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先生は相変わらず俺の胸元に頭をうずめてムスッとしている。空木さんに邪魔されたのが納得いかないらしい。
「今日が日曜だから……。明日ってこいつ仕事あるのか?木曜の夜に倒れて、まる2日寝てたわけだから本来ならもう1日くらい休ませたいところだが……。」
さて、先生の勤務日程まではさすがに把握していなかった。
「そりゃそうか。さすがにそこまで知ってたらストーカー過ぎるか……。」
過ぎるってなんだ、ストーカーであることは前提みたいな。否定しきれないけど。
「学校の教務課に連絡しなくちゃなんだが、この状態じゃなぁ。取り敢えずは、また俺が連絡しておくか。」
「あした、仕事いくもん……。」
俺の腕の中でもぞもぞとしつつ言うがこんなのが学校に行ったところで何になるのか。
と言うか、普通に誰にも見せたくない、先生のこんなところ。本当は空木さんからも隠したい、独り占めしたい。
頭を撫ぜる。サラサラの黒髪が指の間から滑り落ちた。
「先生、少し眠って。ほら。」
身体を支えて横たわらせる。シャツを握ったままなので酷くむつかしい。
「手、離して。」
左手から、スルッと滑るように握りしめていた手が落ちた。
「Good boy。」
頭をポンポンと撫ぜると気持ちよさそうににこりとした。熱にうかされたような瞳が、徐々に瞼に包まれて隠れていく。
すぅ。とすぐに健やかな寝息が聞こえてきた。
「ふぅん、ほんとうにパートナーなんだな。」
一連の流れを見ていた空木さんが、しみじみとした様子で言った。
「まだ、日は浅いですけれど。」
「これのいない部屋で少し話そうか。」
そう言って親指で眠る先生を指しつつ空木さんが俺を呼んだ。
クリニックは二つに分かれていて、うつぎメンタルクリニックは大先生、つまり空木さんのお父さんの診ている第一診療所と、空木さんの診ている第二診療所があった。第二診療所は空木さんの自宅と繋がっている。先生はそこの二階の客間に眠っている。
そして今俺と空木さんは空木さんの自室に居た。
「今は俺はこっちに住んでるんだ。3年前に建てたんだよ、第二診療所。親父が引退するには早いって言うんでクリニックを俺に譲ろうとしないんだ。」
空木さんの部屋は一言で言えば、本のタワーが乱立していた。
医学書から英語の本から俺でもタイトルくらいは知ってるような軽い小説まで、ありとあらゆるジャンルの本が積んであった。これを全部読んだのかと思ったら気が遠くなった。
「今日が日曜だから……。明日ってこいつ仕事あるのか?木曜の夜に倒れて、まる2日寝てたわけだから本来ならもう1日くらい休ませたいところだが……。」
さて、先生の勤務日程まではさすがに把握していなかった。
「そりゃそうか。さすがにそこまで知ってたらストーカー過ぎるか……。」
過ぎるってなんだ、ストーカーであることは前提みたいな。否定しきれないけど。
「学校の教務課に連絡しなくちゃなんだが、この状態じゃなぁ。取り敢えずは、また俺が連絡しておくか。」
「あした、仕事いくもん……。」
俺の腕の中でもぞもぞとしつつ言うがこんなのが学校に行ったところで何になるのか。
と言うか、普通に誰にも見せたくない、先生のこんなところ。本当は空木さんからも隠したい、独り占めしたい。
頭を撫ぜる。サラサラの黒髪が指の間から滑り落ちた。
「先生、少し眠って。ほら。」
身体を支えて横たわらせる。シャツを握ったままなので酷くむつかしい。
「手、離して。」
左手から、スルッと滑るように握りしめていた手が落ちた。
「Good boy。」
頭をポンポンと撫ぜると気持ちよさそうににこりとした。熱にうかされたような瞳が、徐々に瞼に包まれて隠れていく。
すぅ。とすぐに健やかな寝息が聞こえてきた。
「ふぅん、ほんとうにパートナーなんだな。」
一連の流れを見ていた空木さんが、しみじみとした様子で言った。
「まだ、日は浅いですけれど。」
「これのいない部屋で少し話そうか。」
そう言って親指で眠る先生を指しつつ空木さんが俺を呼んだ。
クリニックは二つに分かれていて、うつぎメンタルクリニックは大先生、つまり空木さんのお父さんの診ている第一診療所と、空木さんの診ている第二診療所があった。第二診療所は空木さんの自宅と繋がっている。先生はそこの二階の客間に眠っている。
そして今俺と空木さんは空木さんの自室に居た。
「今は俺はこっちに住んでるんだ。3年前に建てたんだよ、第二診療所。親父が引退するには早いって言うんでクリニックを俺に譲ろうとしないんだ。」
空木さんの部屋は一言で言えば、本のタワーが乱立していた。
医学書から英語の本から俺でもタイトルくらいは知ってるような軽い小説まで、ありとあらゆるジャンルの本が積んであった。これを全部読んだのかと思ったら気が遠くなった。
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