助けて! ご領主さま!

家紋武範

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第2話 忍び込み

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父のギルティ一家の悪事を暴いた書類はロテプに頼んだ。彼は胸を叩いて、農夫に化ける服装をして朝、太陽が昇らないうちに街を出て行った。
時を同じくして、弟のボルトもギルティ一家の屋敷へと忍び込み、屋根裏から父さんのカバンを盗み出す。そういう作戦だ。

しかし──。
夕方になっても二人とも帰ってこない。いくらなんでも遅すぎる。
しびれを切らした私は一人、ギルティ一家の屋敷の裏側へと移動していた。

「昔遊んだ我が家だもの、どこから侵入すればいいかなんて分かってるわ」

そう。昔、弟のボルトとともに遊んだときに見つけた。屋敷を囲む塀のこの部分。下に動物が掘った穴があるのだ。ここから密かに入り込める。
すでにボルトがここから侵入したのであろう。簡易に板だけ被せてある。服は多少汚れるだろうがそんなこと言ってられない。私は穴に入るために四つん這いになった。

その時。

「よーう。サンディちゃん」

ハッとして振り返るとそこには、リンゴをかじりながらゴルさんが立っていた。私のお尻を見つめながら。私は素早くお尻を手で押さえて立ち上がると、ゴルさんのとぼけた声。

「何してんの?」
「ゴ、ゴ、ゴルさん!?」

「今日は店じゃないの?」
「あの……私は……」

「そこからギルティの屋敷に入り込もうっての? やめときなって」

こいつ……。瞬時に私の行動を読んだわ。普段は酔っ払いだけど、なかなか洞察力のあるヤツ。しかし、見られたからには──協力して貰うしかないわ。

「そうよ。ゴルさんも手伝ってくれない? ギルティ一家にはこの街もいいようにされて、腹立つでしょう?」
「まぁね。最近は道路工事も回ってこないし」

そういって、自分にお金も仕事もないことを示す。

「分かったわ。お礼は払うし、お酒も奢ってあげる」
「それとデートしてくれるって約束してくれれば」

「は、はぁ?」
「嫌ならいいんだ。ここでオイラが大声出せばギルティから金も貰えるだろうし」

な、なんて男かしら。脅迫までするなんて。
でも父さんの名誉と、ボルトの安否もかかってるし……。

「分かったわ……」
「へへ。そう来なくっちゃ」

ひょんなことから二人のパーティ。私は先導して塀の下から先にくぐる。

「ひょー。いいながめ!」

くっ。スカートなんてはいてくるんじゃなかった。しかし都合上、お尻を隠したまま進めないわ。

「見たら殺すわよ!」
「見えるのは不可抗力だよ」

「嫌な人!」
「店の外ではつれないなぁ」

「店の中でも同じです!」

ようやく塀をくぐり抜け、足音を立てずに屋敷に近づく。神妙な顔をしているのは私だけ。後ろのゴルさんの目は私の尻にご執心。

「あなたねェ~」
「しっ。声が大きい。見つかっちまうぞ?」

「マジメにやんなさいよぉ」
「なにをだよ。まだワケを聞いてないのに」

そう言われれば──。
そうだった。しかしこのギルティ一家に忍び込んだんだから、見つかったらただじゃ済まないのに余裕気だな、この人。

「父の汚名を晴らすのよ」
「どうやって?」

「私の父は先代のご領主さまと懇意だったの。そしてギルティ一家の悪事を探ってた。それを書類にまとめてご領主さまに届けようとしたのね。その前に殺されて、名誉まで奪われたのよ」
「ふむふむ」

「この屋敷の中にはその書類が眠ってるわ。それを弟が盗みに入ったんだけど戻ってこないの。ひょっとしたら捕まったのかも」
「なるほどなぁ。つまり弟さんと、書類を持ってくればいいわけだな」

「そして見つからないように」
「ほいほい」

軽いな。この人。
しかし、進むのが困難になった。なぜか人が多い。広間に集まっているようなので、ゴルさんを連れてこっそり覗いてみた。
するとそこには縄をかけられたボルトとロテプ。その前にはノザンが立っていた。

「こそこそとネズミめッ!」

ノザンが叫ぶとボルトとロテプは口を揃えてノザンを罵った。

「なにを! 旦那さまをだまし討ちにしおって!」
「そうだ! お前の悪行なんてすぐにバレるぞ!」

しかしノザンは怪しく笑う。その手には、ロテプに渡した書類と、ボルトが盗んだのであろう、父の茶色いカバンがあった。

「そうはならん」

そう言って部下に命じ、書類とカバンを暖炉へと放り込ませた。メラメラと赤い炎がそれらを燃やしてゆく。私はその光景が衝撃で目を閉じてしまった。
最後の望みが絶たれたのだ。

「これでいい。そして貴様たちには後腐れがないように死んでもらう。先代のご領主やそのご長男のようにな」

え?
まさか。先代さまやその跡継ぎさままでもノザンが手にかけたというの?

「食事にちょっと毒をまぜればイチコロだ。まぁ、その後、男爵家に入っていたご次男さまが帰ってくるとは想像してなかったが。ぼちぼち彼の食事にも毒を仕込むことになっておる。そうすれば城にわが兵がなだれ込み、城を取る。そしたら、この領地の周りを囲む7つの男爵家の領地も力で制し、ゆくゆくは国王を倒すのだ。儂の天下となるのだよ」

な、なんて野望!
父や先代さまがその野望のために殺されたなんてあんまりだわ!

「ご、ゴルさん聞いた」
「ああ。すげぇ話だな」

「ご領主さまが危ないわ。あなた今の話をご領主さまに伝えてきてくれない? 私は何とか二人を救ってみるわ」
「はぁ。できればそうしたいね」

「え?」

ゴルさんのほうを見ると、たいまつの明かりがこちらに向かってくる。見つかった?

「おおい! 誰か忍び込んでるぞ!」
「人を集めて捕まえろ!」

見つかった! どうしよう。こんなスケベで足手まといを抱えたまま。

「サンディちゃん」
「なに?」

「今日のデートの話は無理だな」
「はぁ? まだそんなこと言ってたの?」

それに今日のつもりだったんだ。マジどんだけ。

「約束変更だ。無事にここから出れたら、オレと結婚して欲しい」
「な、何言ってんの? イカレてるの? この状況で」

「いやマジで。そうすりゃ頑張れそう」

結婚──。
正直そんなことまで軽く言うゴルさんにムカついた。しかし今は藁にもすがりたい。
世が世ならご領主さまのヨメになれたかもしれないのに!
でも命は大事だわ。それに生きてここを出られればご領主さまにギルティ一家の悪事を訴えられる。そしたらこのジーエル領は平和になれる……。それは父の願い──。

「くっ! 分かったわ」
「商談成立だな。よぉーし!」

ゴルさんは迫ってくる先頭の二人へと駆け出し、相手が身構えるより早く、その両腕を相手の腹へと叩き込むと、敵は力を失ってその場に崩れた。
その敵が持っていた剣を掴み、一つを私へと手渡す。

「サンディちゃん。剣を扱えるか?」
「む、昔少しだけ習ったわ。それに父は剣の名手だったのよ?」

「じゃ構えて」

言われるまま構えると、ゴルさんは眉をハの字に曲げて失笑した。

「片手剣を両手持ち……うん。とりあえず身を守ることに集中しろ」
「え、ええ」

先ほどの見張りの呼び声に応じたのか、たくさんの男たちが武器を携えて向かってきた。多勢に無勢。ゴルさんは身を隠すように手で合図をした。

「いやよ。父や先代ご領主の無念を晴らすためにせめて一太刀」
「バカ! 死んだら何にもならないぞ!」

なによ。急に男らしくなっちゃって。

ゴルさんの動きがいつもの酔っ払いじゃない。俊敏に身をこなして、一人に一太刀。それで戦闘不能にしていく。
私は身を潜めて、ノザンのいる部屋へと向かおうとすると、おあつらえ向きに、ボルトとロテプを率いて、こちらにやって来た。しかし、たくさんの護衛がいる。チャンスを待つのよ。

ゴルさんの方を見てみると、普通の人じゃない。あれは野獣? いや訓練された動きだわ。もと傭兵とかそんな感じなのかしら?
殺しはしない。急所に攻撃して一人、また一人と地面に倒していく。
それにノザンは声を荒らげた。

「なんだ? あの男、見たことあるな」
「はい。サンディの店に通ってるフーテンでやす」

「はぁ? なんでそんなヤツが。しかし計画を聞かれたかもしれん。生かして出すな。お前たちもかかれ!」
「へい!」

護衛たちはゴルさんへと向かっていく。
今だわ。

私はノザンの背後へと迫り、剣を大きく振り上げてノザンの背中を切りつける。
しかし悲しいかな、やったことのない剣術は思うようにいかず、ノザンの背中をかすっただけ。だけど不意を突かれたノザンは大きくよろめいて地面に倒れた。
私はやったと思い、ボルトとロテプの縄を切り声を上げた。

「さぁ早く逃げるのよ!」
「で、でもあの人は?」

「大丈夫。早くご領主さまに知らせて!」
「分かった!」

ボルトとロテプが駆け出すのを見送った後、私は剣を持ち直し、ゴルさんの加勢に向かおうとした。
しかし、いつの間にかノザンは立ち上がり、私の首を腕で締め上げたのだ。
そしてゴルさんへと叫ぶ。

「やい男! サンディがどうなってもいいのか!? 投降しろ!」
「くっ! どこまでも汚いヤツめ」

「ゴルさん! 私はいいから逃げて!」
「ふん。将来のヨメを見棄てて逃げれるかよ」

ゴルさんは剣を地面に投げ出すと、ノザンの護衛は笑いながらゴルさんの胸を斬りつけた。

そこには──。
胸全体に広がるサメのタトゥー。
全てを喰らい尽くすというようなイメージで、大きな船を噛みついている姿。
それを見た護衛の一人は怯んで後ずさりした。

「……そ、そう言えば聞いたことがある。カパー男爵領で大暴れした男の話。暗黒街のマフィアをたった一人で叩き潰したシャークとあだ名されたタトゥーの男! まさか!」

「──そのまさかだよ。このケツの穴野郎!」

ゴルさんは、屋敷の壁を大きく蹴って空中を三回転。余りの美しさに見とれてしまった。それは護衛やノザンも同じで月明かりに輝くゴルさんを見ていた。
まるで夜の海にサメが跳ねたような。

ゴルさんは私たちの近くに着地し、ノザンに飛び込んで当て身を喰らわすと、ノザンは気絶してそこに倒れ込んだ。
武器を持たずに護衛を素手で殴り倒していく。
私は唖然とそれを見ていたが、心は躍るようだった。

「いいぞー! ゴルさん、やっちゃえ、やっちゃえ!」

ゴルさんは私に目配せしながら大立ち回り。護衛たちの急所を殴って、一人、一人と倒していった。

そうしていると屋敷の門から荒々しく破られる音がした。
見てみると20騎ほどの重騎兵が長い槍を携えて駆け込んできたのだ。
ノザンはフラフラになりながらも立ち上がった。

「ま、マズい。伯爵の親衛隊だ」

護衛たちはパニックに陥ったが、この家を囲むたいまつを見ると、他にも軍勢がいることを現していた。私はホッとして、ゴルさんへと話し掛けた。

「ふぅ。良かったわね。ご領主さまの軍勢だわ。助かったのよ! はぁ。まぁしょうがない。約束だもんね。結婚かぁ。でもゴルさん、ホントにかっこ良かったよ」

しかし声をかけたと思ったら、それはノザンの護衛。ゴルさんはいつの間にか姿を消していた。

「あ、あの人は?」

親衛隊は、次々と屋敷に入り込み、使用人たちにも縄をかけていった。そして、私の腕にも……。
私はノザンの一味として捕縛されたのだ。
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