49 / 63
49
しおりを挟む
「しっかりしろ!救急車呼んだから!光太!」
公園の公衆便所の脇にボロきれのように転がっている光太を見つけた時は、心臓が止まるかと思った。暗くてよく分からないが出血が酷い。腹部を刺されているようだ。急いで救急車を要請する。
着ていたサマージャケットを脱いで傷口に充てて圧迫止血。
「光太?!光太?!」
「あ……、先輩……、設楽が……。」
良かった、意識がある。
「わかった、設楽がやったんだな。」
「ナイフ、持ってて……。」
おそらくそのナイフでお前は刺されてるんだよ!
バカは黙れ!
「理人に、言わないで……。」
救急車が来て、光太を収容し、すぐに中央病院に連れていってくれた。
病院の待合で手術を受ける光太を待つ間悩んだのだが言わないわけにはいかないと判断して理人に電話した。
部活帰りのようだったが直接病院に来るとの事だった。
さすがに刑事事件になったので刑事が来た。
知っていることを洗いざらい喋った。
光太が虐待を受けていたこと、祖父のおもちゃとして扱われていたこと、祖父主導の元輪姦され、そのときの一人が設楽で、その後も何かと絡んでいてここ数年でストーカー化していたこと。そしてさっき本人がその設楽にやられたと、言っていたこと。
「分かりました、あとはご本人の意識が戻られたらお話を伺いにまたお邪魔します。」
「設楽、捕まえてください……!」
「全力を尽くします。」
そう言って刑事は病院から去っていった。
その頃理人がようやく到着した。
「光太は!?」
走ってきたようで息が荒い。
「まだ手当してるけれど、そんなに酷い傷じゃなさそうだった。」
「そう、……大丈夫、なんだよね?」
「大丈夫だ。」
よかった……と言ってへたり込む理人。
よく見ると泣いているようだった。
屈んで肩を抱くと「大丈夫。」ともう一度言って立ち上がらせ、待合室のベンチに座らせた。
こうして泣いていると年相応に見える。
「どういうことなのか、空木さん、わかる?」
詳しい話は本人から直接聞いた方がいいだろうから「ストーカーの設楽ってやつに刺されたらしい。」とだけ答えた。正直過去のことをどこまで話していいのか分からなかった。理人に受け止めきれるのかわからなかった。光太の判断だ。
手術が終わり病室に移された。光太は麻酔で寝ていたのでまた明日来ることにした。
理人が残ると言い張ったが、明日の朝一で来れば良い、どうせ麻酔で目覚めないからと言い聞かせ一緒に帰宅することにした。
公園の公衆便所の脇にボロきれのように転がっている光太を見つけた時は、心臓が止まるかと思った。暗くてよく分からないが出血が酷い。腹部を刺されているようだ。急いで救急車を要請する。
着ていたサマージャケットを脱いで傷口に充てて圧迫止血。
「光太?!光太?!」
「あ……、先輩……、設楽が……。」
良かった、意識がある。
「わかった、設楽がやったんだな。」
「ナイフ、持ってて……。」
おそらくそのナイフでお前は刺されてるんだよ!
バカは黙れ!
「理人に、言わないで……。」
救急車が来て、光太を収容し、すぐに中央病院に連れていってくれた。
病院の待合で手術を受ける光太を待つ間悩んだのだが言わないわけにはいかないと判断して理人に電話した。
部活帰りのようだったが直接病院に来るとの事だった。
さすがに刑事事件になったので刑事が来た。
知っていることを洗いざらい喋った。
光太が虐待を受けていたこと、祖父のおもちゃとして扱われていたこと、祖父主導の元輪姦され、そのときの一人が設楽で、その後も何かと絡んでいてここ数年でストーカー化していたこと。そしてさっき本人がその設楽にやられたと、言っていたこと。
「分かりました、あとはご本人の意識が戻られたらお話を伺いにまたお邪魔します。」
「設楽、捕まえてください……!」
「全力を尽くします。」
そう言って刑事は病院から去っていった。
その頃理人がようやく到着した。
「光太は!?」
走ってきたようで息が荒い。
「まだ手当してるけれど、そんなに酷い傷じゃなさそうだった。」
「そう、……大丈夫、なんだよね?」
「大丈夫だ。」
よかった……と言ってへたり込む理人。
よく見ると泣いているようだった。
屈んで肩を抱くと「大丈夫。」ともう一度言って立ち上がらせ、待合室のベンチに座らせた。
こうして泣いていると年相応に見える。
「どういうことなのか、空木さん、わかる?」
詳しい話は本人から直接聞いた方がいいだろうから「ストーカーの設楽ってやつに刺されたらしい。」とだけ答えた。正直過去のことをどこまで話していいのか分からなかった。理人に受け止めきれるのかわからなかった。光太の判断だ。
手術が終わり病室に移された。光太は麻酔で寝ていたのでまた明日来ることにした。
理人が残ると言い張ったが、明日の朝一で来れば良い、どうせ麻酔で目覚めないからと言い聞かせ一緒に帰宅することにした。
0
お気に入りに追加
108
あなたにおすすめの小説
肌が白くて女の子みたいに綺麗な先輩。本当におしっこするのか気になり過ぎて…?
こじらせた処女
BL
槍本シュン(やりもとしゅん)の所属している部活、機器操作部は2つ上の先輩、白井瑞稀(しらいみずき)しか居ない。
自分より身長の高い大男のはずなのに、足の先まで綺麗な先輩。彼が近くに来ると、何故か落ち着かない槍本は、これが何なのか分からないでいた。
ある日の冬、大雪で帰れなくなった槍本は、一人暮らしをしている白井の家に泊まることになる。帰り道、おしっこしたいと呟く白井に、本当にトイレするのかと何故か疑問に思ってしまい…?
赤ちゃんプレイの趣味が後輩にバレました
海野
BL
赤ちゃんプレイが性癖であるという秋月祐樹は周りには一切明かさないまま店でその欲求を晴らしていた。しかしある日、後輩に店から出る所を見られてしまう。泊まらせてくれたら誰にも言わないと言われ、渋々部屋に案内したがそこで赤ちゃんのように話しかけられ…?
僕の兄は◯◯です。
山猫
BL
容姿端麗、才色兼備で周囲に愛される兄と、両親に出来損ない扱いされ、疫病除けだと存在を消された弟。
兄の監視役兼影のお守りとして両親に無理やり決定づけられた有名男子校でも、異性同性関係なく堕としていく兄を遠目から見守って(鼻ほじりながら)いた弟に、急な転機が。
「僕の弟を知らないか?」
「はい?」
これは王道BL街道を爆走中の兄を躱しつつ、時には巻き込まれ、時にはシリアス(?)になる弟の観察ストーリーである。
文章力ゼロの思いつきで更新しまくっているので、誤字脱字多し。広い心で閲覧推奨。
ちゃんとした小説を望まれる方は辞めた方が良いかも。
ちょっとした笑い、息抜きにBLを好む方向けです!
ーーーーーーーー✂︎
この作品は以前、エブリスタで連載していたものです。エブリスタの投稿システムに慣れることが出来ず、此方に移行しました。
今後、こちらで更新再開致しますのでエブリスタで見たことあるよ!って方は、今後ともよろしくお願い致します。
メカクレショタ灰世くんの人生終了排泄ショー
掌
BL
大人しく地味なメカクレ少年、灰世くんが担任の教師に目をつけられ、身体をドスケベ開発される中で元々持っていた破滅願望をさらけ出され人生終了なショーを開催するお話。
かなり強めの大スカ描写が含まれますのでご注意ください!
コミッションにて執筆させていただいた作品です。ありがとうございました!
・web拍手
http://bit.ly/38kXFb0
・X垢
https://twitter.com/show1write
くまさんのマッサージ♡
はやしかわともえ
BL
ほのぼの日常。ちょっとえっちめ。
2024.03.06
閲覧、お気に入りありがとうございます。
m(_ _)m
もう一本書く予定です。時間が掛かりそうなのでお気に入りして頂けると便利かと思います。よろしくお願い致します。
2024.03.10
完結しました!読んで頂きありがとうございます。m(_ _)m
今月25日(3/25)のピクトスクエア様のwebイベントにてこの作品のスピンオフを頒布致します。詳細はまたお知らせ致します。
2024.03.19
https://pictsquare.net/skaojqhx7lcbwqxp8i5ul7eqkorx4foy
イベントページになります。
25日0時より開始です!
※補足
サークルスペースが確定いたしました。
一次創作2: え5
にて出展させていただいてます!
2024.10.28
11/1から開催されるwebイベントにて、新作スピンオフを書いています。改めてお知らせいたします。
2024.11.01
https://pictsquare.net/4g1gw20b5ptpi85w5fmm3rsw729ifyn2
本日22時より、イベントが開催されます。
よろしければ遊びに来てください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる