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だい Rぉく わ
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それから数日後。
オレとジュダイは数珠の住所を聞いて、その場所に向かった。
数珠の家は寺だった。そこそこ大きな寺で驚いた。
前に会った時のカジュアルな格好とは違い作務衣を着ていてオレたちはプッと笑ってしまった。
「なんか、お前ら仲よさそうだな~」
数珠の言葉に『ドキッ』と驚くとジュダイが強引に腕を絡めて来た。
「付き合ってまーす!」
「あ! お、おい!」
まだ報告してなかったのでドギマギ。
数珠怒るんじゃねーか? と思ったら、数珠はニコリと笑った。
「そーか。……おーい」
数珠が門の向こうに声をかけると、ぴょいと首を出したのが歳30半ばの色気のある女性。
にこやかにこちらやってきた。
「初めまして。英達さんとお付き合いさせていただいております雅美と申します」
そう言いながら、雅美さんは深く頭を下げた。
心の中で『な、なにぃーーー!!』と叫んだ。
あんた彼女いるんじゃねーか。
「そーゆーこった。ま、中に入れよ。話をしよう」
「お、おう」
突然の数珠の彼女の登場。
いないみたいだったから、このオジさんにジュダイと付き合ったってなかなか言えなかったのに。
そうならそうで早く言えよってんだ。
そんで英達っつー名前なんだ。
お坊さんみてーだな!
……ってお坊さんか。
ま、これでジュダイとの付き合いも後ろ暗さがなくなって良かったか。
いやいや、そんなことじゃないぞ?
今日は「犬の死骸事件」について話し合うんだ。
女の浮ついた話なんて……。
数珠に寺の生活空間へ案内されて、広いリビングのテーブルに四人で腰かけた。
雅美さんはよく話す人だった。
「へー。ネットでの付き合いで~。それでお付き合いするなんて素敵じゃない。ねぇ、エイちゃん」
「そうそう。二人ならうまくいくと思ってたよ」
ウソつけよ。あんたも狙ってたろ?
彼女いて、他の女にも手を出そうなんてとんでもねー破戒坊主だな。
そう思いながら数珠を横目で睨んでいた。
「お二人はご結婚なされないんですか? どのくらいのお付き合いなんですか?」
ジュダイが聞くと、雅美さんは少しばかり暗い顔をした。
「7年かな~? お寺で内縁になってからは5年。檀家さんの前では奥さんってことになってるけど、エイちゃんの前妻さんとのトラブルがまだ片付いてなくて……」
「ぅおい! 言うな言うな~」
「だーって、そうでしょ~。私はお金もお寺もいらないから他所で暮らそうって言ってるんだけどね~」
なんか数珠って結構複雑なやつだったんだなぁ。
前妻さんとトラブルか。結婚出来ないってことはちゃんと離婚もできてないのかなぁ?
それとも金の問題か?
数珠が雅美さんの言葉を打ち消すようにコホンと空ぜきを打った。
「犬の死骸があったのは玄関と言ったが実は、寺の門の前だったんだ。ミヤビが見つけてこんなことになったんだ。首は刃物でキレイに切り取られていた。まぁ、イタズラなのかもしれんが……」
数珠はまだイタズラだと思っているようだ。
今日ここに来たのはこちらの話しをするためだ。
「実は、オレたちの方も……。部屋の前に犬の頭部が置いてあったんだ」
「え? オマエのらの部屋にも? 一つずつか?」
「……いや二人の部屋に一つ……」
驚いた数珠の顔。しかし雅美さんはニヤリと笑った。
「んま! 一緒に暮らしてらっしゃるの?」
「同棲かァ。青春だなぁ……」
うぉい! 数珠! 感想そっちかよ!
「ちげーだろ。数珠の家には胴体。オレたちの部屋の前には頭部。同じ犬のものか分からんけど、離れた場所に泣き別れたものが置いてあったんだぞ?」
数珠はようやくことの重大さに気付いたようで、青い顔をした。
「そ、そ、そ、そうだよな……」
しかし雅美さんは一人、少し首をかしげて呆れた顔をした。
「でもさ、これがエイちゃんが言ってる“ううち”の呪いなのかな? 私は人為的な匂いがプンプンするよ? だって刃物で物理的に犬を殺してる。呪いは鋭利な刃物なのかな? そうじゃないよね。そして、互いの玄関の前に置いた時期だって不明瞭だよ。同時だって思いこんじゃってるだけで。私は第三者だから冷静な点から見ることができる。この手の嫌がらせは、エイちゃんの前妻のアユミさんの仕業だと思うよ?」
数珠の……前妻……??
話しを聞いて、数珠も一つうなずいた。
「……ん。まぁ、あいつならやりかねん……」
「そうだよ。それに、エイちゃんは一つ忘れてるよ」
「な、なに?」
雅美さんの不敵な笑い。
それは勝利を確信しているかのようだった。
「寺の門の前には防犯カメラがついてるでしょ?」
それを聞いてすかさず、数珠は立ち上がった。
「そうか! そうだよ! ちょ、ちょっと待ってろ!」
そう言って、奥に引っ込んで行った。
雅美さんは笑顔でお茶をすすった。
しばらくすると数珠はノートパソコンを持ってきた。
「当日のデータを持ってきた。データを開くぞ?」
正直、オレは怖かった。
雅美さんの言うことはもっともだけど、ひょっとして、人ならぬものが写っていたらどうするつもりなんだろう?
「ここだ」
無造作に犬の死骸が門にドサリと投げ込まれた。
本当に感情なんてない。
生き物を扱う手さばきじゃなかった。
乱雑に物を捨てるように、放り投げるように……。
「ほら、やっぱり」
そう言って、雅美さんが指さした場所には白いカッパを来た女性らしき人。
無表情な白い顔もとらえており、それはそれでゾッとした。
雅美さんはすかさず、スマホを取り出した。
「もしもし。警察ですか? 質の悪いイタズラを受けてまして。ええ。祥叡寺です。防犯カメラに犯人が写ってましてハイ。ええ。よろしくお願いします」
そう言って電話を切った。
「ハイ。これで問題解決でしょ?」
なんて行動力のある人だろう。
本当にその通りだった。
数珠の前妻さんは自白した。
どうやら、初めてのオフ会の時に変装して近くでオレたちの話しを聞いていたらしい。
怯えている三人の心理を利用してのいやがらせだ。
ご丁寧に犬の首は鎌で斬ったらしい。
それで数珠の寺に犬の本体を捨て、頭部を紙袋に入れ、時間差でオレとジュダイの部屋の前に置いたということだ。
ちょうど、あのハンバーグを作っている時だ。
何にしろ、事件解決だ。
オレたちはホッと胸をなでおろした。
オレとジュダイは数珠の住所を聞いて、その場所に向かった。
数珠の家は寺だった。そこそこ大きな寺で驚いた。
前に会った時のカジュアルな格好とは違い作務衣を着ていてオレたちはプッと笑ってしまった。
「なんか、お前ら仲よさそうだな~」
数珠の言葉に『ドキッ』と驚くとジュダイが強引に腕を絡めて来た。
「付き合ってまーす!」
「あ! お、おい!」
まだ報告してなかったのでドギマギ。
数珠怒るんじゃねーか? と思ったら、数珠はニコリと笑った。
「そーか。……おーい」
数珠が門の向こうに声をかけると、ぴょいと首を出したのが歳30半ばの色気のある女性。
にこやかにこちらやってきた。
「初めまして。英達さんとお付き合いさせていただいております雅美と申します」
そう言いながら、雅美さんは深く頭を下げた。
心の中で『な、なにぃーーー!!』と叫んだ。
あんた彼女いるんじゃねーか。
「そーゆーこった。ま、中に入れよ。話をしよう」
「お、おう」
突然の数珠の彼女の登場。
いないみたいだったから、このオジさんにジュダイと付き合ったってなかなか言えなかったのに。
そうならそうで早く言えよってんだ。
そんで英達っつー名前なんだ。
お坊さんみてーだな!
……ってお坊さんか。
ま、これでジュダイとの付き合いも後ろ暗さがなくなって良かったか。
いやいや、そんなことじゃないぞ?
今日は「犬の死骸事件」について話し合うんだ。
女の浮ついた話なんて……。
数珠に寺の生活空間へ案内されて、広いリビングのテーブルに四人で腰かけた。
雅美さんはよく話す人だった。
「へー。ネットでの付き合いで~。それでお付き合いするなんて素敵じゃない。ねぇ、エイちゃん」
「そうそう。二人ならうまくいくと思ってたよ」
ウソつけよ。あんたも狙ってたろ?
彼女いて、他の女にも手を出そうなんてとんでもねー破戒坊主だな。
そう思いながら数珠を横目で睨んでいた。
「お二人はご結婚なされないんですか? どのくらいのお付き合いなんですか?」
ジュダイが聞くと、雅美さんは少しばかり暗い顔をした。
「7年かな~? お寺で内縁になってからは5年。檀家さんの前では奥さんってことになってるけど、エイちゃんの前妻さんとのトラブルがまだ片付いてなくて……」
「ぅおい! 言うな言うな~」
「だーって、そうでしょ~。私はお金もお寺もいらないから他所で暮らそうって言ってるんだけどね~」
なんか数珠って結構複雑なやつだったんだなぁ。
前妻さんとトラブルか。結婚出来ないってことはちゃんと離婚もできてないのかなぁ?
それとも金の問題か?
数珠が雅美さんの言葉を打ち消すようにコホンと空ぜきを打った。
「犬の死骸があったのは玄関と言ったが実は、寺の門の前だったんだ。ミヤビが見つけてこんなことになったんだ。首は刃物でキレイに切り取られていた。まぁ、イタズラなのかもしれんが……」
数珠はまだイタズラだと思っているようだ。
今日ここに来たのはこちらの話しをするためだ。
「実は、オレたちの方も……。部屋の前に犬の頭部が置いてあったんだ」
「え? オマエのらの部屋にも? 一つずつか?」
「……いや二人の部屋に一つ……」
驚いた数珠の顔。しかし雅美さんはニヤリと笑った。
「んま! 一緒に暮らしてらっしゃるの?」
「同棲かァ。青春だなぁ……」
うぉい! 数珠! 感想そっちかよ!
「ちげーだろ。数珠の家には胴体。オレたちの部屋の前には頭部。同じ犬のものか分からんけど、離れた場所に泣き別れたものが置いてあったんだぞ?」
数珠はようやくことの重大さに気付いたようで、青い顔をした。
「そ、そ、そ、そうだよな……」
しかし雅美さんは一人、少し首をかしげて呆れた顔をした。
「でもさ、これがエイちゃんが言ってる“ううち”の呪いなのかな? 私は人為的な匂いがプンプンするよ? だって刃物で物理的に犬を殺してる。呪いは鋭利な刃物なのかな? そうじゃないよね。そして、互いの玄関の前に置いた時期だって不明瞭だよ。同時だって思いこんじゃってるだけで。私は第三者だから冷静な点から見ることができる。この手の嫌がらせは、エイちゃんの前妻のアユミさんの仕業だと思うよ?」
数珠の……前妻……??
話しを聞いて、数珠も一つうなずいた。
「……ん。まぁ、あいつならやりかねん……」
「そうだよ。それに、エイちゃんは一つ忘れてるよ」
「な、なに?」
雅美さんの不敵な笑い。
それは勝利を確信しているかのようだった。
「寺の門の前には防犯カメラがついてるでしょ?」
それを聞いてすかさず、数珠は立ち上がった。
「そうか! そうだよ! ちょ、ちょっと待ってろ!」
そう言って、奥に引っ込んで行った。
雅美さんは笑顔でお茶をすすった。
しばらくすると数珠はノートパソコンを持ってきた。
「当日のデータを持ってきた。データを開くぞ?」
正直、オレは怖かった。
雅美さんの言うことはもっともだけど、ひょっとして、人ならぬものが写っていたらどうするつもりなんだろう?
「ここだ」
無造作に犬の死骸が門にドサリと投げ込まれた。
本当に感情なんてない。
生き物を扱う手さばきじゃなかった。
乱雑に物を捨てるように、放り投げるように……。
「ほら、やっぱり」
そう言って、雅美さんが指さした場所には白いカッパを来た女性らしき人。
無表情な白い顔もとらえており、それはそれでゾッとした。
雅美さんはすかさず、スマホを取り出した。
「もしもし。警察ですか? 質の悪いイタズラを受けてまして。ええ。祥叡寺です。防犯カメラに犯人が写ってましてハイ。ええ。よろしくお願いします」
そう言って電話を切った。
「ハイ。これで問題解決でしょ?」
なんて行動力のある人だろう。
本当にその通りだった。
数珠の前妻さんは自白した。
どうやら、初めてのオフ会の時に変装して近くでオレたちの話しを聞いていたらしい。
怯えている三人の心理を利用してのいやがらせだ。
ご丁寧に犬の首は鎌で斬ったらしい。
それで数珠の寺に犬の本体を捨て、頭部を紙袋に入れ、時間差でオレとジュダイの部屋の前に置いたということだ。
ちょうど、あのハンバーグを作っている時だ。
何にしろ、事件解決だ。
オレたちはホッと胸をなでおろした。
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