている。
男性比率のリーダーが多い気がしたが、偶然そうなってしまったようだ。
「それでは仕事に取り掛かってください」
全員が頷いたが、シェシェクさんは腕組みして考えているようだ。
「この丸焦げになった家を修復できるかもしれない」
「本当なの!」
バナッシュが瞳を輝かせながらシェシェクさんを見ていた。
次にバナッシュは両手で喜びの意思を示すかのように、お願いのポーズを取った。
「もちろんですよ、では、海の魔法をお見せしましょう」
シェシェクさんは懐から瓶を取り出した。
白い粉のようなものがあり、それが塩だと分かった。
それを丸焦げになった木材が積まれた家の残骸に、魔法の粉のように振りかけた。
次の瞬間、塩が丸焦げになった木々を自己再生し始めた。
塩そのものが木々から焦げの部分を取り出し、失われた部分を再生していたのだ。
次に木材が立ち上がり、次から次へと複合的に合体を始めた。
しかも再生だけでは終わらず分裂を繰り返し。
元々小さい家だったはずなのに、巨大な家へと変貌を辿った。
「わしは海の魔法を使えます。海の塩には記憶を再生させる力があります。この家には大きな思い出がつまっており、その思い出の比率にそってってでかああああああ、思い出でかあああああ」
そこには巨大すぎる1軒の家が建っていた。
家はざっと20階建てくらいだろう。
木材のビルと表現していいかもしれない。
この世界ではこれを塔と呼ぶ事が相応しい気がするが。
見るからに家が真っすぐに建っているだけなのだ。
「ふふ、ジャスカもデャスカもブャスカもとっても大きな家をいつか建てたいと言っていたわ、いつか魔王でも住めるような塔にね」
「こりゃー凄い思い出だな、この塔に皆でしばらく住めるだろうし、宿屋として経営していくのもいいかもしれないなぁ」
「うんうん、そうしようよ」
先程まで暗い顔つきをしていたバナッシュは、今では光の子供のように元気になっていた。
「俺に何が出来るだろうか」
考えた。
出来る事と言ったら創造で何かを作り出す事くらい。
代償として思い出が消えていく。
これを上手く活用出来ればいいんだけど。
「光の神ラバスが教えてくれた。ヴェイクの創造の力、それは思い出を失って作り出してるだけ、作り出したものを消せば思い出は戻って来るはずだと」
「何だって、それは本当か!」
「後、力の作用で失う思い出が決まるから、それを作る前に自分に問いかける物を創造したほうがいいって、声になって伝えてくれる物。例えば生き物だとか」
「俺に生き物が創造出来るだろうか」
「そうしないと、どのくらい消費してどのくらいの物が作れるか分からないって、本当にしょぼくて小さい物でいいらしい、生き物ではなくても言葉として伝えてくれる媒体、音楽のようなもの」
「なるほど、それがあったか」
俺は咄嗟に思いついた。
一人ぼっちでいた時、いつもスマホで音楽を聴いていた。
スマホをこの世界で再現したら良いけど、その分、思い出が沢山消えてしまいそうだった。
それだけスマホはクオリティーが高そうだからだ。
だから単純に出来る方法としては、ウォークマンがよかった。
ただ音楽を奏でるそれ。
Bluetooth機能のイヤホンも創造出来れば。
もっと創造を絞ると、イヤホンだけで成立するウォークマンを創造する事にした。
消えて行った思い出は、唯一出来た友達の記憶だった。
初めて出来た友達の記憶。
カードゲームで遊んだ友達の記憶。
それがごっそり消えてしまい、残ったのはただのカードだけの思い出だったのだから。
黒いイヤホンだけの物が生まれた。
それを俺は耳に装着した。
【こんにちわ、光の神ラバスです。言葉が聞こえるでしょうか】
「ああ、聞こえるよ」
【では、作りたいものを教えてください、それがどのくらいの思い出と交換する必要があるかを教えする事が出来るでしょう】
「ああ、ありがとう、今考えてみるよ」
今までに創造したのは、破壊的に強い剣。
破壊的に強い剣は幼馴染の思い出が消えている。
「質問だ。破壊的な剣を使用した時、思い出がさらに消えているが、それは戻って来るのか」
【はい、消費した思い出は使用した物に蓄積されているでしょう】
なら戻って来るのかと安心したが、剣を使用しすぎて思い出を全て失ってしまっては廃人同然なので、気を付けないといけないなと思った。
次に、アイテムボックスで使用した思い出は家族の思い出だ。
家族の顔や成り立ちがまったく思い出せない。
だが、これを消してしまう訳にはいかない。
破壊的に強い剣も、アイテムボックスも消してしまうと色々と支障が出る。
さて、どうするか。
俺は思考を張り巡らした。
俺と右腕に包帯を巻いたチェイミ、老人のシェシェクさんと共にバナッシュがいたであろうゴブリンの村にやってきていた。
そこには黒く丸焦げになってしまった家があった。
崖があってそこから水平線を眺める事が出来た。
太陽が昇ってきたらさぞかし眩しいだろうと思った。
集落と言っても、ただ畑がものスゴイだけで、建物がある訳ではなかった。
馬鈴薯畑、人参畑、玉蜀黍畑、小麦畑、その他にも沢山の畑。
ゴブリン3兄弟が一生懸命育てた畑。
それを上手く有効活用していこう。
1人の少女が丸焦げの家の手前に体育座りしていた。
全身が煤で覆われており、誰か分からなかったけど、バナッシュだった。
彼女はとても悲しそうにこちらを見ていた。
「バナッシュだろ」
「ようやく来たのね、待ちくたびれたわ」
「最初の頃であったバナッシュだよな? 闇の神バルスじゃないよな?」
「あの時はおかしくなってたの、本当にごめんなさい」
「良いんだよ」
俺はなんとなくバナッシュの小さな頭を撫でていた。
暖かい温もりが右手から伝わってきていた。
「じゃあ、ここに魔族20名を解放しようと思う、バナッシュ良いかい? ここを村にしていこうと思うんだけどさ」
「もちろんよ」
「ではやろう」
アイテムボックス、空間に亀裂が走ると。
まるで異世界から召喚されるように20名の魔族が現れた。
彼等はきょとんとこちらを見ると。
辺りを怪訝な表情で眺めていた。
1人また1人と歓声をあげて、こちらを見ていた訳だ。
エルフ6名、ドワーフ6名、コボルト4名、オーク4名。
男女比は均等に分けられている訳だが。
彼等の体内にはきっと魔石なるものがある訳で。
勇者グリングシャはきっとその魔石が目的だったのだろうけど。
真実は彼に聞くしかないのだろう。
「さてと、皆さん、色々と大変だと思うのですが、この村の名前を付けたいと思います」
「いいな、それは」
「ほほう」
チェイミとシェシェクさんが頷いてくれる。
それに対してバナッシュはうーんと頷いて。
「どんな名前?」
「ソウシャ村なんてのはどうだい? 創者という意味なんだけどさ」
「いいね、名前的にいいと思うの」
「じゃあ、決まりだね」
元々この集落のような場所に住んでいたのはバナッシュだから、バナッシュの許可が無い限り勝手に名前を付ける訳にはいかない。
なのでバナッシュの許可が下りたので。
この村の名前はソウシャ村という事になった。
「まずは役割分担じゃのう」
「あのー1つ質問良いですか?」
俺が深々と頭を下げて、シェシェクさんに尋ねる。
「なんでここまで付き合ってくれるんですか? シェシェクさん」
「いやのう、若い者が成長していくのを見ていると楽しみで仕方ない事じゃからのう」
「そうでしたか、では今後もよろしくお願いしますね、シェシェクさん」
「もちろんじゃのう」
シェシェクさんは眉毛の無い状態でにこにこと微笑んでいた。
「役割分担をしようと思います」
「では、私達は木材を伐採する事に集中します。エルフ族は森を癒す事をしますが、時には森から命をもらい受ける時もあります」
「では、エルフ族の方達に木材収集をお願いします」
「じゃら、ドワーフ族のわし等は鍛冶道具を製作する為に、石材やらなんたらの鉱石を集めようと思うんじゃが良かろうか」
「よろしくお願いします」
「そうだ。私の名前はエルフ族のエルディでございます」
「わしは、ドワーフ族のカッドじゃ」
「エルフ族のリーダーがエルディさんで、ドワーフ族のリーダーがカッドさんという事で」
「はい」
「うむ」
エルディさんはとても頑丈そうなエルフ族の男性だった。
衣服は奴隷だったのでぼろぼろだったが、これから服も街等で購入していく必要がありそうだ。
「オレラは畑仕事がトクイだぞ」
「あなたは、オーク族でしたね」
「名前はギッチョアだ」
「では、ギッチョアさんがオーク族のリーダーです」
「はっ了解した」
ギッチョアさんは豚のような顔立ちをしているオーク族で、背丈は俺と同じくらいだった。
中学生くらいの背丈より少し低いという感じだ。
「ボクラは狩りが得意だ」
「コボルト族ですね」
「あっしはコボルト族のドッグンだ」
「では、ドッグンさんがリーダーでよろしくお願いします」
コボルト族のドッグンさんは犬のような顔をしており。
ダックスフントが二足歩行になったらこんな人間になるのだろうという姿をしている。
どうやら女性のようで、女性なのであっしという所が意外だった。
エルフ族=エルディ
ドワーフ族=カッド
オーク族=ギッチョア
コボルト族=ドッグン
という図式の4名がリーダーとなった訳で、この中で女性はドッグンさんだけとなっている。
男性比率のリーダーが多い気がしたが、偶然そうなってしまったようだ。
「それでは仕事に取り掛かってください」
全員が頷いたが、シェシェクさんは腕組みして考えているようだ。
「この丸焦げになった家を修復できるかもしれない」
「本当なの!」
バナッシュが瞳を輝かせながらシェシェクさんを見ていた。
次にバナッシュは両手で喜びの意思を示すかのように、お願いのポーズを取った。
「もちろんですよ、では、海の魔法をお見せしましょう」
シェシェクさんは懐から瓶を取り出した。
白い粉のようなものがあり、それが塩だと分かった。
それを丸焦げになった木材が積まれた家の残骸に、魔法の粉のように振りかけた。
次の瞬間、塩が丸焦げになった木々を自己再生し始めた。
塩そのものが木々から焦げの部分を取り出し、失われた部分を再生していたのだ。
次に木材が立ち上がり、次から次へと複合的に合体を始めた。
しかも再生だけでは終わらず分裂を繰り返し。
元々小さい家だったはずなのに、巨大な家へと変貌を辿った。
「わしは海の魔法を使えます。海の塩には記憶を再生させる力があります。この家には大きな思い出がつまっており、その思い出の比率にそってってでかああああああ、思い出でかあああああ」
そこには巨大すぎる1軒の家が建っていた。
家はざっと20階建てくらいだろう。
木材のビルと表現していいかもしれない。
この世界ではこれを塔と呼ぶ事が相応しい気がするが。
見るからに家が真っすぐに建っているだけなのだ。
「ふふ、ジャスカもデャスカもブャスカもとっても大きな家をいつか建てたいと言っていたわ、いつか魔王でも住めるような塔にね」
「こりゃー凄い思い出だな、この塔に皆でしばらく住めるだろうし、宿屋として経営していくのもいいかもしれないなぁ」
「うんうん、そうしようよ」
先程まで暗い顔つきをしていたバナッシュは、今では光の子供のように元気になっていた。
「俺に何が出来るだろうか」
考えた。
出来る事と言ったら創造で何かを作り出す事くらい。
代償として思い出が消えていく。
これを上手く活用出来ればいいんだけど。
「光の神ラバスが教えてくれた。ヴェイクの創造の力、それは思い出を失って作り出してるだけ、作り出したものを消せば思い出は戻って来るはずだと」
「何だって、それは本当か!」
「後、力の作用で失う思い出が決まるから、それを作る前に自分に問いかける物を創造したほうがいいって、声になって伝えてくれる物。例えば生き物だとか」
「俺に生き物が創造出来るだろうか」
「そうしないと、どのくらい消費してどのくらいの物が作れるか分からないって、本当にしょぼくて小さい物でいいらしい、生き物ではなくても言葉として伝えてくれる媒体、音楽のようなもの」
「なるほど、それがあったか」
俺は咄嗟に思いついた。
一人ぼっちでいた時、いつもスマホで音楽を聴いていた。
スマホをこの世界で再現したら良いけど、その分、思い出が沢山消えてしまいそうだった。
それだけスマホはクオリティーが高そうだからだ。
だから単純に出来る方法としては、ウォークマンがよかった。
ただ音楽を奏でるそれ。
Bluetooth機能のイヤホンも創造出来れば。
もっと創造を絞ると、イヤホンだけで成立するウォークマンを創造する事にした。
消えて行った思い出は、唯一出来た友達の記憶だった。
初めて出来た友達の記憶。
カードゲームで遊んだ友達の記憶。
それがごっそり消えてしまい、残ったのはただのカードだけの思い出だったのだから。
黒いイヤホンだけの物が生まれた。
それを俺は耳に装着した。
【こんにちわ、光の神ラバスです。言葉が聞こえるでしょうか】
「ああ、聞こえるよ」
【では、作りたいものを教えてください、それがどのくらいの思い出と交換する必要があるかを教えする事が出来るでしょう】
「ああ、ありがとう、今考えてみるよ」
今までに創造したのは、破壊的に強い剣。
破壊的に強い剣は幼馴染の思い出が消えている。
「質問だ。破壊的な剣を使用した時、思い出がさらに消えているが、それは戻って来るのか」
【はい、消費した思い出は使用した物に蓄積されているでしょう】
なら戻って来るのかと安心したが、剣を使用しすぎて思い出を全て失ってしまっては廃人同然なので、気を付けないといけないなと思った。
次に、アイテムボックスで使用した思い出は家族の思い出だ。
家族の顔や成り立ちがまったく思い出せない。
だが、これを消してしまう訳にはいかない。
破壊的に強い剣も、アイテムボックスも消してしまうと色々と支障が出る。
さて、どうするか。
俺は思考を張り巡らした。
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