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第二部  第三章  それぞれの真実と闇

6  エウレテリオの後悔と掛けられた呪いの真実  エレウテリオSide Ⅱ

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 神でなくなり人間として輪廻の輪へ入る事も許されず、また脆弱過ぎる肉体で短い生を永遠に繰り返す。

 最終的には繰り返すだろう短い転生においても決して幸せを得る事はない。
 

 枠に外れた人間として汚泥の中で汚辱に塗れ、凡そ普通の人間として扱われる事のない屈辱の中で与えられた生を全うしなくてはいけない。
 
 逃げる事も抗う事すら許されない最低最悪の人生。

 また自死は許されず自らの内包された御力に生命が尽きるまで吸収されていく。

 それが鍛冶の神としての俺が出来得るだろうの最悪最低な復讐。


 熾火の神アーマトの為だけの剣。

 愚かにもあの時の俺は正常な判断は全く出来ずいや、普通に少し考えればわかる筈だ。


 サヴァーノと特にあの女っ、インノチェンツァが神殺しの剣玩具を手にすれば俺のダーリアを想う純粋なる復讐を優先する筈がないと言う事を!!


 そう確実に自分達の利の為だけにこの恐ろしい剣をアーマトではなく第三者へ何の躊躇いもなく振るう事を予見出来た筈だった。

 だからこそ微かに、ほんの僅かに残っていただろう俺の良心が右手に宿っていたからこそだ。

 何があろうとも決してあの二神へ渡さず自分自身の手で握り締めていたと言うのにだ。
 

 しかし俺の抵抗はそこまでだった。

 出来得る事ならばガイオ……貴方にこの呪われた剣を託したかった。

 この世で誰よりも強大なる力を有しまた誰よりも厳しく己を律してきた貴方だからこそだ。

 この呪われし剣を託せると言うのに俺は貴方へ一言の相談をする事もせずっ、たとえ貴方に会う為に冥界へ行けなくともだ。

 こんな俺を心より心配し何度も会訪ねてくれていたローザへ相談する事も出来たと言うのに何故なんだっ!!


 俺は決して手を上げてはいけないガイオへ、いやローザをこの剣で突き刺してしまった!?


 誰よりも慈愛に満ち穢れのないこの世で最も美しい女神を俺は〰〰〰〰っ⁉



『――――それで何時までお前は己が自身を責め続ける』


 が、ガイオ……貴方なのかっ⁉

 俺は周囲を見廻した……が何もない。

 そう気づけば俺の周りには何も……なかった。


 大神殿であった場所も。

 大理石で作られし床やぶっとい柱に派手好きな……いや、アレはもう悪趣味だな。

 キラキラとした眩しいばかりの装飾品。
 

 同じ鉱石をと言えもだ。

 サヴァーノとインノチェンツァが好むものは輝石と言った宝石の類であり、俺の愛した素朴で頑丈な石はどうやらお好みではなかったらしい。

 匂いのきつい花ばかりを集めればだ。

 素朴で可憐な――――と言うものは先ず必要とされない。

 またここには到底俺の住処にはないモノばかりが所狭し……いやいや決して大神殿は狭くはない。


 それは自称最高神を名乗るサヴァーノの住まいなのだ。

 荘厳華麗をアレだと言うならばそんな感じの住まいがって、抑々そもそも大神殿だけではないっ!!


 バルディーニの楽園も然り。

 この様子では楽園だけではなく俺の住処のある山も当然、いやこの世界に存在していただろうあらゆるモノの全てが無へと帰したのだろうか。

 だからここはこんなにも漆黒よりも尚暗い闇そして一切の音と言うものがない無音と化しているのだろうか。


 だとすれば俺はもう神としての肉体を失われ魂として?


 そうしてローザが決して入る事を許されない輪廻の輪へと吸収されればだ。

 何時の日か俺は人間として何もなかったかの様に転生をし生きていくのか?


 ローザをあの様な目に遭わせて俺だけがっ、元凶である筈の俺がのうのうと普通の人間として転生する等許され様筈がないだろうがっっ!!
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