16 / 42
16
しおりを挟む
その時から俺はキャシーの恋人となった。
キャシーが望む言葉。
キャシーがして欲しい事。
キャシーへの贈り物は勿論時間の許す限り傍にいる事。
まあ流石に王太子であり未来の国王となるのだから俺の学びの時間や少しずつではあるが、執務をこなす時間は免除された。
そしてキャシーはある事を俺へ強要する。
それは貴女へ月に一度しか逢わない事。
また貴女を必要以上に、自分よりも愛さない事。
正直に言って最初の計画通り貴女へは表立って良好な関係を築かずに適度に距離を置こうと決めてはいたのだ。
その方が計画も早くそして順調に進むだろうと思ったからね。
でもせめて月に二、三度は愛しい貴女へ逢いそうして貴女へ逢う事によりこの茨の生い茂った道を生きていく為の癒しを求めようとしたのにだっっ。
キャシーはそんな俺のささやかな望みさえも見事に打ち砕いていく。
しかしまだそれは今から思えばまだまだ可愛いものだったのだ。
それを思い知ったのはその五年後の成人を迎えた夜の事だった。
皆が寝静まる深夜に俺の寝室へやってきたキャシーが俺との肉体関係を強要してきたのは――――。
キャシーが望む言葉。
キャシーがして欲しい事。
キャシーへの贈り物は勿論時間の許す限り傍にいる事。
まあ流石に王太子であり未来の国王となるのだから俺の学びの時間や少しずつではあるが、執務をこなす時間は免除された。
そしてキャシーはある事を俺へ強要する。
それは貴女へ月に一度しか逢わない事。
また貴女を必要以上に、自分よりも愛さない事。
正直に言って最初の計画通り貴女へは表立って良好な関係を築かずに適度に距離を置こうと決めてはいたのだ。
その方が計画も早くそして順調に進むだろうと思ったからね。
でもせめて月に二、三度は愛しい貴女へ逢いそうして貴女へ逢う事によりこの茨の生い茂った道を生きていく為の癒しを求めようとしたのにだっっ。
キャシーはそんな俺のささやかな望みさえも見事に打ち砕いていく。
しかしまだそれは今から思えばまだまだ可愛いものだったのだ。
それを思い知ったのはその五年後の成人を迎えた夜の事だった。
皆が寝静まる深夜に俺の寝室へやってきたキャシーが俺との肉体関係を強要してきたのは――――。
11
お気に入りに追加
220
あなたにおすすめの小説

もう、愛はいりませんから
さくたろう
恋愛
ローザリア王国公爵令嬢ルクレティア・フォルセティに、ある日突然、未来の記憶が蘇った。
王子リーヴァイの愛する人を殺害しようとした罪により投獄され、兄に差し出された毒を煽り死んだ記憶だ。それが未来の出来事だと確信したルクレティアは、そんな未来に怯えるが、その記憶のおかしさに気がつき、謎を探ることにする。そうしてやがて、ある人のひたむきな愛を知ることになる。

貴妃エレーナ
無味無臭(不定期更新)
恋愛
「君は、私のことを恨んでいるか?」
後宮で暮らして数十年の月日が流れたある日のこと。国王ローレンスから突然そう聞かれた貴妃エレーナは戸惑ったように答えた。
「急に、どうされたのですか?」
「…分かるだろう、はぐらかさないでくれ。」
「恨んでなどいませんよ。あれは遠い昔のことですから。」
そう言われて、私は今まで蓋をしていた記憶を辿った。
どうやら彼は、若かりし頃に私とあの人の仲を引き裂いてしまったことを今も悔やんでいるらしい。
けれど、もう安心してほしい。
私は既に、今世ではあの人と縁がなかったんだと諦めている。
だから…
「陛下…!大変です、内乱が…」
え…?
ーーーーーーーーーーーーー
ここは、どこ?
さっきまで内乱が…
「エレーナ?」
陛下…?
でも若いわ。
バッと自分の顔を触る。
するとそこにはハリもあってモチモチとした、まるで若い頃の私の肌があった。
懐かしい空間と若い肌…まさか私、昔の時代に戻ったの?!
拝啓、許婚様。私は貴方のことが大嫌いでした
結城芙由奈@コミカライズ発売中
恋愛
【ある日僕の元に許婚から恋文ではなく、婚約破棄の手紙が届けられた】
僕には子供の頃から決められている許婚がいた。けれどお互い特に相手のことが好きと言うわけでもなく、月に2度の『デート』と言う名目の顔合わせをするだけの間柄だった。そんなある日僕の元に許婚から手紙が届いた。そこに記されていた内容は婚約破棄を告げる内容だった。あまりにも理不尽な内容に不服を抱いた僕は、逆に彼女を遣り込める計画を立てて許婚の元へ向かった――。
※他サイトでも投稿中
【商業企画進行中・取り下げ予定】さようなら、私の初恋。
ごろごろみかん。
ファンタジー
結婚式の夜、私はあなたに殺された。
彼に嫌悪されているのは知っていたけど、でも、殺されるほどだとは思っていなかった。
「誰も、お前なんか必要としていない」
最期の時に言われた言葉。彼に嫌われていても、彼にほかに愛するひとがいても、私は彼の婚約者であることをやめなかった。やめられなかった。私には責務があるから。
だけどそれも、意味のないことだったのだ。
彼に殺されて、気がつけば彼と結婚する半年前に戻っていた。
なぜ時が戻ったのかは分からない。
それでも、ひとつだけ確かなことがある。
あなたは私をいらないと言ったけど──私も、私の人生にあなたはいらない。
私は、私の生きたいように生きます。

地獄の業火に焚べるのは……
緑谷めい
恋愛
伯爵家令嬢アネットは、17歳の時に2つ年上のボルテール侯爵家の長男ジェルマンに嫁いだ。親の決めた政略結婚ではあったが、小さい頃から婚約者だった二人は仲の良い幼馴染だった。表面上は何の問題もなく穏やかな結婚生活が始まる――けれど、ジェルマンには秘密の愛人がいた。学生時代からの平民の恋人サラとの関係が続いていたのである。
やがてアネットは男女の双子を出産した。「ディオン」と名付けられた男児はジェルマンそっくりで、「マドレーヌ」と名付けられた女児はアネットによく似ていた。
※ 全5話完結予定
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる