【改稿版】旦那様、どうやら御子がおデキになられたようですのね ~アラフォー妻はヤンデレ夫から逃げられない⁉ 

Hinaki

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第一章  突然の訪問者

【13】

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 旦那様はその伯爵邸であの害悪令嬢と初めて会ったそうです。
 
『私、貴方のお嫁さんになって差し上げるわ!!』

 突如何故か身分的に下の立場である害悪令嬢よりの上から目線発言と同時に、旦那様とはまた違う意味合いの拗らせと申しましょうか、はたまた迷惑な付き纏いが始まったのです。

 然も相手は11歳も年下の害悪令嬢。

 一方はあらゆる力と権力をフル活用し捲る年季の入ったストーカー……げふんげふん旦那様とは違い、令嬢の付き纏いとは申せまだ幼かった事もあり社交シーズンで、帝都にいる間だけと言う限定的でささやかなモノでした。

 まぁこのと言う判断自体が既に間違いで、その結果此度の件を招いてしまったのでしょう。
 
 きっとこれも全て旦那様の奥方様に対するストーキングと言う名の護衛のお陰で、私達の精神もかなり病んでいたのかもしれません。


 ですが害悪令嬢のストーキングも旦那様のご結婚前夜まではある意味大変でしたがその後はぱったりとなくなり、最近になって漸く諦めたのかと安堵していたのがこれまた問題でした。
 まさかこの様な策に出るとは、そして懐妊が真実なのであれば害悪令嬢の胎の中には次代の……いいえっ、そのような事等決してあってはなりません!!

 旦那様は本当に心より奥方様を愛しておられるのです。

 奥方様が当家へ嫁してこられ早五年、いえそのずっと前より私共は奥方様を想われる旦那様を見ておりました。
 また旦那様を真実の意味で幸せに出来得るのは奥方様ただお一人だけなのです。
 

 故にお二人の幸せの為にも此度こそ害悪令嬢を完全に闇へと葬りましょう。
 えぇ今まで放置していた事が全ての間違いだったのです。
 幾ら伯爵令嬢とは言えこの大陸のほぼ全土の幸せを比べれば、害悪令嬢の命一つ等些末でしかありません。

 奥方様、私はお二人のお幸せの為に此度こそ動かせて頂きます。
 ですからどうか早まったお考えと軽はずみな行動だけはしないで下さいませ。

 このダレン・バーナード・フィンドレイ、衷心よりお願い申し上げます。



 しかし旦那様、本当にこの害悪令嬢の妄言は真実ではありませんよね?
 私も男の端くれです。
 何か突発的――――なご事情で一夜の過ちと言うモノが本当にありましたらその時はです。

 私は、いえ私を含め屋敷内で仕える者達は全力で以って旦那様をほふらせて頂きます。
 そう熱く心の中で語るダレンの右腕にも隣にいるシンディーの右腕と同じ腕輪が嵌められている。
 だが生憎ながらきちっと一部の隙もなく燕尾服を着こなしている故にそれは誰にも気づかれてはいない。
 それを身に着けているダレン自身がこの腕輪へ静かに誓いを立てていたのだ。

 全ては奥方様のお幸せの為に……。
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