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第二章 過去から現代へ向かって ~過去二年半前
14 閑話 アナベルの笑えない独り言……?
しおりを挟むお久しぶりに御座います。
我が運命の主エヴァ様唯一の専属護衛侍女、アナベル・ベイントンで御座います。
此度ラファエル陛下より王宮内に潜むクソ鼠……コホン失礼、あの悪辣なシャロンの間者共を一掃すると告げられました。
また此度の脱出大作戦はエヴァ様の安全を確保する為のもの。
何も知らされておられないエヴァ様、真実をお知りになられた際はそれ相応の罰を受ける所存に御座います。
ですので此度は上手く騙されて下さいませ。
話を元へ戻しカータレット伯爵、マックス先生の処方して頂いたお薬を定期的にエヴァ様へお飲ませし後二日はこのまま静かに眠られるそうです。
本当に良く効くお薬です。
役に立たない優男……失礼少々口が過ぎましたわね。
マックス先生の医師としての腕だけは認めざるを得ないでしょう。
普段は私よりも遥かに弱い男とは思いますが同時に何を考えているのか掴みどころのない一面を持った男性だとも言えますわね。
それにしても私の大切で愛らしいエヴァ様が眠っていらっしゃる間に少しでもシャロンの間者を一掃して頂き、一日も早くあの亡霊馬鹿王太子の首を刎ねて欲しいですわ。
アレがこの世に存在している間はエヴァ様の真の平和は訪れないのですから……。
あぁそれとエヴァ様がお目覚めになってからの言い訳も考えておかなくてはいけませんわね。
マックス先生はちゃんとエヴァ様が復職しやすい状況で送り出して下さったのでしょうか?
もしあの優男が余計な事をしておりましたならばこのアナベルが責任を持って丁寧にお仕置きを致します。
エヴァ様の身の安全はこのアナベルが責任を持ってお護り致しますからね。
それにしてもエヴァ様のこのあどけなさの残るお可愛らしさもお美しいお顔は、世の男性には絶対に見せたくないですわ!!
抑々このルガートへ来た目的と申しますのはエヴァ様のお心の治療と馬鹿の目から隠す為。
ですので全てが終われば(馬鹿が死ねば……失礼)エヴァ様に全てをお話する心算です。
きっと物凄くお怒りにはなられるでしょうが私は何があろうとも耐えてみせます。
そう全てはエヴァ様の為なのです!!
なのでエヴァ様のお怒りもこのアナベル、謹んで……そのお怒りを含め全てを受け入れてみせますわ。
でなければきっとエヴァ様は永遠に故国ライアーンへお戻りになられようとはされないでしょう。
最愛なる故国へお帰りになられれば国王陛下と王妃陛下は勿論の事ですが、まだお会いしてはいない弟君にもお会いになられるのです。
この七年半もの間エヴァ様がお心内にずっと秘めておられた願いが叶うとですよ。
ここまで話せば英邁なる皆様にもご理解頂けていると思います。
えぇそうに御座います。
この結婚は極秘裏に行われたもの。
ですのでルガートの国民は勿論、ライアーンの国民や諸外国の誰にも知られてはいないのです。
知っているのは我がライアーン国王陛下とラファエル陛下の側近数名とルガートに居座っているだろうシャロンの間者だけでしょうね。
その為の白い結婚#__・__#なのです。
そうして全てが終わればあの忌々しい結婚証明書を暖炉で燃え盛る焔の中に投げ込めば、晴れてエヴァ様は傷一つない綺麗なお身体へと戻られるのです。
あぁ何と素敵な事でしょう。
男性と言う存在に余り期待は出来ないものですがしかしこの際です。
我が愛しのエヴァ様の御為に骨身を惜しまずせっせとお働きになって下さい。
最後に、万が一敢え無く骨となられましてもエヴァ様は勿論、私もですが当然その骨は拾いませんので足からず。
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