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さっきから先生の様子がおかしい。
とろんと蕩けた目は虚ろで、反応も鈍い。裸のままでベッドに転がっている。
「せんせ?」
声をかけると気だるそうに少しだけ首をひねってこちらを見た。
顔が赤い。
「風邪?では、ないよね。」
あぁ、でもこのまま裸で放置していたら風邪をひいてしまう。
「先生、いい子だから洋服着よう?」
「いいこ?」
そのワードにだけは引っかかった様子だった。
体の下に手を差し入れて上半身を起こす。
ため息が出そうなくらい軽い。まるで栄養失調だ。そして身体中至る所に新旧入り交じった傷跡がある。
さっき先生が自分で脱ぎ捨てた洋服を拾う。パンツは新しいものの方が良さそうだ。
「ぱんつぱんつ……。」
探すところは少なかった。部屋には小さなタンスが一竿。上から二番目の引き出しが下着入れになっていた。
「先生、パンツ履ける?」
こくん。
俺の手からパンツを受け取るとそっと立ち上がり、ものすごいスローペースでパンツを履いた。
「いいこだね、上手だよ。」
「いいこ……。」
嬉しそうな先生。
そして何故かその姿を見て、満足感を覚える自分。どうかしてるんじゃないの。
「じゃあ、つぎはシャツ着てみようか。」
拾ったシャツを手渡す。
たどたどしく、初めて一人で着替える幼児のようだった。
ボタンに手をかけて、嵌めようとするが上手くいかない。
ベッドにぺたんこずわりしたままシャツのボタンと格闘する先生。
「うぅ、あ……ぁあ……。」
ぼたぼたと急に先生の両目から涙が溢れ出てきた。
「……っ!ご、ごめんね、ごめんね、出来なかったね。俺がやってあげるから大丈夫だよ!」
先生の服のボタンを上から順に掛けてゆく。
それを俯いて、大粒の涙を流しながら見つめている先生。
涙のつぶが、手にこぼれ落ちてくる。
涙に興奮する自分が居る。俺、おかしくなっちゃった?
「ほらできた、上手にできたね、えらいよ。」
涙を拭いながら、言う。
「えらい……。」
そう呟く先生の涙の名残を残した瞳は熱く今にもとろけそうだ。
この調子じゃジーンズを履かせるのは諦めた方がいいだろう。
もう一度身体を支えながら今度は横たわらせる。
上から布団をかけ、ポンポンと軽く叩く。
「今日はもう寝て。」
俺帰るから、と立ち上がろうとした時何かに引っ張られて体制を崩す。
布団の端からのびた細い腕が俺の服の裾を握りしめている。
はぁ、とため息を漏らす。
決して面倒臭いという意味のため息ではなかった。
「大丈夫、そばにいるよ。」
そう言うと少しだけ握りしめた指先が緩んだようだった。
俺はそのままベッドに背中を預けると、スマホを取りだしDom/Subのplayに付いて検索をし、今の先生が所謂【Sub Space】という状態にあるのだと理解した。
「そんなになるほどのことした覚えないんだけどな……。」
それにSub Spaceに入っただけとは思えなかった。まるで、まるで幼児退行したみたいな……。
とろんと蕩けた目は虚ろで、反応も鈍い。裸のままでベッドに転がっている。
「せんせ?」
声をかけると気だるそうに少しだけ首をひねってこちらを見た。
顔が赤い。
「風邪?では、ないよね。」
あぁ、でもこのまま裸で放置していたら風邪をひいてしまう。
「先生、いい子だから洋服着よう?」
「いいこ?」
そのワードにだけは引っかかった様子だった。
体の下に手を差し入れて上半身を起こす。
ため息が出そうなくらい軽い。まるで栄養失調だ。そして身体中至る所に新旧入り交じった傷跡がある。
さっき先生が自分で脱ぎ捨てた洋服を拾う。パンツは新しいものの方が良さそうだ。
「ぱんつぱんつ……。」
探すところは少なかった。部屋には小さなタンスが一竿。上から二番目の引き出しが下着入れになっていた。
「先生、パンツ履ける?」
こくん。
俺の手からパンツを受け取るとそっと立ち上がり、ものすごいスローペースでパンツを履いた。
「いいこだね、上手だよ。」
「いいこ……。」
嬉しそうな先生。
そして何故かその姿を見て、満足感を覚える自分。どうかしてるんじゃないの。
「じゃあ、つぎはシャツ着てみようか。」
拾ったシャツを手渡す。
たどたどしく、初めて一人で着替える幼児のようだった。
ボタンに手をかけて、嵌めようとするが上手くいかない。
ベッドにぺたんこずわりしたままシャツのボタンと格闘する先生。
「うぅ、あ……ぁあ……。」
ぼたぼたと急に先生の両目から涙が溢れ出てきた。
「……っ!ご、ごめんね、ごめんね、出来なかったね。俺がやってあげるから大丈夫だよ!」
先生の服のボタンを上から順に掛けてゆく。
それを俯いて、大粒の涙を流しながら見つめている先生。
涙のつぶが、手にこぼれ落ちてくる。
涙に興奮する自分が居る。俺、おかしくなっちゃった?
「ほらできた、上手にできたね、えらいよ。」
涙を拭いながら、言う。
「えらい……。」
そう呟く先生の涙の名残を残した瞳は熱く今にもとろけそうだ。
この調子じゃジーンズを履かせるのは諦めた方がいいだろう。
もう一度身体を支えながら今度は横たわらせる。
上から布団をかけ、ポンポンと軽く叩く。
「今日はもう寝て。」
俺帰るから、と立ち上がろうとした時何かに引っ張られて体制を崩す。
布団の端からのびた細い腕が俺の服の裾を握りしめている。
はぁ、とため息を漏らす。
決して面倒臭いという意味のため息ではなかった。
「大丈夫、そばにいるよ。」
そう言うと少しだけ握りしめた指先が緩んだようだった。
俺はそのままベッドに背中を預けると、スマホを取りだしDom/Subのplayに付いて検索をし、今の先生が所謂【Sub Space】という状態にあるのだと理解した。
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