7 / 19
喉から手が出るほど欲しい情報だよっ!
しおりを挟む
「で、どんな武器にしたいのかな?」
制作を請け負った以上は、きっちりと相手の望みどおりのものを作らないとね。そのためにも、まずは依頼者の希望をきっちりと確認確認。
「オレはロッドを、ユリナは薙刀を作ってほしいんだ」
カレルは、今持っているロッドと同種の金属、同種のデザインで、そこに何らかの属性の霊素をまとわせたいと言った。
聞いた範囲でのカレルの戦闘スタイルは、直接自らが戦うっていうよりも、使い魔を使役したり、味方に指示を与える司令塔的な役割をこなしたりといった感じだ。となると、身を護る点を主眼にして、風か地か光あたりが有望かな?
風で飛び道具からの防御、地でとっさの際の土による簡易盾作成、光で簡単な回復効果。こんなところが無難な気がする。
ユリナの槍は、やはり薙刀がいいみたい。柄の長さとか刃先の重量などは同程度で、刃に戦闘に役立つ精霊を何かまとわせたいと話す。
雑魚減らしのために、槍士スキルの広範囲攻撃を多用するって言っていたから、この広範囲攻撃を補助する何かがよさそうかな。
風をプラスして、攻撃と同時に突風で敵を吹き飛ばす? 火をまとわせて、広範囲を一気に燃やし尽くすっていうのもおもしろそう。このへんは、製作段階でもっとユリナと詰めないといけないかな?
「じゃあ、制作途中で私の霊素を注入する感じでいい?」
私はあれこれと頭の中で考えながら、二人に確認をした。
「とりあえず、それで試してみてほしい。失敗したら失敗したで、構わないよ」
カレルがうなずき、隣に立つユリナも「よろしくね」と頭を下げた。
「りょうかーい」
私は同意すると、工房の奥に引っ込んで紙の束を持ってきた。武器制作に必要な素材リストだ。
「じゃあ、制作用素材としてはこんな感じになるけれど。この辺のレア素材って持ってるかな?」
素材リストを二人に提示しながら、確認を取った。
二人の必要とするものの中で、手に入りにくいレア素材がいくつかある。持っていないのなら、取りに行くか、他のプレイヤーの露店から買うしかない。
「うーん、いくつか足らないな。あと、この素材のうちいくつかは、もうワンランク上の素材の採取場所を知っているぞ」
「え! 本当!? もしよければ、案内してほしいな。興味あるよ」
カレルの言葉に、私は心が躍った。
だって、上位素材の採取場所って、秘匿情報だったりするんだよね。独占できれば、いいお小遣い稼ぎになるし、自分の武具の作成、精錬にもためらいなく投入できるから。
なので、そんな素材の採取場所を知れれば、お金以上の価値があるんだ。正直、喉から手が出るほど、その情報が欲しいよ!
「オッケー、任されたよ。採取ついでに案内する」
本当に、カレルたちと知り合ってよかった。これなら、ギルド追放で工房がしばらく使い物にならなくなっても、素材の売買で何とか食いつないでいけそうだ。もし、知り合っていなかったらと思うと……ぞっとする。今頃、途方に暮れていたかもしれない……。
カレルとユリナから、レア素材の採取場所について、地図を使って説明をしてもらった。なんていうか、灯台下暮らし? いつも私が通っている採取場所のすぐそばにあった。この世界、まだまだ知らないことが多いなぁ。
「じゃあ、さっそくレッツゴー!」
準備が整うと、ユリナが元気よく号令をかけた。
「えっと、ここから北だよね?」
念のため、再度確認しておこう。
「ああ、『精霊の大森林』内にあるんだ」
いつも私が武器制作で使う木材『精霊の古木』も、『精霊の大森林』から取ってきている。今回狙うのは、それよりもワンランク上の『精霊樹の古木』だ。
精霊の大森林に生える木々は、通常種の木でも、森林に満たされた霊素によって、他の森で育った木よりも質がいい。普段使っている『精霊の古木』も、精霊の大森林の霊素をたくさん吸収した通常種の木を加工した材木だ。
でも、今回狙う『精霊樹の古木』は、木の種類からして違う。『精霊の大森林』でしか生育できない特殊な木『精霊樹』から作られる材木だ。木材自体にわずかに霊素が含まれるため、精霊術との相性が抜群だった。
制作を請け負った以上は、きっちりと相手の望みどおりのものを作らないとね。そのためにも、まずは依頼者の希望をきっちりと確認確認。
「オレはロッドを、ユリナは薙刀を作ってほしいんだ」
カレルは、今持っているロッドと同種の金属、同種のデザインで、そこに何らかの属性の霊素をまとわせたいと言った。
聞いた範囲でのカレルの戦闘スタイルは、直接自らが戦うっていうよりも、使い魔を使役したり、味方に指示を与える司令塔的な役割をこなしたりといった感じだ。となると、身を護る点を主眼にして、風か地か光あたりが有望かな?
風で飛び道具からの防御、地でとっさの際の土による簡易盾作成、光で簡単な回復効果。こんなところが無難な気がする。
ユリナの槍は、やはり薙刀がいいみたい。柄の長さとか刃先の重量などは同程度で、刃に戦闘に役立つ精霊を何かまとわせたいと話す。
雑魚減らしのために、槍士スキルの広範囲攻撃を多用するって言っていたから、この広範囲攻撃を補助する何かがよさそうかな。
風をプラスして、攻撃と同時に突風で敵を吹き飛ばす? 火をまとわせて、広範囲を一気に燃やし尽くすっていうのもおもしろそう。このへんは、製作段階でもっとユリナと詰めないといけないかな?
「じゃあ、制作途中で私の霊素を注入する感じでいい?」
私はあれこれと頭の中で考えながら、二人に確認をした。
「とりあえず、それで試してみてほしい。失敗したら失敗したで、構わないよ」
カレルがうなずき、隣に立つユリナも「よろしくね」と頭を下げた。
「りょうかーい」
私は同意すると、工房の奥に引っ込んで紙の束を持ってきた。武器制作に必要な素材リストだ。
「じゃあ、制作用素材としてはこんな感じになるけれど。この辺のレア素材って持ってるかな?」
素材リストを二人に提示しながら、確認を取った。
二人の必要とするものの中で、手に入りにくいレア素材がいくつかある。持っていないのなら、取りに行くか、他のプレイヤーの露店から買うしかない。
「うーん、いくつか足らないな。あと、この素材のうちいくつかは、もうワンランク上の素材の採取場所を知っているぞ」
「え! 本当!? もしよければ、案内してほしいな。興味あるよ」
カレルの言葉に、私は心が躍った。
だって、上位素材の採取場所って、秘匿情報だったりするんだよね。独占できれば、いいお小遣い稼ぎになるし、自分の武具の作成、精錬にもためらいなく投入できるから。
なので、そんな素材の採取場所を知れれば、お金以上の価値があるんだ。正直、喉から手が出るほど、その情報が欲しいよ!
「オッケー、任されたよ。採取ついでに案内する」
本当に、カレルたちと知り合ってよかった。これなら、ギルド追放で工房がしばらく使い物にならなくなっても、素材の売買で何とか食いつないでいけそうだ。もし、知り合っていなかったらと思うと……ぞっとする。今頃、途方に暮れていたかもしれない……。
カレルとユリナから、レア素材の採取場所について、地図を使って説明をしてもらった。なんていうか、灯台下暮らし? いつも私が通っている採取場所のすぐそばにあった。この世界、まだまだ知らないことが多いなぁ。
「じゃあ、さっそくレッツゴー!」
準備が整うと、ユリナが元気よく号令をかけた。
「えっと、ここから北だよね?」
念のため、再度確認しておこう。
「ああ、『精霊の大森林』内にあるんだ」
いつも私が武器制作で使う木材『精霊の古木』も、『精霊の大森林』から取ってきている。今回狙うのは、それよりもワンランク上の『精霊樹の古木』だ。
精霊の大森林に生える木々は、通常種の木でも、森林に満たされた霊素によって、他の森で育った木よりも質がいい。普段使っている『精霊の古木』も、精霊の大森林の霊素をたくさん吸収した通常種の木を加工した材木だ。
でも、今回狙う『精霊樹の古木』は、木の種類からして違う。『精霊の大森林』でしか生育できない特殊な木『精霊樹』から作られる材木だ。木材自体にわずかに霊素が含まれるため、精霊術との相性が抜群だった。
0
お気に入りに追加
92
あなたにおすすめの小説
Fragment-memory of future-Ⅱ
黒乃
ファンタジー
小説内容の無断転載・無断使用・自作発言厳禁
Repost is prohibited.
무단 전하 금지
禁止擅自转载
W主人公で繰り広げられる冒険譚のような、一昔前のRPGを彷彿させるようなストーリーになります。
バトル要素あり。BL要素あります。苦手な方はご注意を。
今作は前作『Fragment-memory of future-』の二部作目になります。
カクヨム・ノベルアップ+でも投稿しています
Copyright 2019 黒乃
******
主人公のレイが女神の巫女として覚醒してから2年の月日が経った。
主人公のエイリークが仲間を取り戻してから2年の月日が経った。
平和かと思われていた世界。
しかし裏では確実に不穏な影が蠢いていた。
彼らに訪れる新たな脅威とは──?
──それは過去から未来へ紡ぐ物語
百花繚乱 〜国の姫から極秘任務を受けた俺のスキルの行くところ〜
幻月日
ファンタジー
ーー時は魔物時代。
魔王を頂点とする闇の群勢が世界中に蔓延る中、勇者という職業は人々にとって希望の光だった。
そんな勇者の一人であるシンは、逃れ行き着いた村で村人たちに魔物を差し向けた勇者だと勘違いされてしまい、滞在中の兵団によってシーラ王国へ送られてしまった。
「勇者、シン。あなたには魔王の城に眠る秘宝、それを盗み出して来て欲しいのです」
唐突にアリス王女に突きつけられたのは、自分のようなランクの勇者に与えられる任務ではなかった。レベル50台の魔物をようやく倒せる勇者にとって、レベル100台がいる魔王の城は未知の領域。
「ーー王女が頼む、その任務。俺が引き受ける」
シンの持つスキルが頼りだと言うアリス王女。快く引き受けたわけではなかったが、シンはアリス王女の頼みを引き受けることになり、魔王の城へ旅立つ。
これは魔物が世界に溢れる時代、シーラ王国の姫に頼まれたのをきっかけに魔王の城を目指す勇者の物語。
戦争に行くキミのために、僕は剣を鍛え上げる。
クロモリ
ファンタジー
異世界×純愛
剣が結び、斬り裂いていくふたりの絆
貧乏鍛冶屋のギレイは、名のある騎士団長のミシュアに、剣の制作を依頼される。
剣の制作期間はミシュアが魔族との戦争に行くまで――
鍛冶小屋に引きこもって鉄を打ち続けたせいで、世間ズレしている天然ギレイ。そのズレ方は剣の制作にも表れ、一人の剣士のためだけに時間と手間をかけるオーダーメイド。
騎士団長として部下の命を預かるという重圧に心が軋むミシュア。それでも、行かざるを得ない戦争に、だから、命を預けられる剣を欲していた。
ただ一振りの剣を鍛え上げる二人の密やかな日々は、けれど、その出会いから別たれることが決まっていた――
※お気に入り登録、感想などしていただけると、ありがたいです。
鬼切りの刀に憑かれた逢神は鬼姫と一緒にいる
ぽとりひょん
ファンタジー
逢神も血筋は鬼切の刀に憑りつかれている、たけるも例外ではなかったが鬼姫鈴鹿が一緒にいることになる。 たけると鈴鹿は今日も鬼を切り続ける。
金貨増殖バグが止まらないので、そのまま快適なスローライフを送ります
桜井正宗
ファンタジー
無能の落ちこぼれと認定された『ギルド職員』兼『ぷちドラゴン』使いの『ぷちテイマー』のヘンリーは、職員をクビとなり、国さえも追放されてしまう。
突然、空から女の子が降ってくると、キャッチしきれず女の子を地面へ激突させてしまう。それが聖女との出会いだった。
銀髪の自称聖女から『ギフト』を貰い、ヘンリーは、両手に持てない程の金貨を大量に手に入れた。これで一生遊んで暮らせると思いきや、金貨はどんどん増えていく。増殖が止まらない金貨。どんどん増えていってしまった。
聖女によれば“金貨増殖バグ”だという。幸い、元ギルド職員の権限でアイテムボックス量は無駄に多く持っていたので、そこへ保管しまくった。
大金持ちになったヘンリーは、とりあえず念願だった屋敷を買い……スローライフを始めていく!?
虹色のプレゼントボックス
紀道侑
ファンタジー
安田君26歳が自宅でカップ麺を食ってたら部屋ごと異世界に飛ばされるお話です。
安田君はおかしな思考回路の持ち主でわけのわからないことばっかりやります。
わけのわからない彼は異世界に転移してからわけのわからないチート能力を獲得します。
余計わけのわからない人物に進化します。
作中で起きた事件の真相に迫るのが早いです。
本当に尋常じゃないほど早いです。
残念ながらハーレムは無いです。
全年齢対象で男女問わず気軽に読めるゆるいゆる~いストーリーになっていると思いますので、お気軽にお読みください。
未公開含めて30話分くらいあったのですが、全部行間がおかしくなっていたので、再アップしています。
行間おかしくなっていることに朝の4時に気づいて右往左往して泣く泣く作品を削除しました。
なかなかに最悪な気分になりました。
お気に入りしてくださった方、申し訳ありません。
というかしょっちゅう二行も三行も行間が空いてる小説をよくお気に入りしてくださいましたね。
お気に入りしてくださった方々には幸せになってほしいです。
遺された日記【完】
静月
ファンタジー
※鬱描写あり
今では昔、巨大な地響きと共に森の中にダンジョンが出現した。
人々はなんの情報もない未知の構造物に何があるのか心を踊らせ次々にダンジョンへと探索に入った。
しかし、ダンジョンの奥地に入った者はほぼ全て二度と返ってくることはなかった。
偶に生き残って帰還を果たす者もいたがその者たちは口を揃えて『ダンジョンは人が行って良いものではない』といったという。
直に人もダンジョンには近づかなくなっていって今に至る
婚約破棄された検品令嬢ですが、冷酷辺境伯の子を身籠りました。 でも本当はお優しい方で毎日幸せです
青空あかな
恋愛
旧題:「荷物検査など誰でもできる」と婚約破棄された検品令嬢ですが、極悪非道な辺境伯の子を身籠りました。でも本当はお優しい方で毎日心が癒されています
チェック男爵家長女のキュリティは、貴重な闇魔法の解呪師として王宮で荷物検査の仕事をしていた。
しかし、ある日突然婚約破棄されてしまう。
婚約者である伯爵家嫡男から、キュリティの義妹が好きになったと言われたのだ。
さらには、婚約者の権力によって検査係の仕事まで義妹に奪われる。
失意の中、キュリティは辺境へ向かうと、極悪非道と噂される辺境伯が魔法実験を行っていた。
目立たず通り過ぎようとしたが、魔法事故が起きて辺境伯の子を身ごもってしまう。
二人は形式上の夫婦となるが、辺境伯は存外優しい人でキュリティは温かい日々に心を癒されていく。
一方、義妹は仕事でミスばかり。
闇魔法を解呪することはおろか見破ることさえできない。
挙句の果てには、闇魔法に呪われた荷物を王宮内に入れてしまう――。
※おかげさまでHOTランキング1位になりました! ありがとうございます!
※ノベマ!様で短編版を掲載中でございます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる