上 下
44 / 120
第二章  五日後に何かが起こる?

【19】

しおりを挟む


 因みにアル、アルバートは私の本当のお父様じゃあない。

 彼は義理の父親で、お母様好みの爽やかな風の中で揺れる緑色の髪に綺麗な金色の瞳を持つ爽やか系イケメン君。
 そんな二人の出逢いは去年だったっけ。アルが出席をしていた夜会に偶然お母様も出席していたの。その夜遅く帰ってきて、寝ている私を起こして運命の相手と出逢ったと物凄く興奮して話していたわ。

 アルより三歳も年上で、バツイチ子持ち構わずお母様はそれからもうプッシュしまくっていたわ。
 色仕掛けから始まり権力財力……それはもうありとあらゆる使えるモノを全て使いまくって、もう本当にアレは凄かったとお祖父様が仰っていたわね――――って、そのお祖父様もがっつりお母様へ協力をさせられたんだから立派な共犯者じゃない。なのに自分は関係ないって感じで遠い目をして仰っていたわ。

 まぁアルは、お義父様は元々男爵家の三男だったし、頭と顔のいい爽やかイケメンでもお金がなければ何処の世界でも満足には生きてはいけない。彼自身は文官志望だったけれどもよ。どうやらそんなアルの夢と言うか人生設計すらお母様は彼に気づかれずにぐしゃりと握り潰したらしい。

 ほんとやる事がえげつないわね。

 おまけに14歳で産んだの存在も内緒にしたまま、堂々と派手な結婚式を挙げた後で蓋を開ければこんな大きくも小さくもない可愛らしいコブがいたってワケ。

 だけど私が本当に驚いたのはそれでもアルは、お義父様はうん、実の娘の様に私を心より愛してくれている。
 ほんと、こんなに人の好い性格でよく今まで無事に生きてこれたなぁって思うわよ。
 でもそんなアルだからこそしがない男爵家の三男と未来の大公殿下であるリーヴァイとの友情が成立したのかもね。

 それにアルと家族になれたからこそ私と愛しのリーヴァイとの記念すべき出逢いが生まれたのよ。

 だけど悲しいかな、正式な晩餐には子供の私は絶対に参加は出来ない。
 おまけに晩餐が終わっても今度は男性同士の交流の時間にも入り込めないと思ったら大間違いだって言うのっ。
 私はこんなにも可憐で可愛いのよ。
 だから……。

『お義父様ぁ、何時もみたいにいい子いい子ってしてっ』

 寝間着姿で突撃隣の〇ご飯みたく私は遊戯室へ乱入したの。

 そうこの時はまだ何も知らなかったんだ。
 だって、だって愛しのリーヴァイはゲームの中では何時も一人だったんだもん。
 だからめっちゃ安心していたんだ。
 なのにそれが間違いだってこの後直ぐに思い知ったの。
 
 そうよっ、この幼い身体で出来得る限りの行動を起こさなければ間違いなく私のリーヴァイはあのワイン樽女に取られてしまうって女の勘がガンガンと鳴り響くんだもん。

 うん私は絶対に何も間違ってはいない。
 なのにどうして?
 何で今こんな事になっているのかしら?
 ねぇリーヴァイ、どうして貴方はそんなにも冷たい瞳で私を見下ろしているの?
 ねぇ答えなさいよぉっ、リーヴァイ!!

 そう私は初めて見てしまった。
 鬼か悪魔なんかよりもめっちゃ恐ろしい表情かおのリーヴァイを……。
しおりを挟む
感想 202

あなたにおすすめの小説

【完結】失いかけた君にもう一度

暮田呉子
恋愛
偶然、振り払った手が婚約者の頬に当たってしまった。 叩くつもりはなかった。 しかし、謝ろうとした矢先、彼女は全てを捨てていなくなってしまった──。

前世軍医だった傷物令嬢は、幸せな花嫁を夢見る

花雨宮琵
恋愛
侯爵令嬢のローズは、10歳のある日、背中に刀傷を負い生死の境をさまよう。 その時に見た夢で、軍医として生き、結婚式の直前に婚約者を亡くした前世が蘇る。 何とか一命を取り留めたものの、ローズの背中には大きな傷が残った。 “傷物令嬢”として揶揄される中、ローズは早々に貴族女性として生きることを諦め、隣国の帝国医学校へ入学する。 背中の傷を理由に六回も婚約を破棄されるも、18歳で隣国の医師資格を取得。自立しようとした矢先に王命による7回目の婚約が結ばれ、帰国を余儀なくされる。 7人目となる婚約者は、弱冠25歳で東の将軍となった、ヴァンドゥール公爵家次男のフェルディナンだった。 長年行方不明の想い人がいるフェルディナンと、義務ではなく愛ある結婚を夢見るローズ。そんな二人は、期間限定の条件付き婚約関係を結ぶことに同意する。 守られるだけの存在でいたくない! と思うローズは、一人の医師として自立し、同時に、今世こそは愛する人と結ばれて幸せな家庭を築きたいと願うのであったが――。 この小説は、人生の理不尽さ・不条理さに傷つき悩みながらも、幸せを求めて奮闘する女性の物語です。 ※この作品は2年前に掲載していたものを大幅に改稿したものです。 (C)Elegance 2025 All Rights Reserved.無断転載・無断翻訳を固く禁じます。

元侯爵令嬢は冷遇を満喫する

cyaru
恋愛
第三王子の不貞による婚約解消で王様に拝み倒され、渋々嫁いだ侯爵令嬢のエレイン。 しかし教会で結婚式を挙げた後、夫の口から開口一番に出た言葉は 「王命だから君を娶っただけだ。愛してもらえるとは思わないでくれ」 夫となったパトリックの側には長年の恋人であるリリシア。 自分もだけど、向こうだってわたくしの事は見たくも無いはず!っと早々の別居宣言。 お互いで交わす契約書にほっとするパトリックとエレイン。ほくそ笑む愛人リリシア。 本宅からは屋根すら見えない別邸に引きこもりお1人様生活を満喫する予定が・・。 ※専門用語は出来るだけ注釈をつけますが、作者が専門用語だと思ってない専門用語がある場合があります ※作者都合のご都合主義です。 ※リアルで似たようなものが出てくると思いますが気のせいです。 ※架空のお話です。現実世界の話ではありません。 ※爵位や言葉使いなど現実世界、他の作者さんの作品とは異なります(似てるモノ、同じものもあります) ※誤字脱字結構多い作者です(ごめんなさい)コメント欄より教えて頂けると非常に助かります。

決して戻らない記憶

菜花
ファンタジー
恋人だった二人が事故によって引き離され、その間に起こった出来事によって片方は愛情が消えうせてしまう。カクヨム様でも公開しています。

父が再婚しました

Ruhuna
ファンタジー
母が亡くなって1ヶ月後に 父が再婚しました

【完結】あなたに知られたくなかった

ここ
ファンタジー
セレナの幸せな生活はあっという間に消え去った。新しい継母と異母妹によって。 5歳まで令嬢として生きてきたセレナは6歳の今は、小さな手足で必死に下女見習いをしている。もう自分が令嬢だということは忘れていた。 そんなセレナに起きた奇跡とは?

【完結】彼の瞳に映るのは  

たろ
恋愛
 今夜も彼はわたしをエスコートして夜会へと参加する。  優しく見つめる彼の瞳にはわたしが映っているのに、何故かわたしの心は何も感じない。  そしてファーストダンスを踊ると彼はそっとわたしのそばからいなくなる。  わたしはまた一人で佇む。彼は守るべき存在の元へと行ってしまう。 ★ 短編から長編へ変更しました。

アラフォー王妃様に夫の愛は必要ない?

雪乃
恋愛
ノースウッド皇国の第一皇女であり才気溢れる聖魔導師のアレクサは39歳花?の独身アラフォー真っ盛りの筈なのに、気がつけば9歳も年下の隣国ブランカフォルト王国へ王妃として輿入れする羽目になってしまった。 夫となった国王は文武両道、眉目秀麗文句のつけようがないイケメン。 しかし彼にはたった1つ問題がある。 それは無類の女好き。 妃と名のつく女性こそはいないが、愛妾だけでも10人、街娘や一夜限りの相手となると星の数程と言われている。 また愛妾との間には4人2男2女の子供も儲けているとか……。 そんな下半身にだらしのない王の許へ嫁に来る姫は中々おらず、講和条約の条件だけで結婚が決まったのだが、予定はアレクサの末の妹姫19歳の筈なのに蓋を開ければ9歳も年上のアラフォー妻を迎えた事に夫は怒り初夜に彼女の許へ訪れなかった。 だがその事に安心したのは花嫁であるアレクサ。 元々結婚願望もなく生涯独身を貫こうとしていたのだから、彼女に興味を示さない夫と言う存在は彼女にとって都合が良かった。 兎に角既に世継ぎの王子もいるのだし、このまま夫と触れ合う事もなく何年かすれば愛妾の子を自身の養子にすればいいと高をくくっていたら……。 連載中のお話ですが、今回完結へ向けて加筆修正した上で再更新させて頂きます。

処理中です...