234 / 272
第二十一章 隠れアジトにて
3-2 わたくしの愛する家族のために~中編~
しおりを挟む
アリツェの最初の子の出産から、四年が経った。
生まれた息子エミルも四歳となり、公爵邸はだいぶにぎやかな毎日を送っていた。あちこち我が物顔で走り回るエミルに、サーシャをはじめとした侍女たちは、すっかり振り回されっぱなしだ。
「いけません、エミル! そちらへ行ってはダメですわ!」
アリツェは叫んだ。だが、エミルは知らん顔で奥のクローゼットの中へ隠れようとする。しかし、すかさずサーシャに首根っこを掴まれ、アリツェの傍へと連れてこられた。
「まったく、誰に似たのかしら。わんぱくで困りますわ!」
アリツェはエミルの顔を覗き込み、「おいたばかりしていては、おやつ抜きにしますわよ」と叱る。
ドミニクの面影を色濃く残すエミルの顔が、みるみるうちにクシャっと歪んでいく。
「まぁまぁ、奥様。元気なことは、とても良いことだと思いますよ」
アリツェに叱られしょぼくれるエミルを見て哀れに思ったのか、サーシャが助け舟を出した。
「そうはいっても、サーシャ。元気過ぎても困りものですわっ! 万が一、怪我でもしたらと思うと、わたくし……。あ、また!」
エミルはアリツェの一瞬の隙を見て、再び駆け出した。今度は窓際でお座りをしているペスの元に寄っていき、隣に座り込んだ。そのままキャッキャキャッキャと笑いながら、ペスのしっぽをぐいぐいと引っ張り出した。
だが、そこはさすがにペスだ。幼児の力で引っ張られた程度では、物ともしない。チラリとエミルに視線をくれつつ、適当にあしらっていた。
「相手がペスだからいいものの、ハラハラいたしますわ」
アリツェは眉をひそめ、少しそわそわしながら我が子の行動を見つめた。
「ふふふ、可愛らしいじゃないですか」
サーシャは忍び笑いを漏らしつつ、エミルの傍に寄っていった。
「レオナがおとなしい分、エミルの活発さが余計に目立ちますわ……」
アリツェは隣ですやすやと寝入っている幼女を見遣りつつ、大きなため息をついた。この幼女レオナは、ガブリエラとシモンの子供だ。エミルよりも半年生まれるのが遅かったが、エミルよりもよっぽどおりこうさんだった。
「私がしっかり見張っておりますし、あちらでもガブリエラが目を光らせております。御心配には及びませんよ」
ペスの尻尾を掴んだまま離そうとしないエミルを引きはがしつつ、サーシャはアリツェに優しく声をかけた。
「身重で自由に動けないのが、もどかしいですわ」
アリツェは大きくなった自身のお腹に手を当てた。幾度か掌に衝撃を感じる。お腹の子が、元気に動き回っているのだろう。
「あきらめておとなしくなさっていてください。エミル様のためにも、ね。弟になるのか、妹になるのか、まだわかりませんが、元気なお子を産んで、エミル様を喜ばせてあげてください」
サーシャはエミルを抱きかかえ、苦笑を浮かべながら、アリツェの座るソファーへと戻ってきた。
「もちろん、そのつもりですわ。ただ、ちょっと退屈過ぎて」
レオナのつやつやの黒髪を撫でつつ、アリツェは口を尖らせた。
「旦那様がいらっしゃらなくて、お寂しいんですね。わかります」
「本当ですわ! あぁ、ドミニク成分が不足中ですわ!」
サーシャの言葉に、アリツェは両眉を上げ、嘆きの声を張り上げた。
「でも、旦那様の今回の視察、重要な案件なんですよね?」
サーシャはアリツェに相対するようにソファーへと腰を下ろし、そのすぐわきにエミルも座らせた。エミルは不満げな声を上げるも、サーシャがおかっぱの金髪を撫でてやると、途端におとなしくなる。
……アリツェは解せなかった。自分の言うことは全然聞かないくせに、サーシャに言われれば素直に従う我が息子。少し、サーシャに嫉妬をしてしまう。思わずぎゅっと口を真一文字に結び、サーシャにジト目を向けた。
アリツェの視線に気づいたサーシャが、何やら勝ち誇った微笑を浮かべている。悔しい……。
「お兄様から、大司教一派に関する情報が入りましたの。我が領のはずれに、世界再生教の破却された施設が取り残されていて、最近そこに何者かが出入りしているのではないかと」
アリツェはため息交じりにサーシャに語ると、テーブルに置かれたクッキーを一つまみ取って、口に運んだ。
「公爵領内で、何か悪だくみでもされていたら嫌ですね……」
サーシャはちらりとエミルに目を向け、不安げな表情を見せた。
退屈さに負けたのか、エミルはいつの間にか眠っていた。サーシャに寄りかかりつつ、可愛らしい寝息を立てている。
「まったくですわ。……領民のためにも、そして、わたくしの愛する家族のためにも、心配の芽は確実に摘んでおかねばなりませんわ」
すやすやと寝入っているエミルを、アリツェは目を細めながら見つめた。
アリツェは誓う。この子たちのためにも、やれるだけのことはやろうと。アリツェは願う。この子たちの悲しむ姿は、決して見たくはないと。
「大司教たちの行方、相変わらず決定的な情報は入ってきていないんですよね?」
サーシャはアリツェに顔を向けなおし、首を傾げた。
「残念ながら……。クリスティーナが王太子妃になって身動きが取れず、わたくしも身重で動けません。ドミニクも発展途上の領の領主なので、おいそれと領外には出られません。今、大司教捜索に動き回れているのが、お兄様配下の、かつての導師部隊だけですわ」
アリツェは頭を抱えながら、力なくつぶやいた。
大司教捜索は、今完全に行き詰っていた。時折ラディムから、今回のように怪しい場所に関する報告は入る。だが、今のところそのすべてが不発だった。
調査に霊素持ちをもっと大々的に投入をしたいところなのだが、現状では厳しい。クリスティーナもラディムも、自らの役割にがんじがらめとなっているし、アリツェも妊娠中で派手に動けない。
ラディムが編成しなおした、かつてのザハリアーシュの導師部隊。彼らだけが、アリツェたちの希望の星だった。
「この広い大陸中央部をくまなく探すのも、二十人くらいの元導師たちだけでは、厳しそうですね。奥様と同い年ですよね、霊素持ちということは」
サーシャは唇に人差し指を当てながら、考え込むように視線を上に向けた。
「えぇ。ですので、面倒な話ではありますが、田舎に行けば霊素持ちの力を知らない者も多数です。どうしても年齢で侮られ、非協力的な態度を取られたり、聞き込みなどもうまくいかないケースが多いと聞いております」
アリツェは現状の手詰まり感を嘆き、ため息をついた。
霊素や精霊術の普及教育も、満足に進められてはいない。精霊教が国教化されたとはいえ、地方に行けば精霊術を見たことのない者が圧倒的になる。元導師たちは、アリツェと同い年の二十歳。その年の若さを嘲り、若造の言うことなど聞けるかと口にする頭の固い人間も、まだまだ多いようだ。
「バカバカしいですね……。大司教たちを野放しにしていれば、世界が再び乱れるかもしれないのに」
サーシャは苦笑を浮かべた。
「まったくです。……わたくし自身が動ければ、もっと話は早いのですが」
アリツェも同感だった。こうもままならない現状を思うと、胸が締め付けられる。いっそ、アリツェ自らが出向いてしまえば、一挙に物事が解決するのではないか、との思いに駆られそうになる。
「だ、ダメですよ、奥様!」
サーシャは泡を食って声を張り上げた。
その声に驚いたのか、エミルはびくっと身体を震わせ、薄目を開けた。
サーシャは少しばつの悪そうな表情を浮かべつつ、すかさずエミルの頭を撫でる。エミルはそのまま、むにゃむにゃと呟きながら、再び寝息を立て始めた。
「もちろん、わかっております。今のわたくしは、まず自らの領と家族の安寧を、第一に考えねばならない立場ですから……」
アリツェはサーシャとエミルのやり取りを、目を細めつつ眺めた。
今エミルの元を離れるわけにはいかない。お腹の中に赤ちゃんもいる。自らの現状は、しっかりと認識しているつもりだった。
「ただ、それでも、遅々として大司教の行方の捜索が進まない現状に、わたくし頭が痛いですわ」
頭ではわかっていても、叫び声を上げたくなるほどの焦燥感を抑えるのは、なかなかに苦しい。胸も痛む。
「ラディム陛下から、もっと確定的な知らせが入るといいですね」
サーシャの言葉に、アリツェは首肯した。
「ただ待つ身というのも、大変心苦しいものですわね。……今も、この空の元で、大司教たちが邪悪な謀をしているのではないかと思うと……」
自らの力で打開をできない現状。周囲を信頼し、今はただひたすら、待ちの姿勢を貫かねばならない。
アリツェは知らぬうちに、服の裾をきつく握りしめていた――。
生まれた息子エミルも四歳となり、公爵邸はだいぶにぎやかな毎日を送っていた。あちこち我が物顔で走り回るエミルに、サーシャをはじめとした侍女たちは、すっかり振り回されっぱなしだ。
「いけません、エミル! そちらへ行ってはダメですわ!」
アリツェは叫んだ。だが、エミルは知らん顔で奥のクローゼットの中へ隠れようとする。しかし、すかさずサーシャに首根っこを掴まれ、アリツェの傍へと連れてこられた。
「まったく、誰に似たのかしら。わんぱくで困りますわ!」
アリツェはエミルの顔を覗き込み、「おいたばかりしていては、おやつ抜きにしますわよ」と叱る。
ドミニクの面影を色濃く残すエミルの顔が、みるみるうちにクシャっと歪んでいく。
「まぁまぁ、奥様。元気なことは、とても良いことだと思いますよ」
アリツェに叱られしょぼくれるエミルを見て哀れに思ったのか、サーシャが助け舟を出した。
「そうはいっても、サーシャ。元気過ぎても困りものですわっ! 万が一、怪我でもしたらと思うと、わたくし……。あ、また!」
エミルはアリツェの一瞬の隙を見て、再び駆け出した。今度は窓際でお座りをしているペスの元に寄っていき、隣に座り込んだ。そのままキャッキャキャッキャと笑いながら、ペスのしっぽをぐいぐいと引っ張り出した。
だが、そこはさすがにペスだ。幼児の力で引っ張られた程度では、物ともしない。チラリとエミルに視線をくれつつ、適当にあしらっていた。
「相手がペスだからいいものの、ハラハラいたしますわ」
アリツェは眉をひそめ、少しそわそわしながら我が子の行動を見つめた。
「ふふふ、可愛らしいじゃないですか」
サーシャは忍び笑いを漏らしつつ、エミルの傍に寄っていった。
「レオナがおとなしい分、エミルの活発さが余計に目立ちますわ……」
アリツェは隣ですやすやと寝入っている幼女を見遣りつつ、大きなため息をついた。この幼女レオナは、ガブリエラとシモンの子供だ。エミルよりも半年生まれるのが遅かったが、エミルよりもよっぽどおりこうさんだった。
「私がしっかり見張っておりますし、あちらでもガブリエラが目を光らせております。御心配には及びませんよ」
ペスの尻尾を掴んだまま離そうとしないエミルを引きはがしつつ、サーシャはアリツェに優しく声をかけた。
「身重で自由に動けないのが、もどかしいですわ」
アリツェは大きくなった自身のお腹に手を当てた。幾度か掌に衝撃を感じる。お腹の子が、元気に動き回っているのだろう。
「あきらめておとなしくなさっていてください。エミル様のためにも、ね。弟になるのか、妹になるのか、まだわかりませんが、元気なお子を産んで、エミル様を喜ばせてあげてください」
サーシャはエミルを抱きかかえ、苦笑を浮かべながら、アリツェの座るソファーへと戻ってきた。
「もちろん、そのつもりですわ。ただ、ちょっと退屈過ぎて」
レオナのつやつやの黒髪を撫でつつ、アリツェは口を尖らせた。
「旦那様がいらっしゃらなくて、お寂しいんですね。わかります」
「本当ですわ! あぁ、ドミニク成分が不足中ですわ!」
サーシャの言葉に、アリツェは両眉を上げ、嘆きの声を張り上げた。
「でも、旦那様の今回の視察、重要な案件なんですよね?」
サーシャはアリツェに相対するようにソファーへと腰を下ろし、そのすぐわきにエミルも座らせた。エミルは不満げな声を上げるも、サーシャがおかっぱの金髪を撫でてやると、途端におとなしくなる。
……アリツェは解せなかった。自分の言うことは全然聞かないくせに、サーシャに言われれば素直に従う我が息子。少し、サーシャに嫉妬をしてしまう。思わずぎゅっと口を真一文字に結び、サーシャにジト目を向けた。
アリツェの視線に気づいたサーシャが、何やら勝ち誇った微笑を浮かべている。悔しい……。
「お兄様から、大司教一派に関する情報が入りましたの。我が領のはずれに、世界再生教の破却された施設が取り残されていて、最近そこに何者かが出入りしているのではないかと」
アリツェはため息交じりにサーシャに語ると、テーブルに置かれたクッキーを一つまみ取って、口に運んだ。
「公爵領内で、何か悪だくみでもされていたら嫌ですね……」
サーシャはちらりとエミルに目を向け、不安げな表情を見せた。
退屈さに負けたのか、エミルはいつの間にか眠っていた。サーシャに寄りかかりつつ、可愛らしい寝息を立てている。
「まったくですわ。……領民のためにも、そして、わたくしの愛する家族のためにも、心配の芽は確実に摘んでおかねばなりませんわ」
すやすやと寝入っているエミルを、アリツェは目を細めながら見つめた。
アリツェは誓う。この子たちのためにも、やれるだけのことはやろうと。アリツェは願う。この子たちの悲しむ姿は、決して見たくはないと。
「大司教たちの行方、相変わらず決定的な情報は入ってきていないんですよね?」
サーシャはアリツェに顔を向けなおし、首を傾げた。
「残念ながら……。クリスティーナが王太子妃になって身動きが取れず、わたくしも身重で動けません。ドミニクも発展途上の領の領主なので、おいそれと領外には出られません。今、大司教捜索に動き回れているのが、お兄様配下の、かつての導師部隊だけですわ」
アリツェは頭を抱えながら、力なくつぶやいた。
大司教捜索は、今完全に行き詰っていた。時折ラディムから、今回のように怪しい場所に関する報告は入る。だが、今のところそのすべてが不発だった。
調査に霊素持ちをもっと大々的に投入をしたいところなのだが、現状では厳しい。クリスティーナもラディムも、自らの役割にがんじがらめとなっているし、アリツェも妊娠中で派手に動けない。
ラディムが編成しなおした、かつてのザハリアーシュの導師部隊。彼らだけが、アリツェたちの希望の星だった。
「この広い大陸中央部をくまなく探すのも、二十人くらいの元導師たちだけでは、厳しそうですね。奥様と同い年ですよね、霊素持ちということは」
サーシャは唇に人差し指を当てながら、考え込むように視線を上に向けた。
「えぇ。ですので、面倒な話ではありますが、田舎に行けば霊素持ちの力を知らない者も多数です。どうしても年齢で侮られ、非協力的な態度を取られたり、聞き込みなどもうまくいかないケースが多いと聞いております」
アリツェは現状の手詰まり感を嘆き、ため息をついた。
霊素や精霊術の普及教育も、満足に進められてはいない。精霊教が国教化されたとはいえ、地方に行けば精霊術を見たことのない者が圧倒的になる。元導師たちは、アリツェと同い年の二十歳。その年の若さを嘲り、若造の言うことなど聞けるかと口にする頭の固い人間も、まだまだ多いようだ。
「バカバカしいですね……。大司教たちを野放しにしていれば、世界が再び乱れるかもしれないのに」
サーシャは苦笑を浮かべた。
「まったくです。……わたくし自身が動ければ、もっと話は早いのですが」
アリツェも同感だった。こうもままならない現状を思うと、胸が締め付けられる。いっそ、アリツェ自らが出向いてしまえば、一挙に物事が解決するのではないか、との思いに駆られそうになる。
「だ、ダメですよ、奥様!」
サーシャは泡を食って声を張り上げた。
その声に驚いたのか、エミルはびくっと身体を震わせ、薄目を開けた。
サーシャは少しばつの悪そうな表情を浮かべつつ、すかさずエミルの頭を撫でる。エミルはそのまま、むにゃむにゃと呟きながら、再び寝息を立て始めた。
「もちろん、わかっております。今のわたくしは、まず自らの領と家族の安寧を、第一に考えねばならない立場ですから……」
アリツェはサーシャとエミルのやり取りを、目を細めつつ眺めた。
今エミルの元を離れるわけにはいかない。お腹の中に赤ちゃんもいる。自らの現状は、しっかりと認識しているつもりだった。
「ただ、それでも、遅々として大司教の行方の捜索が進まない現状に、わたくし頭が痛いですわ」
頭ではわかっていても、叫び声を上げたくなるほどの焦燥感を抑えるのは、なかなかに苦しい。胸も痛む。
「ラディム陛下から、もっと確定的な知らせが入るといいですね」
サーシャの言葉に、アリツェは首肯した。
「ただ待つ身というのも、大変心苦しいものですわね。……今も、この空の元で、大司教たちが邪悪な謀をしているのではないかと思うと……」
自らの力で打開をできない現状。周囲を信頼し、今はただひたすら、待ちの姿勢を貫かねばならない。
アリツェは知らぬうちに、服の裾をきつく握りしめていた――。
0
お気に入りに追加
291
あなたにおすすめの小説
神のいとし子は追放された私でした〜異母妹を選んだ王太子様、今のお気持ちは如何ですか?〜
星河由乃(旧名:星里有乃)
恋愛
「アメリアお姉様は、私達の幸せを考えて、自ら身を引いてくださいました」
「オレは……王太子としてではなく、一人の男としてアメリアの妹、聖女レティアへの真実の愛に目覚めたのだ!」
(レティアったら、何を血迷っているの……だって貴女本当は、霊感なんてこれっぽっちも無いじゃない!)
美貌の聖女レティアとは対照的に、とにかく目立たない姉のアメリア。しかし、地味に装っているアメリアこそが、この国の神のいとし子なのだが、悪魔と契約した妹レティアはついに姉を追放してしまう。
やがて、神のいとし子の祈りが届かなくなった国は災いが増え、聖女の力を隠さなくなったアメリアに救いの手を求めるが……。
* 2023年01月15日、連載完結しました。
* ヒロインアメリアの相手役が第1章は精霊ラルド、第2章からは隣国の王子アッシュに切り替わります。最終章に該当する黄昏の章で、それぞれの関係性を決着させています。お読みくださった読者様、ありがとうございました!
* 初期投稿ではショートショート作品の予定で始まった本作ですが、途中から長編版に路線を変更して完結させました。
* この作品は小説家になろうさんとアルファポリスさんに投稿しております。
* ブクマ、感想、ありがとうございます。
王が気づいたのはあれから十年後
基本二度寝
恋愛
王太子は妃の肩を抱き、反対の手には息子の手を握る。
妃はまだ小さい娘を抱えて、夫に寄り添っていた。
仲睦まじいその王族家族の姿は、国民にも評判がよかった。
側室を取ることもなく、子に恵まれた王家。
王太子は妃を優しく見つめ、妃も王太子を愛しく見つめ返す。
王太子は今日、父から王の座を譲り受けた。
新たな国王の誕生だった。
【完結】私だけが知らない
綾雅(りょうが)祝!コミカライズ
ファンタジー
目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。
優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。
やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。
記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。
【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位
2023/12/19……番外編完結
2023/12/11……本編完結(番外編、12/12)
2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位
2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」
2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位
2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位
2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位
2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位
2023/08/14……連載開始
《勘違い》で婚約破棄された令嬢は失意のうちに自殺しました。
友坂 悠
ファンタジー
「婚約を考え直そう」
貴族院の卒業パーティーの会場で、婚約者フリードよりそう告げられたエルザ。
「それは、婚約を破棄されるとそういうことなのでしょうか?」
耳を疑いそう聞き返すも、
「君も、その方が良いのだろう?」
苦虫を噛み潰すように、そう吐き出すフリードに。
全てに絶望し、失意のうちに自死を選ぶエルザ。
絶景と評判の観光地でありながら、自殺の名所としても知られる断崖絶壁から飛び降りた彼女。
だったのですが。
【完結】彼女以外、みんな思い出す。
❄️冬は つとめて
ファンタジー
R15をつける事にしました。
幼い頃からの婚約者、この国の第二王子に婚約破棄を告げられ。あらぬ冤罪を突きつけられたリフィル。この場所に誰も助けてくれるものはいない。
団長サマの幼馴染が聖女の座をよこせというので譲ってあげました
毒島醜女
ファンタジー
※某ちゃんねる風創作
『魔力掲示板』
特定の魔法陣を描けば老若男女、貧富の差関係なくアクセスできる掲示板。ビジネスの情報交換、政治の議論、それだけでなく世間話のようなフランクなものまで存在する。
平民レベルの微力な魔力でも打ち込めるものから、貴族クラスの魔力を有するものしか開けないものから多種多様である。勿論そういった身分に関わらずに交流できる掲示板もある。
今日もまた、掲示板は悲喜こもごもに賑わっていた――
【完結】『飯炊き女』と呼ばれている騎士団の寮母ですが、実は最高位の聖女です
葉桜鹿乃
恋愛
ルーシーが『飯炊き女』と、呼ばれてそろそろ3年が経とうとしている。
王宮内に兵舎がある王立騎士団【鷹の爪】の寮母を担っているルーシー。
孤児院の出で、働き口を探してここに配置された事になっているが、実はこの国の最も高貴な存在とされる『金剛の聖女』である。
王宮という国で一番安全な場所で、更には周囲に常に複数人の騎士が控えている場所に、本人と王族、宰相が話し合って所属することになったものの、存在を秘する為に扱いは『飯炊き女』である。
働くのは苦では無いし、顔を隠すための不細工な丸眼鏡にソバカスと眉を太くする化粧、粗末な服。これを襲いに来るような輩は男所帯の騎士団にも居ないし、聖女の力で存在感を常に薄めるようにしている。
何故このような擬態をしているかというと、隣国から聖女を狙って何者かが間者として侵入していると言われているためだ。
隣国は既に瘴気で汚れた土地が多くなり、作物もまともに育たないと聞いて、ルーシーはしばらく隣国に行ってもいいと思っているのだが、長く冷戦状態にある隣国に行かせるのは命が危ないのでは、と躊躇いを見せる国王たちをルーシーは説得する教養もなく……。
そんな折、ある日の月夜に、明日の雨を予見して変装をせずに水汲みをしている時に「見つけた」と言われて振り向いたそこにいたのは、騎士団の中でもルーシーに優しい一人の騎士だった。
※感想の取り扱いは近況ボードを参照してください。
※小説家になろう様でも掲載予定です。
追放された聖女の悠々自適な側室ライフ
白雪の雫
ファンタジー
「聖女ともあろう者が、嫉妬に狂って我が愛しのジュリエッタを虐めるとは!貴様の所業は畜生以外の何者でもない!お前との婚約を破棄した上で国外追放とする!!」
平民でありながらゴーストやレイスだけではなくリッチを一瞬で倒したり、どんな重傷も完治してしまうマルガレーテは、幼い頃に両親と引き離され聖女として教会に引き取られていた。
そんな彼女の魔力に目を付けた女教皇と国王夫妻はマルガレーテを国に縛り付ける為、王太子であるレオナルドの婚約者に据えて、「お妃教育をこなせ」「愚民どもより我等の病を治療しろ」「瘴気を祓え」「不死王を倒せ」という風にマルガレーテをこき使っていた。
そんなある日、レオナルドは居並ぶ貴族達の前で公爵令嬢のジュリエッタ(バスト100cm以上の爆乳・KかLカップ)を妃に迎え、マルガレーテに国外追放という死刑に等しい宣言をしてしまう。
「王太子殿下の仰せに従います」
(やっと・・・アホ共から解放される。私がやっていた事が若作りのヒステリー婆・・・ではなく女教皇と何の力もない修道女共に出来る訳ないのにね~。まぁ、この国がどうなってしまっても私には関係ないからどうでもいいや)
表面は淑女の仮面を被ってレオナルドの宣言を受け入れたマルガレーテは、さっさと国を出て行く。
今までの鬱憤を晴らすかのように、着の身着のままの旅をしているマルガレーテは、故郷である幻惑の樹海へと戻っている途中で【宮女狩り】というものに遭遇してしまい、大国の後宮へと入れられてしまった。
マルガレーテが悠々自適な側室ライフを楽しんでいる頃
聖女がいなくなった王国と教会は滅亡への道を辿っていた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる