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第一章
11 女子会ならぬ推し騎士会?
しおりを挟む「ふふ、それでエルはどなた推しですの?」
「どなた……って言われてもねぇ」
模擬戦真っ最中の騎士達をぽやんと眺めながら嘆息する。
「あら私はカルク家のラウレンツ様推しよ」
「カルク家のラウレンツ様ってまだ正式に入団して……」
そのラウレンツ様とやらもこの二人から何度も聞かされたわね。
「相変わらずエルはいつまでもお子様ね」
「お子様って私達まだ9歳でしょ」
「あら、女の子は早熟なのよ。9歳にもなってまだお母様に甘えているエルとは違うわよ」
「あ、甘えって⁉」
「はい確かにそれは否定出来ません。私が侯爵家へお世話になった頃から拝見させて頂きましたが間違いありませんね」
おいおいテアまで参戦してどうするのよ!!
と言うか何故私を擁護してくれないの。
「ただそれは正しい情報ではありません」
ツンと胸を張るテア。
一体あなたは何を言う心算。
「「正しい情報……って何テア」」
当然テアの話へ喰いついたのは言うまでもない。
「はい、お嬢様はお母様だけでなくお父様から始まり王陛下や王妃様、四人の王子様……つまりはエル様は皆様へ満遍なくまたしっかり甘えていらっしゃるのです。ご本人は甘えていない心算ですけれどね。周囲の者達はそう判断しております」
「い、いやそのそんなに言う程甘えていないし!!と言うかテア喋り過ぎよ」
「あらいけませんでしたか?」
「そのいけないとかいいとかではなくて……」
「今の私は仕事中ではなく、エル様の義姉であると同時に友人達との交流を深めているところなのですよ」
「た、確かに……」
今日は所謂女子会。
何時もはそれぞれの屋敷でお茶をしたりまた街で人気のカフェへとお出かけしたりするのだけれど、今その何れでもなく私達は王宮内にある第一騎士団の鍛錬場にいるの。
何故なら今日は三ヶ月に一度行われる全騎士団員が参加する模擬戦の開催日。
第一騎士団から第四騎士団までが勢揃い。
会場はそれぞれの騎士団の鍛錬場。
トーナメント戦でベスト16からはこの第一騎士団の鍛錬場がメインとなって行われる。
よって何処の騎士団の鍛錬場よりもギャラリーは多い。
またそれぞれの推し騎士達の参加する鍛錬場へ集う令嬢や貴婦人方の数の多さと黄色い声援に吃驚。
私と致しましては推し騎士活なんて興味がないと言いますか、出来れば騎士と名の付く所へ近づきたくはない。
ほらそこは第二騎士団にはジークヴァルト様とあの御方がいらっしゃるもの。
16歳のウロな記憶の中でとは言え私とジークヴァルト様は婚約をしていた。
でもジークヴァルト様はあの御方の事が好き。
そして婚約者である私は何処までもあの二人のお邪魔虫。
9歳児にだってこのくらいはわかるわよ。
だから今世?なのかしら。
それとも現在……あぁどうでもいい。
要するに私はあのお二人とは一定の距離を取る!!
不用意に近づかないし近づこうとも思わない。
命が惜しければ絶対ジーク様とは婚約しない。
王命でも何でも今生で引っ繰り返してやるわ。
なのに先日の意味不明なお茶会以降ジークヴァルト様はよく我が家へいらっしゃる。
アルお兄様がお留守なのにも拘らずにね。
本当に意味不明。
そう本音を言えば模擬戦の観覧には行きたくはなかった。
でも私以外の三人が嫌がる私を馬車の中へと放り込んだのよ!!
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