52 / 58
第52話 幸せな生活
しおりを挟む
シーンとサンドラは初夜の次の日に、腕を組みながらグラムーンの屋敷に挨拶に赴いた。
父アルベルトも、母ジュノンも腰を抜かさんばかりに驚いて、座っていたソファーから滑り落ちてしまったが持ち直した。
シーンの心境の変化を聞きたかったが、サンドラ本人がいるのでエイミーの名前を出すのを憚られ、とりあえず祝賀の言葉を贈った。
アルベルトはサンドラとのことが落ち着いたと思ったが、エイミーに不義理という思いもあってシーンだけを書斎に呼んだ。
「君は私の前でサンドラ嬢を娶ることはないと泣きながら言ったが、どういう心境の変化だい? それから妊娠中のエイミーを正妻から下ろしてサンドラ嬢を正妻にするなんて、妻が妊娠したら相談もせずにそうすることが正しいことになってしまうよ」
と言うと、シーンは頭を抱えてさめざめと泣くのだ。
「はいお父上。私もどうしてそうしたのか分かりません。エイミーはとても大事だし、サンドラのことを憎いという気持ちも胸の中に少しだけあるのです。それは灰の中の炭火のようにくすぶっています。しかし私の心が正直にサンドラを娶れと叫ぶのです。分からない。どうしていいか分からないですが、その思いはサンドラを掴んで決して放してはいけないと言うのです。エイミーは大事な人です。ずっとそばにいて微笑んでいて欲しい。ですが、サンドラは愛しているのです」
その言葉にアルベルトは大きく頷いた。
「そうか……。エイミーもサンドラもどちらも好きになってしまったか。それを正直にエイミーに言わなくてはいけないよ。彼女はサンドラを第二夫人に薦めはしたが、自分が第二夫人にされたとなってはさすがに怒るだろうから」
いつも朗らかで子供のようなシーンだが、このときばかりはアルベルトにすがった。
「ああお父上! 私はどうしたらよいのでしょう。サンドラと共にいる時はエイミーを忘れてしまって幸せな自分がいる。しかしこうして離れるとエイミーが大事でしかたない。だから怖い。恐ろしい。エイミーにこの事がバレてしまうのが」
アルベルトはぎょっとして尋ねた。
「恐ろしいだって? あのエイミーがかい?」
「はい。私はきっと許されません。私の肉体から魂を引きずり出されてしまうかもしれない」
「エイミーが? キミを殺すだって?」
「エイミーは私をどうするでしょう? 大恩ある彼女を裏切りました。でももうサンドラなしでは人生を考えられない。エイミーが来て私を……私を……」
そう言ってシーンはアルベルトに泣きながら懇願するのだった。
「──おおそうか。今の彼女は妊娠して静養中だ。領地の屋敷で子供を産むことが第一だ。安心しなさい。エイミーには私から言ってあげよう。しかし妊娠中の彼女を不安にさせてはいけない。それは子供が産まれて、子供を乳母に預けてからだよ」
そこでようやくシーンは顔を上げた。
「ああお父上! ありがとうございます!」
「うんうん。サンドラと仲の良い蜜月を過ごすといい」
そう言われたシーンは安心してサンドラを伴って軍団長の邸宅へと帰っていった。
さらに数日後には、学校の同級生に招待状を送り、邸宅のホールで祝賀会を開いた。
二人で寄り添いながら同級生たちに酒を振る舞ったので、みんな目を丸くしたが、それ以上に性格が丸なったサンドラを見て、あの時のことは過去のこと。シーンには病気がなくなり勇者称号を受けたことへ祝福の言葉を伝えたのだった。
そんな二人の蜜月は数日続いていた。
サンドラはベッドの上でまどろみの中だったが朝日に目を覚ます。すると隣に寝ていたはずのシーンがいないので辺りを見回した。
すると、ノックも早々にノーイが勢いよくドアを開けて入ってきた。
「お嬢様! 私は我慢に我慢を重ねてきましたがもう限界です。離婚してください!」
朝からなんのことだろうと苦笑いをしながら聞いてみた。
「お嬢様。私は旦那さまや奥さまに信頼されお嬢様の教育係を任されました」
「そうねぇ。そうだったわねぇ」
「私は悪い侍女長でした? ですから私への反抗心でこのような結婚を?」
「そんなわけ無いでしょ」
「いいですか? 私は心の広い人間ですよ。お嬢様が下女の格好をして、シーンさんの足を拭いているのを見ても驚きこそすれ、それを咎めませんでした」
「あれは、そういう遊びだったのよ? 私たちは幼い頃、一緒に遊んだおままごとを思い出しながら下女と旦那さまごっこをしたの」
「それからお二人が裸足でこのお屋敷の中を歩いていても意見一つしませんでした」
「そうなのよ。シーンたら絨毯の上を裸足で歩くと気持ちいいのを見つけてねえ。足が気持ち良かったわ。ノーイもやってごらんなさい」
「シーンさんが長柄の箒を振り回して、イグランド朝の歴史ある文化財の壺を割ってしまっても、涙を流しても罵倒しませんでした」
「あの時は大きな蜂が入ってきてたわよね。シーンがやっつけてくれたけど、使用人に怪我がなくて良かったわ」
「お嬢様、あんな無作法ものを追い出してください!」
「私がシーンの元に来たのに追い出せるわけないでしょ」
「ではどうぞこちらへ。これを見たらお嬢様も気が変わりますわよ」
「あら、シーンがいないのはそちらにいるのかしら。分かったわ行ってみましょう」
ノーイの案内で部屋から出ると、庭がワイワイ騒がしい。まるで祭りのようだ。
ノーイの足はその庭に真っ直ぐ向かっている。その頃には、楽しそうな声は一層大きくなるばかり。
ノーイが扉を開けると、そこにはずぶ濡れで池で遊ぶ、シーンとムガル宰相の姿だった。
「はっはっは。勇者シーンよ。儂とてエズバランの河童と言われた男。まだまだ敗けはせんぞ」
「ぬぬう。義父上。なかなかやりますな!」
エズバランはムガル宰相の領地の一群の名前で、そこには美しい湖水がある保養地だ。どうやら宰相は昔そこでやんちゃしていたらしい。
二人は大きな池に入って投網を打ち、魚の量を競っているようだった。すぐ近くでは使用人が火をおこし、二人の獲物を捌いて焼いている。使用人の子供たちも振る舞われる魚を楽しみに待っていた。
「お嬢様。これを見て分かったでしょう?」
「ええそうねえ」
「では良かった。お嬢様は頭が変になったわけではなかったのですね」
「今のウソ。なにが問題だか全然分からないわ」
ノーイは崩れ落ちて膝をついてしまったが持ち直した。
「旦那さまは、出仕の前にシーンさんを見ようと思って立ち寄っただけなのに、ああしてお召し物を汚してしまって! あれでは仕事も出来ません。それもこれもシーンさんのせいですわ!」
「うふ。お父様にもあんな一面があったのね。ご覧なさい。とても楽しそうだわ」
見ると窮屈な貴族生活と、宰相の重責を忘れた生き生きとした顔。使用人たちも宰相が配る魚を嬉々として受け取っている。そのうちに審判をしていた使用人が手を上げて、この試合を止めた。
「えー、軍団長さまが42。宰相閣下が60で宰相閣下の勝ちです!」
と軍配を宰相に上げると、宰相は胸を張りみんなの歓声を受けた。シーンは悔しそうに地団駄を踏んでいた。
サンドラはそんなシーンの元にいって慰めると、シーンは立ち直ってムガル宰相を誉めた。
「いやあ義父上。このシーンの敗北です。まだまだ義父上には敵いません」
「いやいやなんのなんの。まぐれよ」
そう言って宰相手ずから使用人に焼いた魚を手渡した。
「そらノーイ。これはキミの分だよ。なかなか美味な魚らしい」
とノーイにも配られたので、ノーイは宰相からの下賜品に文句を言うわけにも捨てるわけにもいかずかぶりつくしかなかった。
「ああ、美味しいです」
「で、あろう。さてさて儂も宮殿に行かねばな。誰かある。着替えを持てい!」
と叫ぶと、ぞろぞろとお付きのものがやってきて宰相の肌着から上着まで着替えをさせた。
シーンが宰相に挨拶すると、宰相は笑いながら出ていく。シーンがその後ろ姿を眺めていると、門のところですれ違った人物にシーンは震え上がった。
それはエイミーだったのだ。
父アルベルトも、母ジュノンも腰を抜かさんばかりに驚いて、座っていたソファーから滑り落ちてしまったが持ち直した。
シーンの心境の変化を聞きたかったが、サンドラ本人がいるのでエイミーの名前を出すのを憚られ、とりあえず祝賀の言葉を贈った。
アルベルトはサンドラとのことが落ち着いたと思ったが、エイミーに不義理という思いもあってシーンだけを書斎に呼んだ。
「君は私の前でサンドラ嬢を娶ることはないと泣きながら言ったが、どういう心境の変化だい? それから妊娠中のエイミーを正妻から下ろしてサンドラ嬢を正妻にするなんて、妻が妊娠したら相談もせずにそうすることが正しいことになってしまうよ」
と言うと、シーンは頭を抱えてさめざめと泣くのだ。
「はいお父上。私もどうしてそうしたのか分かりません。エイミーはとても大事だし、サンドラのことを憎いという気持ちも胸の中に少しだけあるのです。それは灰の中の炭火のようにくすぶっています。しかし私の心が正直にサンドラを娶れと叫ぶのです。分からない。どうしていいか分からないですが、その思いはサンドラを掴んで決して放してはいけないと言うのです。エイミーは大事な人です。ずっとそばにいて微笑んでいて欲しい。ですが、サンドラは愛しているのです」
その言葉にアルベルトは大きく頷いた。
「そうか……。エイミーもサンドラもどちらも好きになってしまったか。それを正直にエイミーに言わなくてはいけないよ。彼女はサンドラを第二夫人に薦めはしたが、自分が第二夫人にされたとなってはさすがに怒るだろうから」
いつも朗らかで子供のようなシーンだが、このときばかりはアルベルトにすがった。
「ああお父上! 私はどうしたらよいのでしょう。サンドラと共にいる時はエイミーを忘れてしまって幸せな自分がいる。しかしこうして離れるとエイミーが大事でしかたない。だから怖い。恐ろしい。エイミーにこの事がバレてしまうのが」
アルベルトはぎょっとして尋ねた。
「恐ろしいだって? あのエイミーがかい?」
「はい。私はきっと許されません。私の肉体から魂を引きずり出されてしまうかもしれない」
「エイミーが? キミを殺すだって?」
「エイミーは私をどうするでしょう? 大恩ある彼女を裏切りました。でももうサンドラなしでは人生を考えられない。エイミーが来て私を……私を……」
そう言ってシーンはアルベルトに泣きながら懇願するのだった。
「──おおそうか。今の彼女は妊娠して静養中だ。領地の屋敷で子供を産むことが第一だ。安心しなさい。エイミーには私から言ってあげよう。しかし妊娠中の彼女を不安にさせてはいけない。それは子供が産まれて、子供を乳母に預けてからだよ」
そこでようやくシーンは顔を上げた。
「ああお父上! ありがとうございます!」
「うんうん。サンドラと仲の良い蜜月を過ごすといい」
そう言われたシーンは安心してサンドラを伴って軍団長の邸宅へと帰っていった。
さらに数日後には、学校の同級生に招待状を送り、邸宅のホールで祝賀会を開いた。
二人で寄り添いながら同級生たちに酒を振る舞ったので、みんな目を丸くしたが、それ以上に性格が丸なったサンドラを見て、あの時のことは過去のこと。シーンには病気がなくなり勇者称号を受けたことへ祝福の言葉を伝えたのだった。
そんな二人の蜜月は数日続いていた。
サンドラはベッドの上でまどろみの中だったが朝日に目を覚ます。すると隣に寝ていたはずのシーンがいないので辺りを見回した。
すると、ノックも早々にノーイが勢いよくドアを開けて入ってきた。
「お嬢様! 私は我慢に我慢を重ねてきましたがもう限界です。離婚してください!」
朝からなんのことだろうと苦笑いをしながら聞いてみた。
「お嬢様。私は旦那さまや奥さまに信頼されお嬢様の教育係を任されました」
「そうねぇ。そうだったわねぇ」
「私は悪い侍女長でした? ですから私への反抗心でこのような結婚を?」
「そんなわけ無いでしょ」
「いいですか? 私は心の広い人間ですよ。お嬢様が下女の格好をして、シーンさんの足を拭いているのを見ても驚きこそすれ、それを咎めませんでした」
「あれは、そういう遊びだったのよ? 私たちは幼い頃、一緒に遊んだおままごとを思い出しながら下女と旦那さまごっこをしたの」
「それからお二人が裸足でこのお屋敷の中を歩いていても意見一つしませんでした」
「そうなのよ。シーンたら絨毯の上を裸足で歩くと気持ちいいのを見つけてねえ。足が気持ち良かったわ。ノーイもやってごらんなさい」
「シーンさんが長柄の箒を振り回して、イグランド朝の歴史ある文化財の壺を割ってしまっても、涙を流しても罵倒しませんでした」
「あの時は大きな蜂が入ってきてたわよね。シーンがやっつけてくれたけど、使用人に怪我がなくて良かったわ」
「お嬢様、あんな無作法ものを追い出してください!」
「私がシーンの元に来たのに追い出せるわけないでしょ」
「ではどうぞこちらへ。これを見たらお嬢様も気が変わりますわよ」
「あら、シーンがいないのはそちらにいるのかしら。分かったわ行ってみましょう」
ノーイの案内で部屋から出ると、庭がワイワイ騒がしい。まるで祭りのようだ。
ノーイの足はその庭に真っ直ぐ向かっている。その頃には、楽しそうな声は一層大きくなるばかり。
ノーイが扉を開けると、そこにはずぶ濡れで池で遊ぶ、シーンとムガル宰相の姿だった。
「はっはっは。勇者シーンよ。儂とてエズバランの河童と言われた男。まだまだ敗けはせんぞ」
「ぬぬう。義父上。なかなかやりますな!」
エズバランはムガル宰相の領地の一群の名前で、そこには美しい湖水がある保養地だ。どうやら宰相は昔そこでやんちゃしていたらしい。
二人は大きな池に入って投網を打ち、魚の量を競っているようだった。すぐ近くでは使用人が火をおこし、二人の獲物を捌いて焼いている。使用人の子供たちも振る舞われる魚を楽しみに待っていた。
「お嬢様。これを見て分かったでしょう?」
「ええそうねえ」
「では良かった。お嬢様は頭が変になったわけではなかったのですね」
「今のウソ。なにが問題だか全然分からないわ」
ノーイは崩れ落ちて膝をついてしまったが持ち直した。
「旦那さまは、出仕の前にシーンさんを見ようと思って立ち寄っただけなのに、ああしてお召し物を汚してしまって! あれでは仕事も出来ません。それもこれもシーンさんのせいですわ!」
「うふ。お父様にもあんな一面があったのね。ご覧なさい。とても楽しそうだわ」
見ると窮屈な貴族生活と、宰相の重責を忘れた生き生きとした顔。使用人たちも宰相が配る魚を嬉々として受け取っている。そのうちに審判をしていた使用人が手を上げて、この試合を止めた。
「えー、軍団長さまが42。宰相閣下が60で宰相閣下の勝ちです!」
と軍配を宰相に上げると、宰相は胸を張りみんなの歓声を受けた。シーンは悔しそうに地団駄を踏んでいた。
サンドラはそんなシーンの元にいって慰めると、シーンは立ち直ってムガル宰相を誉めた。
「いやあ義父上。このシーンの敗北です。まだまだ義父上には敵いません」
「いやいやなんのなんの。まぐれよ」
そう言って宰相手ずから使用人に焼いた魚を手渡した。
「そらノーイ。これはキミの分だよ。なかなか美味な魚らしい」
とノーイにも配られたので、ノーイは宰相からの下賜品に文句を言うわけにも捨てるわけにもいかずかぶりつくしかなかった。
「ああ、美味しいです」
「で、あろう。さてさて儂も宮殿に行かねばな。誰かある。着替えを持てい!」
と叫ぶと、ぞろぞろとお付きのものがやってきて宰相の肌着から上着まで着替えをさせた。
シーンが宰相に挨拶すると、宰相は笑いながら出ていく。シーンがその後ろ姿を眺めていると、門のところですれ違った人物にシーンは震え上がった。
それはエイミーだったのだ。
0
お気に入りに追加
30
あなたにおすすめの小説
悪役令嬢は反省しない!
束原ミヤコ
恋愛
公爵令嬢リディス・アマリア・フォンテーヌは18歳の時に婚約者である王太子に婚約破棄を告げられる。その後馬車が事故に遭い、気づいたら神様を名乗る少年に16歳まで時を戻されていた。
性格を変えてまで王太子に気に入られようとは思わない。同じことを繰り返すのも馬鹿らしい。それならいっそ魔界で頂点に君臨し全ての国を支配下に置くというのが、良いかもしれない。リディスは決意する。魔界の皇子を私の美貌で虜にしてやろうと。
2人の騎士と壁の花
room521
恋愛
自ら望んで壁の花をしている伯爵令嬢ゾフィアには、夜会のたびに楽しみにしていることがある。それは貴族たちの華やかなダンスを眺めることと、密かにある騎士を探すことで──。彼女に近づく騎士と、もう1人の騎士が現れるとき、彼女の世界は色鮮やかに変貌を遂げる。
※※※三角関係のような逆ハーのような軽めなノリのラブコメです。中世ではなく異世界という設定なので、ダンスのアレソレは大雑把に読んでくれると大変助かります。完結まで投稿予定。
諦めて、もがき続ける。
りつ
恋愛
婚約者であったアルフォンスが自分ではない他の女性と浮気して、子どもまでできたと知ったユーディットは途方に暮れる。好きな人と結ばれことは叶わず、彼女は二十年上のブラウワー伯爵のもとへと嫁ぐことが決まった。伯爵の思うがままにされ、心をすり減らしていくユーディット。それでも彼女は、ある言葉を胸に、毎日を生きていた。
※表紙は「かんたん表紙メーカー」様で作成しました。
【改稿版・完結】その瞳に魅入られて
おもち。
恋愛
「——君を愛してる」
そう悲鳴にも似た心からの叫びは、婚約者である私に向けたものではない。私の従姉妹へ向けられたものだった——
幼い頃に交わした婚約だったけれど私は彼を愛してたし、彼に愛されていると思っていた。
あの日、二人の胸を引き裂くような思いを聞くまでは……
『最初から愛されていなかった』
その事実に心が悲鳴を上げ、目の前が真っ白になった。
私は愛し合っている二人を引き裂く『邪魔者』でしかないのだと、その光景を見ながらひたすら現実を受け入れるしかなかった。
『このまま婚姻を結んでも、私は一生愛されない』
『私も一度でいいから、あんな風に愛されたい』
でも貴族令嬢である立場が、父が、それを許してはくれない。
必死で気持ちに蓋をして、淡々と日々を過ごしていたある日。偶然見つけた一冊の本によって、私の運命は大きく変わっていくのだった。
私も、貴方達のように自分の幸せを求めても許されますか……?
※後半、壊れてる人が登場します。苦手な方はご注意下さい。
※このお話は私独自の設定もあります、ご了承ください。ご都合主義な場面も多々あるかと思います。
※『幸せは人それぞれ』と、いうような作品になっています。苦手な方はご注意下さい。
※こちらの作品は小説家になろう様でも掲載しています。
お嬢様の12ヶ月
トウリン
恋愛
綾小路静香<あやのこうじ しずか> 18歳。
武藤恭介<むとう きょうすけ> 25歳。
恭介が由緒正しい綾小路家の一人娘である静香の付き人になったのは、5年前。
以来、彼はこの『お嬢様』に振り回され続ける日々を送っていた。浮世離れした彼女のことは、単なる『雇い主』に過ぎなかった筈なのに……。
ルピナス
桜庭かなめ
恋愛
高校2年生の藍沢直人は後輩の宮原彩花と一緒に、学校の寮の2人部屋で暮らしている。彩花にとって直人は不良達から救ってくれた大好きな先輩。しかし、直人にとって彩花は不良達から救ったことを機に一緒に住んでいる後輩の女の子。直人が一定の距離を保とうとすることに耐えられなくなった彩花は、ある日の夜、手錠を使って直人を束縛しようとする。
そして、直人のクラスメイトである吉岡渚からの告白をきっかけに直人、彩花、渚の恋物語が激しく動き始める。
物語の鍵は、人の心とルピナスの花。たくさんの人達の気持ちが温かく、甘く、そして切なく交錯する青春ラブストーリーシリーズ。
※特別編-入れ替わりの夏-は『ハナノカオリ』のキャラクターが登場しています。
※1日3話ずつ更新する予定です。
アリア
桜庭かなめ
恋愛
10年前、中学生だった氷室智也は遊園地で迷子になっていた朝比奈美来のことを助ける。自分を助けてくれた智也のことが好きになった美来は智也にプロポーズをする。しかし、智也は美来が結婚できる年齢になったらまた考えようと答えた。
それ以来、2人は会っていなかったが、10年経ったある春の日、結婚できる年齢である16歳となった美来が突然現れ、智也は再びプロポーズをされる。そのことをきっかけに智也は週末を中心に美来と一緒の時間を過ごしていく。しかし、会社の1年先輩である月村有紗も智也のことが好きであると告白する。
様々なことが降りかかる中、智也、美来、有紗の三角関係はどうなっていくのか。2度のプロポーズから始まるラブストーリーシリーズ。
※完結しました!(2020.9.24)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる