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だい さん わ
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グループラインを始めて、オレと数珠はスタートから困惑した。
浪漫「つうかさぁ」
ジュダイ33「なに?」
一浪漫「ジュダイって、女だったんだ……」
ジュダイのラインのアイコンが可愛い女の子。
タイムラインも友達とスイーツを食べに行ったとかそんなのだった。
ジュダイ33「悪いか? ジュダイも女子大から取ったんだ。」
数珠坊主「女子大生かよォ~。あの~。オレは決してナンパ目的で交換したわけじゃないからね? 勘違いしないでくれよ?(´∀`)」
急に数珠が少しだけ優しくなった。
オレたち三人はいい、トークアプリ仲間になった。
数珠のトークアプリも面白かった。
猫やら犬やらかわいらしい動物をアップしてくるんだ。
これは完全にジュダイの気を惹いてるなァと思った。
オレはと言えば同じだ。
いろんなグルメな写真を掲載した。
二人とも、それに「うまそー」とか入れてきていた。
全くの平和だ。呪いなんておきない。
あれ以来、“ううち”の話しも出てこないし。
数珠坊主「つか、そのラーメン屋って陽鳳軒じゃねぇ?」
ジュダイ33「マジ? すげぇ近所なんだけど」
一浪漫「うそ。オレは2駅先のところ。」
数珠坊主「うそだろ。オレも3駅くらいだぞ?」
ジュダイ33「マジかよ~。一回集合してみない?」
まさか、ジュダイからそうくるとは思わなかった。
願ってもないことだった。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
オフ会……。って言っていいのかな?
奇妙な出会いのオレたちは、ラーメン「陽鳳軒」に集合した。
昼食をとるってことで。
数珠は……。40ちょいのおじさん。
頭はツルツルの坊主にしてある。
職業はマジで坊主なんだと。
オレとジュダイは大うけした。
ジュダイは21歳の大学生で今年卒業。
俺の方が年上。彼女とは2つ違い。
なかなか可愛らしい子だが、勉強や歴女が災いして男性とのお付き合いが少ないらしい。
今はフリー。
……オレ自身も最近出会いがなく一人なのだ。
ジュダイを見て食指がピクピクと動いた。
数珠はお坊さんのくせに伝説が怖いのかよ~。
とオレとジュダイでからかうと、数珠は頭まで真っ赤にしていた。
「仕方ないだろ……。小さい頃から言われて怖かったんだから……」
などという、顔に似合わずかわいい言い訳をした。
行列を待ち、ようやく案内されたテーブルに三人で座って、名物の海苔ラーメンを注文。
貝やエビ、カニの海鮮ダシでとられた塩ラーメンだ。
少し辛いが人気がある。
「塩がうまいラーメン屋は本物だからな~」
出て来たラーメンに数珠が本当にうまそうな顔をしてすすりながそう言った。
激しく同意。本当にそうだと思う。
ラーメンを食べた後はカフェに移動。
数珠とは歳が大きく違うが、本当に気のあう三人だ。
何時間も話し続け、それでも足りずに居酒屋に移動した。
互いに笑いあい、楽しみ、いい時間を過ごし合えた。
いい感じに酔った時だった。
そんな中、数珠がチャラリと刀の鍔のような金具を出してきた。
環状の形の中には格子状に縦横に鉄棒が並んでいる。牢屋のような感じに。
「出すまいと思っていたが……」
だがそれを見せられてもオレとジュダイはよくわからない。
「なにこれ?」
数珠はそれを指でつまんで目の高さまで上げた。
「これは、箱丸村のある場所のカギだ。“ううち”が封じられてるって話だ」
おいおい! そんなのがあるのかよ!
じゃ、やっぱり伝説じゃなくて本当……?
「ま、オレも受け継いで持っているだけでホントかウソか分からない。それにこんなのがカギなんて信じられないし……」
「あれ?」
ジュダイが何か気付き、その金具を手に取って環状の外側の一部を指さした。
「ここ、穴空いてるね。何かを差し込むみたいな……」
オレたちは彼女の指差すそこを見てみた。
「たしかに……」
「ネジ穴みたいだな……」
「これはカギの根元で、ホントは棒状の何かがあって二つでカギになるんじゃない?」
……そう言われてみれば。
オレは思い出して自分の財布を取った。
そして中をあけて、ティッシュにくるまれた鉄の棒を出した。
「……これ、ひい婆ちゃんの形見なんだ。ひい婆ちゃんは自分と一緒に焼いて欲しいって言ってたけど、ひい婆ちゃんが一番最後まで持ってたからオレがもらってたんだ」
「ええ!!?」
数珠は驚き、それを手に取って二つを合わせてみると、それはカギの形になった。
ただの鉄の棒だと思っていたものはよく見ると凸凹があったんだ。
数珠はふーーーっ。と大きく息をついた。
「まさか、こんなことになろうとは……」
ホントにそうだった。
正直ゾッとしてしかたなかった。
しかし数珠はニヤリと笑い、棒のほうをオレに帰した。
「ま。開けなきゃいいだけの話しだろ? ひい婆ちゃんも焼こうと思ってたくらいだ。幸いにしてオレが根元を持ってるんだからそれだけでロマンが悪い考えを起こさなきゃ“ううち”の封印は解けないんだろうから」
「悪い考えなんてないよ。そっか。でも“ううち”は封じられてるってことだもんな」
「そういうこった」
数珠のひと言でその話は終わった。
オレたちが何もしなければ何も起こらない。
正直、鉄棒を持つのも嫌だったが逆にひい婆ちゃんが守ってくれそうな気もした。
数珠がオレたちの分をおごってくれて、その日はお開きになった。
ジュダイの家の近所まで見送って、オレと数珠は二人で駅に向かって歩き出した。
数珠は楽しそうに笑った。
「はーーー。面白かった」
「そうだよね~」
「互いにハンドルネームで呼び合って、本名を知らないのに、ここまで楽しくできるもんかね?」
「そういや、そうだよね」
本当にその通りだ。オレたちは本名を一切言わずに、数珠、ロマン、ジュダイで語り合った。
たった数日のことなのに、すごい親密な感じになっている。
数珠はニヤリと笑った。
「抜け駆けすんなよ?」
「うぉい! あんた歳だろ?」
「いいじゃねーか。みんな独身。同じ土俵だろ?」
むむ……。数珠め、油断ならん……。
数珠もジュダイのことを思っている。
会ってすぐに恋に落ちたらしい。
おじさんはすっこんでてほしい。
心からそう思った。
「ん?」
突然、数珠が足を止める。
「どうした?」
数珠は耳に手を当てて、音を集めるようなしぐさをとった。
草むらや水辺からカエルの声が聞こえるだけで、静かな夜だ。
「聞こえないか?」
「なにが?」
「……刃物を……研ぐような音が……」
ドキリ……。
その不気味なフレーズなんだよと思った。
「……オレ、刃物を研ぐ音自体聞いたことねェッス!」
怖さを紛らわせるために多少声が大きくおどけているのはご愛敬。しかし数珠は両手を両耳に当て続けていた。
「……ほら……。シャー……、シャー……、シャー……って……」
オレも同じように耳に手を当てた。
最初は、「グアグア」と鳴くカエルの声しか聞こえなかったが、たしかに遠くから
シャー……、シャー……、シャー……
という音が聞こえてきた。
しかも、それが近づいてくる……。
ゾッとした。
チンコン……
「わぁ!!」
二人して驚いた!
スマホにラインの着信が同時になったのだ。
ジュダイが無事に家に着いた。今日は楽しかったね。
という内容だったがそれどころじゃない。
オレたち二人は街灯の下に立ち、その音の正体を見極めようとした。
シャー……、シャー……、シャー……
シャー……、シャー……、シャー……
シャッシャッシャッシャッ
じょじょに早くなる音に、心臓が飛び出るかと思った。
すると、道の先に、塾帰りの少年が古い自転車にまたがって通り過ぎて行った。
シャッシャッシャッシャッと音をならしながら。
それを見届けたオレは数珠の肩をポンと叩いた。
「脅かすねぇい! このトーヘンボク!」
「うるせー! オレもびっくりしてホッとした!」
安心は声を大きくする。
オレたち二人は肩を組みながら駅までの道を急いだ。
しかし、オレは感じていた。
なにか、背中を見つめられているようで……。
だが、それを数珠に言うと、また変にこじつけて怖がると思い黙っていた。
気のせいだと思うことにしたんだ。
浪漫「つうかさぁ」
ジュダイ33「なに?」
一浪漫「ジュダイって、女だったんだ……」
ジュダイのラインのアイコンが可愛い女の子。
タイムラインも友達とスイーツを食べに行ったとかそんなのだった。
ジュダイ33「悪いか? ジュダイも女子大から取ったんだ。」
数珠坊主「女子大生かよォ~。あの~。オレは決してナンパ目的で交換したわけじゃないからね? 勘違いしないでくれよ?(´∀`)」
急に数珠が少しだけ優しくなった。
オレたち三人はいい、トークアプリ仲間になった。
数珠のトークアプリも面白かった。
猫やら犬やらかわいらしい動物をアップしてくるんだ。
これは完全にジュダイの気を惹いてるなァと思った。
オレはと言えば同じだ。
いろんなグルメな写真を掲載した。
二人とも、それに「うまそー」とか入れてきていた。
全くの平和だ。呪いなんておきない。
あれ以来、“ううち”の話しも出てこないし。
数珠坊主「つか、そのラーメン屋って陽鳳軒じゃねぇ?」
ジュダイ33「マジ? すげぇ近所なんだけど」
一浪漫「うそ。オレは2駅先のところ。」
数珠坊主「うそだろ。オレも3駅くらいだぞ?」
ジュダイ33「マジかよ~。一回集合してみない?」
まさか、ジュダイからそうくるとは思わなかった。
願ってもないことだった。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
オフ会……。って言っていいのかな?
奇妙な出会いのオレたちは、ラーメン「陽鳳軒」に集合した。
昼食をとるってことで。
数珠は……。40ちょいのおじさん。
頭はツルツルの坊主にしてある。
職業はマジで坊主なんだと。
オレとジュダイは大うけした。
ジュダイは21歳の大学生で今年卒業。
俺の方が年上。彼女とは2つ違い。
なかなか可愛らしい子だが、勉強や歴女が災いして男性とのお付き合いが少ないらしい。
今はフリー。
……オレ自身も最近出会いがなく一人なのだ。
ジュダイを見て食指がピクピクと動いた。
数珠はお坊さんのくせに伝説が怖いのかよ~。
とオレとジュダイでからかうと、数珠は頭まで真っ赤にしていた。
「仕方ないだろ……。小さい頃から言われて怖かったんだから……」
などという、顔に似合わずかわいい言い訳をした。
行列を待ち、ようやく案内されたテーブルに三人で座って、名物の海苔ラーメンを注文。
貝やエビ、カニの海鮮ダシでとられた塩ラーメンだ。
少し辛いが人気がある。
「塩がうまいラーメン屋は本物だからな~」
出て来たラーメンに数珠が本当にうまそうな顔をしてすすりながそう言った。
激しく同意。本当にそうだと思う。
ラーメンを食べた後はカフェに移動。
数珠とは歳が大きく違うが、本当に気のあう三人だ。
何時間も話し続け、それでも足りずに居酒屋に移動した。
互いに笑いあい、楽しみ、いい時間を過ごし合えた。
いい感じに酔った時だった。
そんな中、数珠がチャラリと刀の鍔のような金具を出してきた。
環状の形の中には格子状に縦横に鉄棒が並んでいる。牢屋のような感じに。
「出すまいと思っていたが……」
だがそれを見せられてもオレとジュダイはよくわからない。
「なにこれ?」
数珠はそれを指でつまんで目の高さまで上げた。
「これは、箱丸村のある場所のカギだ。“ううち”が封じられてるって話だ」
おいおい! そんなのがあるのかよ!
じゃ、やっぱり伝説じゃなくて本当……?
「ま、オレも受け継いで持っているだけでホントかウソか分からない。それにこんなのがカギなんて信じられないし……」
「あれ?」
ジュダイが何か気付き、その金具を手に取って環状の外側の一部を指さした。
「ここ、穴空いてるね。何かを差し込むみたいな……」
オレたちは彼女の指差すそこを見てみた。
「たしかに……」
「ネジ穴みたいだな……」
「これはカギの根元で、ホントは棒状の何かがあって二つでカギになるんじゃない?」
……そう言われてみれば。
オレは思い出して自分の財布を取った。
そして中をあけて、ティッシュにくるまれた鉄の棒を出した。
「……これ、ひい婆ちゃんの形見なんだ。ひい婆ちゃんは自分と一緒に焼いて欲しいって言ってたけど、ひい婆ちゃんが一番最後まで持ってたからオレがもらってたんだ」
「ええ!!?」
数珠は驚き、それを手に取って二つを合わせてみると、それはカギの形になった。
ただの鉄の棒だと思っていたものはよく見ると凸凹があったんだ。
数珠はふーーーっ。と大きく息をついた。
「まさか、こんなことになろうとは……」
ホントにそうだった。
正直ゾッとしてしかたなかった。
しかし数珠はニヤリと笑い、棒のほうをオレに帰した。
「ま。開けなきゃいいだけの話しだろ? ひい婆ちゃんも焼こうと思ってたくらいだ。幸いにしてオレが根元を持ってるんだからそれだけでロマンが悪い考えを起こさなきゃ“ううち”の封印は解けないんだろうから」
「悪い考えなんてないよ。そっか。でも“ううち”は封じられてるってことだもんな」
「そういうこった」
数珠のひと言でその話は終わった。
オレたちが何もしなければ何も起こらない。
正直、鉄棒を持つのも嫌だったが逆にひい婆ちゃんが守ってくれそうな気もした。
数珠がオレたちの分をおごってくれて、その日はお開きになった。
ジュダイの家の近所まで見送って、オレと数珠は二人で駅に向かって歩き出した。
数珠は楽しそうに笑った。
「はーーー。面白かった」
「そうだよね~」
「互いにハンドルネームで呼び合って、本名を知らないのに、ここまで楽しくできるもんかね?」
「そういや、そうだよね」
本当にその通りだ。オレたちは本名を一切言わずに、数珠、ロマン、ジュダイで語り合った。
たった数日のことなのに、すごい親密な感じになっている。
数珠はニヤリと笑った。
「抜け駆けすんなよ?」
「うぉい! あんた歳だろ?」
「いいじゃねーか。みんな独身。同じ土俵だろ?」
むむ……。数珠め、油断ならん……。
数珠もジュダイのことを思っている。
会ってすぐに恋に落ちたらしい。
おじさんはすっこんでてほしい。
心からそう思った。
「ん?」
突然、数珠が足を止める。
「どうした?」
数珠は耳に手を当てて、音を集めるようなしぐさをとった。
草むらや水辺からカエルの声が聞こえるだけで、静かな夜だ。
「聞こえないか?」
「なにが?」
「……刃物を……研ぐような音が……」
ドキリ……。
その不気味なフレーズなんだよと思った。
「……オレ、刃物を研ぐ音自体聞いたことねェッス!」
怖さを紛らわせるために多少声が大きくおどけているのはご愛敬。しかし数珠は両手を両耳に当て続けていた。
「……ほら……。シャー……、シャー……、シャー……って……」
オレも同じように耳に手を当てた。
最初は、「グアグア」と鳴くカエルの声しか聞こえなかったが、たしかに遠くから
シャー……、シャー……、シャー……
という音が聞こえてきた。
しかも、それが近づいてくる……。
ゾッとした。
チンコン……
「わぁ!!」
二人して驚いた!
スマホにラインの着信が同時になったのだ。
ジュダイが無事に家に着いた。今日は楽しかったね。
という内容だったがそれどころじゃない。
オレたち二人は街灯の下に立ち、その音の正体を見極めようとした。
シャー……、シャー……、シャー……
シャー……、シャー……、シャー……
シャッシャッシャッシャッ
じょじょに早くなる音に、心臓が飛び出るかと思った。
すると、道の先に、塾帰りの少年が古い自転車にまたがって通り過ぎて行った。
シャッシャッシャッシャッと音をならしながら。
それを見届けたオレは数珠の肩をポンと叩いた。
「脅かすねぇい! このトーヘンボク!」
「うるせー! オレもびっくりしてホッとした!」
安心は声を大きくする。
オレたち二人は肩を組みながら駅までの道を急いだ。
しかし、オレは感じていた。
なにか、背中を見つめられているようで……。
だが、それを数珠に言うと、また変にこじつけて怖がると思い黙っていた。
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