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終章   エルネスティーネ、彼女の選んだ決断と未来

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『茶番は終わりましたかイルメントルート』

 黒闇の闇の中でトルテリーゼは嫣然と微笑んでいる。

「私はイルメントルートでもなければ彼女の娘のエルネスティーネでもないわ。私は今を生きているよ」
『何を申すかと思えば、妾の愛しいイルメントルートと同じ魂の輝きを放つそなたは紛れもなく妾の愛する半身足り得る者です』
「それは私が彼女達の魂と記憶と力を有しているからであって、私自身がイルメントルートと同一人物ではないわ」

『……何故我が半身は妾を受け入れようとはしない? それは遠く過日の際と同じくやはり汚らわしい人間の雄によるものなのか、はたまたこの世界に存在せし生命達がそなたの枷となっているのですか』

 ごごご……静かに響く音。
 
 また四方八方より聞こえてくるのは低い重低音の様な、それでいて複数の何かが這いずっている気配が半端ない。

『宜しい。そなたの心の枷足る者全てを無に帰せば、そなたは此度こそ真実の意味で妾のものとなろう』
「何もその様な事を言って――――」
『先ずはそこな人間の雄を始末しましょう』

 ダメだわ、全く会話が噛み合わない。


 ズズズ……。


 何の音かと思った刹那――――⁉

「ジーク様!!」


 シュっ。


 ぱりぃぃぃぃぃぃぃん。


 ザシュ⁉


 私達を護るジーク様の結界が壊れた音。

「……っ、少し油断しましたが大丈夫です」

 どす黒くまた大きくも細長い鋭い牙と呼ぶには何処かねっとりと、柔軟性に富んだ譬えるならば強靭な鱗を持つ蛇の様なモノがジーク様の胸へ向かって突入してきた。
 一瞬の間にジーク様は私を抱き抱え胸へと命中する事はなかったけれども左腕を掠めてしまった。

「大丈夫……って」

 何処がよ!!
 袖は裂け、腕からはしっかり出血もしている。
 おまけに傷口を見れば擦り傷ではない。
 火傷でもしたのかと思える様な擦り傷全体が赤く爛れていた。
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