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しおりを挟む両陛下との謁見が叶ったのは三日後の午後でした。
王妃陛下の私室にて両陛下と私の三人で、私的なお茶の時間に……との事でした。
私と致しましては事務的に、何れかの陛下の執務室でも十分だったのですが幼い頃より私の事を娘同然の様に可愛がって下さる両陛下の意向に添う事と致しましたの。
「よく来てくれましたねリズ、一週間ぶりですね」
「ああ、リズは日を追う毎に眩くまた美しく成長してきたね。エセルも嘸かしリズとの結婚の儀を楽しみとしているだろうて」
いやいやお宅の息子様は私との結婚どころか、息子様とそっくりな御顔の妹君と仲良くしていらっしゃいますわ。
なんてはっきりと言いたいです。
包み隠さず先日の事を一音一句お二人のご両親であらせられる両陛下へしっかりとお伝えしたい。
そう、その心算で今日この場所へとやってきたのですもの。
「ほほほ、本当に一日も早くリズが義娘になってくれる事を待ち望んでいるのですよ」
「ああ、娘は何人いても可愛いからな」
微笑み合い、お幸せそうな両陛下。
その御姿をお見受けしてしまうと、ここへ来るまでの決意がぐらぐらと揺らいでしまうのです。
きっと事実を、全てを白日の下へ晒してしまえばお二人はとても悲しまれるだけでは済まないでしょう。
息子である王太子殿下の浮気。
ええ本当にそれが只の浮気ならばどれ程良かった事でしょう。
まさか殿下の、貴方の浮気相手が血の繋がった双子の妹君だなんてっ!!
一応婚約者ではありますが、今はまだ赤の他人の私でさえもキラキラを吐き出してしまうくらいのショッキングな出来事だったのですもの。
貴方とキャサリン王女殿下の実のご両親でもあられる両陛下が真実をお知りになられれば、果たしてキラキラを吐き出すだけで済むのでしょうか。
そこで私は一旦真実暴露路線より少しだけ逸れる事にしましたの。
でもこれは貴方を想っての事ではありませんのよ。
あくまでも私を幼い頃より可愛がって下さる両陛下の心情を思っての回避行動なのですもの。
ただ……この路線変更は間違いであると直ぐに思い知らされてしまうのですけれどもね。
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