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気づくと11時を回っていた。
ちょっと急がないと終電になって、混み混みの電車に乗ることになってしまう。大して距離はないが、出来れば座って帰りたかった。
篠田さんはベッドで悠々と横になりくつろいでいる。
ベッドから立ち上がる。あれ?立ち上がる、立ち上がるってどうやるんだっけ。
頭がガンガン痛い、頭蓋骨の中に人がいて中からキックボクシングのスパーリングでもしてるみたいな痛さだった。
くそ、早くシャワー浴びて帰りてえ。
高橋理人なら、あの流れるような動作でおれの事を抱えて家まで連れて帰ってくれるんだろう。
何馬鹿なこと考えてるんだ。事後だぞ。こんなところ、あいつにだけは見せたくない。
とにかく立ち上がろう。
ゆっくりと片方ずつ足を床に着く。いいぞ、その調子だ。
立ち上がった。
よし、歩くぞ。
よたよたと、擬音が見えそうなくらいよたよたと歩く自分。情けない。
ふろ場に入ってシャワーを浴びる。熱めのお湯で後孔に放たれた篠田さんのものを掻き出す。どんだけ出してんだ。今日はほとんど気絶してたから、何発いったのか数える余裕もなかった。
「吐きそう……。」
全身をくまなく洗った。どんなに洗っても、キレイになんかならないのに。
柔らかいバスタオルで体を拭き、タートルネックのニットと、ジーンズを身につける。
「これね。」
おれがシャワーを浴び終わるのを待っていたかのようにバスローブ姿の篠田さんが封筒を渡してきた。おれはちらっと中を確認する。
「ありがと!」
にこっと、受け取りカバンにしまう。
リュックにもなる通勤カバンを背負うと、それじゃあ終電あるから帰るね!と、努めて明るくヒカルらしく言った。
「また、ね!」
「ヒカル、リヒトって、だれ?」
「え?」
「トびかけた時、うわ言で呼んでたから。」
「うそ。」
なんで無意識であいつの名前を呼ぶんだよ。きっと今日、キス、されたからだ。瞬間顔が熱くなる。
篠田さんがねちっこい視線で見下ろしてくる。それを誤魔化すように「リヒトは、昔好きだったやつの名前!今はなんでもないよ!飛んでたから出てきたんじゃないかな?やだなー!はずかしい!!」ふふ、っと笑った。
「じゃあおれ、いくね!また呼んでくださいっ!」
「お疲れ様。」
いささか納得いかないと言った表情ではあったが、篠田さんは煙草を銜えつつ見送ってくれた。
トんでたときに高橋理人のことを思ってたってこと?いよいよどうか、しているぞ。
ぼうっと何も考えずに、ホテルを出て電車に乗って、自宅アパートに着いた。
そこには、おれの部屋のドアの前には、例によって、高橋理人がいるんだ。
ちょっと急がないと終電になって、混み混みの電車に乗ることになってしまう。大して距離はないが、出来れば座って帰りたかった。
篠田さんはベッドで悠々と横になりくつろいでいる。
ベッドから立ち上がる。あれ?立ち上がる、立ち上がるってどうやるんだっけ。
頭がガンガン痛い、頭蓋骨の中に人がいて中からキックボクシングのスパーリングでもしてるみたいな痛さだった。
くそ、早くシャワー浴びて帰りてえ。
高橋理人なら、あの流れるような動作でおれの事を抱えて家まで連れて帰ってくれるんだろう。
何馬鹿なこと考えてるんだ。事後だぞ。こんなところ、あいつにだけは見せたくない。
とにかく立ち上がろう。
ゆっくりと片方ずつ足を床に着く。いいぞ、その調子だ。
立ち上がった。
よし、歩くぞ。
よたよたと、擬音が見えそうなくらいよたよたと歩く自分。情けない。
ふろ場に入ってシャワーを浴びる。熱めのお湯で後孔に放たれた篠田さんのものを掻き出す。どんだけ出してんだ。今日はほとんど気絶してたから、何発いったのか数える余裕もなかった。
「吐きそう……。」
全身をくまなく洗った。どんなに洗っても、キレイになんかならないのに。
柔らかいバスタオルで体を拭き、タートルネックのニットと、ジーンズを身につける。
「これね。」
おれがシャワーを浴び終わるのを待っていたかのようにバスローブ姿の篠田さんが封筒を渡してきた。おれはちらっと中を確認する。
「ありがと!」
にこっと、受け取りカバンにしまう。
リュックにもなる通勤カバンを背負うと、それじゃあ終電あるから帰るね!と、努めて明るくヒカルらしく言った。
「また、ね!」
「ヒカル、リヒトって、だれ?」
「え?」
「トびかけた時、うわ言で呼んでたから。」
「うそ。」
なんで無意識であいつの名前を呼ぶんだよ。きっと今日、キス、されたからだ。瞬間顔が熱くなる。
篠田さんがねちっこい視線で見下ろしてくる。それを誤魔化すように「リヒトは、昔好きだったやつの名前!今はなんでもないよ!飛んでたから出てきたんじゃないかな?やだなー!はずかしい!!」ふふ、っと笑った。
「じゃあおれ、いくね!また呼んでくださいっ!」
「お疲れ様。」
いささか納得いかないと言った表情ではあったが、篠田さんは煙草を銜えつつ見送ってくれた。
トんでたときに高橋理人のことを思ってたってこと?いよいよどうか、しているぞ。
ぼうっと何も考えずに、ホテルを出て電車に乗って、自宅アパートに着いた。
そこには、おれの部屋のドアの前には、例によって、高橋理人がいるんだ。
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