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アドリアンシリーズ第11話……エピソード1……帰還
しおりを挟む1379年4月上旬土曜日朝7時……ベルクルス
ベルクルスを港湾都市にふさわしく整備して拠点も作った。センポアラからガレオン船を移動し、修理をしてからキューバ島のハバナ港に向かった。
1379年4月下旬土曜日朝7時……ハバナ港
ハバナ港に到着すると兄たちが総出で出迎えてくれた。すでに帰還していたのだ。太平洋発見のニュースを伝えると全員大はしゃぎで我先にと向かおうとした。
アドリアンに静止され、「まずアドルフの話を聞いて然るべく準備してから太平洋へ全員で向かう」事になった。
兄弟たちに妻たちを紹介し朝食を終えてから、幹部会議を行った。
ビアンカが総司会を努めた。
ビアンカ「まず3部隊の成果を報告します。アドルフ隊はメキシコ高原に割拠していたテパネカ帝国とトラスカラ王国を征服し、テスココのアコルワ族を従属させた。将来の禍根となりうるテノチティトランのメシカ族も征服した。これは最上級の功績である。併せてサカテカス銀山の発見と発掘及びアカプルコ港の建設と太平洋の発見を成し遂げた。引き続いてアドリアン様はユカタン半島を征服し、マヤ族を従属させました。最後にケイマン様とアルファード様はキューバ島全域を支配し、島であることを確認してから、フロリダ半島に渡り、現地住民と戦闘を行いましたが一進一退の状態が続いております」
アドリアン様、私はアドルフ様の側室になりたいと思います。
アドリアン「よし、状況はよく分かった。フロリダには俺が行こう。ケイマンたちはイスパニョーラ島全域を捜索し占領せよ。アドルフはユカタン半島から以南を征服せよ。アドルフの功績を認めて、以前から欲しがっていたビアンカをやろう」
ビアンカはアドルフの参謀兼妻の一人となった。
アドルフはビアンカ及びテレソネとアトトストリ34歳をそれぞれ同格のアドルフ夫人とした。イランクエイトル17歳、テスカトラン・ミヤワツィン16歳、マリンチェの3人はこの際側室にした。
ベルクルス→コアツァコアルコス→オアハカ→サリナ・クルス
1379年5月上旬土曜日朝7時……ハバナ港
今回はベルクルスを経由せず、コアツァコアルコスに停泊した。以前ベルクルスに行く前、港らしきコアツァコアルコスとサリナ・クルスを整備しておいたのだ。ガレオン船を300隻停留した。6万名の軍勢が上陸した。食料品・資材・輜重材を船から下ろした。オアハカに居るゲルマンの部隊を呼びにやりコアツァコアルコスで合流した。ゲルマンに「アドリアンがユカタン半島を制圧した。一度ハバナに帰り休養してからケイマンたちと一緒にイスパニョーラ島全域を捜索し占領せよ」と命令した。
ゲルマン部隊はセンポアラに置いた船団を編成してハバナに帰還した。
コアツァコアルコス→サリナ・クルス
テワンテペク
1379年5月下旬土曜日朝7時……コアツァコアルコス港
港を出て西南に300キロほど馬車で移動すると元のテワンテペク今のサリナ・クルス港に到着した。以前にアカプルコで建造した船よりも大きく性能の高い大砲を積んだ船を1ヶ月で建造した。キューバから食料品・資材・輜重材を多数持ち込んだのでそれが出来た。
守備兵を1,000名程残して全員南へ航海に旅立った。アドリアンから先住民を2名貰っていた。マヤ語やケチュア語に精通していた。彼らから聞いた話によると、随分南の方に相争っている二つの部族があるそうだ。一つはチムー王国といって首都は海岸沿いにあり、チャン・チャンと名付けられている。もう一つはクスコ王国という。こちらの方は奥地の高い山の上にあるそうだ。
取り敢えず、太平洋の海岸に沿って南に下ってみることにした。集落はないかと探しながら航海を続けていくと大きな内海に入り込んだ。注意しながら進んでいくと海岸沿いにまとまった集落がある。船も停泊できそうだ。
上陸すると、集落から先住民が急に襲ってきた。数百人程度の大した武器も持っていない戦士たちだったので殺さずに、全員生け捕りにした。アドリアンから貰った先住民にこちらに害意はないと伝えてもらった。中々信用しない様子だったので彼らに食料と衣服を与え、族長を呼んでこさせた。マリンチェとアドリアンから貰った先住民たちを通訳として説得を試みた。彼らはチブチャ族といい、このパナマ地区全体では30万人の人口があるそうだ。先程の戦士の数とは合わないがアドルフはあえて指摘しなかった。
アドルフ「当方に害意はないが、そちらがどうしても戦うというならやむを得ない。全員皆殺しにしてやる」
敵方の若い戦士たちは闘志を剥き出しにして武器を取り出した。あわやという時に族長が口を開いた。
族長のアポリスク48歳「こちらも流血は望まない。儂の若い妻メリカ30歳をお前にやろう。お前がこの女を娶れば和平して同盟しよう」
アドルフは妻をこれ以上増やす気はなかったがやむを得ない。アドルフはメリカを夫人の1人にした。
アドルフたちはパナマに上陸し、チブチャ族の男女たちと交易した。実態はこちらが衣服とか生活用品を彼らに渡しただけであった。たまに金や銀をくれるものもいた。なんでも南の方のポトシというところで銀が採れるらしい。金の方はあたりで採れる砂金であった。ここから北に真っ直ぐ進むと大西洋に出ることが出来るそうだ。
1379年7月下旬土曜日朝7時……パナマ港
ビアンカがアドルフに寝物語で指摘した。
ビアンカ「パナマ港が見つかってよかったですが、ハバナから南に船で下ればもっと楽に来れたのではないですか?」
アドルフ「お前分かっているならもっと早く言えよ」
確かにキューバのすぐ南だ。次回からはそうしよう。
今回はパナマ港の発見までです。次回をお楽しみに。
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