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第二部  第三章  それぞれの真実と闇

19  花の乙女は逞しく変化した  メルチェーデSide

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「お久しぶりですね三枝さん、いいえ


 漆黒の髪と瞳は以前その者を表していただろう儚げで華奢な、それこそ私の吐息一つではらはらとあっと言う間に燃してしまいそうな印象だった筈なのにだ。

 今この異世界日本と言う国では少なくとも過去世とは違いちゃんと大地に根を下ろせば強くも逞しく生きている様に見えた――――と言うかである。


 私の目の前にはローザの、娘の華がお世話になっただった。

 決して以前の様に儚げな花そのものと言った美しい容姿ではないがそれでも彼女は、ダリアの花の女神ダーリアはしっかりとこの世界で根付きそして一凛の美しい花として見事に咲き誇っていた。


「ああ、久しぶりだなダーリア」
「ふふ、相変わらずですねメルチェーデも……そしてローザは本当に残念でしたね。ガイオもさぞかし落胆している事でしょう」

「そう……だな。ここへ来て初めて……そう本当に初めてだな。あの二神が言葉を、お互いの想いを本当の意味で通じ合わせたのはな」
「そうですね。本当に……でもガイオばかりでなく貴女やローザそしてインノチェンツァまで、彼女は魂だけとは言えバルディーニの神々がどうしてこの様な異界へ集まったのでしょう」


 そう言えばそうだ――――ではないっ。


 小さな違和感に何も感じなかった訳でもなかった。
 敢えて言うならば何も考えない様にしていたと言う方が正しいのかもしれない。


 まさかの太古の神々がローザの周りへ、彼女の許へ再びつどわんとしている!?

 
 何故?

 何の為に?

 どうして今になって⁉

 散々汚辱に塗れ辛酸を舐め尽した私とローザの許へ。

 いや恐らく狙いは私ではなくローザだ。


 その理由は現状私には全くわからない。
 だがダーリアの言う通り彼らは間違いなく再びローザの許へ集わんとしている!!

 無意識なのかはたまた故意なのかまではわからない。


「お前は無意識と言うのかそれとも偶々……か」


 するとダーリアはゆっくりとかぶりを左右へ振れば何とも言えない悲しみに満ちた表情で私を見つめた。

「少し……違います。ただガイオとは本当に偶然この病院で再会をしました。でもメルチェーデ、貴女とローザを私の居る病棟へ入院する様に仕向けたのは間違いなくですよ」

 淡々と告げるダーリアは以前の様な吹けば飛んでしまう花弁ではない。

 以前とは違いしっかりとした強い意志を垣間見えたのは多分……私の気の所為ではないだろう。


「ではその故意だと言うのであれば訳を話して貰おうか」


 そうして私は遠い昔にダーリアの身の上に起こったであろうあの日の出来事を聞くのであった。
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