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「助けに来たぜ?」
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夜の闇で、赤のように目立つネオンで彩られた、ステーション。
空はないものの、海外のように開放的な構造だ。
そこにたどり着いた男女は、男子大学生の草道と、女子高生の梁愛花莉。
「次は、どうすれば?」
「決まっていますわ! 聞いてみれば、いいのです」
愛花莉の提案に、苦笑いの草道。
「い、いやいや! ここにいるのは化け物で――」
「私たちがいた世界に戻るには、どうすれば良くて?」
通りがかった黒い人影は、あっさりと答える。
『3番ホームに入ってくる列車に乗ってクダサイ……。次の到着は、8時間後デス』
「ありがとう」
えぇええ? と声にならない草道。
「……本当かな?」
「信用するしかありません! 私は残りますが」
口を開いた草道は、すぐに閉じた。
――8時間後
ホームにある屋台で食事をして、仮眠をとった2人。
ピリリリ♪
3番ホームに電車が来る合図で、草道は振り向いた。
「一緒に帰らない? 君の悩みも、何とか……解決するように努力するから」
減速した車両がゆっくりと入ってきた。
自動で開くドア。
愛花莉が、暗がりで微笑む。
「……そうですわね」
ホッとした草道は、入ってきた列車に向き直る。
そちらに足を踏み出せば――
ドンッ
後ろから押されて、たたらを踏む。
「うわっ!?」
自然と、車内でバランスを崩したままに。
ピリリリ♪
何とか持ち直して、振り返れば、ホームに立ったままの愛花莉。
「君も来るんだ!」
急いで、彼女がいるほうへ向かい――
プシューッ
ドアが左右から閉まった。
呆然とする草道は、ガタンゴトンと動き出した車両の中で、立ちすくむ。
「どうして……」
――ホーム
見送った愛花莉は、息を吐いた。
「これで……お願いは聞きましたわよ?」
そのまま、コツコツと、どこかへ歩いていく。
――赤い光に満たされた、病院の内廊下のような空間
別のエリアに移動した愛花莉は、壁にもたれて、ズルズルと座り込んだ。
「終わり、ですわね……」
真新しいペンダントを触りながら、呟いた。
「お父さんに会えたし……。これをプレゼントしてもらった。心残りはないですわ」
左右のドアが横へスライドして、様々なモンスターが出てきた。
小さく震えながら、愛花莉は独白する。
「お母さんは、夢を見ているだけだし……」
2mはあろうかという人型が、すぐ近くで叫ぶ。
『シャアアアッ!』
そちらを見ずに、愛花莉は震えるだけ。
何の合図か、ブザー音が鳴る。
ビ――ッ!
「いやぁああああああっ! 死にたくなぃいいいいいっ! 消えたくなぃいいいいっ! まだ、やりたい事がたくさんあるのにいいっ!」
腰を抜かしたように這ったままで、自分を見ている化け物から遠ざかろうとする愛花莉。
もはや、逃げられない。
涙が止まらない目で、自分を殺すか、同じ化け物に変えるであろう攻撃を見上げる。
「どうして……私だけ」
風切り音。
思わず目をつぶった、愛花莉。
身を固くした彼女は、何の苦痛もないことから、恐る恐る、目を開けた。
赤い光に照らされた、切っ先。
それを辿れば、いかにも切れ味が良さそうな刀身。
藍色の小袖と、左右で分かれた黒袴。
剣道着と勘違いしそうなカラーリングだ。
しかし、その迫力が違う。
片手で持っている日本刀は、竹刀にあり得ない凄み。
広げた両足には、白足袋と草鞋だ。
たった今、愛花莉に拳を振り下ろそうとした化け物の腕を切り飛ばした若者こそ――
「お父、さん……」
涙でグシャグシャのまま、愛花莉は呟いた。
刃文のない刀を両手で握った男は、足の向きを変える動きに合わせて、片腕のない人型を横に薙いだ。
振り切った後には、片手で持った状態。
声もなく倒れ伏したモンスターに構わず、男は愛花莉のほうを見た。
「助けに来たぜ?」
大学生になった、室矢重遠。
愛花莉の父親。
そう、未来で……。
年の離れた兄妹にしか見えない2人は、別の世界で再会した。
他のモンスターが、一斉に襲い掛かる。
「あ……」
愛花莉が警告しようとするも――
次の瞬間に突風が吹き、重遠がブレたと思ったら、周りのモンスターは切り裂かれた後だった。
色も分からない血をまき散らしつつ、奴らの肉片が落ちていく。
(強い……)
愛花莉は、自分の状況も忘れて、ゾクッとした。
魔法師の中で強いと自負している、だがこれは……。
もし戦えば、全く対応できないだろう。
それほど速く、予兆のない動きだった。
殺意も気負いもなく、ただ自然体で、その刃が振るわれる。
(私が、まだ若いから……。というレベルではありませんわね?)
予想できない。
気づいたら、自分が攻撃されていた。
これほど恐ろしいことは、他にない。
銀の御神刀を片手で下げた重遠は、振り向きざまに、両手で切り上げた。
途中で振り下ろされた爪とぶつかり、火花が散る。
「抜刀したのは……久々だな!」
力比べをしていた状態から、片足を抜いての受け流し。
スケートのように滑りつつ、その勢いで切り捨てた。
ドシンという、重い音。
倒れたモンスターに構わず、切っ先を動かす重遠。
彼はまさに、全盛期だ。
空はないものの、海外のように開放的な構造だ。
そこにたどり着いた男女は、男子大学生の草道と、女子高生の梁愛花莉。
「次は、どうすれば?」
「決まっていますわ! 聞いてみれば、いいのです」
愛花莉の提案に、苦笑いの草道。
「い、いやいや! ここにいるのは化け物で――」
「私たちがいた世界に戻るには、どうすれば良くて?」
通りがかった黒い人影は、あっさりと答える。
『3番ホームに入ってくる列車に乗ってクダサイ……。次の到着は、8時間後デス』
「ありがとう」
えぇええ? と声にならない草道。
「……本当かな?」
「信用するしかありません! 私は残りますが」
口を開いた草道は、すぐに閉じた。
――8時間後
ホームにある屋台で食事をして、仮眠をとった2人。
ピリリリ♪
3番ホームに電車が来る合図で、草道は振り向いた。
「一緒に帰らない? 君の悩みも、何とか……解決するように努力するから」
減速した車両がゆっくりと入ってきた。
自動で開くドア。
愛花莉が、暗がりで微笑む。
「……そうですわね」
ホッとした草道は、入ってきた列車に向き直る。
そちらに足を踏み出せば――
ドンッ
後ろから押されて、たたらを踏む。
「うわっ!?」
自然と、車内でバランスを崩したままに。
ピリリリ♪
何とか持ち直して、振り返れば、ホームに立ったままの愛花莉。
「君も来るんだ!」
急いで、彼女がいるほうへ向かい――
プシューッ
ドアが左右から閉まった。
呆然とする草道は、ガタンゴトンと動き出した車両の中で、立ちすくむ。
「どうして……」
――ホーム
見送った愛花莉は、息を吐いた。
「これで……お願いは聞きましたわよ?」
そのまま、コツコツと、どこかへ歩いていく。
――赤い光に満たされた、病院の内廊下のような空間
別のエリアに移動した愛花莉は、壁にもたれて、ズルズルと座り込んだ。
「終わり、ですわね……」
真新しいペンダントを触りながら、呟いた。
「お父さんに会えたし……。これをプレゼントしてもらった。心残りはないですわ」
左右のドアが横へスライドして、様々なモンスターが出てきた。
小さく震えながら、愛花莉は独白する。
「お母さんは、夢を見ているだけだし……」
2mはあろうかという人型が、すぐ近くで叫ぶ。
『シャアアアッ!』
そちらを見ずに、愛花莉は震えるだけ。
何の合図か、ブザー音が鳴る。
ビ――ッ!
「いやぁああああああっ! 死にたくなぃいいいいいっ! 消えたくなぃいいいいっ! まだ、やりたい事がたくさんあるのにいいっ!」
腰を抜かしたように這ったままで、自分を見ている化け物から遠ざかろうとする愛花莉。
もはや、逃げられない。
涙が止まらない目で、自分を殺すか、同じ化け物に変えるであろう攻撃を見上げる。
「どうして……私だけ」
風切り音。
思わず目をつぶった、愛花莉。
身を固くした彼女は、何の苦痛もないことから、恐る恐る、目を開けた。
赤い光に照らされた、切っ先。
それを辿れば、いかにも切れ味が良さそうな刀身。
藍色の小袖と、左右で分かれた黒袴。
剣道着と勘違いしそうなカラーリングだ。
しかし、その迫力が違う。
片手で持っている日本刀は、竹刀にあり得ない凄み。
広げた両足には、白足袋と草鞋だ。
たった今、愛花莉に拳を振り下ろそうとした化け物の腕を切り飛ばした若者こそ――
「お父、さん……」
涙でグシャグシャのまま、愛花莉は呟いた。
刃文のない刀を両手で握った男は、足の向きを変える動きに合わせて、片腕のない人型を横に薙いだ。
振り切った後には、片手で持った状態。
声もなく倒れ伏したモンスターに構わず、男は愛花莉のほうを見た。
「助けに来たぜ?」
大学生になった、室矢重遠。
愛花莉の父親。
そう、未来で……。
年の離れた兄妹にしか見えない2人は、別の世界で再会した。
他のモンスターが、一斉に襲い掛かる。
「あ……」
愛花莉が警告しようとするも――
次の瞬間に突風が吹き、重遠がブレたと思ったら、周りのモンスターは切り裂かれた後だった。
色も分からない血をまき散らしつつ、奴らの肉片が落ちていく。
(強い……)
愛花莉は、自分の状況も忘れて、ゾクッとした。
魔法師の中で強いと自負している、だがこれは……。
もし戦えば、全く対応できないだろう。
それほど速く、予兆のない動きだった。
殺意も気負いもなく、ただ自然体で、その刃が振るわれる。
(私が、まだ若いから……。というレベルではありませんわね?)
予想できない。
気づいたら、自分が攻撃されていた。
これほど恐ろしいことは、他にない。
銀の御神刀を片手で下げた重遠は、振り向きざまに、両手で切り上げた。
途中で振り下ろされた爪とぶつかり、火花が散る。
「抜刀したのは……久々だな!」
力比べをしていた状態から、片足を抜いての受け流し。
スケートのように滑りつつ、その勢いで切り捨てた。
ドシンという、重い音。
倒れたモンスターに構わず、切っ先を動かす重遠。
彼はまさに、全盛期だ。
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