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第二章 五日後に何かが起こる?
【19】
しおりを挟む因みにアル、アルバートは私の本当のお父様じゃあない。
彼は義理の父親で、お母様好みの爽やかな風の中で揺れる緑色の髪に綺麗な金色の瞳を持つ爽やか系イケメン君。
そんな二人の出逢いは去年だったっけ。アルが出席をしていた夜会に偶然お母様も出席していたの。その夜遅く帰ってきて、寝ている私を起こして運命の相手と出逢ったと物凄く興奮して話していたわ。
アルより三歳も年上で、バツイチ子持ち構わずお母様はそれからもうプッシュしまくっていたわ。
色仕掛けから始まり権力財力……それはもうありとあらゆる使えるモノを全て使いまくって、もう本当にアレは凄かったとお祖父様が仰っていたわね――――って、そのお祖父様もがっつりお母様へ協力をさせられたんだから立派な共犯者じゃない。なのに自分は関係ないって感じで遠い目をして仰っていたわ。
まぁアルは、お義父様は元々男爵家の三男だったし、頭と顔のいい爽やかイケメンでもお金がなければ何処の世界でも満足には生きてはいけない。彼自身は文官志望だったけれどもよ。どうやらそんなアルの夢と言うか人生設計すらお母様は彼に気づかれずにぐしゃりと握り潰したらしい。
ほんとやる事がえげつないわね。
おまけに14歳で産んだ娘の存在も内緒にしたまま、堂々と派手な結婚式を挙げた後で蓋を開ければこんな大きくも小さくもない可愛らしいコブがいたってワケ。
だけど私が本当に驚いたのはそれでもアルは、お義父様はうん、実の娘の様に私を心より愛してくれている。
ほんと、こんなに人の好い性格でよく今まで無事に生きてこれたなぁって思うわよ。
でもそんなアルだからこそしがない男爵家の三男と未来の大公殿下であるリーヴァイとの友情が成立したのかもね。
それにアルと家族になれたからこそ私と愛しのリーヴァイとの記念すべき出逢いが生まれたのよ。
だけど悲しいかな、正式な晩餐には子供の私は絶対に参加は出来ない。
おまけに晩餐が終わっても今度は男性同士の交流の時間にも入り込めないと思ったら大間違いだって言うのっ。
私はこんなにも可憐で可愛いのよ。
だから……。
『お義父様ぁ、何時もみたいにいい子いい子ってしてっ』
寝間着姿で突撃隣の〇ご飯みたく私は遊戯室へ乱入したの。
そうこの時はまだ何も知らなかったんだ。
だって、だって愛しのリーヴァイはゲームの中では何時も一人だったんだもん。
だからめっちゃ安心していたんだ。
なのにそれが間違いだってこの後直ぐに思い知ったの。
そうよっ、この幼い身体で出来得る限りの行動を起こさなければ間違いなく私のリーヴァイはあのワイン樽女に取られてしまうって女の勘がガンガンと鳴り響くんだもん。
うん私は絶対に何も間違ってはいない。
なのにどうして?
何で今こんな事になっているのかしら?
ねぇリーヴァイ、どうして貴方はそんなにも冷たい瞳で私を見下ろしているの?
ねぇ答えなさいよぉっ、リーヴァイ!!
そう私は初めて見てしまった。
鬼か悪魔なんかよりもめっちゃ恐ろしい表情のリーヴァイを……。
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