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第五章 拗らせとすれ違いの先は……
【16】
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今宵はサリスの王太子夫妻を迎え皇帝主催の内輪だけとは言え正式な晩餐会だ。
出席者は王太子夫妻と陛下そして皇太子のエドと俺とヴィー。
皇族ではあるのだが陛下の側妃達やその娘である皇女は出席を許されてはいない。
何故なら非公式であれば側妃達の出席を認められたのだがこれはあくまでも内輪とは言え、国賓を招いた正式なもの。
しかしホストとなる陛下は存在してはいるのだが、ホステスとなる后妃は現在空位のまま。そして皇太子のエドは未だ独身で、皇弟である大公にも大公妃はいない。そこで帳尻合わせと言うのかはたまた例にもよって俺の愛するヴィーへ、その白羽の矢がまたもぐっさりと深く刺さってしまった事に俺はかなり不機嫌でもあった。
俺としてはただの……いやいや決して公爵夫人の地位を軽んじている訳ではない。だが俺にしてみればヴィーは何時も公爵夫人として、また唯一の成人女性皇族として日々奔走させてしまっているのが現状だ。俺はヴィーを妻へと迎えたのは何も伯母上や母上の仕事をさせる為等ではない。勿論皇族としての務めを忘れている訳ではない。
本心を言えばヴィーに関しては皇族云々だけではなく、公爵夫人としての務めでさえもどうでも良いとさえ思っているのだ。
いや俺はただ一日でも、ほんの少しでも長い時間をヴィーと共にまったりと過ごしたいだけだ。
叶うものならば魔導省長官に様々な公務も全て人任せにし、お互い死を迎える瞬間までほんのひと時も離れる事無く俺自身の手でそれこそシンディーやウィルクス夫人の誰の手にも委ねずヴィーの世話をしたい!!
また毎食毎に俺の膝の上で時間を気にせずゆっくりとあの愛らしい口へと食べさせるだけではない。ヴィーの身に着けるものは当然、生地やデザインは俺が厳しく吟味をしたもの……は既に実行をしているな。
何なら毎日の入浴の世話に下の世話までも任せて欲しい。
ああ入浴と言えばあの素晴らしい柔肌を保つ為にもマッサージの手入れは欠かせないな。
柔らかくも滑らかで弾力のある肌を思う存分堪能しつつ様々なアロマオイルでヴィーを磨き上げるなんて事を考えただけで、俺は自身のモノがトラウザースの中でゆっくりと鎌首を擡げ慾に溺れそうになるのを何とか理性を総動員させて堪えていた。
それはそうだろう。
俺をここまで欲情させられる唯一の女性ヴィーは何も知らず隣でサリスの王太子妃と和やかに談笑している。
本当に何処までも愛らしく可愛い女性なのだ。
そして俺の本性をまだ貴女はほんの少しも気づいてはいないのだろう。
昔から俺が外では冷酷で残忍な男だと影で囁かれているにも拘らずだ。
ヴィー、貴女は何も知らないとは言えそんな俺へ何時だって屈託のない笑顔を向けてくれている。
6歳の頃初めて貴女に出逢うと同時に過去の記憶を思い出したものの、当の貴女は俺の事なんてまだほんの小さな子供としか認識していなかったよね。
それも母親を亡くしたばかりの可哀想な公子――――くらいかな。
だが俺にとっては寧ろ好都合だったかな。身体が子供な俺はそれなりに貴女と仲良くさせて貰っていたからね。大人の男ならば婚約若しくは婚姻を結ばねば出来ない様な事も、ある意味子供だからこそ貴女の柔らかな身体を十分に堪能出来たと言ってもいい。
まあ少々やり方が汚いと言われても構わないさ。
俺にしてみれば12歳と言う年齢差のハンデがある分、使える手段は全て有効活用させて貰ったまでだ。
だがそれも貴女が22歳を迎えた頃より叶わなくなってしまった。
きっとその辺りで貴女は前世を思い出したのだろう。
貴女に最悪な終焉を迎えさせた男である俺に警戒したのもわかるがしかしだ。貴女には悪いが俺はどうしても手放す事は出来ない。譬え貴女がどの様に俺を拒もうとも俺は決して貴女を手放さないし絶対に手放せる訳がない!!
ああこれより先何度貴女が俺の傍より逃げ出そうとしてもだ。
此度の様に俺は何度でも貴女を見つけ出しそして貴女を俺の腕の中へと掴まえてみせる!!
この世の果てだろうともだよ。
その為に俺は色々策を巡らせているのだからね。
そして同時に俺は貴女と言う存在について色々と調べもしたのだからね。
勿論目的は貴女を一日でも元気で長生きをして貰えるだけの方法を知る為だけで他はどうでもいいのだよ。
まあその甲斐もあってある事がわかってきたのだからね。
あれは無自覚で無条件に他人へ祝福するなんて実際に何の対価もなく出来る筈がなかったのだよ。
貴女の力は素晴らしくも何もないどころかそれはとても恐ろしい呪い。
然も呪いの対価に使われたモノは何と貴女自身の命だった!!
通りでどの貴女も短命だった事に俺は甚く納得したものさ。
あの力はヴィヴィアン・ローズだけではなく、三枝 華として生きていた時にも既に発動……いや、根本はもっと根深かったな。
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