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第二章 出グリューン

1 どう折り合いをつけましょう

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 悠太の記憶を映像のように追体験した結果、アリツェはかなり正確に状況がつかめてきた。横見悠太のこと、管理者ヴァーツラフのこと、転生のこと、遺伝上の父たるカレル・プリンツと、母たるユリナ・カタクラのこと、そして、『霊素』と『精霊術』のこと――。

 また、アリツェは悠太の記憶も自由に引き出せるようになった。霊素と精霊術の知識も、もちろん思い出した。

「悠太様の知識があれば、わたくし、伝道師になる必要がないような気がしてきましたわ」

(たしかに、知識的にはもうアリツェはこの世界一だといえるよ。でもね、これから生きていくうえで、何らかの後ろ盾は必要になってくると思うぞ。子爵家に狙われているんだろう? なら、なおさら組織には属していたほうがいい)

 アリツェはハッと気づかされた。確かにまだ、子爵家との問題は解決していない、と。

 自らの身を護るためにも、このまま霊素や精霊術を保護する精霊教の庇護下にいたほうがいいだろう、と考え直した。






 見習い伝道師試験の勉強を始めて、ひと月が経とうとしていた。

 悠太のおかげで、新たに勉強をしなければならない分量が一気に減っていた。大量の暗記に悩まされていたアリツェの気分は、大分軽くなった。おかげで、空き時間も増え、散歩に出る余裕もあった。

 気分よく孤児院の廊下を歩きながら、アリツェは鼻歌を歌う。

 と、そこに院長が通りがかった。ご機嫌のアリツェの様子を見て、微妙な表情を浮かべている。

「アリツェ、あなた最近疲れているんじゃないですか? 勉強が辛いですか?」

 なぜか労わりの言葉をかけてきた。

 よみがえった記憶のおかげもあり、アリツェの勉強は順調だった。今もそうだが、特段疲れた様子を見せた記憶もない。労わられる理由はなかった。

「気づいていないのですか? たまに、口調がすごく乱暴になっています。今までそんなことは一度もなかったので、よほど疲れているのかと気になって」

 衝撃の事実だった。アリツェの知らぬ間に、悠太の人格が悪さをしていたのだろうか。

「悩みがあるのなら相談してください。一人で抱え込む必要は、ないんですよ」

 心配そうに見つめる院長の視線が、痛かった。






(そんなに不貞腐れないでほしいな。悪かったよ)

 悠太の人格が浮かび上がってくるや、アリツェは抗議した。

「悪かったではすみませんわ! これまでわたくしが築き上げてきたイメージが、崩れ落ちてしまいます!」

 アリツェは今まで、貴族令嬢として恥ずかしくないようにふるまってきた自負がある。たとえ子爵家には戻れないとしても、元貴族としての心持は捨ててはいない。
 そのアリツェの努力を、悠太の人格はふいにしてしまうところだった。アリツェは、非常に腹が立っていた。

(ちょいワルなご令嬢も、ギャップ萌えで面白いと思うんだけどなぁ……)

 悪びれる様子もなく、悠太はぽつりとつぶやいた。

「ちょいワル……とは、いったい何のことだかわかりませんが、とにかく、わたくしはわたくしなんです! わたくしに話しかけるなとは言いませんわ。でも、勝手に表に出てくるのは、やめてくださいませ!」

 今後も同じような事態を引き起こされてはたまらない、と悠太に強く言いくるめた。

 アリツェの人格は、あくまでこのアリツェでなければ意味がない。そう考えていた。

(オーケーオーケー、わかったよ。オレも、君とけんかをするつもりはない。仲良くやりたいしね)

 悠太は降参したようだ。

 アリツェは再度念を押したうえで、「もう、許しましたわ」と言い、これ以上の追及はやめた。

(ヴァーツラフの奴、うまいこと人格統合されるって言っていたのに、全然だめじゃないか。これじゃ完全に二重人格だ。懸念していたことが、現実になるとはねぇ。ほんと、いい加減なヤツだ)

 最後になにやらぼそっと悠太はつぶやいたが、アリツェはよく聞き取れなかった。






 さらに月日が経ち、アリツェが十二歳を迎えてから、二か月が経過した。

 思い出した記憶も、大分定着してきた。流れ込む悠太としての知識に対する戸惑いも、薄れてきた。最初は異物感を覚え、意識しないと脳裏に呼び起せなかったそれらの知識も、たいていのものはもう、無意識のうちに引き出せる。アリツェ自らのものになってきた証拠だ。

 しかし、いまだに慣れないものもある。

(おはよう、アリツェ。今日もかわいいぞ)

 朝、眠りから覚めて朝の身支度をしていると、悠太の声が頭の中に響き渡った。

 慣れないもの――悠太の人格だ。

「悠太様、朝から騒々しいですわ! 少し、お静かになさって!」

 爽やかなはずの朝が、一転、不愉快なものになる。

 こうして、たびたびアリツェの脳裏に悠太は話しかけてきた。無遠慮に。

(アリツェはオレ自身でもあるんだ。自分の容姿を褒めただけだぞ。そう固いこと、言うなよー)

 悪びれる様子もない悠太に、アリツェはますます不愉快になる。自画自賛だなんて、なんともはしたない、と思う。

(本当は、もっと表に出ていきたいんだけどなー。約束では、オレの人生になるはずだったのに……。これでも、我慢しているんだぞ!)

 たびたび口にする『約束』。記憶では、この世界の管理者ヴァーツラフと横見悠太とが交わした約束。望む人生を歩めなかった悠太に与えられた、もう一つの人生。それが、アリツェ――。

「そんな約束なんて、わたくしには関係ありませんわ! わたくしの体は、絶対に渡しませんからね!」

 生まれ落ちてから十二年、アリツェとして生きてきた自身の感情、考え、しぐさ。どれも、かけがえのないものだ。乗っ取られてたまるものか、とアリツェは思う。

 悠太の記憶を取り戻して以来、こんなやり取りをもう幾度となく繰り返していた。

(おまえって、実は結構気が強いんだな。最初の印象とはずいぶん違う)

「あ、あなたがわたくしを怒らせるようなことを、おっしゃるからですわっ!」

 気にしていた点を的確に突いてきた悠太の言に、声を荒げる。

 実は、アリツェ自身も驚いていた。自分にも、こんなに感情をあらわにして、大きな声を出せたのだ、と。ただ、この変化も、もしかしたら悠太の人格に引っ張られたことが原因ではないかと思うと、決して喜べるものではなかったのだが。

(そうやって、頬を膨らませて怒った姿も、やっぱかわいいなぁ――。ユリナに、そっくりだ)

 ユリナ――アリツェのシステム上の母の名だった。悠太としての記憶の中にある、長い金髪を後頭部でくくり、身長よりも長い奇妙な形の槍――薙刀というらしい――を持った、異国情緒あふれる装いをした少女。

 悠太の言うとおり、確かにアリツェの顔は、記憶の中のユリナにそっくりだった。ユリナを少し幼くすれば、まさに今、鏡に映し出されているアリツェの姿そのものだ。血がつながっているから、当然といえば当然であったが。

「悠太様は、わたくしの中に、その、ユリナ様を見ていらっしゃるのですか? 好意をお寄せになっていた方、ですわよね」

(あぁ、うん……。オレの記憶を見て知っているとは思うけれど、オレは、彼女が好きすぎて、自分の転生体の母親に、彼女を選んでしまったんだ)

 急にしおらしくなった悠太。

「でも、わたくしはユリナ様ではありませんわ。アリツェです。それに、あなたは常々おっしゃっているではないですか。このアリツェは、悠太様自身でもある、と。自分自身を、かつて恋焦がれた女性に重ねて見る行為は、決して健全とは言えないと、わたくし愚考いたしますわ」

 システム上の母とはいえ、アリツェとは別人だ。無遠慮に、自分の容貌とその別人とを重ね合わせられるのは、あまり面白くはなかった。

(悪かったよ。あんたを怒らせるつもりはなかったんだ。軽い冗談のつもりだった。謝るよ)

 悠太にいつもの軽い雰囲気は消えていた。

 少々言い過ぎたかと、アリツェは悔いる。

(好きだった娘の面影をあんたの中に見つけて、無意識に、オレはオレの感情を抑えられていなかったんだと思う。こんな絡み方をあんたにするつもりは、元々なかったんだけれどなぁ)

「ま、まぁ、許しますわ。わたくし自身は、いまだに恋を知らない身ですが、恋煩いのつらさは、屋敷のわたくし付きだった侍女やエマ様から、よく聞き及んでおりますので」

 さんざん不愉快な思いをさせられていたけれど、恋の熱に冒された病人が騒いでいるだけだとわかれば、「お可愛いこと」と、笑って許せる気がした。確かに、事あるごとに不躾な言い様をしてくる悠太であったが、本人の言うとおり、単なる冗談だとはアリツェもわかっていた。悪意は感じないのだから。

「でもいい加減、わたくしとあなた、これからどう折り合いをつけていくのか考えないといけない気が、いたしますわ」

 いつまでも、このようなバカげたやり取りをしている暇はない。今はまだ勉強に余裕があるので、アリツェも悠太の冗談に付き合う余裕があった。だが、今後も同じような心のゆとりを持てるかどうかは、わからない。

(あぁ、それはオレも思っていた。本来であれば、二か月程度で二つの人格は完全にまじりあい、違和感のないものになると、ヴァーツラフの奴は言っていたんだ)

「二か月はとうに過ぎましたわ。全然、一つになる様子はないのですが」

 最初に感じていた異物感はなくなってきたものの、人格がまじりあう感覚は、まったくなかった。

(だよなぁ……。完全に二重人格で定着したみたいだ。性別が違う影響なのかね。どうしたもんか……)

 唸る悠太。

「わたくし、もうあなたの人格が、このままわたくしの中にとどまることに関しては、あきらめましたの」

 このまま、ただ時が経つに任せたところで、二つの人格が一つになるとはアリツェにはどうしても思えなかった。ならば、生活に支障のない程度にお互いを認めて、うまくやっていくしかないのではないか、と考え始めていた。

(オレも、あんたの人格を丸ごと乗っ取ろうだなんて考えていない。落としどころを探っていこうか)

 しばらく沈黙が続いた。






(こんな案はどうだろう?)

 沈黙を破り、悠太が話し始めた。

「何か妙案が浮かびましたの?」

 少しの期待と、少しの不安。相反する二つの気持ちを抱きつつ、アリツェは耳を傾けた。

 悠太の話す案は、

一.アリツェと悠太で、表に出てくる時間を分ける

二.アリツェの意思を尊重し、悠太は、表に出るときはアリツェの言動、しぐさをトレースする

三.表に出てこない時も、互いに助言をしあう

と、このような感じだった。

「あなたにしては、まともな案ですのね」

 今までさんざんからかわれた意趣返しにと、アリツェは少しの嫌味を込める。

(これはこれは、ご満足いただけましたか、アリツェお嬢様)

 悠太も負けじと、おどけた返しをした。

「ええ、よろしくってよ。この案を叩き台に、もう少し詳細を詰めていきましょうか」

 ああでもない、こうでもないと、丁々発止のやり取りを交わした。

 表に出てくる時間以外の条件は、互いに同意に達したが、時間については少々もめた。

 一日交代を提案した悠太に、アリツェは拒絶の意を示した。

「わたくしが主人格ともいえるのですから、当然わたくしが主になるべきですわ」

(そうは言うけどさぁ、何度も言うけれど、この体はオレのものでもあるんだぞ。ていうか、表に出てこなかっただけで、あんたの人格以上に、オレはこの体に長く居ついているんだが。オレとしては、先住権を主張させてもらいたいところだよ)

 悠太の記憶を見て、アリツェも理解はしていた。

 確かに、悠太の記憶や人格は受精卵レベルでアリツェの体に入っている。その段階では、このアリツェの人格は、影も形もなかった。先住権を主張されては、アリツェも弱い。

 だが、ここで負けてはいけないと反論をする。

「十二年間表に出て、アリツェとして生きてきた人格はわたくしですのよ。陰に隠れていただけのあなたに、あれこれという資格が、果たしておありになりまして?」

(ぐぬぬっ、これまた痛いところを……)

 激論は続く。再び始まる論戦に、さらに二時間を費やした。






(なら、これならどうだ?)

 言い合いが堂々巡りに陥りそうになるころ、悠太が新たな案を出してきた。

 大分譲歩したという、悠太の提案はこうだ。

 日の出ている時間はアリツェが、夜――具体的には、夕食を終えてから、翌朝の朝食をとる前までの間――は悠太が表に出る、と。ショートスリーパーの技能才能を持つアリツェは、長い睡眠時間を要求されない。よって、夜の活動時間も長くとれる。悠太の案は、この強みを生かしたものだった。

(睡眠時間を四時間程度確保するとして、概ねあんたが十二時間、オレが八時間、活動できる。人間が一番活発な昼間の時間帯を、あんたに譲っているんだ。文句はないだろ?)

 一日交代よりは有利な条件だ、とアリツェにも思えた。

「そのあたりが、妥協できるぎりぎりの落としどころですわね」

 アリツェが同意の意志を示すと、悠太は満足そうに「じゃ、決まりだな」とつぶやいた。

(まだしばらくは、お互いこの新しい環境に慣れないだろう。でも、まぁ、うまいことやっていこうじゃないか)

「えぇ、そうですわね。悠太様、今後ともよろしくお願いいたしますわ」

 二つの人格が互いに歩み寄った瞬間だった。

 新生アリツェ・プリンツォヴァとして、アリツェ――と悠太――は新たな生活のスタートを切った。
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