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7.結末、そして
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目の前が開ける。さっきまでの薄暗さが嘘のように光溢れた。
立ち上がって砲弾の飛んできた方向を見る。
(生命反応二体 距離七百六十二)
赤い文字が視界の隅を走る。
僕は自分の手を見る。僕の手は銀色に光り輝いていた。
思わず足も見た。足も手と同じように月明かりに照らされて銀色に輝いていた。
僕は狼狽えた。何だこれは……まるでこれでは……
「ゼ、ゼロ……」
アーチャの声が聞こえる。
狼狽えて、両手をマジマジと見ていた僕はその姿勢のままで、声のする方に振り向いた。
アーチャが力無く横になったまま、消え入りそうなか細い声で僕を呼んでいた。
「ゼロ……ごめんなさい……」
アーチャは悲しそうな顔を僕に向けていた。
(生命反応ホボ無シ 残リ数分)
「アーチャ、これは一体。僕の手が銀色なんだ……」
アーチャに近寄りながら両腕を見せて、僕は問いかけていた。
「ゼロ、あなたは私達が作り出した最終兵器なの」
「そんな、まさか……」
「あなたの正式名は、シュタイン型零式。通称ゼロ」
(生命反応更ニ減衰)
「ゼロ、あなたは私達の希望。お願い……故郷を。ライマンを救っ……」
アーチャの瞳から光が消えた。虚ろな瞳はもう僕を見ていなかった。
(生命反応消滅)
「そんな、僕は……僕は……」
何度見ても僕の両腕と両足は、無機質で銀色に光っている。右手で左腕を触ってみるが、さっきまで確かにあった触感は無くなっていた。
「うわああああああああぁぁぁぁぁぁ」
僕はその場でひざまづき、大声で叫んだ。
その声は月明かりの照らす、砂漠で反響を繰り返しやがてかき消えていく。
(熱反応確認 距離七百六十二 回避不可能 最終兵器ヲ起動シマスカ? YES/NO )
僕の視界に再び赤い文字が光る。最終兵器?何だろう。使ってしまったら僕は一体どうなるのだろうか。
(距離三百七十九 限界点マデ残リ百七十九 YES/NO ? )
時間がない。判断しなきゃ。死にたくない。まてよ、僕は生きているのだろうか。手足のそれは既に人では無い。何だ、そうか……使ったところで何も変わらないじゃ無いか。いいさ使ってやる。
使ってやるとも!YESだ!!!
(意思ヲ確認。最終兵器ヲ起動シマス)
視界に赤く表示された途端に、お腹のあたりから熱を感じた。その熱は瞬時に大きくなり、やがて僕を包み込んだ。視界は真っ白に変わり、意識が遠のく。
ああ……何だか気持ち良さすら感じる。
次の瞬間、僕の意識は無くなった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
( Program Alice start. )
突然僕の視界に文字が浮かんだ。
(各数値良好 記憶領域良好)
周りを見渡すと無機質な部屋であった。窓は無く、ドアや扉もない。椅子や机は何も無く、床は真っ白で壁は鏡のようになっていた。
(武器システムニ エラーヲ確認 ブレードノ使用ハ可能)
反射的に右手を上げた。何もない空間に銀色の刀が現れる。無意識の内に、僕の右手は動きその刀を掴んだ。大きさの割に驚くほどに軽く、異様なほどに手に馴染んだ。
(武器システム修復ヲ継続シマス 修復中ハ処理能力ガ二十パーセント低下)
僕はゆっくり立ち上がり、壁に映る自分の姿を見て驚いた。
「えっ……」
壁には銀色の刀を持ち、白いドレスを着た美しい女性の姿が写っていた。
立ち上がって砲弾の飛んできた方向を見る。
(生命反応二体 距離七百六十二)
赤い文字が視界の隅を走る。
僕は自分の手を見る。僕の手は銀色に光り輝いていた。
思わず足も見た。足も手と同じように月明かりに照らされて銀色に輝いていた。
僕は狼狽えた。何だこれは……まるでこれでは……
「ゼ、ゼロ……」
アーチャの声が聞こえる。
狼狽えて、両手をマジマジと見ていた僕はその姿勢のままで、声のする方に振り向いた。
アーチャが力無く横になったまま、消え入りそうなか細い声で僕を呼んでいた。
「ゼロ……ごめんなさい……」
アーチャは悲しそうな顔を僕に向けていた。
(生命反応ホボ無シ 残リ数分)
「アーチャ、これは一体。僕の手が銀色なんだ……」
アーチャに近寄りながら両腕を見せて、僕は問いかけていた。
「ゼロ、あなたは私達が作り出した最終兵器なの」
「そんな、まさか……」
「あなたの正式名は、シュタイン型零式。通称ゼロ」
(生命反応更ニ減衰)
「ゼロ、あなたは私達の希望。お願い……故郷を。ライマンを救っ……」
アーチャの瞳から光が消えた。虚ろな瞳はもう僕を見ていなかった。
(生命反応消滅)
「そんな、僕は……僕は……」
何度見ても僕の両腕と両足は、無機質で銀色に光っている。右手で左腕を触ってみるが、さっきまで確かにあった触感は無くなっていた。
「うわああああああああぁぁぁぁぁぁ」
僕はその場でひざまづき、大声で叫んだ。
その声は月明かりの照らす、砂漠で反響を繰り返しやがてかき消えていく。
(熱反応確認 距離七百六十二 回避不可能 最終兵器ヲ起動シマスカ? YES/NO )
僕の視界に再び赤い文字が光る。最終兵器?何だろう。使ってしまったら僕は一体どうなるのだろうか。
(距離三百七十九 限界点マデ残リ百七十九 YES/NO ? )
時間がない。判断しなきゃ。死にたくない。まてよ、僕は生きているのだろうか。手足のそれは既に人では無い。何だ、そうか……使ったところで何も変わらないじゃ無いか。いいさ使ってやる。
使ってやるとも!YESだ!!!
(意思ヲ確認。最終兵器ヲ起動シマス)
視界に赤く表示された途端に、お腹のあたりから熱を感じた。その熱は瞬時に大きくなり、やがて僕を包み込んだ。視界は真っ白に変わり、意識が遠のく。
ああ……何だか気持ち良さすら感じる。
次の瞬間、僕の意識は無くなった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
( Program Alice start. )
突然僕の視界に文字が浮かんだ。
(各数値良好 記憶領域良好)
周りを見渡すと無機質な部屋であった。窓は無く、ドアや扉もない。椅子や机は何も無く、床は真っ白で壁は鏡のようになっていた。
(武器システムニ エラーヲ確認 ブレードノ使用ハ可能)
反射的に右手を上げた。何もない空間に銀色の刀が現れる。無意識の内に、僕の右手は動きその刀を掴んだ。大きさの割に驚くほどに軽く、異様なほどに手に馴染んだ。
(武器システム修復ヲ継続シマス 修復中ハ処理能力ガ二十パーセント低下)
僕はゆっくり立ち上がり、壁に映る自分の姿を見て驚いた。
「えっ……」
壁には銀色の刀を持ち、白いドレスを着た美しい女性の姿が写っていた。
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