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俺はダメな大人だ。
「イキたい時は、なんて言うんだっけ?」
頭の上から聞こえてくる圧力的な、それでいて楽しそうな声。
ベッドに腰かけた声の主の足元に蹲り、中心を握り射精を堪えながら涙を流し、必死で頭を振る自分。
いい歳をして、と、ふと我に返り客観視する。
吐きそうだ。
「Say」
でも、このCommandには勝てない。
Subの本能が、許さない。
「イキたい、です……!!」
「よく言えました。Cum」
と、ベッドに腰かけるその人はじっとりとした声で言った。と、同時に我慢していたそれは勢いよく射精し、目が回りそうな快感を脳に与える。
このひとは、射精管理が好きなDomでこの日ももう1時間以上ギリギリを楽しんでいた。
「Good boy」
このひと、吉田さんは俺の客の中ではマシな方。
痛いことはしないでくれるし、ちゃんとできた時は褒めてもくれる。
「おれ、いいこ……?」
まだチカチカする頭で聞き返す。
「うん、いい子だよ。よく出来たね。」
頭をわしわしとかき混ぜるように撫でられる。気持ちよくて、気持ちよく感じる自分のSubとしての本能に吐きそうだ。
「またちょっと痩せたんじゃないか?」
帰り支度をしながら吉田さんが言う。
「どうかな?体重計とかうちにないし、わかんない!」
と、バカみたいな返事をする。
ヒカルはこれでいい。
ヒカルは尻軽で、気持ちいいことが好きで、倫理観がなくて、お金が大好きな、ただの馬鹿。
これはおれが決めた、仕事でplayする時のおれ。
「ちゃんと食事とって、しっかり寝るんだよ?せっかくの可愛い容姿が萎びてしまう。」
「はぁい!」
眠りたくないから、こんな夜に客を取ってるんだけどね。
と、おもいつつ確かに最近ダボダボ感の増したタートルネックと、少し歩く度に引きずりあげなくちゃならなくなったジーンズを身につける。
「それじゃあまたね。」
「また連絡、待ってる。」
ふふ、と少し笑いあってホテルのエントランスで吉田さんと別れた。
吉田さんはニュースとか見ないおれにはよく分からないけれど、実は偉い人らしい。
どうでもいいけれど。
これがおれの、一つ目の顔。
吉田さんはいい人だ。
アフターケアもそれなりにしてくれる。
その前が連続してアフターケアなんて知ったことじゃない、といった客だったせいで撫でられた頭がこそばゆいくらい嬉しい。
多分俺が犬だったらちぎれんばかりに尻尾を振っていることだろう。
昨日は鞭でしこたま叩かれた。
一昨日は3人相手にほぼレイプのようなplayをさせられた。
おれは基本的にセーフワードを設定しないから、危ない客がつくこともある。
そのおかげで、相応の見返りがあるわけだけれど。今日渡された封筒の中を見る。五、まぁ、あのplayなら危険もないしそんなもん。今日のおれの値段。
3日連続裏の仕事で、最後が吉田さんってだけでも救いだった。
家に帰って、睡眠導入剤を飲むと、死んだように眠った。
朝なんて来なくていいと思いながら。
「イキたい時は、なんて言うんだっけ?」
頭の上から聞こえてくる圧力的な、それでいて楽しそうな声。
ベッドに腰かけた声の主の足元に蹲り、中心を握り射精を堪えながら涙を流し、必死で頭を振る自分。
いい歳をして、と、ふと我に返り客観視する。
吐きそうだ。
「Say」
でも、このCommandには勝てない。
Subの本能が、許さない。
「イキたい、です……!!」
「よく言えました。Cum」
と、ベッドに腰かけるその人はじっとりとした声で言った。と、同時に我慢していたそれは勢いよく射精し、目が回りそうな快感を脳に与える。
このひとは、射精管理が好きなDomでこの日ももう1時間以上ギリギリを楽しんでいた。
「Good boy」
このひと、吉田さんは俺の客の中ではマシな方。
痛いことはしないでくれるし、ちゃんとできた時は褒めてもくれる。
「おれ、いいこ……?」
まだチカチカする頭で聞き返す。
「うん、いい子だよ。よく出来たね。」
頭をわしわしとかき混ぜるように撫でられる。気持ちよくて、気持ちよく感じる自分のSubとしての本能に吐きそうだ。
「またちょっと痩せたんじゃないか?」
帰り支度をしながら吉田さんが言う。
「どうかな?体重計とかうちにないし、わかんない!」
と、バカみたいな返事をする。
ヒカルはこれでいい。
ヒカルは尻軽で、気持ちいいことが好きで、倫理観がなくて、お金が大好きな、ただの馬鹿。
これはおれが決めた、仕事でplayする時のおれ。
「ちゃんと食事とって、しっかり寝るんだよ?せっかくの可愛い容姿が萎びてしまう。」
「はぁい!」
眠りたくないから、こんな夜に客を取ってるんだけどね。
と、おもいつつ確かに最近ダボダボ感の増したタートルネックと、少し歩く度に引きずりあげなくちゃならなくなったジーンズを身につける。
「それじゃあまたね。」
「また連絡、待ってる。」
ふふ、と少し笑いあってホテルのエントランスで吉田さんと別れた。
吉田さんはニュースとか見ないおれにはよく分からないけれど、実は偉い人らしい。
どうでもいいけれど。
これがおれの、一つ目の顔。
吉田さんはいい人だ。
アフターケアもそれなりにしてくれる。
その前が連続してアフターケアなんて知ったことじゃない、といった客だったせいで撫でられた頭がこそばゆいくらい嬉しい。
多分俺が犬だったらちぎれんばかりに尻尾を振っていることだろう。
昨日は鞭でしこたま叩かれた。
一昨日は3人相手にほぼレイプのようなplayをさせられた。
おれは基本的にセーフワードを設定しないから、危ない客がつくこともある。
そのおかげで、相応の見返りがあるわけだけれど。今日渡された封筒の中を見る。五、まぁ、あのplayなら危険もないしそんなもん。今日のおれの値段。
3日連続裏の仕事で、最後が吉田さんってだけでも救いだった。
家に帰って、睡眠導入剤を飲むと、死んだように眠った。
朝なんて来なくていいと思いながら。
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